人材業界のコンテンツマーケティング戦略のポイント

公開日：2022年03月23日

多様化する消費者のニーズに応えるために、人材業界においてもコンテンツマーケティングを取り入れる企業が増えています。

コンテンツマーケティングは効果の高いマーケティング施策として注目を集めていますが、「とりあえず始めてみた」という進め方で失敗しやすいという一面もあります。コンテンツマーケティングを成果に繋げるには、ユーザーに有益な情報を届けてタッチポイントをつくるなど、ポイントを押さえた取り組みが必要です。

この記事では、人材業界のリード集客につながるコンテンツマーケティング戦略のポイントをお伝えしています。
コンテンツマーケティングの基礎知識や正しい進め方についても解説しているので、はじめから学びたい方もぜひお役立てください。

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは、直接的な売り込みをせず、ユーザーのニーズを解消する有益なコンテンツを通じて企業や商品・サービスの魅力を伝えるマーケティング施策です。

コンテンツを通して見込み客や顧客に興味を持ってもらい、ファンを育成して新規顧客獲得やリピーターにつなげます。コンテンツを公開することでより多くのユーザーと接触する機会を創出し、良好な関係を気づきながら集客する仕組みとなっています。

コンテンツマーケティングで最も多く使われるコンテンツは比較的制作しやすく、一度公開したあとに自社の「財産」としてネット上に残るWeb記事です。それ以外には動画やSNS投稿、ダウンロード資料、インフォグラフィックなども活用されています。

人材業界でコンテンツマーケティングが必要な理由

情報があふれる現代では、企業が一方的に発信する情報だけでユーザーの心をつかむことは難しくなっています。その傾向に合わせて、マーケティングの在り方も変わりつつあります。

今後マーケティングはユーザーの知りたいことや悩みを深く知り、ピンポイントで応えたる対応が求められています。

人材業界においてコンテンツマーケティングが必要なのは、ユーザーニーズに応えられるコンテンツを生み出せる可能性が高いからです。

求職者に対する情報発信では企業の信頼度を高めることができますし、人事・採用のように専門的な知識を必要としているユーザーに対しては、採用まわりのコンテンツを発信することで信頼感を育てられるでしょう。
コンテンツを気に入ってもらえれば、サービスを利用してくれる可能性もアップします。

有益なコンテンツで自社や自社のサービスに興味を持ってもらい、ブランディングにつなげて会社のイメージを定着させていきましょう。

コンテンツマーケティングの進め方

コンテンツマーケティングを見切り発車で行っても、なかなか思うような成果にはつながりません。
正しい進め方を確認して計画的に運用していきましょう。

目的・目標の明確化

コンテンツマーケティングで何を成し遂げたいかによって、コンテンツの方向性やコンセプトがちがってきます。まずはコンテンツマーケティングの目的や目標を設定しましょう。

求職者からの応募を増やしたい、または企業掲載の申込み数を増やしたい、ブランディングをすすめたいなど、自社が抱える課題から、運用すべきコンテンツの大枠を導いていきます。

ターゲット、ペルソナ設定

誰に対してコンテンツを発信するかを決めるのが、ターゲット設定やペルソナ設定です。

人材業界なら、転職・就職をしたいと考えている求職者か、人材募集をかけたい採用担当者をターゲットにコンテンがメインとなるでしょう。しかし、「転職を考えている人」や「採用担当者」だと、ターゲットイメージがまだ曖昧すぎます。漠然としたターゲットイメージでコンテンツを作ると、誰にも響かないものが出来上がってしまいます。

自社が求めるターゲットの属性を細かく想定しておくことで、ニーズを発掘し、読まれるコンテンツをつくれるようになります。これを「ペルソナ設定」と言います。

ユーザーの性別や年齢、所在地、普段目にしている採用情報やメディアは何かなど、なるべく詳細に人物像を設定しましょう。

運用体制をつくる

運用までの情報とコンテンツの主軸が決定したら、運用体制をつくりましょう。

コンテンツを自社で内製する場合にはそれなりの人員が要りますし、制作会社に依頼するにしても連携を取りながら運用してくれる人は必要です。通常業務と兼務するのか、それともコンテンツを専任で運用する人を立てるかを決めましょう。

スケジュール設定

目的・ペルソナ・運用体制が決まったら、コンテンツを完成させるまでのスケジュールを具体的に設定します。

誰が何を行うかを設定し、チームとして役割を明確にしましょう。制作会社に一部を依頼するのであれば、制作会社の担当者とのすり合わせも必要です。

コンテンツマーケティングにおいて重要なのは、情報を継続的に発信することです。コンテンツを通じてサービスに気づきいてもらい、成約・会員登録といったアクションに繋がるのが理想です。自社のコンテンツを始めてみてすぐアクションを起こすユーザーはそう多くないので、接触する機会を増やさなければいけません。しかし情報発信がまばらだと、すぐ忘れられてしまいます。

