大学のマーケティング戦略とは?学生を集めるポイント
最終更新日:2024年03月18日
18歳人口の減少が深刻なこれからの時代は、大学経営におけるマーケティング施策は必須であり急務。
この記事では、大学が実施すべきマーケティング施策についてご紹介します。
大学経営戦略におけるマーケティングの役割
経営は、会社組織が継続的に利益を獲得するために、様々な経営資源を効果的に配分する活動です。大学経営戦略には、大学が将来の目標を達成するために、どのような方向性で運営していくのかを定めた計画です。具体的には、次の要素が含まれます:
- 大学の理念・ビジョン
- 強み・弱み・機会・脅威(SWOT分析)
- 目標と戦略
- 実行計画と評価
大学経営戦略の成功事例を挙げると、慶應義塾大学はその一つです。慶應義塾大学は、「21世紀を生き抜く人材の育成」を目指して、教育改革、国際化、研究力強化、社会貢献に力を入れました。だが、慶應義塾大学一番の強みはマーケティングです。大学のマーケティングとは、志願者のニーズを理解し、それに応じた価値、可能性、人柄などを宣言する活動です。以下の詳しく大学のマーケティングについて解説します。
選ばれる大学になるためにマーケティング戦略は必須
リクルート進学総研の「18歳人口予測」によると、2018年~2024年に118.0万人から106.2万人と、11.8万人減少する予測です
その後、微増・微減をしつつも、2030年の18歳の人口予測は104.8万人。緩やかな右肩下がりとなっていく傾向が見て取れます。(※1)
大学の学生募集のメインターゲットである18歳人口が減少すれば、大学経営を成り立たせるために選ばれる努力が必要になることは当然。
そこで重要になるのが、選ばれる大学になるためのマーケティング戦略というわけです。
(※1)参照元:リクルート進学総研 | 18歳人口予測 大学・短期大学・専門学校進学率 地元残留率の動向
大学の強み・差別化ポイントを考える
数ある大学の中から自分の大学を選んでもらうためには、他の大学との違いを示すことが求められます。
差別化ポイントを明確にするということは、学生がその大学を選ぶべき理由が明確になるということです。
差別化ポイントを考えるにあたっては、大学が提供できている価値や強みを改めて整理してみることが必要ですが、自校を分析する前にユーザー(学生)のニーズと、競合大学の分析を行いましょう。
そうすることで、一定の学生のニーズがあるにも関わらず競合が提供できていない価値を見つけやすくなります。この手順を踏むことで的外れな差別化になりにくく、自校が勝ちやすい市場・攻めるべき市場が見えてきます。
学生のニーズを分析する
いまや「大学全入時代」と言われており、大学市場は成熟。このような市場では、学生のニーズも多様化しやすい傾向にあります。
「大学での学びが充実している」といった価値はもはや当たり前のものになっているため、さらに違う角度からの切り口が必要です。
たとえば、「就職や資格取得に手厚い」「留学に積極的」「充実したキャンパスライフ(学び以外の体験・経験)」などが挙げられるでしょう。
大切なのは自校を選ぶ学生のニーズにどういったものがあるのかを整理し、自校が持つ強みとマッチする点を探してみてください。
在学中の学生に大学を選んだ理由をアンケート調査するなど、いわゆる生の声を集めておくと非常に有力な情報となります。
また大学入学にあたっては、本人の保護者や学校の先生、予備校の講師などさまざまな人の意思が関わっており、長期間にわたる比較検討がなされます。
こういった特徴を加味して、学生のニーズだけではなく、その学生の周りにいる人たちのニーズまで範囲を広げることで見えてくる強みもあるかもしれません。
競合大学を分析する
例えば同じ分野や同じ地域などで、自校と比較されがちな競合大学が明確になっているでしょうか?
