売れる化粧品・コスメのマーケティングを考える
最終更新日:2021年04月30日
化粧品・コスメにとってのマーケティングとは
経営においてマーケティングの目指すところは何か。化粧品・コスメ業界においてマーケティングをどのように駆使すればよいかを考えていきましょう。
マーケティングは商品価値を届けること
誰かにとって良い商品・サービスが開発されたとき、価値が出るのは、それが求める人にきちんと届いたときです。
商品やサービスに価値が付くために「私たちの商品を本当に喜んでくれる人は誰か?」「商品の特長をどのように表現すれば、顧客および潜在顧客に響くのか?」「そのために、どんな方法をとったらよいのか?」について考えを深めていくことがマーケティングともいえます。
化粧品のマーケティングは個々の価値を定めることが大切
マーケティングが目指すところは何か。
現代経営学の著名人、ピーター・ドラッカー氏によれば「マーケティングの理想は、販売を不要にするものである。」とのこと。人々に「買ってください」と売り込まなくても、向こうから自然に買いたくなる状態をつくるために、「売れる仕組み」をつくることが大事になってきます。
化粧品・コスメ業界においても「美容関連の個々の悩みを解決する商品を求めて、顧客の方から商品に接触してくる」しくみづくりが大事です。
化粧品マーケティングのプロセス
ターゲット層選択
広告費などマーケティング資源は無限ではなく限りある資源です。それをどの層に集中させるかは大事な選択です。そこで、まずは商品の価値を届けたいターゲット層を選択します。
ブランディングもターゲット層に合わせ創りあげていくことになりますが、ここで売り上げを伸ばそうとターゲット層を広げてしまうのは間違いで、幅広い顧客を得られればそれに越したことはないのですが、全ての顧客に気に入られる商品というものは存在しないのです。
ターゲット範囲を拡げてしまえばそれだけテーマがぼやけてしまい、結果誰の心にも響かないものになってしまうでしょう。ターゲットは絞る必要があります。
商品を購入してくれそうな、ニーズのありそうな人たちを「見える化」するために、細分化し、どの層に向けて呼びかけるのか決定します。(セグメンテーションと呼ばれる手法)
化粧品であれば、高級志向なのか、流行のものが好きなのか、機能を重視するのか、オーガニックなものなどを好む自然志向か、などに分けられるでしょう。また乾燥肌、脂性肌等肌質や年齢でも分けられます。
セグメントを決定することにより、消費者の実像をより的確に捉えられ、消費者のニーズをとらえやすくなり、価値の提供ができるのです。
マーケティングリサーチ
ターゲット層であるユーザーから、「好むもの」「求めるもの」は何か「どんなときに商品を求めるのか」などの情報や意見を集められれば、販売戦略に活かすことができます。
また既存の商品を販売するだけでなく、新製品を開発する際にもユーザーの意見を落とし込むことで、よりニーズに合った商品を開発できます。
価値を届ける【広告宣伝活動】
多様な情報が大量にあふれている現代、価値をユーザーに届けるにも現代に合わせた戦略が必要です。
たとえば、SNS人気が高い10~20代の世代には共感を生むSNS投稿やtictocなど手軽な動画コンテンツを届け、30~40代など自分らしいライフスタイルを求める世代には、ブランディングを認知させたり、専門家の寄稿記事などしっかり作りこまれたコンテンツを発信していくなどユーザーのニーズに合わせたPRの細分化をすることが大事になります。
いろいろな軸で属性を区切り、それに合わせたブランディングやコンテンツマーケティングを駆使することを考えていきましょう。
化粧品・コスメのマーケティング戦略
化粧品業界のマーケティングにおいて、クリアすべき課題は何か。有効な広告方法は。各社はどのような取り組みをしているのか。見ていきましょう。
多すぎる情報と多様化するユーザーの選択肢
現代は膨大な情報があふれる時代です。そんな中、消費者は自分が求めている情報だけにアクセスしたい、という欲求があります。
メーカーから提供される、商品の良さを説明している宣伝広告は避けられる傾向にあり、家族や友人など身近に感じる人の紹介や、自分と感性が似ていると思う人が発信する口コミをより信用するともいわれます。
UGCを活用したマーケティング戦略が鍵
UGCとは、ユーザー生成コンテンツのことです。
SNSでは企業が発信した「あからさまに商品を宣伝するような広告」ととらえられる投稿よりも、ユーザーが発信したコンテンツは共感を集めやすくなっています。
そこで、新製品が抽選で当たるキャンペーン等で、当選したユーザーにSNS投稿を依頼したり、また投稿のアクションをしたくなる仕掛けを施してUGCを活用した結果、メーカー公式アカウントの認知と好感度を高めることにつながっている事例があります。
自社のフェーズに合わせて戦略を組み合わせる
近年、アパレルや化粧品・コスメ業界では自社商品を自社チャネルにて直接販売する企業も多くなってきています。
この場合、大きく広告を打ってシェアをとる、という宣伝戦略で大手メーカーに太刀打ちするのではなく、顧客や潜在顧客に向けて、「ビジョンや思想をきちんと伝える」「良好な関係構築」「データの収集」をしていくことが大切です。具体的には
- まずメディア(Webサイト)を立ち上げて、ブランドイメージや思想を伝え、そこでファンを作る。
- Webサイトに集うユーザーが語るニーズを拾いあげる。
- それを落とし込み、新たな宣伝や商品開発に活かし、購買につなげる。
といった流れなどがあります。