途中で「ネタ切れ状態」に陥らないために、少なくとも数ヶ月分のコンテンツ計画をまとめてスケジュールを立てましょう。

コンテンツの公開と改修

スケジュールにそってコンテンツを制作し、一度チェックしてから公開します。記事コンテンツであれば、公開後にSNSなどで拡散することでアクセスが増やせます。

しかし、コンテンツは公開して終わりではりません。公開後は対応したキーワードの検索結果ページでの順位やアクセスに対するコンバージョン率（※）をトラッキングし、継続的にリビジョンをかけます。コンテンツがまったく注目されていない場合は、最初からの作り直し（リライト）も考えられます。

人材業界のコンテンツアイデア

コンテンツマーケティングの大前提となっているのは、公開するコンテンツがユーザーにとって有益であるという点です。

人材業界のコンテンツマーケティングで取り扱うことが多いのが、求職者に役立つ情報を発信するメディアや企業の人事担当者向けのコンテンツ。

求職者・人事担当者が抱えていそうな課題やよく聞く悩みなどについて解決を示す、お役立ち系コンテンツが多い傾向にあります。

求職者向けコンテンツの例

求職活動のマナー
面接時のポイント
キャリアを形成した人のインタビュー
働き方・ワークスタイルに関する記事

はじめて就職活動をする学生向けには、就活時のマナーや面接のコツなど、学生が知りたいと思っていることに応えるコンテンツが多くあります。転職を考えている人には、転職者の体験談や働き甲斐に関するコラムなど、転職へのアクションに背中を押すようなコンテンツが人気です。

ユーザーや読者の属性に合わせ、どんなニーズのコンテンツを提供するのが適切かを考える必要があります。

人事採用向けコンテンツの例

人材育成や組織開発に関する知識・ノウハウ
人事評価にまつわる知識
求職者からの応募を効率よく集めるヒント
採用サイト・採用ページの作り方

このようなコンテンツを提供すれば、ターゲットとなる人事担当者のユーザーに読まれる可能性が高まります。

また、労働に関する法律・法令など、専門性の高いコンテンツを発信できれば、業務上で法律を確認したい人事担当者にとって有益でしょう。退職時や転職時の手続きや書類業務など、入退職に関するハウツー記事もニーズがあります。

人材業界のコンテンツマーケティング事例

ここでは、人材業界で実際に行われているコンテンツマーケティングの企業事例を紹介していきます。

人事のミカタ

エン・ジャパン株式会社が運営しているオウンドメディア型のコンテンツマーケティング。
人事や労務に関するQ&Aコンテンツや採用必勝ガイドなど、人事担当者側の目線に特化したコンテンツ展開で、ターゲット読者の知りたいニーズに応えています。

賃金相場や面接での極意など、役立ち系の記事も多く配信。顧客ロイヤリティを高めた上で、自社が運営する転職サイトや求職サイトへの掲載問い合わせにつなげたい狙いがうかがえます。

CAREER HACK

エン・ジャパン株式会社が運営する、Web・IT業界で働く人を中心に取り上げたオウンドメディア。
海外のトレンド事例を紹介する記事やエンジニアへのインタビュー記事、キャリア形成に関するコラムなど、読み物系の記事を中心に発信されています。

WebやIT業界への就職やキャリアチェンジを考えている人に寄り添いつつ、エン・ジャパンで働いてみたいと思える記事が豊富で、採用メディアとしても貢献しているコンテンツです。

BiZHiNT HR

勤怠管理ソフトのほか、人材スカウトサービスも手がけている「ビジョナル株式会社」が運営している人事採用に特化したオウンドメディアコンテンツ。

採用に役立つ情報や人事にまつわる用語解説のほか、補助金・助成金にまつわるコンテンツもあり経営者層に響きやすい幅広いコンテンツ内容。
経営上でのクラウドサービスの必要性を伝えて、潜在層を掘り起こしたい意図も感じられます。

好相性のユーザーと出会えるコンテンツマーケティング

ネットを検索しても、人材サービスに関する情報が溢れる現代。業界視点から積極的に売り込む従来の広告だけでは、一体どのサービスを利用すれば良いかをユーザー（人事・採用担当者）が分からず、選ばれるのが難しくなっています。

コンテンツマーケティングは、ユーザーの利益となる情報によって、自社やサービスの魅力に気づいてもらえる施策です。自社と相性の良いユーザーや狙ったユーザーを集められ、費用対効果も高いことから、大手各社も取り組んでいます。

自社がコンテンツマーケティングをするなら、誰に向けて、どんな発信をしていけるでしょうか。ぜひこの機会に、自社ならではのマーケティング戦略を考えてみてください。

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