医療従事者必見!医療機関ホームページガイドラインの完全解説
最終更新日:2020年10月17日
医療機関ホームページガイドラインとは
昔は医療機関のホームページについて広告規制がありませんでした。
2012年9月28日に、厚生労働省が、医療機関ホームページガイドラインを通知し、医療機関のホームペーのありように影響を与えました。この通知では、ホームページは医療広告の規制対象外でしたが、ガイドラインを遵守せずにホームページを作成することは厳しい状況です。
医療機関ホームページガイドラインは、患者を守るためのものです。医療というのは、人の健康や命に重大な影響を与えることがあるので、医療機関のホームページのありようについて、厚生労働省が大まかな指針を用意する必要がありました。
新しい医療機関ホームページガイドラインともいえる、2018年医療広告ガイドラインの土台ともいえる存在。このガイドラインは、ホームページに対する規制と思っている医療従事者もいるかもしれませんが、医療機関が運営しているブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)も規制対象としていると理解されているので注意が必要です。
医療機関ホームページガイドラインの内容
医療機関ホームページガイドラインに記載されている内容は、大きく分けて2つあります。それはホームページに記載しない方がいい事項と、自由診療を行う医療機関がホームページにて掲載する必要がある事項です。以下具体的に説明をしていきます。
ホームページに記載しない方がいい事項
医療機関ホームページガイドラインに記載されている、ホームページに記載しない方がいい事項を具体的にいうと、
- 内容が虚偽であるものや、虚偽ではなかったとしても客観的事実だと証明不可なもの
加工修正したビフォーアフターの写真を掲載する、絶対に安全でトラブルゼロと表現するなど
- 内容がおおげさであるものや、自院に都合がいい情報などを過度にアピールするもの
○○県知事の認可を得た病院、手術・処置などの効果や有効性について常識を覆し宣伝するなど
- 科学的根拠がないといえるのに、患者などの不安を過度にあおり医療機関への受診や処置・手術などの実施を不当に誘導する
こんな症状がある人はこの先、普通の生活ができなくなるのですぐに受診してください、○○の治療方法は効果が全くありませんが、○○の治療方法はかなりの治療効果が期待できるので非常におすすめですなど
- 他の医療機関と比較することにより自院の優位性を出そうとするもの
自院は世界ナンバーワン1、業界最高レベルの医療機関など
- 今すぐに受診を!などのあおるような表現や、費用について過度な強調
○○までの期間限定で○○という施術メニューは驚愕の○○パーセント引きなので早急な受診を!など
- 医療法以外の法令にて禁止されているもの
薬事法・健康増進法・不正競争防止法・不当景品類及び不当表示防止法などにより規制
されているものなど
- 公序良俗に反するもの
わいせつ性が認められるもの、残虐性が確認できるものなど
自由診療を行う医療機関がHPにて掲載する必要がある事項
治療内容と費用などに関する事項と、リスクと副作用などに関する事項に分かれています。以下、説明します。
治療内容と費用などに関する事項について
自由診療を行う場合「通常必要とされる治療内容」「平均的な費用・治療期間・治療回数」をホームページに掲載し提供することが求められます。掲載する場合には、医療関係者ではない一般人レベル(患者レベル)の人が、自由診療を行う場合に適切な選択をするための情報提供が求められ、また、過度に専門用語などを使わずに分かりやすく提供する必要があるのです。
情報を提供する場合には、「患者が誤認しないようにする」ことが大切。そのため、医療機関が、ホームページで自由診療の案内をする場合、情報量が足りないというのは好ましくないということです。
リスクと副作用などに関する事項について
医療機関にて自由診療を行う人が気になることに、リスクや副作用などがあります。
そこで、ホームページでは
- メリットのみを強調しないこと
- 分かりやすく掲載すること
が求められるのです。デメリットが一切存在しないと患者を誤認させることは、不当な誘引に該当する場合があるのです。患者が正しい選択をするには、掲載内容をよく理解する必要があり、そのために一般人の医学的知識レベルを想定して分かりやすくする工夫が求められます。
なお、ホームページで、リスクや副作用などに関して適切な案内をすることは、医療機関側の利益になると考えることができます。つまり、適切な掲載内容にすることにより、患者とのトラブルの発生を防ぎやすくなるということです。
医療機関のホームページは医療広告ガイドラインによる規制がある
医療広告に関するガイドラインである医療広告ガイドラインは、2018年6月1日より新しいものになりました。一般的に、2018新医療広告ガイドラインと呼ばれるものです。2018新医療広告ガイドラインで注目すべきところは、従来は広告として見なされなかったホームページが、広告として取り扱われるようになったこと。
医療広告ガイドラインは、ガイドラインという名前がついていますが、罰則があるものです。6か月以下の懲役に科される 場合もあるので医療関係者なら絶対に理解しておく必要があります。以下、2018新医療広告ガイドラインの特に重要な部分について説明します。
虚偽広告には注意しよう
医療広告で虚偽記載があると、適切な受診機会の喪失や不適切な医療サービスを受ける恐れがあるなど、患者にデメリットがあるので禁止されています。しかも、罰則付きです。当たり前のことですが、医療サービスはその影響の強さがあるので、医療従事者は特に注意しましょう。
たとえば、自院で行っていない診療科目を、患者を来院させる目的のため、嘘をつき「当クリニックは○○という診療科目を長年やっていて実績があります!」というのは虚偽広告です。
本人は虚偽だと思っていなくても虚偽広告だと判断されるケースもあります。たとえば、「どんなに難しい手術だとしても当施設であれば100パーセントの確率で成功させることができます!」なんて表現は、虚偽記載に該当する可能性があるのです。医学上、そんなことは断言できず、普通に考えれば虚偽だと判断されるからです。
誇大な表現もイケナイこと
ここでいう誇大広告とは「人を誤認させてしまう広告」のこと。誇大な広告は、事実をおおげさにいっているだけで虚偽広告ではありません。しかし、これから医療サービスを受ける人に対し、間違った判断を引き起こす原因になるので医療広告では不適切扱いです。
人を誤認させてしまう広告とは、一般人が広告を見て認識することとなる「期待感」や「印象」と、実際の内容に相違が認められると常識的な感覚にて判断できれば足ります。
具体的な誇大表現としては、
- 〇〇学会認定医や〇〇協会認定施設(活動実績が存在しない団体による認定)
- 医師数〇〇名〇〇〇〇年〇月現在(その後大きく医師数が減少した場合)
- ○○という施術は比較的安全です!
- 科学的な根拠がとぼしい情報や伝聞の引用
などがあります。
ビフォーアフターの画像や体験談も要注意です!
ビフォーアフターの画像があると、これから医療サービスを受けようとする人が誤解してしまう可能性があります。確かに、ビフォーアフター画像があると施術後のイメージをしやすいですが、施術の結果は人によりことなるため誤認の原因となりえるので、医療広告としてはふさわしくありません。ただし、治療内容・費用・リスクなどについて細かくかつ分かりやすく掲載すれば広告が可能です。
体験談に関しても、ビフォーアフター画像と同じことがいえます。つまり、医療サービスを受けた人により結果はことなるので、誤認が生まれやすいので、医療広告としても適当ではないといえます。さらにいうと、体験談については、患者の主観によるものなので、画像の場合以上に誤認が生まれやすいので、なお一層の注意が必要だということになるのです。