それらの競合大学が、どういった価値を提供しているか、どういった強みを学生にアピールしているのかを整理・分析してみましょう。
分析を通じて、競合と被ってしまっている強みや負けている点、逆に競合にはない自校ならではの強みが見えてきます。
さらにその強みが学生のニーズと合致していれば強力な差別化ポイントです。
その強みを大学のコンセプトに据え、一貫性を持った広報やマーケティング戦略を実施することで大学の差別化・ブランディングが可能になります。
特定の学生ニーズ・市場に対してNo.1の大学を目指そう
顧客(学生)のニーズがあるが、競合は提供できていない。自校ならではの価値のことを、マーケティング用語でバリュープロポジションといいます。
バリュープロポジションを明確し、マーケティング戦略の軸にすることで、学生が大学を選ぶべき理由をわかりやすく伝えることができます。
また上述したような、学生ニーズの分析・競合分析を通じて、自校が勝てる市場が見つかればしめたもの。その市場ではNo.1の大学であることを学生に伝えられるようにしましょう。
逆に、どういったニーズや市場なら自校がNo.1になれるかという見方で差別化ポイントを考えることもできます。
学生ニーズや市場を細分化(セグメント)したり、複数のニーズを組み合わせたりすることで、自校が勝ちやすい市場を見つけましょう。
ターゲットの学生に届くマーケティング施策とは
自身の大学におけるバリュープロポジションが明確になったら、その魅力を求める学生のニーズを徹底的に分析しましょう。
- どういったことに興味があるのか
- どういった情報を検索しているのか
- どんな悩みや課題があるのか
これらの思考を可能な限り分析し、それに応える強みを発信することができれば、自身の大学に魅力を感じてくれる学生を集めることができ、入学してくれる可能性も高くなります。
大学の価値は入学前に伝わりにくいため、オープンキャンパスや説明会以外のコミュニケーションの場を用意することもマーケティング戦略の一環になるでしょう。
例えば、大学に在籍しているカウンセラーとの悩み相談をオンライン上で可能にしたり、講師の実績や講義風景が伝わる動画を用意したりなど、自校の強みが伝わり、さらに補強するようなコンテンツを考えてみましょう。
SNSによる発信
SNSマーケティングとは、ソーシャルメディア上で行われるマーケティング活動のことです。Facebook、Instagram、Twitterなどのプラットフォームを活用し、学生との交流や情報発信を行うことで、大学は自身のブランドを強化し、志願者に対して効果的にリーチすることができます。以下にいくつかSNSマーケティングのチャネルと特徴を紹介します。
Instagram:
特徴: ビジュアル重視のプラットフォームであり、写真や動画を中心に情報が共有されます。特に若年層に人気があります。
大学の活用例: キャンパスの美しい風景や学生の活動、イベントのハイライトなどを魅力的な写真や動画でシェアします。ハッシュタグを活用して、さまざまなユーザーにコンテンツが届くよう工夫します。
X(旧:Twitter):
特徴: リアルタイム性が高く、短いテキストや画像、リンクをつぶやくことができます。情報の速さと拡散力が特徴です。
大学の活用例: イベントの告知や即時情報の共有、学生との対話などに利用されます。大学公式アカウントだけでなく、各学部やクラブが個別のアカウントを持ち、専門性の高い情報を発信することもあります。
YouTube:
特徴: 動画共有プラットフォームであり、ライブ配信や動画コンテンツのアーカイブ化に適しています。多様な視聴者に訴求できる点が魅力です。
大学の活用例: キャンパスツアーや学部紹介、講義の録画、イベントのハイライトなど、様々な動画コンテンツを提供します。また、大学関係者や卒業生のインタビュー動画を通じて、アルムナイネットワークの構築を図ることもあります。
LinkedIn:
特徴: プロフェッショナルなコミュニケーションが主眼のビジネス向けソーシャルメディアプラットフォームです。キャリア関連の情報共有やネットワーキングに活用されます。
大学の活用例: 大学関係者や学生、卒業生がプロフィールを作成し、キャリア情報や学内のニュースを共有します。大学が公式ページを持ち、研究成果や学内イベントの情報を発信することもあります。
