医療広告ガイドライン「広告可能事項の限定解除」活用が集客を左右する
最終更新日:2020年03月25日
医療広告ガイドラインの限定解除とは
医療広告を行う場合には、その影響の強さゆえに医療広告ガイドラインにより規制が入り、表現できることはかなり限られてしまいます。ただし、一定の要件をクリアすれば広告範囲を広げることが可能です。これが限定解除。
医療広告ガイドラインの限定解除は「身体に不調が出ている人に対し、病気を治すことができる可能性を知ってもらえる」「通院するのはどこがいいのか決める際の情報提供にもなる」などのことが期待できます。
医療広告ガイドラインの限定解除要件は、表示する内容により異なるため、集客を担当する人はよく理解しておく必要があるといえるでしょう。
見なきゃ損?医療広告事項の限定解除要件を説明します
以下、厚生労働省医療広告ガイドラインからの引用です。
第4広告可能事項の限定解除の要件等
2広告可能事項の限定解除の具体的な要件
広告可能事項の限定解除が認められる場合は、以下の①~④のいずれも満たした場合とする。
ただし、③及び④については自由診療について情報を提供する場合に限る。
① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
分かりやすくいうと、
- 非自由診療のケースは、①~②を満たしているかチェックする
- 自由診療だと、①~④全て満たしているかをチェックする
というのが基本的な考えです。
①については、
- 医療選択を正しく行うための情報
- 患者などが自分の意思で求めて入手する情報
- ウェブサイトなどでの広告
であることが求められます。
②は、
- 患者などが情報を簡単に調べることができるように、問い合わせ先などの記載をする
ことが要求されるのです。
③については、
自由診療に関係する(一般的な)、
- 治療内容など
- 費用など
の情報を提供することが求められます。
④は、自由診療を行うケースは、
- リスクなど
- 副作用など
の情報提供をすることが要求されるのです。
広告可能な広告事項や限定解除により可能となる広告事項
医療広告ガイドラインでは、広告が許されている広告事項や先にいった限定解除により使うことができる広告事項というものが明らかになっています。
診療科目の表記
平成20年4月の制度改正により、胃腸科やこう門科などの診療科目についての広告はできなくなりましたが、制度改正前に利用していた診療科目は「広告の変更」を行わなければ、引き続き使うのは大丈夫です。
平成20年4月1日以後、診療科名を変えるために紙面や看板に加えて、診療科名変更の届出もすると、規制に則した診療科名にしなくてはいけません。
「耳鼻いんこう科」は広告可能な診療科目とされていますが、「耳鼻咽喉科」と漢字を使っても大丈夫です。麻酔科という診療科名で広告するなら、許可を受けた医師名も一緒に広告することが要求されます。
総合診療科という名称では広告することができません。限定解除要件をクリアすれば広告できます。
医師の専門性に関する表記
医師が専門性をアピールする場合「広告可能な医師等の専門性に関する資格名等について」で、広告が許される資格名などを広告することは大丈夫です。広告する場合には、資格名に加えて認定団体の名称を示すことが求められます。
患者などが誤認してしまう理由となる、情報を付け足したり逆に省略したりすると、虚偽・誇大広告と判断される恐れがあります。指導医や認定医などの記載について、限定解除の要件をクリアすれば広告することが可能です。
「日本専門医機構認定の専門医」「産業医」に関しては、広告できませんが、限定解除の要件をクリアすれば広告しても大丈夫です。
- 社会的に評価を受けている客観的な事実であること
- その正否に関して簡単に確認できること
ということが求められます。学会の役員や医学博士というのであればルールを守ればアピールできます。ただし、単なる会員にとどまるのであれば、原則的に広告不可です。
自由診療の広告
歯科用インプラントは、医薬品医療機器等法上の医療機器として認められているインプラントを利用し、公的医療保険が適用されないことと標準的な治療費を明らかにすれば、広告することが可能です。
未承認のインプラントを利用する場合には、限定解除の要件をクリアしたと判断できる場合に限り、広告できます。未承認医薬品などを自由診療で利用する場合「未承認医薬品などであること」「入手経路など」「国内の承認医薬品などの有無」「諸外国における安全性などに係る情報」を明らかにすることが要求されます。
脳ドックは、無症状の人を対象とし、MRAやMRIによる画像検査を主たる検査とする一連の検査により、脳の問題や危険因子を見つけ、それらの発症を防いだり進行を防止したりする目的の検査であれば、広告できます。
従業員や診療風景の写真掲載
従業員の写真は、法または広告告示により広告が許されている事項につき、文字はもちろんのこと、「写真」「イラスト」「音声」「映像」などを使い表現できます。たとえば、病棟や科にどれだけの医療従事者がいるのか分かりやすくするために写真を使ったり、医療従事者の略歴を想像しやすくするために写真を使ったりすることは大丈夫です。
診療風景などについても、法または広告告示にて広告可とされた事項は、従業員の写真と同じように文字以外の表現方法が許されます。
なお、たとえ診療風景であったとしても、治療の効果につき患者が誤認してしまう恐れがある写真などを使い広告するのは認められません。たとえば、治療前後の写真を掲載することはトラブルの原因になります。
手術実績、症例数の表記
医師個人が行った手術数は、広告できません。
ただし、
- 広告内容につき患者などから求められた際に、記載内容が真実だと証明できる状態にして
- 解除条件をクリアすれば
広告できます。
医療機関で行われた手術については、広告可能事項と示された範囲内であれば広告しても大丈夫です。その場合、手術件数はいつからいつまでの期間のものなのか、一緒に記載することが求められます。手術件数は、一年単位の集計結果とするのが好ましく、数十年単位で集計してしまうと誇大広告に該当してしまう恐れが出てきます。
ネット集客を理解すれば他院より一歩リードできる
現在の医療機関は、ネット広告について詳しくない場合は多いです。これは、考え方によっては今より自院の影響力を確固たるものにするためのチャンスともいえます。
というのも、インターネットでの広告方法をよく理解できないので守りの集患になってしまっている医療機関が少なからずいて、正しい医療広告の方法を熟知して攻めの集患ができるようになれば、自院のエリアでの認知度をさらに上げることは可能なのです。インターネット集客は、抜群の集客力を誇ります。