2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、現場の残業削減や業務効率化は以前にも増して重要な課題となっています。
実際、国土交通省の資料(※)によれば、建設業の年間総実労働時間は全産業平均より約300時間多いというデータがある通り、厳しい労働環境であることが現状です。
こうした背景から、紙の書類や属人的なノウハウに頼るやり方を見直し、短工期・多現場対応を効率化できる施工管理アプリの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、施工管理アプリによる現場DXのメリットや、おすすめのツールを比較・解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
※参照元:国土交通省「所定内労働時間及び所定外労働時間の推移」https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/var/rev0/0119/7581/kc.pdf
施工管理アプリがもたらす効果と導入事例

施工管理アプリにはどのような効果が期待できるかをまとめました。また、実際に施工管理アプリを導入して成果を上げている3社(サクミル・ANDPAD・コンクルーCloud)の事例を通じて、どのような効果が得られるのかを具体的にご紹介します。
1. 施工管理アプリ導入で得られる主な効果
(1)情報の一元管理・検索時間の削減
- 紙やメール、個人PCに分散していた図面・写真・見積書・発注書などのデータをアプリで一括管理
- 「どこに保存したか分からない」という属人的な課題を解消し、情報探索の時間を70~80%削減した事例あり
(2)リアルタイムな工程・原価管理
- 現場の進捗や受発注の状況を常に把握でき、工程遅延の早期発見や粗利率の見える化が可能
- 作業が属人的にならず、誰でも現場の状況をカバーできる体制を構築
(3)コミュニケーション効率向上
- チャット機能や写真共有、電子黒板などを活用して「言った・言わない」のトラブルを防止
- 協力会社や職人との連絡をオンライン化し、移動時間や電話・FAXの手間を大幅に削減
(4)顧客満足度アップ・クレーム対応の迅速化
- 工程ごとの写真や検査結果をしっかり残せるため、「本当に3回塗ったの?」といった疑問に即答できる
- 施主や管理組合への報告をスムーズに行い、リピート受注や紹介につながるケースも多数
(5)若手育成・人材定着
- 図面や過去の修正履歴、注意点をクラウド上で共有し、新人がベテランのノウハウを学びやすい
- OJTが効率化され、教育コストの削減や離職率の低下に貢献
2. 課題別に見る施工管理アプリの導入事例
1. 低コスト&簡単操作で、事務作業を劇的に減らしたい
こんな悩みはありませんか?
- Excelや紙ベースで案件・スケジュールを管理していて、書類作成や写真整理が煩雑
- ITツール導入にコストをかけられないが、残業を減らしたい
- スタッフにPC操作が苦手な人も多く、複雑なシステムは導入しづらい
▼ サクミルの導入事例
- 月額4,000円~という低コスト&シンプルな操作感が特長。
- Excelやホワイトボード管理からの移行で、紙の書類探しや報告書作成の時間を大幅に削減。
- 報告書作成や写真管理を一元化し、残業時間が半分以下になったという声も。
2. 大規模修繕・リフォームで粗利率を上げたい&多機能をフル活用したい
こんな悩みはありませんか?
- マンション管理組合やリフォーム案件を複数抱え、情報が属人化している
- 工程管理だけでなく、原価管理や受発注、粗利率の把握まで行いたい
- 協力会社や施主へのレポートが手間で、クレーム対応に追われがち
▼ ANDPADの導入事例
- 施工管理、チャット、受発注、粗利管理など幅広い機能を備え、大規模修繕やリフォーム案件に強み。
- 写真や図面をクラウドで共有し、検索時間を70~80%削減した事例も。
- 引合粗利管理で粗利率が5~10%改善した企業も多数。
3. 小規模建設会社がオールインワンでDX化したい
こんな悩みはありませんか?
- 社員数が少なく、1人が複数の業務を兼任していて手が回らない
- 受発注、見積・原価管理、顧客管理、写真共有など一通りの機能が欲しい
- 協力会社も巻き込んで、一括で効率化を進めたい
▼ コンクルーCloudの導入事例
- 月額9,900円~で見積・原価管理、施工管理、受発注などを網羅。
- 協力業者は無料で利用できるため、受発注双方の手間が激減。
- 小規模工務店で「書類探しや事務作業が激減し、利益率も上がった」などの報告多数。
以上のように、まずは「自社の課題はどれか?」を考えながら自社にとって最適な施工管理アプリを選ぶと、現場DXがスムーズに進み、残業削減や品質向上にも大きく寄与します。
施工管理アプリの主な活用シーンと 施工管理アプリ3選
施工管理アプリは、短期工事を効率化するタイプから、大規模現場のDXを推進するタイプ、また、小~中規模の業務をオールインワンで網羅するタイプまで様々です。
ここでは、それぞれに強みを持つ3つのアプリを例に挙げ、どんな活用シーンにマッチするかを比較表で整理しました。自社がどの課題を優先したいかをイメージしながら、表をご確認ください。
低コストでさくっと
導入したいなら

