BtoBマーケティングに必須な「ファネル」の考え方
最終更新日:2022年03月07日
マーケティングに携わる方なら、「ファネル」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。マーケティングファネルをBtoBビジネスに合った形で活用すると、顧客がどのような過程で「購買」にたどり着くかを可視化でき、分析によって課題抽出や改善がしやすくなります。
本記事では、BtoBマーケティングにおけるファネルの考え方や重要性について詳しく解説していきます。
マーケティングファネルとは?
マーケティング用語としてのファネルとは、英語で「漏斗(ろうと)」を意味しています。逆三角形のような形をしており、消費者の購買までの意識や行動までの動きを図式化したものです。
一般的なマーケティングファネルは、逆三角形の一番下が「購買」や「行動」となっている「パーチェス・ファネル」です。しかし、最近では情報の多様化とともに、さまざまな形のファネルが現れています。
下記には、BtoBマーケティングにおいて3つの主要なマーケティングファネルを一つずつ紹介していきます。
パーチェス・ファネル
漏斗のような逆三角形の形をしている一般的なファネルです。パーチェス(Purchase)は英語で「購買」という意味を持つため、「購買ファネル」とも呼ばれます。上から順に
- 認知
- 興味・関心
- 比較・検討
- 購買・申込
と、消費行動の段階に従って、見込み客の母数が減っていく様子を表しています。
マーケティングの世界で「ファネル」というと、まずこのパーチェス・ファネルを思い浮かべる人も多いでしょう。BtoB商材においても、このパーチェス・ファネルを用いて自社のマーケティング活動を分析したり、新しい施策を考案したりします。
より多くの見込み客に自社商品を「購買」してもらうには、ファネルの各段階に合ったマーケティング施策が必要です。たとえば認知段階では、BtoBもBtoCも一般的な広告やSEO対策が有効です。一方、比較検討段階ではBtoBマーケティングの場合、ホワイトペーパーや役立ち資料といったマーケティング施策が効果的でしょう。
パーチェスファネルをうまく駆使しているだけでも、自社商品の売り上げが十分に伸ばせられます。しかし、インターネットでユーザーの情報共有がしやすくなり、ブランディングなどが注目されてきている現代において、「購買」で終わるファネルはもう時代遅れと言われているケースも少なくありません。
そこで出てきたのは、ファネルの従来の概念を拡張した「インフルエンス・ファネル」と「ダブル・ファネル」の考えです。
インフルエンス・ファネル
パーチェス・ファネルとは反対の、三角形の図式がインフルエンス・ファネルです。一番下の「発信」が大きく、次に「紹介」頂点が「継続」の三角形になっています。
インフルエンス・ファネルはパーチェス・パネルとは異なり、顧客の消費行動までのフェーズではなく顧客の購買後の行動を表しています。
ネットやSNSが普及し、誰でもが情報を簡単に発信できる時代において、自社の顧客がレビューや口コミなどを通じて自社商品の広告塔となりえます。インフルエンス・ファネルは、自社商品を「継続」して利用しているユーザー(自社のファン)が商品を他のユーザーに「紹介」し、自社の良さを「発信」するメカニズムを図式化したものです。
ネット上の口コミやレビューというと真っ先に思い浮かぶのはアマゾンや食べログのようなECサイトです。そのためインフルエンス・ファネルは「BtoC向け」として捉えられがちですが、実際にはBtoBマーケティングでも有効です。
ダブル・ファネル
ダブル・ファネルとは、パーチェス・ファネルとインフルエンス・ファネルを組み合わせて顧客行動を総合的に分析し、より大きな効果を生み出そうとする捉え方です。
消費者が購買を検討する際の参考情報として、ネット上のレビューや口コミが影響を及ぼすようになりました。SNSでの発信やネット上の紹介によって商品の認知を拡大できれば、そのあとの検討の後押しもできるようになると考えられています。
ダブル・ファネルは、さらに以下4つの段階で分けられます。
- プロモーションフェーズ
- アクイジションフェーズ
- リテンションフェーズ
- インフルエンスフェーズ
プロモーションフェーズとは、商品・サービスを認知してもらい、顧客との接触度を高める段階。
アクイジションフェーズはリードを獲得・育成して購買まで持って行く段階で、リテンションフェーズは再購買や契約更新を促し、客単価を上げていくフェーズです。
そしてインフルエンスフェーズ、は口コミやレビューなどで顧客を紹介してもらうインフルエンス・ファネルで言う「発信」「紹介」の部分にあたります。
BtoBマーケティングにファネルが重要な理由
ネットの普及がすすみ、商品・サービスを検討する際は、企業も情報収集を行うのが当たり前となりました。たとえBtoBの購買担当者であっても、商品を認知したばかりで情報収集している人と、具体的に価格を比較している人とでは、情報のニーズに違いがあります。
ターゲットの検討度合いに応じた情報で、最適なマーケティングができれば、売上アップや成約につながる可能性も高まるでしょう。
ファネルをBtoBマーケティングに活用することで、次のようなメリットも得られます。
現状を把握できる
購買プロセスにおける顧客の流れをフェーズに分けて段階別に課題を抽出することで、マーケティング活動上でどこかうまく行っているのか、どこがネックになっているのかが分かりやすくなります。
