金属加工業が取り組むべき営業方法
最終更新日:2024年07月19日
コロナの影響により展示会などでの新規開拓が思うように行かない製造業。これまでの営業方法では新規開拓が難しく、経営状態にも悪影響を及ぼしかねません。金属加工業界も例外ではなく営業における新たな方法を模索していく必要があります。
これからの市場において、金属加工業が生き残るにはどのような営業方法を展開すればよいのかを紹介し、また製造業界全般におけるあらゆる企業経営者が取り組むべきこれからの営業方法についても解説します。
金属加工業の営業力とは
金属加工業の業績を向上させるために必要なのは、「製品力」「営業力」「顧客基盤」「実行力」の4つの要素です。これら4つの要素のうち、製品を売る上で最も必要なのは「営業力」ですが、単に製品を売るだけの力ではありません。「営業力」に関しては、さらに
- 市場(新規顧客)接触力
- 市場調査・関係構築力
に細分化されます。市場(新規顧客)接触力とは、困っている企業に接触する能力を意味し、市場調査・関係構築力とは、市場調査をして、その市場内に存在する企業との関係を構築する能力を指します。つまり、営業力とは単なる「売り込む力」ではないのです。
また、金属加工業のようなBtoBでは、売り込み先は個人ではなく「企業」ですので、すでに明確な予算というものが存在しています。
企業が購入したい設備や部材はすでに決定しています。このような状況で闇雲に売り込みをかけても、企業が動く可能性は低いといえるでしょう。次項ではこのような企業にどのように接触すべきなのかを解説し、その接触方法についても紹介します。
金属加工業で企業と接触力を高める営業方法
プッシュ型営業
プッシュ型営業とは、テレアポや飛び込み営業など、人を介して企業側から押す(プッシュする)営業スタイルのことです。営業スタッフに企業へ訪問させたり、電話をかけさせたりして1件ずつ営業対応します。
そのため、人材コストがかかり、営業スタッフも資料の準備や営業トークを磨くといった労力を必要とします。また、プッシュ型営業の具体的な方法には、主に次のようなものがあります。
プッシュ型営業の具体的な方法
- 訪問営業…プッシュ型営業で外せないスタイルが「訪問」です。1件ずつ自らの足で企業をまわり営業をかけていきます。
- テレアポ営業…ターゲットリストを事前に作成し、1件ずつ企業へ電話をかけていく営業スタイルです。リストを購入すれば営業範囲を広げることもできます。
- ダイレクトメール…郵送でダイレクトメールを送ることも効果的です。アナログですがしっかりと訴求ができます。
プッシュ型営業のメリット・デメリット
メリット
プッシュ型営業のメリットとしては、自社にメリットの高い顧客だけに絞って、営業活動ができるところが挙げられます。そのため実績に繋げられれば、大きく業績アップできる可能性が高まります。
デメリット
逆にデメリットとしては顧客の潜在ニーズの把握が難しいため、一方的な押し売りになる可能性が高くなります。
プル型営業
プル型営業とは、顧客側から企業側に対して接触を試みてもらう営業スタイルを指します。企業側から積極的に「押す=プッシュ」営業スタイルとは対象的に、企業側は「引く=プル」営業スタイルのためプル型営業と呼ばれています。
プル型の具体的な営業方法
プル型営業は主にWeb上で行われることが多くなります。
- オウンドメディア…オウンドメディアは主に自社で保有するメディア全般のことを指します。WebサイトやSNSなどがこれに相当します。
- メルマガ…情報発信として有効なメルマガもプル型営業に含まれます。メールでのコミュニケーションは、もはやプル型営業には欠かせない方法となっています。
プル型営業のメリット・デメリット
メリット
プル型営業は、顧客の方から問い合わせがくるため、接触することに関しては、すでに了承を得ている状態になっていると言えます。企業側があえて色々説明をしなくても、顧客側ですでに理解しているため成約率などは比較的高くなります。
デメリット
一方、デメリットには立ち上げに時間がかかることが挙げられます。検索エンジンにオウンドメディアを認識されるためには時間と労力がかかり「メディアを育てていく」という感覚が必要になります。