サクミル

- 月額4,000円~:低コストプラン
- 短期工事向け:出面&スケジュールをシンプル管理
- 2ヶ月無料で導入ハードルが低い
- 事務作業時間を大幅カット→現場回りや営業に注力できる
- 短期案件が多い企業ほど導入効果◎
経営レベルの
効率化を狙うなら

ANDPAD

- 施工~経営全体をカバーする多機能
- 21万社超の導入実績と豊富なAPI連携
- 受発注~検査まで1つに集約
- 情報集約で伝達ミスゼロ→工程遅延&原価ロスを削減
- 経営数値の可視化で戦略立案がスピードUP
主要アプリ6選比較表
サービス名 | 概要 / 特長 | 料金・無料トライアル | 向いている規模・業態 | メリット |
---|---|---|---|---|
サクミル |
・短期工事・多現場向けに出面管理・スケジュール管理をシンプル化 ・月額4,000円(税不明)で30アカウントまで利用可 ・写真台帳や日報の作成がスマホで完結 |
・月額4,000円(税不明) / 30アカウント ・初期費用0円、2ヶ月無料 ・追加アカウントなどは要問い合わせ |
・小~中規模のリフォーム・設備工事など「短期案件が頻繁な企業」におすすめ └ 短期工事で頻発する工程変更や出面管理をリアルタイム共有でき、職人のスマホ操作も簡単なため |
・業界内でも低価格で導入ハードルが低い ・短期案件の工程変更や写真管理をスピーディに共有しやすい ・職人がスマホでアップ→台帳化などラクに運用できる |
ANDPAD |
・建設業界シェアNo.1規模(21万社超)のクラウド施工管理 ・写真・図面・検査・受発注・原価管理など多機能を網羅 ・大規模案件や協力会社多数の現場で力を発揮 |
・初期費用+月額費用+オプション(要見積) ・導入サポートは充実 ・無料トライアルはなし(デモあり) |
・中~大規模工務店やゼネコン、リフォーム会社で「管理項目が多く協力会社数も多い企業」におすすめ └ 多機能が活きるほど情報量が多い現場向き。原価・検査など経営指標まで一貫管理でき、組織全体でのDX推進に寄与 |
・豊富な機能により現場~経営までクラウドで一元管理 ・API連携可能、規模が大きいほどメリット大 ・カスタマーサクセスが導入時を強力サポート |
コンクルーCloud |
・見積~原価・受発注をオールインワン化 ・月額9,900円~(税不明)で小~中規模会社向き ・Excel管理脱却に強み |
・月額9,900円~(税不明) / 協力業者無料 ・14日無料トライアル ・プランによりカスタマイズ |
・小~中規模の工務店・リフォーム会社で「見積書や発注書をExcel管理していて手間がかかる企業」におすすめ └ 原価管理と帳票作成をクラウドで一体化し、利益率をリアルタイムで把握できるためコストダウンを実現しやすい |
・低コストで業務全般(見積・原価・受発注)を一本化 ・協力業者無料アカウントで外部巻き込みしやすい ・二重入力や紙管理を大幅削減 |
現場一番 |
・施主参加型施工管理アプリ(工程・写真・チャットなど) ・工程変更を施主と共有し、顧客満足度アップを狙う ・売上規模別プラン制(月額1万円台~3万円台) |
・ライト:月額10,780円(税込)~ ・スタンダード:21,780円(税込)~ ・14日無料トライアルあり |
・リフォーム・リノベーションなど「施主にも工事の進捗をリアルタイムで見せる企業」におすすめ └ 工程変更が多い業態でも、施主とのコミュニケーションを円滑にし、施主満足度を上げる仕組みが用意されている |
