スタートアップ企業のブランディングの意義とは?メリットや具体的な手法も合わせて紹介
最終更新日:2022年12月25日
企業を立ち上げたけれど「思っていたよりも利用者数が少ない」、「想定どおりに認知度が広まっていない」と感じている方は、ブランディングはきちんとできているでしょうか。
どうしても既存企業よりも認知度が低くなってしまうスタートアップ企業では、いかに早く効果的なブランディング戦略を進めていけるかが将来を左右する大きなポイントです。
しかし、なかにはブランディングを進めるに当たって何に注意すべきか分からない方もいるでしょう。ブランディング戦略が効果的に進められ、認知度を高められるポイントを解説します。
スタートアップ企業の経営者、広報担当社の方は参考にしてください。
スタートアップ企業にはブランディング戦略は欠かせません。知名度向上につながり、将来の売上や会社存続をも左右するブランディングを進めるための方法をご紹介します。
ブランディングとは?
まずブランディングとは何かをご説明します。
ブランディングとは、企業や商品をブランド化し、他社や別商品と差別化することを指します。しかし「ブランド」と聞いて、高額や有名といったイメージをもつ方もいるでしょう。
戦略として考えるブランドとは、上記のような一般的にイメージされやすい内容だけではありません。種類や方向性は問わず、企業や商品がもつ価値がすべてブランドに含まれます。
高級だけがブランドではない
例えば、ブランディングを詳しく知らない方がブランドと聞いてイメージする企業や商品例として下記が挙げられます。
- IT機器:Apple
- バッグ:シャネル、エルメス
- 自動車:ベンツ、ポルシェ
ブランド、と聞いて良い製品、高級品といった印象をもっている方は多くいます。もちろん上記企業もブランディングに成功している事例です。
しかし、反対に安いといった印象で考えると下記の企業などをイメージするのではないでしょうか。
- アパレル:GU、ユニクロ
- 飲食店:サイゼリヤ、マクドナルド
- IT機器:Xiaomi
- お菓子:うまい棒、チロルチョコ
安い、というイメージでも真っ先に企業の名前が浮かぶなら、企業やサービスがもつ魅力が伝わっているのでブランディングに成功している企業といえます。
ただし安いというポイントだけでは、同様のアピールを行なう企業が多いためは差別化が簡単ではありません。できる限り他の魅力を見つけることがブランディングにおいて重要です。
ブランディングは企業価値を印象づける活動
ブランドは企業や商品がもつ価値を指し、価値には価格以外にもサービスや特徴など全般的な要素が含まれます。そして価値を顧客に伝える活動がブランディングです。
例えば、自動車を運転している人が遠方からすぐに店舗があると分かってもらうためには、特徴的なロゴマークが欠かせません。大手チェーン店やコンビニ各店では特徴的なロゴマークが用意されていますが、ブランディングの重要な要素です。
そして企業の価値や特徴を印象づけるという行為は、利益を上げるための戦略として不可欠です。反対にブランディングできなければ同業他社との差別化ができず、利益を上げられません。経営戦略を考えるにあたって、ブランディングの方向性は必ず決めておくべきポイントです。
スタートアップ企業にとってのブランディングの必要性
スタートアップ企業にとってブランディングは欠かせない戦略です。ここでは、スタートアップ企業におけるブランディングの重要性について解説します。
知名度向上を早められる
まだ歴史が浅い企業やサービスを認知しているのは一部の敏感なファンのみで、通常はスタートアップ企業が提供するサービスの知名度は高くありません。
企業によっては起業後まずサービスの作り込みに力を入れることもありますが、ある程度形になったら告知、マーケティングに力を入れていきます。
マーケティングに力を入れるのは、認知度を早めに向上させると売上UPにつながるためです。この知名度を効率的に上げる方法が、ブランディングを重視した戦略です。
ブランディングに成功すれば他社との差別化を印象付けられ、口コミや評判も広がりやすく認知度もすぐに高まります。
スタートアップ企業がブランディングに取り組むメリット
スタートアップ企業がブランディングを戦略に盛り込むと、多くのメリットがあります。ここでは、スタートアップ企業がブランディングに取り組むメリット3つを紹介します。
競合他社の差別化が図れる
