BtoB企業のデジタルマーケティング戦略事例を集めました
最終更新日:2021年07月16日
デジタルマーケティングを導入・実施することで、どういったメリットや効果があるのかは気になるところ。
この記事では実際の企業でデジタルマーケティングを実施した事例と、その効果やポイントをまとめています。
ポイントは顧客情報の一元化・データ化による顧客ニーズの可視化と、ニーズにあわせた情報発信や営業活動を行うこと。
自社の持つ強みや特徴を意識しながら、どういったデジタルマーケティング戦略なら自社に効果がありそうか、ぜひチェックしてみてください。
BtoBデジタルマーケティングの成功事例
豊田通商株式会社
豊田通商株式会社では、米国内でトップシェアとなっている超大型シーリングファンの輸入販売を行っていましたが、販売当初は日本国内での商品認知度はゼロ。
Webサイトやカタログなどを通じたプロモーションを実施しましたが、反響はあるものの実際の購入にはつながらないという課題を抱えていました。
そこで導入したデジタルマーケティングツールが、製造業に特化したマッチングサイトシステムです。
導入前までは、問い合わせのあった顧客にカタログをひとつずつ郵送。その後営業担当がフォローに向かうといった営業スタイルでした。システム導入後は、カタログをWebカタログに変更し、ダウンロードした顧客にターゲティングして営業するというスタイルに切り替え。
その結果、既存の顧客だけでなく新規顧客への効率的なアプローチができるようになり、売り上げを伸ばすことに成功しました。
デジタルマーケティングツールの導入により、顧客データを整理することで効率的にターゲティングしたことや、実際に興味を持っている成約に近い顧客にピンポイントでアプローチしたことが、認知度ゼロからの脱却につながった成功事例といえます。
富士通マーケティング
富士通マーケティングでは、2011年からBtoBデジタルマーケティングを導入しています。導入にあたり専門組織を立ち上げ、その組織を中心に、オフライン営業で集めた顧客データの一元化を進めていきました。
「DMP」と呼ばれるデータベースを用いて、顧客データを管理し、逐次さまざまな情報を加え、最新の情報に更新していくというものです。現在では、外部企業が提供している複数のサービスと併用する形で、BtoBデジタルマーケティングを運用しています。
2015年からは、デジタルマーケティングコンテンツの拡充に注力し、年間約300本の記事をサイトアップ。
その結果、自社サイトの訪問者数が、前年の2.5倍となる約30,000人に達しました。また、自社開催のWebセミナーや公共展示会などへの出展を通し、現場での関係性づくりにも力を入れました。
2016年からは、オーガニック検索から自社サイトを訪問したユーザー向けのコンテンツ作成を開始。
より現場とユーザーのつながりを意識した内容で構成することで、関係性の強化を図りました。さらに、自社サイト閲覧データから、関心度合いを変数化したスコアリング分析も実施することで、データを活用した営業・集客施策へとつなげています。
その結果、自社サイトの訪問者の8割がオーガニック検索またはメール経由となり、低コストでリード獲得ができる仕組みづくりに成功したのです。
株式会社シマテック
パーツフィーダの周辺機器や自動組立機、加工機などの製造・販売を行っている株式会社シマテック。
企業が抱えていたマーケティング課題は、Webコンテンツからの新規受注率の伸び悩み。自社サイトやブログを通じて商品の紹介を行っていましたが、問い合わせはあるものの、実際の購入につながらないといったものでした。
自社サイトやブログを活用するというデジタルマーケティング戦略に取り組んでいるのに、新規受注につながらない原因を分析してみると、コンテンツそのものに課題があることが判明しました。
その課題を踏まえたうえで、新たなツールとして導入したのがYouTube動画です。「自社の技術力の高さ」という強みを動画でアピールしつつ、これまでに活用してきたツールを併用し、一般の人が見ても自社の強みや価値が分かるようにしました。
その結果、リード問い合わせ件数や大手企業からの受注が増加。年間売上1.7倍増につながりました。
自社にとっては「当たり前」であり、わざわざ情報発信するようなことでもないと思っている技術は、一般の人にとっては「素晴らしい」と捉えられるものだったことが、この事例のポイントです。自社の良さや強みに「気づく」ということが、マーケティング戦略を練るうえで重要であるといえます。
株式会社村田製作所
創業70年以上。グローバル企業のひとつである村田製作所では、Marketo(マルケト)を活用したデジタルマーケティングを行っています。
村田製作所がMarketoを導入するに至った課題は、「各分野の営業活動の分断によって購入プロセスがつながっていない」といったもの。
この課題を解消し、売上の全体的な底上げを目指すことが目的でした。さらに、「新規市場の開拓」という目的もあったそうです。そのため、デジタルマーケティングツールの中でも、グローバル対応しているMarkeoを導入しました。
Marketoを活用した具体的な取り組みは、「(1)顧客行動の可視化」「(2)有望な顧客を営業につなげる購入プロセスの整備」「(3)期待の育成を通した有望な顧客の絞り込み」です。
特に力を入れたのは、オンラインコンテンツの充実です。従来のオフライン営業スタイルが通じなくなってきている現状を踏まえ、顧客が最初に目にすることが多いオンラインコンテンツを充実させることにより、顧客を効率的に誘導。その中から有望なリードを発見し、適切なアプローチで期待値を高めるという戦略をたてました。
同時にMarketoを活用してデータ分析やアプローチの最適化を実施したことで、徐々にリードナーチャリングが実現。成果として結びつけました。
株式会社識学
