【5分で理解】医療機器メーカーのマーケティング戦略と業界動向を解説
最終更新日:2024年06月05日
ここでは医療機器メーカーの業界動向について調査データなどを参照してまとめながら、医療機器のマーケティング戦略について解説していきます。
2023年のBtoB施策や広告・プロモーションをすでに確定している場合でも、その広告やプロモーションが最優先すべき施策かどうか、改めて見直すきっかけになれば幸いです。
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※マーケティング戦略の中でも、医療機器の営業確度を上げるインバウンドマーケティングについてはこちら(記事の後半へジャンプ)からでも詳しくご覧いただけます。
経営が困難になる病院が増えてきているともいわれる現在、医療機器メーカーの営業戦略にも大きな影響が出ています。
対面営業を控える傾向がしばらく続くことを考えると、本気でDX(デジタルトランスフォーメーション)を導入しないと営業機会を損失しかねない状況です。
この記事では、キャククルが培った120業種以上のマーケティング戦略を活かした医療機器メーカーのDXやインバウンドマーケティングなどの戦略を中心に解説していきます。
さらに、
- 自社コンセプトにマッチした見込み顧客が増え、契約単価が1000万円向上した
- 商材の強みや特徴を理解した上で反響に至るため、価格競争から脱却し受注単価が2.5倍になった
- 数ある競合から自社に興味を持ってもらえるようになり、反響獲得後から契約までの期間を3分の1に短縮できた
といったお声をポジショニングメディア導入企業からもいただいている、医療機関や研究機関から選ばれるためのWebメディア戦略「ポジショニングメディア」も紹介します。
対面営業が難しいタイミングでも24時間365日情報をターゲットに届けることができ、顕在性の高いリード(見込み客)を獲得する効率的な施策として、医療業界でも多数導入いただいています。
※Zenkenが提供するポジショニングメディアについてはこちら(記事の後半へジャンプ)からすぐにご覧いただけます。
医療機器業界の市場動向や展望を統計から読み解く
2021年現在、日本の医療機器業界の市場規模は4.4兆円を記録し、順調かつ安定的に成長を続けています。2003年以前までは2兆円未満で停滞していた市場規模が2004年には2兆円を突破。
その後わずか8年で2.5兆円に到達し、更に2017年にはついに3兆円を超えました。対前年伸び率にはばらつきがあるものの市場規模としては右肩上がりとなっています。
医療機器売上高も2013年を境に横ばい状態ではあるものの、常に安定して3億円超の売上高を記録。医療機器業界の成長率も著しく、前年度に比べると+6.1%と日本国内150業界中43位に位置しています。
利益率に関しても+8.0%と150業界中13位、医療従事者の平均年収は706万円で41位と高水準で推移していることからも、医療機器業界全体の見通しは明るいと推察することができます。
※参照元:経済産業省における医療機器産業政策について「日本の医療機器市場の動向」(https://www.med-device.jp/pdf/20210218-kaigi_11_meti.pdf)
医療機器メーカーごとの業績では、2019年から2020年の売上高ランキングでオリンパスが1位を獲得。
内視鏡と治療機器事業で6418億円の売上高を計上し、世界に誇る内視鏡メーカーとしてトップシェアを独走しています。とくに消化器内視鏡では世界におけるシェアが70%を超えています。
近年では腹腔鏡手術といった外科領域でもオリンパス社製品が進出しています。
また売上2位のテルモがオリンパスに次ぐ6,289億円。カテーテルやステントなどの心臓血管領域で売り上げを伸ばしています。心不全治療用の骨格筋芽細胞シート「ハートシート」で再生医療分野にも進出して注目を集めています。
※参照元:業界動向サーチ「医療機器業界」(https://gyokai-search.com/4-iryo-uriage.html)
経産省の医療機器産業政策からわかる市場規模
日本の医療機器市場は大きく分けて以下の3つの市場で構成されています。
- 診断系医療機器
- 治療系医療機器
- その他医療機器
2017年には、上記3つの医療機器市場合計で過去最大の約3兆円の市場規模を記録しました。これは日本全体での医療費のおよそ7%程度を占めています。それぞれの市場についてもう少しくわしく説明していきましょう。
診断系医療機器
診断系医療機器は主に画像診断システムや生体現象の計測や監視システム、エックス線関連装置などです。2017年時点では市場規模は5855億円と3市場中では20%程度を占めています。
治療系医療機器
