訪問看護ステーションの集客で最優先すべきことはなにか
最終更新日:2021年08月31日
訪問看護ステーションの集客で優先すべき対策とはなにか
在宅医療を受ける患者数は、厚労省の2017年の調査では1日当たり18万人と推計され、年々増加傾向にあります(※1)。
したがって、訪問看護ステーションのニーズも増えていくと思われがちですが、すでに割り込む隙がない、というケースも少なからずあります。ここでは訪問看護ステーションの集客には何が有効なのか、そしてなにを最優先すべきなのかについて、説明していきます。
(※1)参照元:日本医事新報社(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=11875)
在宅医療を必要とする人は2025年には29万人
厚生労働省医政局指導課在宅医療推進室の調査によれば、2025年には在宅医療が必要となる人が29万人にも上る(※2)といいます。参照した統計データが少し古いため、現実にはもっと増加する可能性もあります。
さらに自宅療養を希望する人も増えています。自宅で療養しながら必要に応じて医療機関に通院したいと希望している人を合わせると、60%以上もの人が自他療養を望んでいるといいます。
新型コロナウイルスの病院や介護施設でのクラスタ発生のニュースを見てもわかるように、特に重症化しやすい高齢者やその家族が、入院や介護施設でのり患リスクを避けたいと思うのは当然です。こうしたことからも、ますます自宅での療養を希望する人が増えていくはずです。
(※2)「在宅医療の最近の動向/厚生労働省医政局指導課在宅医療推進室」(外部リンクです。PDFに飛びます)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/h24_0711_01.pdf
新規開業した訪問看護ステーションの半数が廃業とも
訪問看護ステーションに関する需要や社会ニーズは、今後増していくと考えられています。新たに開設されるステーションの数も増加傾向にありますが、実はそのおよそ半数が廃業してしまっている現状です。
需要があるにも関わらず、どうして半数もの新規訪問看護ステーションが事業継続を断念しなければならないのでしょう?その理由は、開業の際、利用者を集めることができないからです。
事業資金が十分ではない状態でスタートさせ、集客が上手くいかないまま経営状態が悪化。その結果事業継続が難しくなってしまい、廃業まで追い込まれてしまいます。
営業が得意な訪問看護ステーションなどない
営業が得意と言い切れる、訪問看護ステーションの経営者がいったい、どれだけいるでしょう。人脈が豊富で医療機関などとの太いパイプがある一部の経営者以外は、そもそも営業自体が初めてだ、という場合もあるはずです。
そもそも営業が得意な看護師、緩和ケア専門看護師、セラピストなどいません。集客のための営業は、いちばん頭を悩ます仕事ではないかと思います。
地域医療との連携、介護施設との連携が重要であることがわかっていても、すでに競合の訪問看護ステーションが契約している。このようなケースが多いと思いますが、どのようにして提携を打診すればよいのでしょうか?
訪問看護ステーションという事業を成功させるためには、通常の会社と同じように事業計画が必要です。「近くに病院や介護施設が多いから、きっとニーズがあるはずだ」という推測だけで事業を立ち上げることはないと思いますが、経営のための収益確保という面では、ほかの事業体同様、シビアに考えるべきです。
どのようなサービスを提供するステーションにしたいのか?
自分たちの訪問看護ステーションをどのようなものにしたいのか、どのようなサービスを提供していくのかを、まずはしっかりと考えておく必要があります。
そのためにも、自分たちの訪問看護ステーションの魅力や得意分野を把握しておくことが重要。そして、自分たちが目指す方向性や、どのような訪問看護を積極的に進めていきたいかを、提携先の候補である病院や介護施設に理解してもらわなければなりません。
ひとりよがりではなく、客観的な視野・視座で訪問看護ステーションの強みをアピールして、集客先を開拓していくことを最優先すべき。その際、どのような患者たちをターゲットにするのかも、同時に明確にしていかなければなりません。
訪問看護ならなんでもお任せ的な宣伝よりも、「このタイプの看護を得意としている」「こういう人材がいるので、状況に合わせてフレキシブルに動ける」と、できるだけ具体的に優位性を明言し、ターゲットを絞り込んだ集客からスタートしてみましょう。
訪問看護ステーションを利用する人たちはどこから来るのか?