スタートアップ企業はライバルが非常に多く存在します。同様のサービスを提供し、かつ自社より知名度の高い競合他社ばかりのため、自社に特化したポイントがなければ顧客から選ばれません。
ブランディングにて他社との差別化をアピールでき、かつ顧客も差別ポイントを認識してくれれば自然にリピーターとなります。結果として他社に差をつけて、自社の成長へとつながるのです。
自社ファンが増やせる
ブランディング戦略は魅力ポイントのアピールともいえるので、自社サービスにそったターゲットが自然に集まる点もブランディングの大きなメリットです。
差別化のアピールポイントが的確なら、ブランディングのイメージをもとに利用または購入してくれたターゲットはファンになってくれる可能性がとても高くなります。
しかしきちんと自社を分析し、ブランディング戦略を考えることが前提です。
例えば下記のようにずれているアピールだと、反対にブランディングイメージをもとに利用したターゲットはがっかりしてしまいます。
- 同業者のなかでは料金が安い設定ではないのに安さをアピール
- 顧客に言われたことのない点を魅力としてアピール
- コストダウンばかりにこだわっているけれど高品質をアピール
ブランディングは企業と顧客の信頼関係をつくるともいえる戦略です。安易に魅力的な言葉でアピールするのではなく、入念に自社を分析した上でアピールポイントを考えなければいけません。
価格競争から脱却し、利益が高められる
他社にはない魅力ポイントを伝えるため、正しいブランディングを行なっていれば価格競争に巻き込まれることはありません。
価格の安さだけをアピールしていた場合は価格競争に巻き込まれてしまうため、正しいブランディングとはいえない状況です。安さを重視したい場合でも、他の選定基準を含めて差別化できる方法を考えなければいけません。
例えば安さに加えるブランディングイメージとして下記が挙げられます。
- 安い上に提供が素早い
- 安いけれど種類の豊富さは他社には負けない
- 安いながらも品質が他社と遜色ない
安さ以外のブランディングができなければ価格を落とすしかなくなり、品質を保てないなどの問題につながりかねません。
スタートアップ企業が生き残るためのブランディングは、他社にはない魅力を探すところから始まります。
スタートアップのブランドの構築につながるステップ
スタートアップ企業のブランディングを成功させるステップを具体的に解説します。
- 現状を分析する
- ブランドを定義して、具体化する
- ブランドを企業のコミュニケーションに落とし込む
現状を分析する
まず行なうべきは現状分析です。既にブランディング戦略が決まっているケースでは戦略どおりかどうか、決まっていなければ経営理念や特徴として掲げている点を提供できているか分析しましょう。
現場から上がってくる報告では問題がない場合でも、現状は異なるかもしれません。下記の方法で正しい現状を把握できます。
- 抜き打ちでチェックする
- ミステリーショッパーを利用する
- 直接幹部に届く顧客アンケートを実施する
- 同業の分野に強いマーケティング会社へ相談する
もしもできていないなら間違ったブランディングになるため改善しなければいけません。また他に差別化につながるポイントがないか探してみることも大切です。
分析した上で他にブランディングポイントになりそうなポイントが必ず提供できているのであれば、戦略を変えることも検討しましょう。
ブランドを定義して、具体化する
自社を分析でき、アピールすべき点が固まったらブランドを定義します。分析時点で完全に提供できていないケースでも、現場への指導などで改善できるようならブランドとして定義しても大丈夫です。
他社にはないアピールポイントが抽象的なケースもありますが、従業員が認識しやすいよう具体的に定義しなければいけません。ブランドを定義することを、ブランドアイデンティティとも呼びます。
例えば下記のような具体的な表現が定義化です。
- 豊富な商品数→常時何種類の商品
- お待たせしない→何分以内に提供、当日中に訪問
- 顧客満足度が高い→リピーター何割
ブランドを企業のコミュニケーションに落とし込む
ブランディングの方向性が決まり、従業員や消費者にも分かりやすく伝えられる定義化ができたら、続いて必要な作業は宣伝です。ブランディングのアピールとして、内容を問わず必ず有効というアプローチはありません。
ブランディング内容によって最適なコミュニケーション方法は異なります。