「マーケティングがうまくいっていない」というような漠然とした課題意識を「比較検討 → 購買で問題が起きている」という具体的なものに変えられるわけです。ファネルの各ステップにおける見込み顧客数の推移を調査して現状を把握し、脱落が多く生じている箇所に重点的に対策を講じましょう。
顧客の段階や状況に合わせて施策できる
マーケティングの課題が段階別に抽出できていれば、それぞれの段階に合った施策も打ちやすくなります。
- 「認知」の段階にいる顧客にはもっと興味や関心を持ってもらえるような情報を
- 「比較・検討」の段階にいる顧客には他社商品・サービスと比較するための情報を
といったように、顧客に合わせて最適な施策を打てるようになります。
さらに、それぞれの段階に合った個々のマーケティング手段や媒体を把握していると、「見込み度の高いリードを獲得したいのにバナー広告を配信」のような、施策とゴールのミスマッチ対応も未然に防げます。
施策後の改善が楽になる
顧客のフェーズごとに施策を打ち出しているとと効果が出やすく、また一度打ち出した施策の改善もしやすくなります。「ホワイトペーパーは効果がなかったからSEOをやってみる」のような恣意的な対応がなくなり、少しずつ改善に繋がるPDCAサイクルが成立します。
さらに、カスタマージャーニーマップなどのフレームワークも活用すれば、見込み客へのアプローチを細かく考えられるようにもなるでしょう。
BtoBマーケティングにおけるファネルの特徴と注意点
購入に至るまでのプロセスが長い
BtoBの場合、BtoCに比べて購入に至るまでのプロセスが長い点がネックとなります。
企業では、担当者の意思だけでなく社内での稟議や協議も必要となるため、それぞれの段階でのプロセスも複雑です。状況によっては、各プロセスの境界が曖昧になる場合もあるでしょう。
BtoBマーケティングでもファネルを1週間で通過する場合もありますが、多くの場合は少なくとも月単位での動きとなります。そのため、自社商品を一度認知してもらったユーザーにまた忘れられたりするおそれも十分にあります。一度の認知だけでは終わらせないためには、ターゲット顧客へ自社商品を露出できるタッチポイントを増やす必要があります。
一つのファネルだけで全てが決まるとは限らない
これまで自社の商品・サービスを認知したことがないユーザーが興味を抱いてくれたとしても、一担当者など、決裁権を持つ人でなければ直接「購買」フェーズにはたどり着きません。
担当者に加えてその上司、社長など、商品の購入に関わり得る人物とそれぞれのニーズを常に意識しながらマーケティングを行う必要があります。
また、企業でのそれぞれの人物が、個々ではなくグループとして、ファネルの次のフェーズに進められる仕組みづくりができるかが大切です。例えば、担当者が上司に説明しやすいように資料を用意するなど、工夫次第でBtoBマーケティングにおいても活用法を見出せます。
ファネルの複数の段階の対応ができるポジショニングメディア
ポジショニングメディア事例 詳細はお問い合わせください
マーケティングファネルのそれぞれの段階にいるユーザーのニーズが違うので、異なるマーケティング施策で対応していくのが一般的です。しかし、複数の段階をまとめて対応できる施策も存在しています。ここではその一例として、ポジショニングメディアを紹介いたします。
ポジショニングメディアとは、市場における自社の立ち位置(ポジション)を明確にすることで、相性の良いユーザーのみを集客する専門Webメディアです。
ポジショニングメディアは、具体的なニーズを持つ、特定なユーザーがターゲットとなります。メディアに流入するユーザーは課題意識を持っているため、解決策として自社商品を紹介することで興味・関心フェーズの対応ができます。
また、ポジショニングメディアは自社商品の紹介だけではなく商品カテゴリー全体の解説や近年のトレンド、ニーズ別の商品の選び方の内容も盛り込まれています。サイトに訪れたユーザーがワンストップで自分に合う商品を見極められるようすることで、比較・検討フェーズにいるユーザーへの対応も可能です。
そして最後に、認知フェーズへの対応も可能です。ポジショニングはあるテーマに関する情報を網羅した独立型Webメディアとなっているため、SEO対策を行うことで検索結果ページの上位表示が実現しやすくなっています。順位が上がっていくにつれて自社の認知度が向上し、継続的に集客を行うことが可能となります。
ポジショニングについて詳しく知りたい方は、下記のページをご覧ください。
ファネルを活用して顧客の購買プロセスごとに対策しよう
BtoBマーケティングにファネルを取り入れることで、顧客のフェーズごとの施策を見直して重点的な対策を立てることができます。まずは各ステップにおける見込み顧客数の推移を調査して、改善策をリストアップしていきましょう。
自社のマーケティング活動の全体を俯瞰し、今すぐ取り組むべき課題を抽出するためにも、ぜひファネルの考え方を上手く活用してみてください。
また、ファネルを活用したマーケティングを試みてもうまく行かない場合は、プロに相談するのも選択肢の一つです。
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- ファネルに沿って施策を打ち出したけど、効果があまり出ていない
- ファネルで分析してみたけれど、具体的な施策が思い浮かばない
- 自社のマーケティング活動全般がうまくいっていない
など、マーケティング施策でお困りでしたらぜひ一度Zenkenにご連絡ください。全国どこでも対応、インターネットでのお問い合わせやお電話でのご相談も承っております。