・施主への工程見える化が容易 ・チャット・写真・スケジュールがオールインワン ・顧客視点の情報公開でロイヤルティ向上 |
現場ポケット |
・トーク・日報・出退勤・写真管理を1つに集約 ・月額11,880円(税込)でアカウントやデータ容量が無制限 ・写真報告や日報重視の業種で評価される |
・初期費用0円 ・月額11,880円(税込) ・最大2ヶ月の無料トライアルやセミナー |
・塗装や設備工事など「写真撮影や日報作成の頻度が高く、現場監督数が数十名程度」の事業者におすすめ └ 操作がシンプルで、職人も含め無制限に利用できるため、日報管理の効率化や報告スピードアップが重要な企業 |
・固定料金で使い放題、アカウントや現場数に制限なし ・簡単操作で現場がすぐ慣れやすい ・日報作成や写真台帳化が手軽に進む |
ダンドリワーク |
・2013年創業の施工管理アプリ先駆け ・写真・工程表・受発注・原価管理など多彩 ・サポート体制が手厚く、1社1社に導入支援してくれる |
・初期費用20万円~+月額費用15,000円~+オプション(税不明) ・問い合わせベースでデモ・説明会 |
・小規模~大規模まで幅広くカバーしたい企業におすすめ └ 権限設定や多機能を活かし、現場+経営レベルでしっかりDXしたい場合に向く。サポートを通じて協力会社巻き込みも成功しやすい |
・業界先駆けで実績豊富 ・小規模から大規模案件まで幅広く運用 ・カスタマーサクセスが社内外導入を強力にフォロー |
施工管理アプリ一覧表
会社名 | サービスの特徴 |
---|---|
サクミル |
月額4,000円/30アカウント!低コストでシンプルな操作アプリ
|
ANDPAD |
利用社数21万社、ユーザー数55万人!建設業界のDX化はこれ1つでOK
|
コンクルーCloud |
施工管理だけでなく、職人探しも可能!受注機会を逃さないツール
|
現場一番 |
リアルタイム動画の機能付き! |
現場ポケット |
塗料メーカーが開発!塗装業者の使いやすさに特化 |
ダンドリワーク |
導入前後のサポートが充実!1,700回の説明会を開催 |
SITE |
専門工事・短工事・小規模組織向けのシステム |
蔵衛門 |
写真や黒板、図面の共有で見える化を促進 |
クラフトバンクオフィス |
企業と現場をサポートする経営管理システム |
Kizuku |
無駄・無理・ムラを最小限に抑える豊富な機能 |
SPIDERPLUS |
タブレットだけで完結!情報共有しやすいクラウド型 |
デキスパート |
必要な機能を選べるオリジナルシステム |
エニワン |
豊富な経験から生まれた使い勝手の良さが特徴 |
LIXIL現場情報共有システム |
大手企業が提供する建設現場向けの管理アプリ |
KANNA |
セキュリティレベルに合ったオプションで不安を解消 |
Photoruction |
撮影した写真を自動整理!スピーディni情報共有 |
クラフタ |
使いやすいメッセージ機能で職人さんも簡単操作 |
CONOC現場管理クラウド |
元工務店が開発した「痒い所に手が届く」アプリ |
施工管理アプリとは
施工管理アプリとは、建設現場や工事現場などの施工管理を効率化するためのソフトウェアやアプリケーションです。建設業者や工事業者が、作業の進捗状況や資材の管理などを含むプロジェクトを効果的に推進したり、コミュニケーションの円滑化などを図ったりするのに役立ちます。
施工管理アプリの主な機能

