住友不動産のマーケティング・経営戦略のポイントとは
最終更新日:2021年05月09日
東京都心部を中心にオフィスビルやマンション開発を展開している住友不動産。大手デベロッパーのなかでも売上高で業界3位につけており、高い営業利益率を維持しています。
コロナ禍においても業績を伸ばし続けていることで注目されていますが、どのようなマーケティング戦略で最高業績更新を目指しているのでしょうか。
ここでは、住友不動産が行うマーケティング戦略について考察していきます。
住友不動産のマーケティング戦略のポイント
オフィスビルの展開に注力
住友不動産は、オフィスビルを集中して展開することで他社との差別化を図っています。
業界ツートップと言われる三井不動産が中央区、三菱地所が丸ノ内や大手町に資源を集中しているのに対し、住友不動産は集中地区を定めず東京23区全体で展開しており、現在では210棟を超えるオフィスビルを立地しています。
この保有・運営棟数は業界実績トップで、今後も東京のさまざまなエリアで再開発を図る方針です。
免震構造をいち早く導入
オフィスビル建設にあたり、免震・制振構造や無停電化など、災害時の対策を強化したビル開発を徹底しており、新耐震基準を99%クリアしています。
災害などの緊急事態が発生したときに企業活動の被害を最小限に抑える「事業継続計画(BCP)」に対応し、BCPを策定する企業に適した環境をつくっているのです。
この方針は地震の少ない諸外国の企業から好評で、東京都心に支社などを展開する海外企業から厚い支持を受けています。
収益計上の見込みを早める
都市の再開発事業などの大規模な開発を行うと、用地の取得から建物の完成、収益計上までに5年以上かかります。
住友不動産は3年ごとの中期経営計画の達成を最重要課題とし、着実に目標を達成することで利益率を高めています。ビルの賃貸事業や販売事業に注力しているのも、この経営方針に基づいた戦略と言えるでしょう。
値引きをしない価格戦略
不動産デベロッパーの利益率が7~15%と言われているなか、住友不動産の利益率は20.6%と異例の高さです。これは、住友不動産が独自の価格戦略を行っているからとされています。
マンション建設には巨額の資金が投入されているため、一般的なデベロッパーはマンションが完成する前に物件を売り切ろうと、値引きをしてでも売り出します。
しかし、住友不動産はほとんど値引きを行いません。マンションが完成した後もじっくりと物件の良さを体感してもらい、時間をかけて売ることで高い利益率を確保するのです。
外観によるイメージ戦略
住友不動産のマンションは、カーテンウォールと呼ばれる総ガラス張りの外観になっており、外から見てもすぐに「住友不動産のマンション」と分かるようになっています。外観のグレードを上げることで、タワーマンションというステータスや資産価値を高めることにつなげているのです。
このカーテンウォールは「住友不動産=ガラス張りの高級タワマン」というイメージを人々に与えました。特別なブランドを意識した商品展開やブランディングのための企業広告を行わなくても、企業のブランド価値に結びついています。
住友不動産のマーケティング戦略まとめ
住友不動産は、オフィスビルでは免震や安全性を軸に、マンション販売では高級感やステータスを軸にしながら建物のクオリティを追求し、利益率を高める営業を行っていることが分かりました。都心で「顧客に求められていること」を見抜き、適切なターゲットにアプローチすることで供給量を高めて業績を更新し続けています。
住友不動産のように、企業の理念に基づいたマーケティング活動を貫くことが企業そのものの「強み」となり、ブランドの価値を高めることもあります。
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