製造業(メーカー)の営業戦略を変えるBtoBデジタルマーケティングとは?課題や事例を紹介
最終更新日:2024年04月19日
本記事では、製造業(メーカー)の抱える課題やコロナ禍の業界動向、製造業の営業戦略に重要な役割を果たす新時代のインサイドセールス、BtoBデジタルマーケティングについて解説していきます。
新型コロナウイルス感染症の影響で、観光業や飲食業だけでなく、製造業にもさまざまな影響が出ています。
こういった情勢で対面営業が難しい中、製造業の経営戦略の中核を担う営業戦略はBtoBデジタルマーケティングが最優先課題であるといえます。今後の製造業の市場動向と、BtoBデジタルマーケティング導入方法についてご紹介します。
製造業(メーカー)の今後の市場動向と見通し
2020年6月に公表された経済産業省製造産業局の資料において、製造業の業界動向と今後の見通しについて、下記のような指摘がまとめられていました。
「2020年1-3月期の実質GDP成長率は民間消費のマイナス寄与により、2四半期連続のマイナス成長。製造業の業績は米中貿易摩擦や天候要因、そして新型コロナウイルス感染症の影響を受けて売上高・営業利益の足下の水準、今後の見通しともに弱さが見られる。」
「近年、米中貿易摩擦、英国のEU離脱、保護主義の高まり等、世界の不確実性が高まっている。『不確実性は、新しい常態(ニュー・ノーマル)(ゲオルギエバIMF専務理事)』となりつつある。」
引用元:経済産業省製造産業局「製造業を巡る動向と今後の課題(2020年6月)」
(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/pdf/008_02_00.pdf)
世界各国の政策や通商政策において不確実性が高まり、世界経済が不安定な状況に陥る可能性を示唆しています。これはなにも製造業界に限ることではありません。
ただし製造業の場合、グローバル・サプライチェーン寸断のリスクが浮上すると、一気に構造不況を招きかねないという側面があります。
先にも述べた半導体大手ルネサスの件がいい例です。当初1か月程度で生産再開と見積もっていたものが、さらに長い期間半導体の供給がストップした場合、自動車製造がストップもしくは減産されるという事態になります。
10年前の東日本大震災のときもそうであったように、サプライチェーンの寸断は世界経済に大きな影響を与えてしまうのです。
いま製造業に求められているのは、サプライチェーンの再構築と強靭化であるという実態が浮き彫りになっているというわけです。
製造業(メーカー)もコロナ禍の影響を大きく受けている
画像引用元:経産省「製造業を巡る動向と今後の課題」内資料三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査」(2019年12月)(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/pdf/008_02_00.pdfL)
経産省が作成した資料「製造業を巡る動向と今後の課題」の上記グラフの推移を見てみると、2018会計年度(FY)まで横ばいあるいは増加傾向にあった国内の売上高と営業利益は、2019会計年度には減少傾向に転じています。
今後3年の見通しも、減速傾向が強まっていると考えられることから、アフターコロナを見すえたなんらかの対策が必要であることは間違いありません。
デジタル化やデータ活用にも課題が
画像引用元:経産省「製造業を巡る動向と今後の課題」内資料三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「我が国製造業のデジタル・トランスフォーメーションにおける課題」(2019年12月)(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/pdf/008_02_00.pdfL)
資料は三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)のリサーチデータに基づいて作成されていますが、デジタル化が進めば、エンジニアリングチェーンやサプライチェーンが強靭化され、企業改革力も強化できることがわかっています。
しかし実際には製造工程でデータ収集している企業の割合は2016年の66.6%だったものが、2019年には51.0%に下がっています。またそのデータを実際に役立てている企業の割合も伸びていません。
コロナの影響もあってさまざまな業態がDX(デジタルトランスフォーメーション)への移行を検討している中、製造業界のDXには移行のための環境整備があまり進んでいない中小企業が多いと推察することができます。
※参照元:製造業を巡る動向と今後の課題(2020年6月 経済産業省製造産業局)
製造業(メーカー)の営業戦略の課題
新規開拓の営業タイミングが取りにくい
製造業界では、発注先は基本的に決まっており、新規発注先の開拓には様々なリスクがあるため、慎重にならざるを得ません。
既存の発注先に不具合か不満がない限り、新たな発注先に切り替えるのは難しく、新規契約に結びつけることは難しいといえます。
価格競争に陥りがち
他社と比較できる製品を持つ企業に比べて、製造業の営業は難しいといわれています。製造業は、予め決められた図面を正確に生産する業界です。
安定した品質や期日内の納品は当たりですので、競合他社と差別化しにくい傾向にあります。そのため、価格の安さで提案するケースが多くなり、価格競争に陥りがちです。
紹介営業や展示会などの集客方法が不安定
見直される従来の営業方法
既存の営業方法として、紹介営業、飛び込み営業、テレアポ、展示会出展などがあります。しかし、長年、決められた営業方法が続いてきたため、狭小な範囲でしか開拓ができないデメリットもあります。
時代の変化にともない、こういった営業手法は見直すべきであるという風潮が広まりつつあります。また、コロナの影響で対面しなくてもオンライン上での営業や商談ができる通信ツールが急速に普及しました。
製造業(メーカー)でも注目を集める「BtoBデジタルマーケティング」
緊急事態宣言が解除されたとは言え、以前のように営業活動がすべて対面式に戻るというわけではなく、対面式に徐々に戻りつつも、オンラインを活用した集客や営業活動も、引き続き発展していく流れになるでしょう。そのような中、製造業においても、非対面の営業方法「BtoBデジタルマーケティング」に注目が集まっています。
参照元:モノカク公式サイト「アフターコロナの製造業(サプライヤー)の営業活動について」
製造業(メーカー)の営業戦略にBtoBデジタルマーケティングを取り入れる
コロナのあおりを受けて業界の成長が鈍化してしまっている今、製造業の営業戦略には、BtoBデジタルマーケティングを取り入れることが喫緊の課題であるといえます。
BtoBデジタルマーケティングとは、WebサイトやSNSなどのデジタルコンテンツを、スマホやPCを活用して行なう、オンライン上のマーケティング活動の総称です。
近年では、分析や情報発信などのオンライン業務をマーケティング部門が行い、提案やクロージングなどのオフライン業務を営業部門が行なうといった分業化が進んでいます。
半導体メーカーなどでもマーケティング部門拡充のための人材採用や育成に力を入れている企業が増えており、製造業のマーケティング分野で即戦力が求められている状況です。
製造業(メーカー)の営業戦略におけるBtoBデジタルマーケティングを導入するには?