金属加工業を含む製造業全般において、近年ではWeb上で業者を探す企業経営者も増えており、この「プル型営業」が現在非常に注目を集めています。
発注企業が金属加工業者を探す理由
では、発注企業が金属加工業者を探す場合、どのようなことに困って、どういった理由から探し始めるのでしょうか。
- コストダウン
- 現状の業者に対する不満
- 製品の増産
コストダウン
「現状のままでは経営が厳しくなる」「利益が減ってきている」など、何らかの理由で企業がコストダウンを図るとき、提携している金属加工業者を見直す可能性があります。
こういった場合、発注業者はWeb上において金属加工業者を色々探し回り、プライス比較検討のため、相見積もりを取る、という行動を取ります。
このようなときに自社がオウンドメディアで比較検討の対象となる内容が記載されている場合、発注企業から問い合わせをもらえる可能性が高まります。
現状の業者に対する不満
「現状の業者が頻繁に値上げをするようになった」「最近品質の低下が著しい」など現状の業者に対する不満が顕著になってきたときに、別の金属加工業者に乗り換える動きが見られるようになります。
また、発注企業が新製品や新サービスの提供を開始するにあたって、現状の金属加工業者では技術的に対応ができない、設備が整っていない、などの理由から乗り換える場合もあります。
製品の増産
発注企業の業績が好調で、製品やサービスの売上が右肩上がりであるときにも、サプライヤーを増やす目的で提携する金属加工業者を増やす場合があります。
こういったときに自社の強みをアピールできていれば、その発注企業に注目される可能性が高くなります。上述事例のように「発注企業が困っている」「金属加工業者を探している」そのようなとき、いかに企業にうまく接触できるかがポイントなのです。
その情報を探す手段が「Web」であり、だからこそWebをフル活用した営業活動を行うことが、金属加工業者を含め製造業全体が生き残る上で非常に重要なのです。
金属加工業の新規開拓で必要なのはWebを活用した営業方法
Webを活用しながら新規開拓を成功へ導くには、次のようなプロセスが必要になります。
- 営業フロー確立
- 新規顧客開拓のリスト作成
- 営業タイミングの把握
- 営業をサポートする体制構築
- 営業マネジメントのデジタル化
- Webコンテンツの作成
営業フロー確立
営業フローを確立し社内で共有できる体制を整えます。先方企業へのアプローチ法や自社案の提案のしかた、訪問する頻度などを取り決め、それに沿った営業活動を行っていきます。
新規顧客開拓のリスト作成
飛び込み営業は成約の可能性が低いばかりか、大変な労力を伴います。従業員には負担がかかり、成約できなければできないほど疲弊していきます。
このような事態を未然に防ぐためにも、予め確度の高い企業をリストアップしておき、新規顧客開拓リストを作成します。
営業タイミングの把握
一見関係なさそうに思える「タイミング」ですが、営業タイミングは成約を取るために非常に重要な要素です。先方企業が求めていないときに営業をしても成約確率はとても低いものとなります。
「欲しいときに与える」というだけでも、何倍も成約率は高くなるものです。先方企業の潜在ニーズや顕在ニーズを日頃から探っておき、うまくアプローチできるタイミングを模索しておきます。
営業をサポートする体制構築
営業をサポートする体制とは言わば「デジタル化」のことです。これまで社内の特定の人間しか成し得なかった作業をデジタル化することで、社内の誰でもできるように体制を構築し直していきます。
営業マネジメントのデジタル化
営業マネジメントは従来、それぞれの営業マンが自分の中に独自に持っていることが多く、営業秘密としてそのノウハウを公にしないことも多いものでした。そのため、今まで社内で共有できるような定型化されたマニュアルが中々なかった現状があります。
しかし、Webの普及により営業マネジメントツールが開発され、営業マネジメントを定型化できるようになってからは、営業の勝ちパターンを社内で共有できるようになったのです。
Webコンテンツの作成
以上のような背景からWebコンテンツ作成に注力する企業が急増しています。自社サイト改修、製品紹介ページの充実化、リスティングやポータルサイトといったWeb広告への出稿など急速に進んでいます。