シンプルな内容ならロゴマークで伝わる場合もあるでしょう。しかし実際に体験してもらわないと伝わらない魅力の場合、無料体験や口コミなどの方法が向いているケースも多くあります。
豊富な種類数のアプローチを目的とするECサイトなら、HPのトップページで商品数の多さが伝わるようにデザインを変更しないといけないかもしれません。多くの内容を盛り込める動画が最適な場合もあるでしょう。
定義したブランディング内容にそって、一番ターゲットに伝えられるコミュニケーション方法を検討します。自社内だけでよいアイディアがでない場合には、マーケティング会社や広告代理店への相談も検討してみてください。
スタートアップ企業でブランディングを行なう方法
スタートアップ企業のブランディング戦略で役立つ施策や手段をご紹介します。
企業のコミュニケーションを統一させる
ユーザーと接する、つまりコミュニケーションとなる部分は、定義したブランディングをもとに統一します。企業とユーザーが接する場所として例えば下記が挙げられます。
- Webサイト
- ロゴマーク
- CM
- 店舗
- パンフレット
- 商品パッケージ
- DMやメルマガ
ターゲットが企業を見る際、何を起点として見られるかは統一されていませんし、分かりません。接する可能性がある部分はすべてブランディングに合わせて統一しなければいけません。
自然や環境への配慮をうたっているのに商品が何重のビニールに包装されていると統一性がありませんし、ブランディングのイメージを期待して購入したユーザーを裏切ってしまいます。
他にも分かりやすく印象的なロゴマークをデザインしたのに、Webサイトにも実店舗にも使われておらずカラーリングも全く違う場合、統一感がありません。ターゲットが店舗の前を通っても同一企業と気が付かないこともあるでしょう。
何の媒体から知られた場合でも、ブランディングどおりの印象を与えられるように統一感は常に意識しておくべき部分です。
外部のWebメディア上で自社情報を広める
自社が運営するコンテンツとは別に、外部のメディアを利用するのも有効な手段のひとつです。該当メディアがもつユーザーに対してアピールできます。
自社がコンテンツを所有していない、または準備中の場合だとアクセスを集めるまでに月日がかかりますが、既存メディアなら効果がスピーディーな点が大きな魅力です。特に自社と相性のよいジャンルの媒体ほど効果が高まります。
キャククルでも様々なジャンルの情報掲載を受け付けています。スタートアップ企業でブランディング戦略を検討中の企業はお気軽にご相談ください。
ブランディングメディアを運用する
日数とコストがかかりますが、自社のブランディングメディアを作成する選択もあります。スピーディーな外部メディアに対し、自社ブランディングメディアによるターゲットへのアプローチは費用対効果が高く、見込み顧客を育てられるのが大きなメリットです。
自社のブランディングについて知ってもらうにあたり、数ページの記事では伝えるのが難しい場合もあるでしょう。特に価格の安さなど他社でもありがちな価値ではなく、職人的なこだわりがブランディングポイントの場合に必要な傾向があります。
例えば下記のような内容です。
- 利用している素材の良さを他社製品と比較して伝える
- 新技術について解説する
- 製法、技術でこだわっている点を伝える
- なぜ良質なサービスを提供できているか解説する
自社のブランディングポイントに合わせてサイトを構成できるので、費用対効果が高くなるのです。また読み物として継続的に訪れるユーザーを見込み顧客として育てられます。
Zenkenではキャククルによる記事としてスピーディーなアプローチも、上記のようにブランディング内容に合わせてサイトを制作する方針も、どちらにも対応できます。
あくまで一部ですが、下記ページで掲載していますのでサイトの参考としてご覧ください。
ブランディングはスタートアップ企業がまず取り組むべき戦略
スタートアップ企業にとって、早めに利益を拡大し経営を安定させるためにはブランディング戦略は欠かせません。しかし分析が不十分でありきたりな内容ではブランディングの意味がありませんし、反対に利用ユーザーががっかりする結果になりかねません。
Zenkenでは同業他社分析によるブランディングポイントの発見、そしてオリジナルブランディングメディアの制作まで幅広く対応しています。まずは相談だけでもお気軽にご連絡ください。
いずれ取り組まないといけない、と考えている方は先延ばしにせず優先的にブランディング戦略を進めましょう。