治療系医療機器は主に生体機能の補助や代行を担う機器、処置用機器、治療用・手術用機器などです。2017年時点の市場規模は1兆7509億円で3市場中ではもっとも大きい58%を占めています。
その他医療機器
その他医療機器は家庭用医療機器をはじめ各種衛生材料や衛生用品、眼科や歯科などの関連製品です。2017年時点の市場規模は6886億円で3市場中2位の22%程度を占めています。
医療機器の輸出入の推移
さらに日本の医療機器おけるグローバル市場は高齢化の進展や新興国の国際需要の拡大の影響を受け年々拡大傾向にあり、2014年には過去最大のおよそ40兆円台に突入。
しかしながら日本の医療機器に関しては輸入比率が相対的に高く、輸出額は減少傾向にあります。また貿易収支も年々マイナスを計上しており、その額も徐々に増加傾向にある点が懸念材料です。
※参照元:経済産業省における医療機器産業政策について「医療機器の輸出入の推移」(https://www.med-device.jp/pdf/20210218-kaigi_11_meti.pdf)
本記事で参照した統計データなどが2017年以前と少々古いデータであるため、2021年現在の数字は当然変化しています。2020年以降はコロナ禍が世界の物流に大きな影響を与えている最中ですし、ECMO(エクモ)製造などの数字が計上されれば、医療機器メーカーの勢力図も変わるかもしれません。
医療機器のデバイス・ラグは0.6年以下に
2019年度のデバイス・ラグ試算の数値は、開発ラグもデバイス・ラグも「0.6年」と直近ではもっとも短い数値となっています。
2021年1月22日に開かれた「第31回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」では、このデバイス・ラグ解消に向けた運用改善案が了承されました。
これにより医療機器選定までの手続きのさらなる効率化と、医療機器ビジネスのスピード化が進むことが期待されています。
この先医療機器のマーケティング戦略を立てる場合には、市場の変化にも対応できるような中長期的な戦略にしていく必要があります。
※参照元:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「デバイス・ラグの試算」(https://www.pmda.go.jp/files/000238015.pdf)
医療機器メーカーが抱える課題は少なくありませんが、考えようによっては「新しいマーケティング施策」がはまれば、これまでの売上に上積みできる可能性は大いにあります。
市場の成長が見込まれる中、いままで見落としていた商機に気付ける可能性があるなら、従来の営業戦略を見直してみるのもひとつの選択肢です。
医療機器のマーケティング戦略で着目すべきこととはなにか
医療機器の市場動向や展望について見てきましたが、次に、医療機器のマーケティング戦略で着目すべきことについて説明していきます。ここでは以下の4つのテーマをピックアップしてみました。
- 医療ビジネスのサービス化・プラットフォーム化
- 厚労省が体制強化を進める「プログラム医療機器」の実用化促進
- 医療機器業界にも組織のDX化の波
- 医療機器の営業確度を上げるインバウンドマーケティング
それぞれの項目について解説します。
医療ビジネスのサービス化・プラットフォーム化
「医療機器は現在過渡期にあり、今後医療機器はプラットフォーム化することが必要になる」と語るのは内視鏡で世界シェア7割を誇る、オリンパスのグローバル ヴァイスプレジデント・相澤光俊氏。
医療機器の性能や機能を強化するだけでは、慢性的な医師不足や医療従事者の長時間労働など、医療現場での課題は解決できないといいます。
これらの問題を解決するには、医師を筆頭にナースや各技師などが協力しあい、ひとつのチームとしてワークフローをどのように効率化すべきか、という考え方が重要になっていくといいます。
この考えに基づき相澤氏は、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの技術を活用する「ICT-AI Platform」を2019年3月に発表。今後どのような展開を見せてくれるのか、期待している医療機関が少なくないはずです。
※参照元:アイティメディア株式会社MONOist「デジタル変革で何ができるか、医療現場の革新を目指すオリンパスのビジョンと苦労」(https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1907/16/news062.html)
厚生労働省が体制強化を進める「プログラム医療機器」の実用化促進
現在厚生労働省が本腰を入れて実用化、体制強化を図っているのが「プログラム医療機器」です。これはスマートフォンを活用し国民一人ひとりが健康へ向けた取り組みを自分自身で行なえるようにするためのものです。
