大学の生き残り戦略に必要な分析と対策

大学の生き残り戦略に必要な分析と対策
share
Facebook Twitter はてなブックマーク Pinterest

近年少子化が進む一方で、大学数は増加し、ますます競争が激化していくことは明らかです。
そんな状況のなかでも安定した大学運営を目指すなら、受験生に選ばれる大学であることが必須です。
ここでは、これからの大学の生き残り戦略を紹介します。

大学経営の現状

大学の現状・懸念点

2022年時点で、全国には790校もの大学があり、過去6年間で30校以上増加しています。その4分の3は私立大学が占めており、特に地方の私立大学は経営に課題を感じている学校も少なくありません。(※1)

私立大学が生き残りに苦戦する原因には大きく、以下のような理由が挙げられます。

※1 参照元:旺文社 教育情報センター | 日本の大学数2021年度は788大学

18歳人口は減少が続く

2019年には117万人だった18歳の人口も、2032年には100万人を下回り、2040年には88万人にまで減少すると予想されています。(※2)

大学は限られた学生を取り合うような形となり、学生に対してしっかりと大学の専門性や環境などの強みをしっかり印象付けることが重要です。

その戦略がないままでは、認知をされない、または認知をされても選ばれないといった状況に陥りやすくなります。

※2 参照元:文部科学省 | 「地域社会の現状・課題と将来予測の共有について」より大学等進学などに伴う人口動態の変化

オンライン授業の普及

コロナ禍の影響により、オンライン授業も積極的に行われるようになりました。新しい生活様式が長期化する中、高額な学費を払って大学に通い、授業を受けるという従来の日本の大学教育の在り方が問われています。

科学技術が進歩した今、世界各国の高度な講義もオンラインによって簡単に受講が可能です。現地まで行かなくても、学費を安く抑えてレベルの高い国外大学の教育が受けられる時代になっています。

競合の拡大

上述の通り、急速なオンライン化により、日本国内の大学だけでなく海外の大学も競合となりつつあります。同時通訳が可能となった今、言語の壁はなくなり、AI技術の進歩によって費用対効果の高い学習システムが構築されました。

オンライン型の大学が普及することにより、これからは世界トップクラスの大学も競合になります。

生き残る私立大学は戦略の変化が必要

生き残る大学は戦略の変化が必要

大学を取り巻く環境は日々、変化しています。有名な大学でない限りは、従来のやり方では定員の学生募集も厳しくなるでしょう。

選ばれる大学になるためには、大学の価値を改めて定める必要があります。価値を再定義することで、それが選ばれる理由となり、生き残りに繋がるのです。

価値の再定義とは例えば以下のようなことが挙げられます。

学べる分野で差別化

他校にはない自校独自の分野を確立することが、競合との差別化に繋がります。既に他校にもたくさんある学部だけでは、有名校と比較された時に認知や信頼感・実績の差で負けてしまいます。

学べる分野を絞って専門性を高めたり、他分野を組み合わせて新しい学び方を提供したり、学べる分野をずらすことで大学の新たな価値を確立できます。

自校で学ぶメリットを提示

学生が大学選びをする際に、「自分の学びたいことが学べるのか」という点が一番重要視されます。他校に同じ学部がある場合、「自校で学ぶべき理由」が必要です。

競合と差別化するためには、その分野で有名な教授が在籍している、自校で学ぶことによって資格が取得できる、など競合他校ではなく自校で学ぶメリットを提示しましょう。

オンライン化、AI、オンデマンドなどの対応

上述でもあった通り、コロナ禍によるオンライン講義の普及や科学技術の進歩により、学びの環境は多様化しています。先行きが不透明な中、大学の教育環境も時代の変化にあわせて変化が求められているのです。

早急にオンライン講義のサポート体制を整え、機材面などで学生と講師の負担を減らす工夫は必須となります。

また、AI技術を活用した同時翻訳機能とオンライン講義を掛け合わせることで、日本にいながら海外の有名講師の講義を受けられるようにするなど、科学技術によって新たな価値提供を行うこともできます。

オフラインの価値提供

教育のオンライン化が進む中でも、オフラインによる価値提供も競合との差別化に繋がります。

オフラインによる価値提供とは、具体的には学校設備の充実を指します。実験に使用する最新機器の導入、図書館や学食といった学生が大学生活で使用する設備の整備、など他校にはない特徴づけを行うことが重要です。

海外や遠方の大学などをライバルにする場合は、物理的に通えるという点が明らかに違います。キャンパスに行けるという点にさらに強みを持たせられればアドバンテージとなります。

フレームワークで大学の現状と戦略を整理

フレームワークで大学の現状と戦略を整理

ここまで、大学の現状と生き残るための戦略について説明してきました。コロナ禍の影響や科学技術の進歩により、これから競合となる大学が増加し、従来のやり方では思うように学生が集まらなくなると考えられます。

そのため、今後の予測を踏まえて生き残るための戦略を今から模索する必要があります。戦略の立案には、まず大学の現状分析を行い、現状を踏まえた戦略を検討することが重要です。

ここからは、現状分析や具体的な戦略の立案に役立つフレームワークをいくつかご紹介します。

環境を分析する

環境を分析するのに役立つフレーうワークは以下の通りです。

SWOT分析

SWOT分析は、大学のブランド力や認知といった内部環境と競合の状況や法律といった外部環境をプラス面、マイナス面に分けて分析する手法のことです。

Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字をとってSWOT分析と呼ばれており、強みと弱みが内部環境の要素、機会と脅威が外部環境の要素となります。