化粧品・コスメのマーケティングで参考になる情報
化粧品・コスメ分野のマーケティングを考える際に、情報を得られる場やまず参考にしたいメディアについてまとめました。
マーケティングセミナー
2019年7月、化粧品業界に特化したマーケティングサミット「Cosme Summit 2019」(主催:アライドアーキテクツ)が開催されました。
「広告が嫌われる」とされる世の中で、広告費以上のリーチをかけるために、化粧品業界各社がどのような取り組みをしているのかなど、化粧品業界のマーケティングにおける課題について意見交換がおこなわれました。このようなイベントに参加することで最新の情報に触れることができます。
本
マーケティングについて書かれている本を読むのもよいでしょう。化粧品業界に特化してマーケティングの基本知識や戦略、主な手法などが書かれた書籍も発行されています。
化粧品・コスメ業界はWebマーケティングが重要
どの業界にもある程度は当てはまる話ではありますが、化粧品・コスメ業界は、特にユーザーが求めるイメージや効果とブランドが発信する情報が合致したときにユーザーが顧客になる可能性が高くなります。
メーカー、ブランドのイメージを好きになってもらうことで、実店舗の集客やECでの売り上げにつなげることが大事であり、その点でデータ収集と発信にすぐれたWebマーケティングが重要といえます。
ここでは、化粧品・コスメ業界のWebマーケティングについて事例を見てみましょう。
ポータルサイト(アットコスメ)
アットコスメは、口コミレビューを中心として動画や商品紹介ランキングなどのコンテンツを提供する美容・化粧品・コスメの総合ポジショニングメディアです。ユーザーの人気・知名度ともに大きく、化粧品・コスメのマーケティングを考える上で意識せざるを得ないメディアとなっています。
2018年からはアットコスメ運営元である株式会社アイスタイルが、化粧品メーカー向けに、アットコスメに集まるデータを活用し、化粧品メーカーのマーケティング支援をするプラットフォームサービス「ブランドオフィシャル」をスタートしました。
化粧品メーカーは「ブランドオフィシャル」にログインすることで、ユーザーがどんなコンテンツに興味を持ったか、どの商品の情報をいつ閲覧したか、どの情報に対して好意的か、といったデータを見ることができます。自社に接触するユーザーの傾向などを分析することで潜在的な顧客に対するマーケティング活動ができるというメリットが得られるサービスです。
体験コンテンツ型ポータルサイト「コスメニスト」
コスメニストでは、顔出しができるレポーターを起用しており、説得力のある生々しい体験レポートやタイアップ記事の制作掲載が出来ます。媒体に載せるだけでなく、ランディングページは店頭POPなどの二次利用にも使えます。商品の良さが伝わる、商品に合ったユーザー獲得をしたいなら検討してみて下さい。
リファラルマーケティング 「知人の紹介」という強力な集客施策
あるサービスや商品について、ネットで何度もバナーや紹介記事を目にしていても(テレビで宣伝していても)まったく興味を持たなかったのに、知人・友人や家族から紹介されたら、急に試してみたくなった、欲しくなったという経験は誰にでもあると思います。
この強力な訴求力と信頼力をもつ「紹介」を促進するレコメンド手法がリファラルマーケティングです。
リファラルマーケティングでは、まだ数は少ないのですがSNSなどを利用した紹介促進ツールもでてきています。まだ数が少ない理由としては、LINEのような電話やメールを超えるコミュニケーション基盤が整備されてきたおかげで、やっと実現できるようになったという背景があります。
紹介促進システム・リファラルマーケティングツールについての詳細はコチラ↓↓
「リファラルマーケティング」自体の解説や展開のコツについてはコチラ↓↓
上手くリファラルマーケティングで成果を上げていくための方法を解説。
コスメのコンテンツマーケティング(ポジショニングメディア)
コンテンツマーケティングとは、読む人にとって価値のあるコンテンツを制作し、発信することで、潜在的なニーズを喚起し、物販を経てユーザーをサイト及び発信者のファンとして定着させることを目指すマーケティング手法です。デジタルコンテンツマーケティングではメールマガジンやオウンドメディアがそれにあたります。
化粧品・コスメ業界で成功しているオウンドメディア事例としては、資生堂「花椿」「ワタシプラス」、ライオン「Lidea」、DHC「オリーブチャンネル」などがあり、いずれもサイト、メーカーのファンを獲得するなどの成果をあげています。
メーカーが企業Webサイトとは別にオウンドメディアを持つことで情報の収集、発信に関してメリットが得られるでしょう。
オウンドメディアで掲載記事を用意する際には、宣伝広告をつくる際と同様に、化粧品・コスメの商品を説明する表現・文言が薬機法、景品表示法に抵触しないようにする必要があります。
日本化粧品工業連合会によって設けられている「化粧品等の適正広告ガイドライン」(化粧品の種類ごとに認められる表現、また認められない表現の具体例が詳細に記されている)を参考にするなどし、誇張も含めて「嘘をつかない」「消費者に不利な情報を隠さない」記事になるよう担当者が注意することが大切です。
コンテンツマーケティング支援資料
Zenkenではあらゆる業界で7000サイト以上の制作運用を活かしたコンテンツマーケティング支援施策を提供しています。プロに任せたい方はもちろん、将来的には内製化に向けた専門プランのご用意もございます。