医療機器の適正広告ガイドラインとプロモーションの注意点

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適正広告ガイドラインに則した
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医療機器の市場規模は4.4兆円

医療機器の市場規模は4.4貯円
2021年現在の統計では、日本の医療機器業界の市場規模が4.4兆円。2017年時点では3兆円でしたが、その後も右肩上がりの市場です。医療機器売上高は2013年以降横ばいの状況ではありますが、安定的に3億円超の売上高を上げていることがわかっています。

コロナ禍で厳しい業績となっている業界が多い中、医療機器業界は前年度に比べると+6.1%の成長率で、利益率に関しても+8.0%と堅調です。

※参照元:経済産業省における医療・福祉機器産業政策について「日本の医療機器市場の動向」(https://www.med-device.jp/pdf/20210218-kaigi_11_meti.pdf

業界全体としては好材料が少なくありませんが、個々の医療機器メーカーや医療機器販社の中には、コロナの影響でBtoB向けの展示会や対面の営業機会が減少に悩んでいる企業も少なくないはずです。

そのため営業戦略を見直し、新しい広告手法を模索している中小企業にとってボトルネックとなるのは、医療機器販売にかかわる法令の厳しさでしょう。

ここでは、薬機法などをベースに制定されている「医療機器適正広告ガイド集」や「医療機器業公正取引協議会ガイド」、「医療広告ガイドライン」など主要な広告ガイドラインのなかから、特に注意すべきポイントなどについて説明していきます。

医療機器の適正広告ガイドラインとは

医療機器の適正広告ガイドラインとは
医療機器の適正広告ガイドライン(ガイド集)とは、一般社団法人日本医療機器産業連合会(医機連/JFMDA)によりまとめられた医療機器業界の広告に関する自主規制のガイドラインのことを指します。

基本は厚労省が定める薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)がベースとなっていますが、出所が厚労省なのか、医機連なのか、公取協(医療機器業公正取引協議会)なのかによる違いであり、規制の内容はほぼ同じです。

これとは別に2021年4月1日に実施(3月10日改定)された「医療機器業プロモーションコード 」(医機連)などさまざまなルールや規制があるため、医療機器業界に入社や転職した人は、膨大な量の規約をひととおり学ぶ必要があります。

医療機器の広告で悩む「広告該当性」の判断基準

ただ、医療機器の広告に関しては、薬機法、医療機器適正広告ガイド集、医療機器業公正取引協議会ガイドなどどれも大枠では「消費者を健康被害や不当な取引から守る」ための法令であり、ガイドラインです。

矛盾した言い方になりますが、その医療機器を入手したいと思わせる訴求力のあるものは広告として規制を受けることになります。

そこで医療機器の広告担当やプロモーション担当が悩むのは、「これは広告になるのか、そうではないのか」という広告該当性の判断基準。厚労省の通達では、以下のように定義されています。

顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確である
特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
一般人が認知できる状態であること引用元:厚労省「薬事法における医薬品様の広告の該当性について」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/koukokukisei/dl/index_d.pdf)

上記3つのいずれも満たす場合は、広告に該当すると判断されます。どれかひとつでも欠ければ広告扱いにならない可能性もありますが、医機連が厚労省に提出した「医療機器の広告に関するQ&A」には、以下のように付記されています。

A8.通知では「いずれの要件も満たす場合」とありますのでこれらの要件のどれかが欠ければ、薬事法における医薬品等の広告には、該当しないと考えられます。ただし、環境や必要性を踏まえて、3要件も含めた総合的な見方をして広告・宣伝への該当性について判断となる場合があることに留意してください。引用元:医機連「医療機器の広告に関するQ&A」(https://www.jfmda.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2022/07/医療機器の広告に関するQAについて.pdf

とあります。3つのうちどれかが欠けていれば広告とは判断されないと言い切ることはせず、最終的には各自治体の薬務課に判断を仰ぐ必要があります。

医療機器の広告該当性に関する注意点

家庭用医療機器の場合、医療機器メーカーが直接広告を出すケースは少ないはずですが、「家庭向け医療機器等適正広告・表示ガイドⅢ」(社団法人 日本ホームヘルス機器協会 )にも、薬機法に基づいた広告規制や適正広告のガイドラインを順守する必要があります。

