「製造拠点が複数あるため、適正な価格や数量で間接材を仕入れるのが難しい」「本部で仕入れているものの、納品が滞るケースが頻発している」など、購買管理で課題を抱える製造企業は少なくありません。このような課題を解決する方法として、昨今、注目を集めているのが購買管理システムです。
この記事では、製造業における購買管理の重要性や、管理をスムーズにする購買管理システムを紹介します。
製造業向けの購買管理システム一覧表
製造業で購買管理システムの導入を検討中の方のために、導入可能な購買管理システムを紹介します。必ずしも製造業に特化しているものではないですが、製造業の企業にも導入されているシステムを選びました。システムによって搭載機能がそれぞれ異なりますので、各システムの特徴を参考にしながら、自社のニーズに合ったシステム選びにご活用ください。
会社名 | サービスの特徴 |
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ビズネット |
大手~中堅企業の実績が豊富!有名サプライヤー商品が特別価格で購入可能
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PROCURESUITE(プロキュアスイート) |
カタログサイトと連携でき間伐材のコスト削減 |
購買管理プラットフォーム |
連携サプライヤーの商品の横断検索に対応 |
BtoBプラットフォーム TRADE(トレード) |
電子署名やタイムスタンプを付与可能 |
クラウド型間接材調達支援サービス |
支出を見える化させ購買業務プロセスを改善 |
トラミル |
ハイブリッド型の購買ソリューション |
Hi-PerBT 購買管理 |
自社開発による拡張性の高さ |
SOLOEL(ソロエル)購買システム |
物品材もサービス材も管理可能 |
製造業における購買業務のフロー
企業によって大なり小なり違いがありますが、購買業務は以下のようなフローに沿って行われます。
(1)取引先の選定・見積依頼
安定した仕入れのために、自社の条件に合うサプライヤーを選定することが大切です。価格の妥当性を判断するに、複数の取引先に見積を依頼します。
(2)価格や納期の比較・発注
価格・納期で取引先を比較検討します。取引先が確定したら購買内容を確認し、契約を締結させます。
(3)納期管理
納期の確認や、トラブルが起きた場合の体制構築をする必要があります。適切な納期を設定し、スケジュールを管理して工程通りに進めることが大切です。
スケジュールを遵守するには、サプライヤーとの協力体制の強化が必要です。ふさわしいタイミングで適量を生産現場に届けられるようにします。
(4)入荷・検収・検査
納品物や数量に不足がないか、不備がないかなど欠品や品質面に問題ないかどうかを確認します。上記は検収段階でしっかりチェックしておくことが重要です。
(5)支払い
購入先から請求書を受け取ったら、経理部門で確認に移ります。仕入れ金額、明細、支払いの締切日などを確認し、経費精算の処理を行います。
製造業の購買業務で起こり得る問題とは?
購買情報が共有されない
購買業務では、購買情報が共有されないことで全体的なコストや在庫量を把握しにくいという問題があります。例えば、各工場で資材を分けて仕入れている場合、各拠点に近いサプライヤーから仕入れるケースが多いと言えます。
仕入れ先・納品先が異なる場合は、いつ何をどのくらいの量、どの価格帯で仕入れているのかが分からず、資産を上手く活用することができません。
購買管理が疎かになる
発注先が複数ある場合、購買管理が難しくなり、適正価格で仕入れることが難しくなります。割引価格やセット販売価格が適用になるケースでも見落として、高い価格で仕入れているケースが少なくありません。特に、サプライヤーで見積書や発注書が異なる場合があるので、管理に膨大な時間がかかるほか、管理が疎かになるリスクがあります。
問題解決のための対策について
製造業で購買業務の問題解決を図るなら、以下の改善策を試してみてはいかがでしょうか。購買管理が上手くいかない企業や、在庫不足や過剰在庫、仕入れ価格の高騰などで悩んでいる企業は、ポイントを押さえたうえで購買管理を行ってみてください。
(1)購買業務の集約する
購買管理をスムーズに行うには、購買業務を集約化させることが大切です。仕入先や手順をある程度統一化させ、購買データを活用できる状態をつくります。ただし、購買データを一元化するあまり、仕入れ先を一本にするのは危険です。
一定量を分散させて仕入れないと、特定のサプライヤーから仕入れられなくなった時に、製造できなくなるリスクがあります。サプライヤーと共倒れになる恐れがあるため、リスクを考慮しながら集約化させることが大切です。
(2)各事業所の購買を可視化する
各事業所の判断で仕入れている場合、購買データを集約し可視化させることが重要です。各事業所がどのくらいの価格でどのくらいの量を仕入れ、何個消費して在庫はいくつ余っているのか、実質的な赤字に陥っていないか確認できる体制を構築します。
購買データを統合すれば、事業所単体ではなく、事業所全体のお金の流れが分かるようになります。他の事業所と比較して赤字が出ているなら、適正な仕入れ量や頻度に見直す必要があります。
上記の(1)と(2)を実現させるためのツールが、購買管理業務を効率化させる「購買管理システム」です。
業務改善を推進する購買管理システム
購買管理システムとは、購買管理を効率的に行うためのツールです。購買に関わる各工程を管理することで、適量を必要なタイミングで、適正価格で購入できるようになります。
製造業においても購買管理システムを活用すれば一連の流れを可視化でき、必要なプロセスを自動化するので購買管理の作業負担が軽減します。