施工管理アプリの主な機能は以下の通りです。
機能 | 説明 |
---|---|
稼働管理 | 作業スタッフの稼働状況を管理するための機能 |
工程表の作成や共有 | エクセルで作成した工程表をクラウド管理できる機能 |
図面などの資料管理 | 現場で撮影した写真や図面などの資料をメンバーで共有できる機能 |
日報作成 | 案件ごとの日報作成が簡単に行える機能 |
営業管理 | 受注している案件の情報を一覧で管理する機能 |
チャット機能 | 建設プロジェクトにおいて、関係者間でリアルタイムにコミュニケーションを取るための機能 |
施工管理アプリ(現場管理アプリ)のメリット
そもそも施工管理アプリを導入するメリットを把握していなければ、導入の意味が分からないことも。施工管理アプリを導入することで、業務効率化や顧客満足度アップなどのメリットがあります。
工事の納期順守や品質確保
施工管理アプリを活用すれば情報が共有できるため、工事の状況把握がしやすくなり、細かな内容であればチャットでも相談可能です。情報一元化することで、情報の抜けなどもしにくくなるなどトラブル防止にも貢献。情報の連携が図れることによって、納期の遵守・品質管理などの効果も得られます。
業務効率化アップ
あらゆる情報が一元管理されることによって、情報はアプリ内で共有することができ、リアルタイムに最新の情報が反映されます。また写真の共有も可能なため、わざわざ現場に足を運び確認する手間もなく、大幅に手間を省けるといった効果が期待できるのです。
人手不足などの課題を抱えている建築業界において、業務効率化アップは導入において大きなメリットとなります。
顧客満足度アップ
施工管理アプリを使用することで、業務効率化・工期の順守・短縮化などに繋がり、顧客にとっても大きなメリットになります。また顧客への報告頻度を増やすことで、顧客の安心感も図ることができ、信頼性向上にもつながるのです。
無料の施工管理アプリ
施工管理アプリの中には無料で使えるものもあります。業務効率のために施工管理アプリを導入したいが、予算的に厳しいという企業は無料のアプリを使うこともおすすめします。 しかし、最初は無料でもオプションなどで費用がかかってしまう課金タイプのアプリもあるので注意が必要です。
施工管理アプリ導入に関するよくある質問
Q1.施工管理アプリってどう選ぶの?
施工管理アプリと言っても、アプリによって搭載されている機能や使いやすさなどが異なります。そのため自社にあったアプリを選ばなければ後悔する恐れも高いので注意が必要です。作業現場のシステムと連携が図れるかどうか、必要な管理機能が搭載されているかどうか、使いやすさはどうか、利用人数・アカウント数などを必ずチェックしてください。
施工管理アプリによっては無料でお試しできるタイプもあるので、不安であれば無料お試しをしてみることも大切です。
Q2.施工管理アプリのタイプとは?
施工管理アプリと言っても「現場の管理に特化したタイプ」と「経営管理の機能も含むタイプ」があり、そのほか「特定の業種に強みがあるタイプ」「無料で使えるタイプ」などに大きく別れています。
どのタイプが良いという訳ではなく、自社の状況や目的に応じて選ぶことが大切です。
たとえば現場をスムーズにしたいなら、機能がシンプルで操作性のよい特化タイプのアプリを導入するのがいいでしょう。経費をかけたくなくのであれば無料のアプリが検討されると思いますが、無料版は機能が限られているので求める機能が搭載されているかチェックしなければなりません。また事業範囲が多岐にわたっているなら幅広い業種で活用できるタイプの方が便利です。業種ならではの進め方などの特徴があるなら、特定の業種に強みがあるタイプの方が向いています。
Q3.施工管理アプリの導入費用は?
施工管理アプリは無料で使えるものから、数千円・数万円・数十万円まで非常に費用の幅が大きくなっています。必ずしも高ければ良いという訳ではなく、自社が求める機能が搭載されているかどうかが重要です。
また月額費用だけでなく、初期費用・オプション費用が発生するケースもあります。そのため気になるアプリがあれば追加費用がないかどうかなども、しっかりと費用面を確認してください。
施工管理アプリに関するまとめ
施工管理アプリは、建築現場などの業務効率化を図るうえでは必要不可欠なツールといえます。とくに建築現場では慢性的な人材不足もあり、業務効率化は喫緊に解決したい課題の一つです。
自社に合った機能を搭載した施工管理アプリを選ぶことによって、自社だけでなく顧客にとっても様々なメリットが期待できます。数多くのアプリがあるので、複数のアプリを比較・検討しながら自社にマッチした施工管理アプリを選ぶようにしてください。
施工管理アプリの主な活用シーンと 施工管理アプリ3選
施工管理アプリは、短期工事を効率化するタイプから、大規模現場のDXを推進するタイプ、また、小~中規模の業務をオールインワンで網羅するタイプまで様々です。
ここでは、それぞれに強みを持つ3つのアプリを例に挙げ、どんな活用シーンにマッチするかを比較表で整理しました。自社がどの課題を優先したいかをイメージしながら、表をご確認ください。
低コストでさくっと
導入したいなら

サクミル

- 月額4,000円~:低コストプラン
- 短期工事向け:出面&スケジュールをシンプル管理
- 2ヶ月無料で導入ハードルが低い
- 事務作業時間を大幅カット→現場回りや営業に注力できる
- 短期案件が多い企業ほど導入効果◎
経営レベルの
効率化を狙うなら

ANDPAD

- 施工~経営全体をカバーする多機能
- 21万社超の導入実績と豊富なAPI連携
- 受発注~検査まで1つに集約
- 情報集約で伝達ミスゼロ→工程遅延&原価ロスを削減
- 経営数値の可視化で戦略立案がスピードUP
- 免責事項
- 本記事は、2023年10月時点の情報をもとに作成しています。掲載各社の情報・事例をはじめコンテンツ内容は、現時点で削除および変更されている可能性があります。あらかじめご了承ください。