この「家庭向け医療機器等適正広告・表示ガイドⅢ」にも広告の該当性について明示されてますが、さらにくわしく以下のような場合でも広告に該当する、と説明されています。

① 「これは広告ではありません」や「これは顧客を誘引することを目的としているものでは ありません」、「特定商品名や商品金額の掲載はありません」といった表示をしているが、 具体的な商品名及び期待される効果等を一般消費者が容易に認知できる形で記載されてい る場合。
② 商品の名称の一部を伏せ字としたり、文字をぼかす、写真や画像イメージのみを表示する などの場合であっても、当該商品の認知度、付随している写真及び説明書き等から特定商 品であることが認知できる場合。
③ 特定の技術又は成分の効能効果等に関する書籍や冊子、ホームページ等の形態をとって いるが、その説明の付近に当該商品の販売業者の連絡先やホームページへのリンクを示 すなど、一般消費者が容易に認知できる形で記載している場合。 引用元:「家庭向け医療機器等適正広告・表示ガイドⅢ」(https://yakujijohou-rule.up.seesaa.net/image/6-B.pdf

医機連が出している「医療機器適正広告ガイド集」よりさらに具体的な事例が示されています。家庭向けを含む医療機器の広告として判断されるもの中には、ホームページだけでなくSNSの公式アカウントやメーカーにリンクしているブログなども含まれます。

さらに医療従事者向けの広告の場合、広告該当性の認識で勘違いしている人が多いのは、「医療従事者も一般人である」という点です。「医療機器の広告に関するQ&A」にこの点について説明がなされています。

A5. 上記通知の広告3要件での「一般人」とは医療関係者も含まれます。(Q1の「一般人」と異なることに注意。)「情報提供」については規制されておりませんが、情報提供を装った顧客への購買意欲を昂進させて 行う行為は、「広告」に該当されるおそれがあり、薬事法第68条に抵触することになります。引用元:医機連「医療機器の広告に関するQ&A」(https://www.jfmda.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2022/07/医療機器の広告に関するQAについて.pdf

医療機器の仕組みや機能、効果などについて触れている制作物はすべて広告に該当すると考え、最上級表現や承認されていない効果の標榜、一般人に優良誤認を与えるような表現手法はしないことです。

広告の規制や制限がおよばない範囲であると個別に判断せず、社内の法務担当や各種法令の対応をなりわいとするコンサル会社、関連法規に明るい外部制作会社に広告制作を依頼するなどして、リスクマネジメントをすることをおすすめします。

医療機器の広告に活用すべき限定解除要件とは

医療機器の広告に活用すべき限定解除要件とは
さて、医療機器の広告に関する細かい規制や制限をここで挙げているとキリがありませんので、次に「医療広告ガイドラインの限定解除」について見ていきましょう。

医療広告に該当していても、患者がみずから求めて入手する情報、たとえばホームページやポータルサイトなどインターネット上でアクセスできるサイトについては、医療機器の情報との因果関係が断絶されていない場合でも、広告可能事項の限定解除要件を満たせば広告できる、というルールがあります。

医療広告ガイドラインは医療法、薬機法、景表法などをベースに厚労省がとりまとめているものですが、厳しい規制により消費者が必要としている情報にアクセスできなくなるデメリットをカバーするため、定められている条件をクリアすれば、広告できる範囲が広がるというものです。

厚労省による「医療広告ガイドライン」に明記されている限定解除の条件を引用します。

広告可能事項の限定解除の具体的な要件
広告可能事項の限定解除が認められる場合は、以下の①~④のいずれも満たした場合とする。ただし、③及び④については自由診療について情報を提供する場合に限る。
① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること引用元:厚労省「医療広告ガイドライン」第4 広告可能事項の限定解除の要件等(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000209841.pdf)

この条件を満たした場合、広告可能な領域を広げることが可能です。たとえば以下のような広告が限定解除の対象です。

  • 既承認医療機器の販売名(登録名)
  • 限定公開されているWebメディア
  • 医療機器の治療効果(承認されている効果の範囲内で)
  • ビフォア・アフターの例示
  • メルマガやブログ
  • 未承認医療機器を用いた治療

もちろん事実に反することや誇張表現、虚偽の記述、安全性の確約など医療機器の広告で禁じられていることは変わりません。あくまでルールに定められた内容に則した広告であることが大前提です。

