歯医者の経営戦略で意識すべき7つの要素とは?
最終更新日:2024年03月26日
競争が絶えない市場・レッドオーシャンに身を置く歯科医院の院長や経営者には、今後も新しい視点や戦略が求められます。このページでは、そんな歯医者の経営戦略に必要な要素を7つご紹介。自院の経営について見直す必要があると考えているなら、ぜひ候補のひとつとしてご検討ください。
歯医者・歯科医院の経営戦略でおさえるべきポイント
コンビニよりも多いと言われて久しい歯医者。2018年の調査ではコンビニに比べて13,000軒多いとされ、激戦区も増加していると聞きます。また、疾患別の受診率や歯科医院の数、患者の年齢構成比など歯科医院を取り巻く環境は年々変化しており、世情をとらえた経営戦略が急務と言えます。
このような背景から、安定した集患を誇る歯科医院と、経営困難に直面している歯科医院とで二極化している歯科業界。経営を見直し、生き残っていくためには、7つの要素を見直す必要があります。
歯医者・歯科医院を成功させる7つの要素
以下では、歯医者の経営戦略に欠かすことのできない7つの要素について、それぞれ説明していきます。
1.地域戦略
多くの歯科医院では、患者を第一に考える姿勢を取っていると思われます。しかし、昨今では口コミや評判、イメージ、他医療機関との連携など、歯科医を取り巻くステークホルダーの存在も重要視されるようになってきました。
ここで大切になるのは「地域戦略」という考え方です。患者の多くは家から近い範囲でよい病院、信頼できる歯科医を探します。家族や友人・知人から勧められて来院を決める見込み患者の数も、少なくありません。
そのため、既存患者はもちろん、地域住民や医療従事者から愛される歯科医を目指す必要があり、まず自院を取り巻く環境について調査・分析するべきです。
経営状況を見直すポイント
まずは下記のポイントを主軸に、売上の増減について調査しましょう。
- 患者数の減少・増加のタイミング
- どのような患者が減少・増加しているのか
- 診療圏内における地域ごとの患者数の割合
- 保険診療・自費診療など保険種目別の来院割合
- 症例別の患者数の比率
また、自院の強みや魅力を考える際には、以下の項目に沿って調査するとよいでしょう。
- 遠くから来院している患者の地域
- 来院する患者の数が多い地域
- 患者の年齢・職業・性別
- そのなかでどのような患者が減っているか
これらの項目は、地域戦略において非常に重要なポイントだと言えます。
先で紹介する戦略の要ともなりますので、患者に来院理由を尋ねるなどして自院の魅力を浮き彫りにしていきましょう。
2.ビジネスモデル
歯医者経営のためには、ビジネスモデルについて考える必要があります。
ビジネスモデルとは、どのように価値を創造し、どうやって顧客に届けていくかを考えるための地図や設計図のようなもの。「誰がターゲットか」「どうやって利益を出すか」「どれくらいのコストをかけるのか」など、商売の体系になる要素がすべて密接に関わっていると言えます。
「歯医者にビジネスモデル?」と眉を寄せる方もいるかもしれませんが、明確なビジネスモデルを持つことは歯科経営に欠かせません。たとえば、従来の歯科医院は抜く&削るのが仕事でだという見方もありました。しかし、現在では歯を維持するためのサポート、予防歯科、メンテナンス、審美歯科など新たな需要に応えるべく、さまざまなビジネスモデルが登場しています。また、超高齢化社会問題、自己診断ツール、ヘルスデータサイエンスなど、医療に変化をもたらすあらゆる要素のことも視野に入れておくべきです。
サービスメニューの充実などさまざまな視点から考える
保険診療と自費診療のどちらを主体にするかという考え方もありますが、サービスメニューの充実を図ることも有効でしょう。
患者から選ばれる歯科医院であり続けるためには、多様化し続けるニーズになるべく応えていける体制が必要です。ホワイトニングやセラミックなどの審美歯科やインプラント、予防歯科はもちろん、なるべく痛みや不安を取り除く工夫、新しい治療の選択など、自院で提供できるメニューは多いに越したことはありません。
とはいえ、どのビジネスモデルが正解ということはないため、自院で実現可能かつ、大きな効果に期待できる取り組みについて採択することが求められます。