超高齢化社会が国の財政に与える負担を少しでも減らすためには、予防医療の取組みに真剣に取り組む必要がある<ことから、今後さらに注力していく分野です。 そのなかでも第3の治療アプローチとして近年注目される「治療アプリ」は、患者の健康管理に活用することができ、疾患の診断や予防、治療などに一役買っています。
2020年8月には、ニコチン依存症を治療する「CureApp SC」がニコチン依存症治療アプリとし世界で初めて承認されています。このほかにも酒量を減らすための治療アプリや2型糖尿病、うつ病、小児のADHDなど、さまざまな疾病への対応が可能になっています。
スマートフォンを使用した治療法は医療機器や医薬品を用いた治療とは異なり「診療のアドバイス」のみが随時患者に提供され、医師が見ていない状態でも、個々の患者に最適化されたサポート(治療)が受けられる仕組みです。
この取り組みに先駆け、厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課にはプログラム医療機器審査管理室、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医療機器ユニットにはプログラム医療機器審査室をそれぞれ設置されています。
※参照元:薬事日報【厚労省】実用化促進へ体制強化‐プログラム用医療機器(https://www.yakuji.co.jp/entry85825.html)
医療機器業界にも組織のDX化の波
医療機器業界にも組織のDX化の波がきています。DXは「Digital transformation/デジタルトランスフォーメーション」のことで、直訳すれば「デジタル変換」という意味になります。
経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0(旧 DX推進ガイドライン)」には、次のようにDXを定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社
会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのもの
や組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
引用元:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0(旧 DX推進ガイドライン)」(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-chushoguidebook/tebiki.pdf)
ちなみに「DT」ではなく「DX」なのは、英語圏において「transformation」の「trans」の箇所を「X」と略すのが一般的とされているためです。
つまり医療機器業界におけるDX化とはAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの技術を活用し遠隔診療やオンライン診療などを実用化すること、医療事務作業の自動化や効率化を図ること、医療情報ネットワークの構築などのことを指します。
経済産業省はこの医療機器業界におけるDX化の整備と普及を急ピッチで進めている状況ですが、デジタル庁が本格始動すればさらに加速されることが予測されます。
医療機器の営業確度を上げるインバウンドマーケティング
近年の医療機器におけるマーケティング戦略は市場の変化に即応できる、デジタルマーケティングを組み込まなければ機会損失しかねない状況にあります。
コロナの影響で海外出張も国内出張も、必要最低限にする必要がありますので、これまでのようなアウトバウンドマーティングよりインバウンドマーケティングに重点がおかれるようになりつつあります。
インバウンドマーケティングとは、コーポレートサイトやブログ、SNS、Webメディア、プレスリリースなどインターネットを介した集客手法のひとつです。
自社を見つけてもらい、見込み客を獲得するだけでなく、自社のファンになって顧客になるまで育てるリードナーチャリングの役割も担います。
ただしインバウンドマーケティングの運用には、専門知識が必要になるため、マーケティング専任部署の立ち上げや営業部署との連携といった課題も生じます。
そのためマーケティング分析やWeb戦略の立案や実装、マーケティング施策の実務に対応できる、デジタルマーケティングに明るい人材が必要不可欠となっています。
さらにMA(マーケティングオートメション)の活用も効果的です。獲得したリードに対して自動化されたマーケティングツールで効率のよい営業を仕掛けていくことができます。
営業機会の損失をなくすためには、リアル展示会やオンライン展示会だけでなく、1年を通してリードを獲得できる施策を張り巡らすようにしていきましょう。
医療機器のタイプにもよりますが、目まぐるしく社会情勢が変化している今、「医療機関経営者の悩みをいかに早く吸い上げるか」が重要になってきます。