一例として大学に落とし込んで考えてみると、それぞれの要素は以下のような定義となります。

  • 強み:自校ならではの魅力、自校で学ぶべき理由
  • 弱み:他校と比較して時に劣る部分
  • 機会:外部環境の変化によって自校が優位となる特質や可能性
  • 脅威:外部環境の変化によって自校が不利となる特質や可能性

これらの要素を掛け合わせて、内部環境・外部環境を整理し、自校の抱える課題の洗い出しを行います。

3C分析

3C分析とは、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の視点から、マーケティング環境を分析するための手法です。自校のおかれている環境を客観的な視点で明らかにすることを目的に行います。

大学に落とし込むときには、Customerが学生、Competitorが競合他校、Companyが自校となります。これら3つの要素について、徹底的に調査し、書き出していく作業が必要です。

この3C分析を行っておくことで、先程紹介したSWOT分析による解釈をスムーズに進めることができます。

マーケティング戦略を考える

自校の現状分析が完了したら、現状を踏まえたマーケティング戦略を考える必要があります。マーケティング戦略を考えるために有効なフレームワークとして以下のようなものが挙げられます。

STP分析

STP分析とは、Segmentation(市場の細分化)、Targeting(市場の確定)、Positioning(立ち位置の確立)の頭文字をとったもので、「誰に」「何を」提供していくのかを決定するためのフレームワークです。

選ばれる大学になるためには、ターゲットとなる学生の中での自校の立ち位置を明確にしておくことは必要不可欠です。競合他校の環境を把握した上で、自校がどのような立ち位置を確立するのかは、今後の戦略に大きく影響します。

Segmentation(セグメンテーション)で学生のニーズを細分化し、Targeting(ターゲティング)でターゲットとなる学生を絞り、Positioning(ポジショニング)で競合他校と差別化を図ります。

自校を見つけてもらうためのマーケティング戦略

自校を見つけてもらうためのマーケティング戦略

どんなに良い大学であっても認知されなければ意味がありません。自校の価値を伝えるためには、マーケティング戦略を考える必要があります。マーケティング戦略を検討する際に有効なフレームワークに「4P分析」が挙げられます。

4P分析

4P分析とは、Product(製品・サービス)、Price(価格)、Place(提供方法)、Promotion(販促活動)の頭文字をとったもので、これら4つの観点からマーケティング戦略を考えられるフレームワークです。

大学のマーケティング戦略に落とし込む際には、Productが学べる分野、Priceが学費、Placeがカリキュラムや学校設備、Promotionは自校の認知活動、となります。

例えば、どれだけ専門性が高く、高度な学問が学べたとしても学費が高額すぎると、ターゲットとなる学生はかなり絞られてしまいます。4P分析を構成する4つの要素は整合性を保っていることが重要です。

ターゲットの学生に届くマーケティング施策

分析が完了したら、最後は実際に行うマーケティング施策の策定を行います。大学のマーケティング施策として、具体的には以下のようなものが挙げられます。

SNS上での情報発信

SNSが普及した現代では、SNS上で自校の魅力を発信することも有効な施策の一つであり、SNSアカウントを所有・運用する大学が増えています。

Instagram・X(旧Twitter)・TikTok・YouTubeなど、学生に人気のSNSを駆使して、大学ごとだけでなく、サークルや学部単位でも発信を行うことで、自校のアピールポイントを増やすことも可能です。

オウンドメディアでの発信

オウンドメディアとは、大学で運営しているWebメディアなどのことを指します。学生が知りたい情報や興味を持ってくれそうなコンテンツを発信することで、自校について知らない学生にも興味をもってもらうきっかけをつくることができます。

また、自校の認知度を上げるだけでなく、自校のホームページだけでは伝えきれない在学生のリアルな学生生活の様子を伝えられます。オウンドメディアは自校のブランディングツールとしても有効なのです。

生き残る大学になるためには

生き残る大学になるためには

少子化によって学生数が減少する中、教育のデジタル化やオンライン化も急速に普及することとなり、大学の強みや魅力となるポイントや、その伝え方にも大きな変化がおこっています。

学生にとっては多様な選択肢から自分にあった大学を選べるためよい変化ともいえますが、学生を集めたい大学にとっては比較される競合が増えてしまったという現状があります。

その中で大学を生き残らせるためには、どんな点で自校を学生に選んでもらうのかを戦略的に考えアピールしていくことが必要です。他にも通い続けてくれるようなサポート体制などの整備も必要になるでしょう。

まずはターゲットとなる学生にとって、魅力的な大学をつくることが一番重要です。競合他校に埋もれないように、どのような大学としてポジションを取るのか、明確にしていきましょう。

大学の強みを確立するマーケティング戦略をご提案します

Zenkenではクライアントの強みに則したWebマーケティング戦略の提案を得意とし、いままでに学校などの教育機関を含む8,000社・120業種を超えるクライアントの学生募集・集客を支援してきました。

ターゲットとなる学生を明確にして、そのニーズに応える大学の魅力を伝えることで、より入学可能性の高い、貴校と相性の良い学生を狙って集めることができる戦略をご提案させていただきます。

必要となる各種分析、戦略の提案、Webメディア制作・運用、すべてワンストップで対応可能です。

他の大学との差別化に悩んでいる、自校の強みがうまく伝わっていない、学生が定員に満たないといった課題がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

大学の差別化・学生募集の
戦略についてのご相談はこちら

ページトップへ