当然どこから利用者が来るのかはわかっていると思いますが、そのわかりきったことを意識してみれば、おのずとやることの優先順位がわかります。
訪問看護ステーションでの集客に成功させるためには、まずはどのような人たちを対象にサービスを提供していくのかを決め、次に利用者の獲得が最も多い集客チャネルを狙います。
以下にどのような施設から、どのような利用者が来るのか整理しておきます。
- 病院の退院支援室:急性期の治療後、医療依存度は高いが自宅でサービスを受けたいと考えている人
- 緩和ケア病棟のある病院:自宅にて緩和ケアサービスを受けたいと考えている人
- 居宅介護支援所:生活の機能を維持しつつ、可能な限り自宅で過ごしたいと考えている人
プライマリーケアと訪問看護の関係性
今は特に、コロナの影響で総合病院の病床数が制限されるなど、医療の現場も日々変化にさらされています。また、平成30年の診療報酬改定の影響もあって、在宅療養をする利用者は増えていきます。
そんな中、「プライマリーケア」推進の動きもあいまって、地域医療を担う診療所、いわゆるかかりつけ医との連携が、訪問看護師にとって最優先課題。また在宅薬剤師を含む「チーム医療」の重要度も増しています。
では、プライマリーケア・地域医療・薬剤師とのチーム医療につきまして、もう少し詳しく見ていきましょう。
プライマリーケアとは
これからの社会的な医療体制を考えていく中で、大切な概念とされるプライマリーケア。プライマリーケアとは、状況や用いられる場面、他国の歴史や医療制度の背景によって定義は違ってきますが、かかりつけ医、というのが最大公約数です。
病気を発症した際、まず最初にかかる医療機関と、長年にわたり診てくれる医師の存在。風邪にかかった際に行く医療機関、また、糖尿病や高血圧などの慢性疾患の治療を行う小規模の医療機関を指します。
糖尿病や高血圧などの慢性疾患は、継続して通院し、投薬治療を受けることがほとんどです。ただし高齢になればさまざまな病気との合併症や、心筋梗塞や脳梗塞といった緊急性の高い症状を発症するリスクもあります。
プライマリケアではこうした複合的な健康不良を総合的に診察し、かつ患者の精神的な不安を払しょくしてあげるカウンセラー的な役割も果たします。
訪問看護もこうしたプライマリケアとの連動性が高まっていきますので、訪問看護ステーションの運営方針として意識しておくとよいでしょう。
地域医療で訪問看護ステーションが果たす役割
地域医療とは、地域で暮らす人たちの健康をサポートするための医療体制のことをいいます。医師や医療従事者らが、地域住民の健康維持や増進、また病気の予防を目的とした医療サービスの提供を行います。
入院患者さんたちの60%以上、また、病院へと救急搬送される人たちの60%以上が高齢者です。したがって、地域医療は即ち、高齢者の方に対する医療だといえます(※3)。
現在日本は超高齢化問題を抱えていますが、その次に直面するといわれている多死社会。医療は、病院をメインとするのではなく、地域医療への転換と拡充が必要とされています。
地域医療で医師と患者をつなぐのが、訪問看護師の役割のひとつです。病院薬剤師や調剤薬局との連携も、もちろん重要です。
(※3)参照元:慢性期.com 地域医療の課題とは? 患者さんの「地域生活を支える」ために( https://manseiki.com/news/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%81%AE%E8%AA%B2%E9%A1%8C%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F-%E6%82%A3%E8%80%85%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E3%80%8C%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E7%94%9F%E6%B4%BB%E3%82%92%E6%94%AF )
訪問薬剤師を含むチーム医療
訪問看護師同様、ニーズが高まると予測されているのが、訪問薬剤師です。通常は調剤薬局での仕事を兼務しています。
通院できず薬を取りにいけない自宅療養の患者の調剤や服薬サポート、残薬管理、ときには医療サポートを行なうこともあります。在宅医療は高齢者医療でもありますので、認知症などの場合はケアマネージャーへの情報提供も行ないます。