大学のSNSマーケティングは、教育機関がデジタル時代の要求に応え、新たなオーディエンスとの関係を築くための重要な戦略です。適切な戦略とコンテンツの提供により、大学は自らのブランドを強化し、将来の学生との絆を深めることができます。
オウンドメディアによる情報発信
次に、オウンドメディアによる情報発信について解説します。オウンドメディアとは、自校で運営しているメデイア全般のことを指します。
大学ホームページでのブログ記事やSNSなども広い意味では含まれますが、ホームページ以外で運用しているWebメディアを指すことが一般的です。
オウンドメディアの活用は、すでに大学に興味がある学生に対して魅力を伝え続けることが可能なだけではありません。
まだ自校を知らない学生に対しても、ニーズや興味をきっかけにオウンドメディアを見てもらうことで認知してもらえます。
自身の大学のオウンドメディアの質を高めることで得られるメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 大学の知名度を向上させる
- 在学生や卒業生の声などを掲載することで、リアルな魅力を伝えられる
- 大学の特色をアピールできる
効果的なマーケティング施策のひとつとして、オウンドメディアも有効な手段となっています。
ポジショニングメディアによる差別化ポイントの発信
大学のバリュープロポジションを伝えるためには、ポジショニングメディアの存在も欠かせません。
ポジショニングメディア事例 詳細はお問い合わせください
ポジショニングメディアとは、競合大学と自身の大学を比較して見せることで、市場内での立ち位置をわかりやすく示したWebメディアです。
例えばあるニーズを持つ学生に対してはA大学がベスト、だが別のニーズなら自校がベストといった形で自校の強みや価値を見せることで、自校に強く魅力を感じてくれる相性の良い学生を狙って集めることができます。
多くの学生は情報過多に陥っており、インターネット上の情報だけでは十分な比較検討ができません。
そこで様々な基準で大学の強みを比較しているポジショニングメディアがあったらどうでしょうか。
「どの大学が自分に合っているだろう」などと考えている学生に、大学の強みをわかりやすく伝えるポジショニングメディアは非常に有用であり、大学選びの参考にしてくれるはずでです。
ポジショニングメディアに興味を持ち、より詳しく知りたい方はポジショニングメディアについてまとめた資料も別途ご用意しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。
大学のホームページでも強みを分かりやすく
様々な広告・プロモーション・マーケティング施策を通じて、大学を知ってくれた学生は必ずホームページも確認します。
その際にWebで知った大学の強みについての情報が記載されていなかったり、目立たないデザインになっていると、興味を持ってくれた学生の熱量を下げてしまいます。
広告などで見せている内容と、ホームページの内容に一貫性があるかどうかは、マーケティング戦略として非常に重要です。
バリュープロポジションを軸におきマーケティング戦略に統一性があることで、学生にどういう大学と認知してほしいのか明確になる、つまりはブランディングにつながります。
大学マーケティングの成功事例
大学のSNSマーケティングの成功事例
画像引用元:立教大学公式Instagram(https://www.instagram.com/rikkyouniv/)
まずは立教大学が運用しているInstagramの活用事例をご紹介しましょう。
「自由の学府」としても知られる立教大学は、歴史の長いミッションスクールで、キリスト教に基づく教育を基板としています。
Instagramには、チャペルや季節の木々、草花、校舎などの写真が投稿されており、ビジュアル面での訴求が印象的です。
説明会やオープンキャンパスなどでは、学校の様子をじっくり眺める余裕がないこと、季節によって景色も変わることなどに重きを置いており、各投稿には500~1,000件の「いいね!」や「コメント」がついています。
また、このアカウントはフォロワー数1.2万人を誇っており(2021年3月現在)、多くの学生にアプローチする手段になっています。