「プル型」営業スタイルを確立する
BtoBデジタルマーケティングの営業は「プル型」です。プル型とは、自社サイトやブログ記事など、オンラインコンテンツを企業側で作成し発信し、そのコンテンツを見て、製品を導入したい、あるいは導入を検討したい、という見込み顧客を集める営業スタイルです。
従来のような見込み顧客に、飛び込み営業をかけたり、テレアポをしたりなど、企業側から営業をかける「プッシュ型」とは異なる、押しつけがましさのないBtoBデジタルマーケティングならではの営業方法です。
飛び込みやテレアポ営業で心身共に負担がかかり退職していく営業スタッフも少なくありません。そのような現状を回避する営業方法としても、プル型営業が確立できるBtoBデジタルマーケティングに移行する企業が急増しています。
テレアポだけの営業は非効率!
Webでできる効率的な営業方法とは?
実際にBtoBデジタルマーケティングの手法を取り入れる
自社サイト運用
製造業の製品をアピールする上で、自社サイトの運用は必要不可欠です。特に製造業を含むBtoB業界においては、製品導入が検討される際、他社製品と比較される傾向にあります。
自社の特徴や製品紹介、導入実績などをスピーディーに伝達できるページ構成やデザイン設計が必要です。もしも、現状サイトが閲覧者にとって使いにくい仕様なら、自社サイトのリニューアルも検討しましょう。
マーケティングオートメーション(MA)活用
マーケティングオートメーションとは、マーケティング活動を自動化するツールのことです。主に「顧客情報の収集・蓄積」「見込み顧客の育成」「マーケティング施策の分析」などを目的として活用します。
つまり、将来的に、自社製品を利用する可能性がある見込み顧客に対し、購入意欲を起こすコンテンツを配信し続けるマーケティング活動を自動的に行う仕組みです。
見込み顧客の選定は、リアルイベントや展示会、ネット上のリスティング広告の流入履歴などの情報を収集して選別を行います。
リスティング広告運用
リスティング広告とは「検索型連動広告」とも呼ばれ、ユーザーが入力した検索キーワードに関連した広告を自動的に表示します。
Google・Yahooなどの上ブ検索サービスにおいては、検索キーワード以外にもユーザー自身の登録情報から年代・性別を分析し、アクセス履歴に合わせて興味関心に合致する広告を表示できます。
動画マーケティング活用
動画マーケティングを活用して製品の魅力を動画を使って発信します。ネット上の通信環境が格段に向上したことで、今ではパソコンやスマホでも高画質な動画が視聴できます。
世界最大のプラットフォームであるYouTubeはもちろんこと、自社サイトや、Facebook、Twitter、インスタグラムといったSNSツールなど、あらゆる利用者への配信が可能です。
CPQシステムの活用
CPQシステムを活用することで、営業工程では欠かせない見積の提出リードタイムを短縮し、1人当たりの営業可能社数を増やすことも可能です。CPQシステムについてはこちらの記事で解説してますので、製造業の営業戦略の1テーマに営業効率の効率化が視野にあるのであれば、CPQシステムを検討してみてください。
製造業(メーカー)の営業戦略まとめ
コロナの影響を受ける昨今において対面営業が難しい中、製造業の営業戦略にはWebを含めたBtoBデジタルマーケティングを取り入れることが必要不可欠です。
BtoCであっても、BtoBにおいても、顧客が欲しい製品情報を集める主な手段はWebです。製品を広く認知させたい企業にとって、リスティング広告、SNS広告、YouTube動画、ポータルサイト広告、メルマガ、自社サイトなど、伝える手段は実にさまざまです。
しかし、これまでいろいろとWebで広告活動を行ってきたものの、
- 獲得したいお客様からの問い合わせが少ない…
- 問い合わせがあっても、競合他社と比較される資料請求ばかり…
- そもそも、問い合わせ自体がない…
など、BtoBデジタルマーケティングを活用した営業戦略を立てて実行してみたものの、「期待していた成果が得られない…」、あるいはBtoBデジタルマーケティング戦略の立て方を学んでも、「どのように実行に移せば良いのか分からない…」というマーケティング担当者の方も少なくありません。
Zenkenは、「クライアントの最終成果の追求を第一」にWebマーケティングを支援している会社です。これまで製造業(メーカー)を含む120業界以上での実績があり、業界の特性に合わせたWebを活用した営業戦略の立案してきました。
成約率が3%のリードしか取れなかったのが、成約率40%のリードが獲得できている事例もあります。
詳しくはこちらのページをご覧ください。