3.マーケティング分析
歯科医院の経営には、マーケティング分析が役立ちます。歯医者におけるマーケティングは、患者が真に求めるサービスや価値の情報を届け、予約や来院につなげることに有効です。そして、マーケティングを効果的かつ円滑行おうとするとき、マーケティング分析が役立つのです。
マーケティング分析のフレームワークとしては、「3C分析」が基本です。
歯科医院の経営に役立つ「3C分析」とは
- Customer(顧客=患者)
- Competitor(競合)
- Company(自院)
この3つのCから始まる要素について分析することで、患者のニーズや悩み、競合の状況、自院の状況や課題がそれぞれ見えてきます。
3C分析は、地域戦略の手法を考える際はもちろん、ビジネスモデルや集患戦略、ブランディングについて考える際にも役立ちます。
「5フォース分析」や「5フォース分析」などあらゆるフレームワークがありますが、まずは基本的な要素から分析し、必要に応じて活用するとよいでしょう。
4.事業計画(マネーフロー)
「絶対にお金が残るビジネスモデル」と言われることの多い歯科医院ですが、経営に大きな課題や問題を抱えている歯科医院も少なくはないでしょう。
しかし、歯科医院ほど粗利率の高い業種はほとんどなく、利益率が高く効率のよいビジネスだという見方もあります。このような歯科医院でうまく経営していくには、5つのポイントを意識した事業計画を行うことが大切です。
事業計画(マネーフロー)のための5つのポイント
- キャッシュフロー経営の本質を理解する
- ビジネスモデリングを取り入れる
- マーケティングで新患を増やしていく
- 経営の仕組み化を図る
- 節税を意識した事業計画を立てる
「すべての項目をクリアするのは難しい」などと悲観せず、可能なところから始めていきましょう。また、事例を参考にしながら事業計画の見直しを図ることもポイントです。
5.集患戦略
歯科医院への集患に効果的な戦略は6つあります。これらの手法を取り入れることで1日あたりの問い合せ数・予約数の増加はもちろん、実際の集患数を増やすことも大いに可能です。
広告
予約数や集患数を左右しているのは、広告の質だと言っても過言ではありません。
広告は、オフライン広告、オンライン広告の2種類に分類されます。下記のようなオフライン広告に力を入れるだけでは十分な効果見込めない時代に突入していることは間違いありません。
- 街や駅の看板
- 調剤薬局に置くパンフレット
- ポスティングや新聞折り込みのチラシ
- 車内広告やポスター
- ヘルスケア・疾患系フリーペーパー
- 雑誌や季刊誌、ムックなどの刊行物
もちろん、これらの広告に効果が全くないというわけではありません。しかし、下記でご紹介するオフライン広告のほうが大きな効果を見込めることも事実です。
これからの歯科医院の集患戦略を成功させるためにも、それぞれの広告をバランスよく運用していくことが大切だと言えます。
ホームページ
ホームページと聞くと、「自院について知ってもらうためのサイト」と認識している方も少なくないでしょう。
しかし、集患戦略においては「ホームページもれっきとした広告である」という認識を持つことが、非常に大切です。
今や、60代の人でもホームページを見て予約するかどうかの最終判断をする時代です。
たとえば、「院内写真と診療時間などの基本項目を紹介するだけのホームページ」と、「症例写真や実績、各治療内容や料金、コラムなどが掲載されているホームページ」だったら、多くの人は後者を選びます。
このように、歯科医院のホームページは、問い合わせや予約をしようとする見込み患者の行動を後押しするためのツールとして機能する側面を持つのです。
矯正歯科のホームページ制作
SEO
GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索されたキーワードが上位表示されることを目指すSEOは、歯科医院の集患戦略において要になる手法のひとつです。
というのも、「大阪 親知らず」「東京 歯医者 ホワイトニング」などのローカルSEOやロングテールSEOで自院のコンテンツが表示されるようになると、集患に大きく関わるためです。
また、歯科医院のSEO施策においては、Googleマイビジネスも有効で、医院選びをしているユーザーに直接的なアプローチが可能になります。