購買管理システムを導入するメリット
購買管理システムを導入すると、管理にかけていた時間を削減でき、データの一元化により、必要な量を適切なタイミングで仕入れられてコストカットにつながります。また、フローが自動化され、入力作業が楽になり人為的なミスを防げるようになります。データをもとに購買プロセスを改善すれば、過剰在庫や販売機会の損失を防止することが可能です。
購買管理システムの主な機能
購買管理システムの主な機能を以下にまとめました。選定時は自社に必要な機能を明確にしたうえで、条件を満たす購買管理システムを導入しましょう。
- 購買計画:材料・部品の購入計画を管理
- 仕入先管理:過去の取引データ・購買予定など仕入先情報を管理
- 取引契約:契約書をシステム上に保管・管理
- 発注管理:仕入先に発注したデータを管理
- 価格管理:過去の取引価格を管理
- 納期管理:製造物のステータスを可視化させてスケジュール管理
- 品質管理:品質基準を満たしているかを管理
- 検収支払管理:納品後の検収・支払いフローを管理
製造業向け購買管理システムの費用相場
購買管理システムを導入する際には、その費用相場を把握しておく必要があります。購買管理システムの費用相場は、製品や提供形態、導入規模やカスタマイズの有無などによって大きく異なります。一般的には、以下のような費用がかかります。
初期費用
システム導入に必要なハードウェアやソフトウェアの購入費用や、導入支援やカスタマイズなどのサービス費用です。クラウド型の場合はハードウェアの購入費用が不要ですが、オンプレミス型の場合は数十万円から数百万円かかることがあります。また、導入支援やカスタマイズなどのサービス費用も、導入規模や内容によって変わりますが、数十万円から数百万円程度と考えられます。
月額費用
システム運用に必要なサーバーのレンタル料やメンテナンス料などの継続的な費用です。クラウド型の場合は月額費用が主な費用となりますが、オンプレミス型の場合もメンテナンス料などがかかります。月額費用は、利用者数や機能数などによって変わりますが、数千円から数万円程度と考えられます。
以上から、購買管理システムの費用相場は、初期費用と月額費用を合わせて年間で数十万円から数百万円程度ということになります。ただし、これはあくまで目安であり、製品や提供形態、導入規模やカスタマイズの内容によって大きく異なることを念頭に置いてください。
購買管理システムの選び方
購買管理システムを導入する際には、自社のニーズに合ったシステムを選ぶことが重要です。購買管理システムを選ぶ際には、以下の3つのポイントに注意しましょう。
- 購買対象となる物品やサービスの種類
- 購買方法やプロセスの特徴
- 既存システムとの連携性
購買対象となる物品やサービスの種類
製造業では、直接材と呼ばれる製品を作るために必要な部品や原材料だけでなく、間接材と呼ばれる事務用品や消耗品なども購入することがあります。また、人事サービスやITサービスなどのサービス材も購入する場合があります。
購買管理システムは、これらの物品やサービスを取り扱えるかどうかによって異なります。一部のシステムは間接材やサービス材に特化しており、直接材を扱えない場合があります。逆に、直接材に特化したシステムもあります。自社が主に購入する物品やサービスの種類を把握し、それらをカバーできるシステムを選びましょう。
購買方法やプロセスの特徴
製造業では、発注先と長期的な契約を結んで定期的に発注する場合と、都度見積もりを取って発注する場合があります。また、発注から納品までの時間や承認フローも業種や企業によって異なります。
購買管理システムは、これらの購買方法やプロセスに対応できるかどうかによって異なります。一部のシステムはカタログ購買(定期購買)に特化しており、見積もり依頼(スポット購買)ができない場合があります。一方、見積もり依頼に特化したシステムも存在します。自社が主に行う購買方法やプロセスを把握し、それらに適したシステムを選びましょう。
既存システムとの連携性
製造業では、在庫管理システムや生産管理システムなどと連携して購買管理を行うことがあります。また、会計システムやERPなどとも連携して支払いや経理処理を行うことがあります。
購買管理システムは、これらの既存システムとの連携ができるかどうかによって異なります。APIやCSVなどの連携方式を提供しており、簡単にデータのやり取りができるシステムもあれば、そのような連携ができないシステムもあります。自社が利用している既存システムとの相性を確認し、スムーズに連携できるシステムを選びましょう。
製造業の購買管理システム導入でよくある質問
Q1.購買管理システムにはどんな機能がありますか?
購買管理システムの主な機能として、「購買計画」「仕入先管理」「取引契約管理」「発注管理」「価格管理」「納期管理」といった機能が備わっています。
Q2.購買管理システムを導入するメリットは何ですか?
購買管理システムを導入すると、管理にかけていた時間を削減でき、データの一元化により必要な量を適切なタイミングで仕入れられてコストカットにつながります。また、フローが自動化され、入力作業が楽になり人為的なミスを防げるようになります。
まとめ
製造業向けの購買管理システムの種類は様々で、目的や用途によって導入すべきシステムは異なります。複数の拠点で、複数の仕入先から購入する場合は、リスク分散ができるような機能や、価格比較ができる機能があると便利です。
- 免責事項
- 本記事は、2023年2月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。