【美容医療】若返りやアンチエイジングで集客・集患して問題ないのか
最終更新日:2021年11月02日
「若返り」「アンチエイジング」での集患はリスクあり
医療広告ガイドラインの改定後、すでに法規対応が完了しているクリニックも多いと思いますが、「若返り」や「アンチエイジング」という文言についてはどうされているのでしょうか?
実は公式サイトにおいても、「若返り」や「アンチエイジング」といった文言を使用することは、原則禁止になっているのです。この件について、以下で詳しく解説いたします。
公式サイトでも「若返り」「アンチエイジング」は原則使用禁止に
2018年5月に改訂された「医療広告ガイドライン」では公式サイトも「広告」として規制を受けることとなり、アンチエイジングや若返りの文言を「消費者を誘導する目的で」使用してはいけないことになりました。
医療広告ガイドラインには”アンチエイジングは診療科名として認められておらず、また、公的医療保険の対象や医薬品医 療機器等法上の承認を得た医薬品等による診療の内容ではなく、広告としては認められない。”と書かれています。(※1)
したがって現在では「エイジングケア(年齢相応の美容ケア)」「若見え(若返るのではなく、若く見えるための施術)」といった表現に変更している美容クリニックのホームページが増えてきています。
※1引用元:医療ガイドライン(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000209841.pdf)
医療広告ガイドラインが改正された理由
医療広告ガイドラインが改正された理由は、美容医療サービスの消費者トラブルが増えてきたためです。美容クリニックなどのホームページ上に掲載されている内容と実際の施術内容や料金に差異があるなど、多くのトラブルが報告されています。
- 十分な治療効果が得られない
- 傷跡が残ってしまった
- 「痛みのない治療」と書いてあったのに痛かった
- 意に添わぬ治療を追加され高額費用を支払う羽目になった
- 副作用への対応をしてくれなかった
といった苦情が各自治体の相談窓口に寄せられています。消費者庁のホームページにも「美容医療を受ける前に確認したい事項と相談窓口について」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/information_002/)というページが設けられているなど、看過できない状況にありました。
厚労省はこうしたトラブルが社会問題になったことから医療広告ガイドラインを見直し、規制が強化されることになったという経緯は医師のみなさんもきっと、ご存知のはずです。ただすべてのクリニックが「消費者に不利益を与えていない」運営をしているかというと、残念ながらそうとは言えないのが実情です。
若返りやアンチエイジング以外に禁止とされる表現
若返りやアンチエイジング以外にも、改定された医療広告ガイドラインには、以下の内容についても禁止もしくは一定の条件をクリアしなければ掲載してはいけないことになっています。
- 専門医や学会の表記(厚生労働省が認めた学会の専門医の表記はOK)
- 患者さんの治療体験談
- 最高、日本一といった最高級表現
- ほかのクリニックと比較して優れているといった文言
- 副作用は一切ない、絶対に安全といった表現
- 有名モデルや女優がこのクリニックに通院(事実であってもNG)
- 10歳若返る、20代の肌が取り戻せる
さらによく見かける症例数や治療件数なども、医師個人の実績として掲載することはできません。クリニック全体の実績を掲載することは可能ですが、記載する際には何年何月からの累計(全国展開しているようなクリニックの場合は、医院合計なのかそのクリニック単独なのか、算出された数字の根拠を明示しなければならない)であるといった事実を明記する必要があります。
ホームページ上に現在の医療広告ガイドラインに抵触している記述はないでしょうか?日々患者さんの治療に追われている中で、こうした事務的な手続きは後回しになりがちです。ただいつまでも放置しておくと、最終的にはクリニックの評判を落とすことにつながってしまいます。
2020年3月16日、株式会社リクルートライフスタイルの『ホットペッパービューティー』に美容医療の分野が追加されました。消費者(患者)の口コミを集めるため、ホットペッパー経由でカウンセリングを受け口コミを投稿すれば、1000ポイントを付与する、としています。今後中立な立場で「いいことも悪いことも等しく投稿される」可能性がありますので、「看板に偽りのあるクリニック」は自ら是正する必要があります。
「広告可能事項の限定解除」の要件を満たせば掲載可能な内容も
医療広告ガイドラインを遵守するとホームページに書けることがなくなってしまう、というわけではありません。「広告可能事項の限定解除」という規定があり、このルールを守れば、かなり記載できる内容が増えます。どのような条件を守れば限定解除になるか、簡単にまとめておきますので、参考にしてください。