先ほど「ホームページはれっきとした広告である」と述べました。ホームページとSEO施策はかなり相性がよいため、自院のホームページや記事が上位表示されるようになれば、その効果はますます顕著になるでしょう。
LP(リスティング)
専用のLP(ランディングページ)によるリスティング広告も有効な手法です。
リスティング広告とは、ユーザーが検索をした際、検索結果に表示される広告のことです。
検索連動型広告とも呼ばれており、キーワードに関連する広告が目立つように表示されます。
そして、リスティング広告の最終目的はLPへのアクセス数につなげることです。
LPとは、訪問者のアクションを誘導する目的でつくられたページのことを言います。
ユーザーが知りたい情報を網羅することで強く訴求することにもつながり、問い合せ吸うや予約数に貢献してくれるというメリットがあります。
ただし、通常のLPはSEOに弱いため、リスティング広告とセットで運用されることが多いです。
歯科医院の習慣戦略においても、LPとリスティング広告それぞれの運用に必要な施策を取り入れることが求められます。
予約ポータルサイト
多くの患者は、待たされることを嫌い、なるべく早く診てくれる歯医者を探す傾向にあります。
そのような見込み患者に向けて強く訴求できるのが「EPARK歯科」や「歯科タウン」といった予約ポータルサイトです。
予約ポータルサイトは上位表示される可能性も高いため、自院の情報を掲載しておくことで商圏内の見込み患者へ強くアピール可能です。
「なるべく早めに診て欲しい」「あまり待たない歯医者がいい」など、見込み患者のニーズに応えられれば、予約数や集患数の増加につながるでしょう。
また、SEO施策がうまくいっていない歯科医院でも、予約ポータルサイトにホームページへのリンクを載せてサイト自体の訪問数を増やすことも可能です。
ポジショニングメディア
弊社が歯科医の経営戦略として推奨したいのは、ポジショニングメディアです。
ポジショニングメディアとは、明確にした価値やポジションをもとにつくり上げていくメディアのこと。
市場内の自院の立ち位置に基づいてつくられるため、届けたい人・届けるべき人に自院の存在を強くアピールできます。
そんなポジショニングメディアが選ばれる理由は、以下の通りです。
- 特定市場において自院のポジションを確立できる
- 親和性の高いユーザーを集客できる
- 広告法規が厳しい業界でも集客可能
- Web市場内でのアプローチシェアの拡大
歯科医院の集患や経営戦略にも非常に有効なメディアですので、戦略のひとつとしてご検討ください。
ポジショニングメディアに興味を持ち、より詳しく知りたい方はポジショニングメディアについてまとめた資料も別途ご用意しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。
6.ブランディング
歯科医院の経営戦略として、ブランディングも重要な要素となり得ます。ブランディングとは、企業のブランドを消費者に認識してもらい、市場内での価値・立ち位置を明確にしていく取り組みのことを言います。
「歯科医院にブランディングは必要ない」と考える経営陣もいるかもしれませんが、選ばれ続ける医院を目指すためにも、ブランディングが欠かせません。
たとえば「納得できるまで丁寧に説明してくれる歯医者」「子供と一緒に通いやすい歯医者」など、患者にとって価値ある歯科医院だということが認識されれば、継続的な集患につながります。
患者の家族や友人、知人にも選ばれやすくなったり、多少遠くからでも足を運んでくれる患者が増えたりと、歯科医院にとってもメリットがあるのです。
また、ブランディング戦略とそのほかの経営戦略との相性もよいため、相乗効果にも期待できるでしょう。
7.患者のファン化
歯科医院の経営戦略においては、患者のファン化を視野に入れた取り組みが求められます。歯医者を探している多くの見込み顧客は、クリニックのホームページや予約サイトの情報のみならず、口コミを重視する傾向にあるからです。
Googleマイビジネスにも「EPARK歯科」や「歯科タウン」などの予約サイトにも口コミの掲載欄があり、多くのユーザーは他者のエピソードや意見などを参考にしながら病院への日をします。