服薬方法を伝えることも、薬剤師が行う大切な業務です。患者さんが複数の病院から薬をもらっている場合、服薬方法をしっかりと伝えることで、飲み合わせが引き起こす問題を防ぐことができます
このようにチーム医療とは、複数のメディカルスタッフが協働・連携して、患者さんの治療にあたっていきます。訪問看護師も訪問薬剤師も、超高齢化社会の医療を支えるチームのメンバーとして、連携スキルをこうじょうさせていかねばなりません。
仮にご自身の訪問看護ステーションにこうした地域医療、チーム医療のエキスパートがいたら、これは集客の強力な武器になるはずです。
訪問看護ステーションの集客施策はオンライン強化がマスト
上記に挙げたようなチーム医療の一員となるべく営業するために必要なことは、自分の訪問看護ステーションの特徴や強みを、絶えず商圏エリアでアピールしてその存在を認知してもらわなければなりません。
これまでチラシやパンフレットを作成して集客してきた、という事業所は、「相手が手に取ってくれるまで集客チャンスはない」ということを認識すべきですし、当然のことながら知ってもらわなければ、お客さんは来ません。
では、集客を図るため、具体的に何をすべきかを以下でお伝えしていきます。
ホームページを立ち上げエリアで上位表示させる
先ほどお伝えしましたとおり、自分たちのステーションの得意分野や積極的に進めたいサービスを明らかにした際、多くの人たちにそれを知ってもらう必要があります。
チラシやパンフレットにしっかりと記載しておくことが重要です。しかし、チラシやパンフレットなどのオフライン広告には限界があり、反響があるのかないのか、データを取得することが難しい集客方法です。
その点インターネット上の情報は24時間365日、人に知ってもらえるチャンスがあります。まずは自社のホームページを充実させて、エリア対策を実施していきましょう。
エリア対策の重要性に関しては、キャククル内の別ページでくわしく説明しています。ぜひそちらもご覧ください。
エリア名×訪問看護ステーションでホームページを上位表示させることができるようになったら、さらにターゲットを獲得するための施策に移ります。
ホームページに提携先開拓用のページをつくる
自社のホームページを立ち上げる際、忘れてはならないポイントがもうひとつあります。
それは「だれに向けて情報を発信するのか」ということ。もちろん訪問看護サービスを受ける患者さんやそのご家族に向けたものであることは明らかですが、それだけでは不十分です。
ホームページを「営業担当」と考え、介護施設向けや診療所向け、ケアマネ向けに自身の看護ステーションの特徴や強み、カバーできるエリア、看護師のスキルなど詳細を載せてください。
ページを分けて、「医療機関・介護施設のみなさまへ」などとしたコンテンツを用意します。お問い合わせフォームもわずれずに入れるようにしましょう。
エリア×強みでポジショニング戦略を立てる
ポジショニング戦略とはマーケティングのベースとなる考え方で、自社のサービスや商品がどのポジションにいるかを理解し、競合に勝てる場所はどこかを見出す手法です。
競合の訪問看護ステーションの強みや優位性を把握していないと、自社の強みや優位性を把握することはできません。このポジショニングの把握が、次に打ち出す戦略の基礎となる部分です。
エリア対策と患者ニーズの掛け合わせで、自分たちのどこが強みか、競合になくて自ステーションにある優位性は何かをまず「知る」こと。そしてその強みを提携候補先に知ってもらうことを最優先しましょう。
このポジショニング戦略に基づく集客対策を打てば、エリアでの集客は成功するはずです。ポジショニング戦略とその戦略に基づくメディアづくりに関しては、下記で解説しています。ご興味があるかたは、お読みください。
インターネットは集客チャネルを選びません。多方向に同時に発信できる有能な営業マンです。やり方次第で、24時間365日集客チャンスがあるといえます。薬局や診療所の限られた営業時間と比較して、どちらが有用かは、考えるまでもないでしょう。
訪問看護ステーションの集客まとめ
ここでは、訪問看護ステーションの動向や市場、集客で優先すべき対策などについて説明してきました。営業時間や診療時間を気にせず、常に集客チャネルを稼働させるには、インターネットの活用がマストです。
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