株式会社識学では、デジタルマーケティング開始にあたり、株式会社ベーシックが提供しているオールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One(フェレットワン)」を導入しました。このツールは、BtoBデジタルマーケティングに必要な機能をまとめたものです。
株式会社識学では、ferret OneによるBtoBデジタルマーケティングを開始する前は、高コストなサイト制作やマーケティング戦略の可視化が課題となっていました。
しかし、導入後には、企業からの問い合わせ件数が4倍増加、CPAが1/3に減少、自社サイト1ページあたりの制作コスト1/4に減少、サイトページの改善までのリードタイム1/6に減少という大きな改善がみられたのです。
専門的なデジタルマーケティングツールの活用により、自社の抱える課題に合ったデジタルマーケティングを検討・実施した結果といえます。
豊田自動織機
豊田自動織機は、トヨタグループのひとつで、主にフォークリフトの製造・販売を行っています。
フォークリフトは、経済成長に比例して需要が高まる傾向にありました。しかし、受注が増えるにも関わらず、営業体制が整っていないことが原因で、同じ顧客で営業活動がバッティングしたり、トラブルが生じたりということが度々発生する事態に…。
こうした問題への対応によって、主軸の営業業務がスムーズに稼働できない状況に陥ってしまうと、さらなる問題が発生しやすくなります。さらに問題発生の頻度が多ければ、ブランドロイヤリティまで傷をつけてしまう可能性も高まってしまうのです。
こうした問題の改善策として導入されたのがSFA(Sales Force Automation)です。SFAは営業活動を共有するためのデジタル営業支援ツールを指します。
豊田自動織機では、このツールを活用し、顧客情報の一元管理を開始。営業活動の見直しを行いました。また、SFA導入前は、営業任せだった現場をチーム内で共有できるような体制づくりにも着手。PDCAサイクルを効果的に回すことも行いました。
その結果、SFA導入から1年で、2倍の成約率まで成長しています。
デジタルマーケティングツールの活用によって、顧客データを可視化。チーム内で情報を共有し、業務の無駄を省いたことで、営業活動に人的リソースを最大限に投入できたことがこの事例の成功ポイントといえます。
ログリー
ネイティブ広告サービス「LOGLY life」を提供しているログリー。BtoBデジタルマーケティングを開始する以前は、競合他社がありながらも、市場動向に合わせたマーケティング活動を行っていない状態でした。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大による、オフライン形式でのリード獲得が難しくなったこと、そして競合他社に負けない競争力の必要性を感じたことから、オンラインによるリード獲得を目指すこととなりました。
ログリーが導入したのは、クロストレックス社が開発したインタラクティブコンテンツ配信ツール「OPTIO」です。
インタラクティブコンテンツとは、E-Bookやクイズ・診断など、ユーザーのアクションに応じて関心度の高い情報を提供する、コミュニケーション型のWebコンテンツを指します。
日本国内ではまだ浸透していないWebコンテンツですが、海外ではすでに認知度が高く、注目されています。インタラクティブコンテンツのメリットは、「双方向」での情報提供であるという点です。よりユーザーにマッチした情報を提供できるため、効率的な集客率アップを目指すことができます。
「OPTIO」を導入した成果は明確な数値として現れており、広告主向け・媒体向けともに、一般のポップアップツール比べ、2倍近くのリード獲得が実現しました。
BtoBデジタルマーケティングのポイント
BtoBデジタルマーケティングには、様々な手法があり、それぞれが自社の課題や特徴に合わせたデジタルマーケティングに取り組んでいます。適切な手法を用いれば、従来のオフライン形式で抱えていた、営業や集客、顧客管理などの課題を解決できる可能性もあります。
これからの社会は、あらゆるものがデジタルシフトしていくと予想されています。マーケティングもそのひとつと言えるでしょう。
もし現状に何らかの課題を抱えているのであれば、これを機に一度視野を広げて解決策を探してみるのもよいのではないでしょうか。デジタルマーケティングはその選択肢のひとつであり、課題解決のカギとなるかもしれません。
自社の強みや差別化ポイントをマーケテイング戦略の軸に
マーケティング戦略では自社の特徴をどのように伝えるかがポイントとなりますが、自社の特徴の差別化や独自化ができていると、戦略が立てやすくユーザーに伝えたいことやターゲットユーザーが明確にできます。
自社の特徴・強みをとらえる上で、自社のバリュープロポジションがなにかを一度整理してみてください。
バリュープロポジションとは、ユーザーニーズがあるが市場内の競合は提供できていない、自社ならではの提供価値のことです。
【漫画で解説!】
バリュープロポジションとは
バリュープロポジションの明確にすれば、広告戦略・マーケティング戦略・ブランディング戦略など様々な戦略において軸ができ、自社が発信する情報に統一感もうまれます。
バリュープロポジションを活かし、自社の強みに魅力を感じてくれるユーザーを狙って集客できる手法として、ポジショニングメディア戦略があります。
Zenkenではクライアントのバリュープロポジション分析から、強みにあわせたマーケティング戦略の立案やWebサイトの制作・運用までワンストップで対応可能。中でもポジショニングメディア戦略を得意としています。
>>ポジショニングメディア戦略の特徴・事例を見る
多様化するデジタルマーケティングの手法から何を実施するか悩んでいる、自社の特徴にあったマーケティング戦略を知りたいという方は、ぜひ一度ご相談ください。