もし口コミが一件もない病院であれば「さびれている病院」と思われてしまうかもしれませんし、評価が悪ければ「この病院に行くのはやめよう」と思われてしまうことにもつながります。
とはいえ、多くの口コミを獲得することは難しく、患者から「可もなく不可もない」「特に印象に残らない」と思われてしまえば口コミ自体をもらえる可能性が低くなります。
言い換えれば、口コミで自院の紹介をしてくれるような自院のファン化を目指すことが重要だということです。
口コミを獲得するためには、地道な情報発信と口コミにつながる患者と心の通ったコミュニケーションが大事です。
日本歯科医療評価機構など第三者の評価を得る
患者さんが本当に信頼できる歯科医院を評価・認定する組織として立ち上げられた、「日本歯科医療評価機構」(https://www.jidv.org/)のように、患者から実際にアンケートをとるなどして、歯医者の評価をしている団体も活用すべきです。
歯科医院の検索サイト内に口コミ投稿機能があるポータルサイトへの掲載はしていると思いますが、患者に有償で投稿を促すのは禁止されていますので、注意が必要です。
患者の評価や紹介は歯医者の経営には必須の要素になるため、医療広告ガイドラインなどの法令を順守しながら、口コミや紹介が自然発生する仕組みを作らねばなりません。
- ターゲットを明確にしたメッセージの発信
- MEO対策(Googleマイビジネス)で口コミを獲得
- 地域キーワードによるSEO対策
- 患者目線のホームページおよびLP
- 口コミ投稿への返信を含む患者とのコミュニケーション
- かかりつけ歯医者としての信頼獲得
歯医者の経営に必要な要素を挙げれば枚挙にいとまがありません。ただすべてを自院のメンバーだけで対応する必要はなく、部分的に外部パートナーに任せてしまえばよいのです。
歯医者の経営戦略に必要な7つの要素まとめ
ここまで歯医者の経営戦略に役立つ情報を7つの項目に整理して説明してきましたが、先ほども述べたように全部をいっぺんにやる必要はありません。ただ経営的に厳しい場合などは、事業計画の見直しや歯科医院としてのコンセプトなど、コンサル会社に相談すべきでしょう。
弊社運営のポジショニングメディア掲載も選択肢のひとつ
比較検討フェーズに入っている患者へのアプローチとして、背中を押す力が強いのは、ポジショニングメディアです。とくに地域や患者の属性、治療内容などでセグメントしたポジショニングメディアであれば、効率的な集患が可能となります。
以下に弊社運営の歯科系ポジショニングメディアをご紹介しておきますので、ご興味があるかたはそれぞれのフォームよりお問い合わせください。
インプラント治療なび
画像引用元:Zenken「インプラント治療なび」(https://www.dentist-implant.com/)
インプラントに特化したポジショニングメディアです。インプラント治療関連のキーワードやエリア系キーワードで、上位表示されているページが多数あります。
口コミ・体験談といったリアルな声など、治療を検討するユーザーが欲しい情報を掲載することで、インプラントに対する興味が高いユーザーを集めています。
小児・子供矯正歯科パーフェクトNAVI
画像引用元:Zenken「小児・子供矯正歯科パーフェクトNAVI」(https://www.childrens-orthodontist.com/)
「小児・子供矯正歯科パーフェクトNAVI」は小児に特化した矯正歯科ポータルサイト。
矯正歯科ユーザーは子供と女性が多くを占めるため、もし自院の収益と相性のいい患者が小児が多いのであればぜひ検討していただきたい媒体です。
子供の矯正に関する基礎知識やQ&Aなど、患者目線のコンテンツを豊富に盛り込み、単に矯正歯科クリニックを検索するサイトではなく、子供の矯正におけるクリニック選びの重要性を伝える構成になっています。
「小児・子供矯正歯科パーフェクトNAVI」
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画像引用元:Zenken「審美ジウム」(https://www.shinbishika-advise.net/)
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