しかし、自社あるいは自社製品の認知度を上げるべく、上記のような施策を行っても、肝心要の商談や成約に繋がらず、打つべき対策に困っている企業も少なくありません。
そこで、成約に繋がるリードだけを集客する施策として、金属加工業も含めた製造業から注目を集めているのが「ポジショニングメディア」という施策です。
金属加工業でWeb集客に役立つポジショニングメディアとは
ユーザーが求める製品専門メディア
ポジショニングメディアとは、「貴社製品の導入を検討したい」という成約意欲が高いユーザーを集客する、ユーザーが求める製品に特化した専門メディアです。
現状、Web集客の一つとして、リスティング広告などのWeb広告を活用するケースがあります。検索キーワードで上位表示されるため、自社製品をPRするには効果的です。
しかし、今すぐメーカーへ購入の問い合わせをするわけではなく、あくまでも、購入前の「情報収集の手段」として利用するユーザーが多くいるのも事実です。
ユーザーは「どの製品を導入すべきか」が分かる
ポジショニングメディアは、例えば、「3Dプリンター」「レーザー加工機」「ロボットアーム」など、ユーザーが求めている製品をテーマにした専門メディアをオリジナルで制作し開設。その製品に関心があるユーザーだけを集客します。
たとえ、製品知識が少ないユーザーでも、自社に合った適切な製品を簡単に探し出すことができ、どの製品を導入すべきかが判断できます。
また、ポジショニングメディアに掲載する企業にとっても、他社にはない自社製品の「強み」を理解してもらいつつ、製品の強みに賛同したユーザーからの反響が得られるため、成約率の高いリードの獲得が可能です。
ポジショニングメディア導入前と後の違い
ポジショニングメディアから得られる反響は、よくある競合他社と比較される「とりあえず資料請求」のような低い温度感ではなく、「貴社の強みが理解でき導入を検討したいので、もっと詳しく教えて欲しい」といった温度感が高いリードが獲得が集まります。
導入意欲が高いリードが獲得できることで、競合他社との価格競争にも巻き込まれることなく、受注単価の高い成約が実現できます。
これまで主に展示会で新規開拓を行ってきた製造業も、自社単独で実施できるWeb集客施策として、ポジショニングメディアを導入するケースも増えています。その一例として、建設現場で利用される「有孔鋼板」に特化した事例を紹介します。
ポジショニングメディアの導入事例
現場も発注者もよろこぶ設計に。有孔鋼板を知ろう
画像引用元:現場も発注者もよろこぶ設計に。有孔鋼板を知ろう(https://www.perforated-steelplate.net/)
「現場も発注者もよろこぶ設計に。有孔鋼板を知ろう」は、工場や倉庫の床、天井の目隠し材に使われる「有孔鋼板」を専門的に紹介したポジショニングメディアです。「有孔鋼板」のキーワードでSEO対策を行い、現在1位を獲得しています。(2022年1月現在)全14種類ある有孔鋼板を「歩きやすく安全性の高い床」「通気性・採光性のある床」「デザイン性のある外壁」など、発注者の用途に合わせて紹介。有孔鋼板を探しているユーザーがどの製品を購入すべきか、一目瞭然で分かりやすいサイト内容とコンテンツで構成されています。
ポジショニングメディアを導入したことで、「自社製品の良さを理解した上で問い合わせるユーザーが増えた。ほぼ商談化に移行し受注にも繋がった」というお声を頂いております。
「自社でも製品に特化した専門メディアを立ち上げて、成約に繋がるリードを獲得したい」という方には、ポジショニングメディアを詳しくまとめた資料をご用意いたしました。ご興味のある方はこちらからダウンロードして下さい。
本記事のまとめ
コロナの影響によって、主に展示会を中心とした対面での営業活動で思うような成果が出せなくなった今、アフターコロナを視野に入れた展示会に依存しない非対面型のWebを活用したマーケティングの必要性に迫られています。
これまでの営業やマーケティング活動を完全に代替するものではありませんが、従来のマーケティング活動と上手に組み合わせながら、新規開拓の可能性を拡大していきましょう。