まず、患者さんたちが自分で求めて手に入れる情報に関しては、広告規制が解除されます。例えば患者さんが自分で探し出したポジショニングメディアや、クリニック内で患者さんが自由に入手できるパンフレットなどがそれに該当します。
反対にリスティング広告などは、患者さんたちが自ら求めて得る情報ではありませんので、限定解除対象外となります。
また、以下がしっかり記載されているサイトも限定解除の対象となります。
- 連絡先の記載(だれでも連絡ができる)
- 治療内容(知識がない人間にもわかる内容)
- 治療費用(税込み・税別などを表記した最新の料金)
- 治療の副作用(治療ごとにダウンタイムや副作用を記載)
- 手術・治療・医薬品のリスク
日本抗加齢学会「医療広告範疇においてアンチエイジングの文言に関する見解」
とはいえ、現時点では検索結果画面のタイトルなどに「アンチエイジング」は使われていますし、公式サイトでも「若返り治療」のような表記はたくさんあります。この理由は「現時点ではまだグレ―ゾーン(ギリギリ取り締まりを受けない)」だから。
下記日本抗加齢学会の解説で確認しておきましょう。
厚生労働省も一律にアンチエイジングという表現について、全て駄目と言っているわけではなく、単にアンチエイジングだということで誘引をするようなものは、なかなか認めることができない。しっかりと、条件を満たすものについては、「広告可能な事項」以外のものについても情報として提供していいという取扱いにしている。特に、重要なところについては、照会先とか、どのような手法をとるのか、どういう治療の内容、費用がどのぐらいかかるか。それから、重要なのは主なリスク、副作用であり、消費者を守るべき情報をしっかりと書き切って、情報提供をし切っていただくということ。(※2)
(※2)引用元:日本抗加齢学会 広告について(https://www.anti-aging.gr.jp/qa/ads/)
医療広告ガイドラインは「消費者保護法」
医療広告ガイドラインも薬機法や景表法などと同じ「消費者保護法」なので、公式サイトを訪問した消費者に優良誤認(10歳以上の若返り・アンチエイジング治療で20歳若返るなど)を与え、誘導することが禁止されています。施術名やページタイトルなど誘導性の高いものに使用している場合は要注意です。
ぜひ自院のホームページを改めて見直し、消費者である患者さんたちを誘導するような表現がないか、チェックしてください。
消費者に著しく誤解を与える広告(ホームページ含む)には医療機関ネットパトロール(http://iryoukoukoku-patroll.com/)」などを経由して指摘が入る場合もあるので、注意が必要です。
Yahoo!の「広告掲載基準」が変更に
2019年1月にYahoo!の広告掲載基準が変更になったことをご存知でしょうか?
Yahoo!の広告掲載基準の変更点について、簡単にまとめておきます。Yahoo!への広告出稿を検討しているクリニックは、事前に確認しておきましょう。
変更内容とは
医療広告ガイドラインに沿って自由診療における治療方法などを訴求する場合は、以下の2つを必ず記載しなければいけませんでした。
- 公的医療保険が適用されないこと
- 標準的な費用
ただ、Yahoo!の「広告掲載基準変更 解説資料」によりますと、もともと上記2つに関しては、リンク先に記載されていればOKでした。しかし新しい広告基準により、クリエイティブ(ポジショニングメディアやLPなど)
にも上記2つの記載が必要になりました。
LP内のバナーや広告文に、治療費と保険が使えない旨を記載しなければならなくなった、ということです。
ホームページやポジショニングメディア運用者がすべきこと
Yahoo!の資料に記載されている内容を理解したうえでバナーや説明文を変更する必要がありますが、残念ながら資料の内容を一読するだけでは、一体どこをどうすれば良いのかわからない部分があります。
なにが正解かわからないまま、試行錯誤を繰り返し、粘り強く審査通過を目指すしかないのです。忙しい診療の合間に、なかなかできることではありません。
医療広告ガイドラインを遵守しつつ、Yahoo!の広告掲載基準の変更点を踏まえて、自院のアピールポイントを患者さんたちに伝わるような広告を考えコストを投下しても、どれほどの反響が得られるかはやってみないとわかりません。
若返り・アンチエイジングの集患まとめ
禁止されているとはいえ、若返りもアンチエイジングも集客(集患)には欠かすことのできないキーワードです。限定解除の要件を満たし、ユーザーに優良誤認や有利誤認を与えないように配慮しながら使っていくしかありません。
しかし、Yahoo!広告の「広告掲載基準」が変更となるなど、医療広告など関連法規や広告ツールのアップデートに対応して運用していくのは至難の業。集客・集患のプロなど外部リソースを活用することを推奨します。
医療系ポータルやポジショニングメディアだけでなく、Zenkenには医療広告ほか関連法規の対応やSNSの運用実績も多数ございます。関連法規対応のためのホームページリニューアルなどでお悩みがあれば、弊社のコンサルまでぜひご相談ください。
なお、アンチエイジングの表現については下記でくわしく解説しているので気になるかたは下記をチェックしてください。