未承認医療機器の広告にも限定解除要件がある

未承認医療機器の場合、医療関係者に向けたものであっても広告が制限されていますが、以下の限定解除要件を満たした場合は広告が可能になります。

(未承認医薬品等であることの明示)
・用いる未承認医薬品等が、国内においては薬機法上の承認を得ていないものであることを明示すること。
(入手経路等の明示)
・ 医師等の個人輸入による未承認医薬品等を用いる場合は、その旨を明記すること。
(国内の承認医薬品等の有無の明示)
・ 同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等の有無を記載し、その国内承認医薬品等に流通管理等の承認条件が課されている場合には、その旨を記載すること。
(諸外国における安全性等に係る情報の明示)
・ 当該未承認医薬品等が主要な欧米各国で承認されている場合は、各国の添付文書に記載された重大な副作用やその使用状況(承認年月日、使用者数、副作用報告等)を含めた海外情報についても、日本語で分かりやすく説明すること。
・ 主要な欧米各国で承認されている国がないなど、情報が不足している場合は、重大なリスクが明らかになっていない可能性があることを明示すること。引用元:厚労省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000213349.pdf

医療広告ガイドラインを読み返すのは時間がかかりますので、このQ&Aに先に目を通したほうがわかりやすいかもしれません。

医療機器の分類や家庭用か医療専用かなどによってリスクも違えば、使用する人の立場も異なります。どのような立場の人が読むかを明確にするために、サイトの入り口で一般人か医療従事者かを分けて情報提供するなどの工夫も大事です。

調べている人が知りたい内容の補足・説明をしながら、提供した情報で誤解が生じないような広告を制作するということにつきます。

医療機器プロモーションの課題

医療機器プロモーションの課題としてまず挙げられるのは、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響でBtoB向けのリアル展示会も中止になったり、人出が少なくなったりして、これまでのような営業成果が得にくくなっている点です。

もちろん医療機器業界に限ったことではありませんが、顧客を訪問するのもはばかられる状態が続いています。

不安定な経済活動を余儀なくされる中、この状況を少しでも改善するためには、インバウンドマーケティングや業務効率化を実現するDX(デジタルトランスフォーメーション)といった、デジタルシフトを本格化する必要があります。

BtoB向けプロモーションでデジタルマーケティングに注力するため、マーケティング人材を募集している企業も増えています。ただ、なにから着手すればいいかわからない、という中小の医療機器メーカーもあると思います。

医療機器のプロモーションで優先すべきものはなにかと聞かれれば、インバウンドマーケティングへの対応なのではないかと思います。

インバウンドマーケティングとは、PUSH型営業の真逆であるPULL型営業のひとつで、「顧客(候補)に自社や製品を見つけてもらう」施策です。

たとえば、ポータルサイトなどのWebメディアやプレスリリース、ホームページ、ウエブマガジン、SNS、ブログなどで製品の宣伝ではなく、読み手が興味を抱くニュースやタイムリーな話題、役立つ情報などを発信して、自社の存在をアピールしていく手法です。

即効性には欠けますが、中長期でリード(見込み客)を獲得する機会が広がることと、土日祝日も関係なく自社の露出機会が担保される点では優れています。

さまざまな業界でこのインバウンドマーケティングによるPULL型プロモーションが注目されています。医療機器のプロモーションでも、医療従事者だけをターゲットにしたオウンドメディアを制作・運用するなどして、インバウンドマーケティングに備えるとよいのではないかと考えます。


医療機器の適正広告ガイドラインとプロモーションの注意点まとめ

医療機器の適正広告ガイドラインとプロモーションの注意点まとめ
製薬会社や医療機器メーカーの広告戦略は、さまざまな規制をクリアしたうえで行なう難易度の高いプロモーションです。大手であれば法務担当やコンプライアンス担当などさまざまな部署が分担してチェックすることができますが、中小規模の企業の場合はそうもいきません。

社内のリソースが限られている以上、医療機器の広告戦略にくわしいマーケティング会社や制作会社、広告代理店などに委託するほうが効率がいい、とも言えます。

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下記キャククルページで医療広告ガイドラインのチェックポイントについて解説していますので、こちらも参考になさってください。

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