そこで24時間365日つねに医療機関のニーズをキャッチする、貴社医療機器に興味関心を持つ医療従事者や研究者を集められるメディアがあります。それが、「ポジショニングメディア」です。
インバウンド施策の核となる「ポジショニングメディア」
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ポジショニングメディアとは、自社の技術や商材にマッチした顧客に絞り込んで集める、独自のWebメディアです。医療機関や研究機関という大雑把なくくりではなく、ピンポイントのターゲットにセグメントしたポータルサイトを構築する手法です。
B向けの医療機器を集めたポータルサイトは現状存在していません。そこで、自社に特化した医療機器情報やスペックを軸としながら、競合他社の医療機器情報も盛り込んだ、医療機器市場を俯瞰して網羅したポータルサイトを制作します。
ポジショニングメディアは、自社の市場(ここでは医療機器の市場)のなかで、自社の医療機器の機能や技術が競合他社と比べ何が違うのか、その「強み」にスポットを当てて競合他社との差別化を図るWeb施策です。
先ほど説明したインバウンドマーケティングは、このような独自性の高いメディア戦略を受け皿にすると、顕在性の高い顧客を非常に効率よく集客できます。
自社との親和性が高いお客様、つまり、「契約の可能性が高い顧客」がポジショニングメディアを訪問してくれるからです。
ポジショニングメディアを導入したクライアント様のお声には、
- 競合他社との差別化に苦しんでいたが、サイト経由の成約率が5割にもなり差別化の成功を実感
- 契約までのリードタイムが3分の1に短縮、競合から転換できていることが大きいと感じている
- サイトで自社商材を理解してくれてからの問合せなので、これまでと比較するとアポ率が3倍近くになった
といった集客効果や顧客からの反響をご実感いただいています。
- 顕在性の低い顧客の問い合わせが多く非効率
- 競合他社との比較で負けてしまうことが少なくない
- 自社の強みを商談相手に理解させるのに時間がかかる
上記のような悩みや課題を抱え、医療機器の営業戦略やマーケティング戦略にお困りの場合、新しいデジタルマーケティング施策として、ポジショニングメディアを検討されてはいかがでしょうか。
貴社の強みや優位性、性能の高さや医療機器の価値を届けるべき人に届けることができるのが、ポジショニングメディアという施策の優れている点です。
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医療機器メーカーのマーケティング戦略まとめ
医療機器業界はAI化やIoT化が急速に進んでいること、医療機器全体としてプラットフォーム化やサービス化に国も予算を投じていることを考えれば、デジタルマーケティングやインバウンドマーケティングにリソースを割くべきであることは明々白々です。
経済産業省も国を上げてDX化を推進しており、企業がインバウンドマーケティングを取り入れることも必要不可欠となりつつあります。
そのような社内の動きの中で自社が勝てる市場を選び、差別化戦略を打ち出し、医療機器を導入するメリットや強みなどを模索していかなければなりません。
医療機器にも有効な「集中戦略」
栃木県に本社を置く「マニー」という医療機器メーカーをご存知でしょうか。
マニー株式会社は手術用針やナイフなどの医療器具などを製作していますが、「世界シェア3割強」の実績を有する医療機器メーカーです。
このマニーが行なっていることは「やらないことを明確にする」ことです。
例えば「医療機器以外は扱わない」「製品寿命が短い製品は扱わない」「ニッチ市場以外は参入しない」など、自社にとって必要ないことや不利になることは「やらない」と決めているといいます。
マーケティング戦略で言うところの「集中戦略」によって特定のターゲットを狙い、市場を限定することで自社の持っている強みを最大限に活かし成功しているのです。
このようにこれから先変化に富んだ時代を乗り切るためにも、デジタルマーケティングへの参入を急ぐべきであると考えます。
医療機器のマーケティング戦略に新たな提案がほしいなら
さまざまな業界・業態の集客を支援してきた弊社には、医療系のクライアント様も多くいらっしゃいます。これまでBtoB向けのWeb戦略立案や戦略的コンテンツマーケティングの実装、Webメディアの制作や運用などに携わってまいりました。
120業種以上の集客・販促支援の実績に基づき、最適なマーケティング戦略をご提案させていただきます。
オンライン商談システムを活用して弊社の実績などを直接ご説明することも可能ですので、下記問い合わせフォームよりご相談をお寄せください。
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