画像引用元:近畿大学公式Twitter(https://twitter.com/kinkidaigakuPR)
次に、近畿大学が運営しているTwitterの活用事例をご紹介します。
近畿大学は、大阪府東大阪市に本部を置く大学で、学部数・学科数が豊富なマンモス校としても有名です。
近畿大学が運用するTwitterでは、近畿大学とコラボした商品のプレゼントキャンペーンや、近大通りなど大学周辺のカフェの紹介、「近大マグロ」の養殖情報など、さまざまな情報が発信されています。
ほかにも、近畿大学を卒業した著名人へのインタビュー記事や、近畿大学理工学部教授らが開発した「近大マスク」などの情報も拡散されており、48,000人のフォロワー数を誇っています(20213月現在)。
社会との距離が近いことをアピールし、独自のブランディングに成功している事例として挙げられるでしょう。
大学のオウンドメディアの成功事例
青山学院大学:アオガクプラス
青山学院大学の「アオガクプラス」です。このオウンドメディアは、「青山学院を、発見する。」というテーマのもと、大学についての理解を深められるオウンドメディアとして展開されています。「アオガクプラス」は、多岐にわたるカテゴリーを提供し、大学の特徴を簡潔にまとめて紹介しています。その中には、「インタビュー」「キリスト教」「コラム」「今」「ストーリー」などが含まれており、様々な視点から大学の魅力を伝えています。
青山学院大学は幼稚園から大学までを有する総合学園であり、そのため「アオガクプラス」では幼児教育から高等学部までの情報を幅広く提供しています。これにより、大学全体の連携や教育体制の一貫性を示すと同時に、未来の学生や保護者に対しても包括的な情報を提供しています。「アオガクプラス」は、青山学院大学のブランドを強化し、大学の理念や価値観を伝える重要なプラットフォームとなっています。顧客中心のアプローチを取りながら、多様な情報を提供することで、幅広い層にアピールし、大学の成長と発展に貢献しています。
津田塾大学:plum garden
津田塾大学の “Plum Garden” は、一般的な大学のオウンドメディアとは一線を画す特徴を持っています。このプロジェクトでは、コンテンツ一つひとつをフラットで横並びにするタイル構造にし、カラーを女性らしいパステル調に統一することで、独自の世界観を演出しています。
“Plum Garden” は教職員と学生が協働で運営されており、キャンパスレポート、対談、編集部員のおすすめグッズ紹介など、型にハマらない多彩なコンテンツが提供されています。
デザイン面でも注目すべき点があります。シンプルながらも洗練されたデザインで、コンテンツがフラットで横並びに配置されています。パステル調のカラーパレットは女性らしさを強調し、視覚的な魅力を高めています。このシンプルなデザインは、ユーザーに親しみやすく、見やすいウェブサイトを提供することで、情報の消化をスムーズにします。
“Plum Garden” は、津田塾大学のブランドを強化し、他の大学との差別化を図るだけでなく、多様なコンテンツとシンプルなデザインを通じて、ユーザーエクスペリエンスの向上を実現しています。
大学のWebマーケティング戦略のことならZenkenへ
大学でもマーケティング戦略を考え実施することの重要性を感じていたとしても、
「マーケティングって何から始めたら…」「ホームぺージのどこが悪いのかわからない」「そもそもバリュープロポジションが明確化できない」などの課題が生じることもあるでしょう。
マーケティング戦略を考えるにあたって必要な分析やノウハウなどが多岐にわたり、ゼロから実行するには時間がかかってしまうリスクも。
Zenkenでは、業界や業種を問わず7,000件以上の集客支援実績があり、バリュープロポジションの分析に基づくマーケティング戦略の立案や、Webサイトのデザイン・制作、公開後の運用まですべてワンストップで対応しています。
大学のマーケティング戦略でお悩みの際は、まずはお気軽にご相談ください。
※オンライン面談システムを活用して、非接触でのご相談も可能です。
また、当社のWebマーケティング戦略のひとつである「ポジショニングメディア」について、大学向けの資料もご用意しています。すでに導入されたお客様の声や、一般的なWeb集客手法の課題もまとめています。必要に応じてご活用ください。