銀行の差別化ポイントは顧客のニーズが起点になる
最終更新日:2023年09月20日
銀行を取り巻く環境は数年前に比べて厳しさを増しています。金融サービスの独占はなくなり、強みにしていた与信ノウハウもIT技術により情報戦でのポジションをおさえておくことも不可能になってきました。
そこで次に打つべき手は「差別化」です。ただ、銀行において差別化を実現するのは簡単ではなく、なにで「独自性」を生み出すのかが重要になります。
そもそも、銀行業を顧客が預金を預けることで成り立っています。差別化が難しい業界だからこそ、顧客のニーズにいかに寄り添った板応ができるかがポイントであり、数ある銀行の中から抜きん出た存在になるための起点にもなります。
この記事では、顧客ニーズに沿った差別化について解説しています。また、売上につながる成約率の高い集客を実現するためのポジショニングメディア戦略についてもご紹介しています。
銀行の差別化で考えるべき課題
銀行の差別化では、「新たな銀行の姿」をユーザーへ見せていくことが近道であり、顧客からも求められる銀行へ変化することができます。
目指すべき新たな銀行の姿とは、銀行のデジタル化です。また、デジタル化への対応はユーザーのどのようなニーズに応えるものなのかを明確化し、そのメリットをユーザーに伝わるようすることが重要です。
銀行は顧客起点のビジネスモデルへの変革を求められているのです。
デジタル化された銀行とは
銀行は長年、顧客一人ひとりとの付き合いで得た信用が大切にされてきました。ですが、デジタル化が進む社会ではこれだけではもの足りないと感じられるようになってきています。
テクノロジーの進化により、ユーザーは対面せずに金融機関のサービスを利用することが多くなりました。将来的なライフプランですらオンラインで可能になり、銀行というブランドは機能しなくなりつつあります。
そんなデジタルトレンドは銀行をどのように変えていくのか?金融界のオピニオンリーダーとよばれる人の知見を知っておきましょう。
これからの銀行のビジネスモデル
まず新興銀行の英メトロバンクのチーフコマーシャルオフィサーを務めるポール ライズボロー氏によると、老舗の大手銀行のように不要なコスト削減(旧プラットフォームや支店管理)に時間を割かず、顧客体験に注力できる銀行が勝つと話しています。
例えばアプリの場合、顧客体験を重視するのであれば、いかにユーザーが効率よく使えるかどうかがポイントです。このアプリを新たな販売チャネルとして、色々な商品を売り込むような設計にしてしまうと、満足な顧客体験を生むことは難しくなります。
適度なレベルのセキュリティ
米ユニシスのファイナンスサービスEMEA地域担当副社長のアダム オールドフィールド氏は、セキュリティは厳格であればいいわけではなく、ユーザーにとって不便と感じる障壁を設定しないことも必要と唱えています。
例えば残高の照会には指紋認証ですぐにアクセスし口座の確認や変更ができるが、支払いについては高レベルなセキュリティを設けるなど、必要に応じたセキュリティレベルでの対応が求められるようになるのです。
オフライン(実店舗)とオンラインの連携
銀行のデジタル化による流れでは、オンラインとオフラインで連携が取れていないと結局シームレスな体験ができず、ユーザーは支店にいくか電話で問い合わせをすることになります。それでは、オンライン化・デジタル化でユーザーが享受できるメリットはほとんどありません。
では、どうすればいいのか?フィンテックやAIを導入するなどして、ユーザーにとって利便性の高いローコストのビジネスモデルを深化させていき、利便性と効率化が両立するビジネスモデルを構築するようにします。
ユーザーのニーズに沿った差別化を優先的に実施
その地域(商圏)のユーザー(個人・法人)に、どういった銀行サービスが求められているのか?そして競合となる銀行はどういったサービスをおこなっているか?
銀行の差別化で考えるべきは、顧客起点の価値あるサービス、かつ競合の銀行にはないサービスを提供することです。それが自行にしか価値を提供できないポジションなので、その点をユーザーにわかりやすく届けることで差別化を図ることができます。
まずはユーザーのニーズを分析し、自分たちの銀行ができるサービスをニーズにマッチングさせます。さらに、他銀行のサービスと比較し洗練させることで、差別化されたサービスそのものが強みとなり、自然と広告や集客戦略も立てやすくもなります。
自社・自行のポジショニングの重要性については、以下記事も参考にしてみてください。
ユーザーが地方銀行に求めるもの
利便性の向上と銀行を利用するメリットの明確化をはかりましょう。具体的には、下記が挙げられます。
- AI導入
- スマートフォンアプリ導入などモバイルでの使いやすさ
- 融資が受けやすくなる
- 投資が気軽にできる
例えば投資。
NISAやiDeCo、証券会社の商品ラインナップの違い、さらには手数料と比較されます。賢いユーザーは自ら情報を集め、インデックス投資や少額の投資信託なら丁寧なサポートを必要とせず一人で完結させます。
これまでのように、窓口で投資信託を進めたり、親身で丁寧な説明をしたりしても、実利が大きく下がる提案では銀行は選ばれないでしょう。対面による信頼関係の構築という利点を活かすなら、もう一歩踏み込んだ接客対応や提案が必要です。デジタル化の流れに乗って、ユーザーにとっての利便性を追求することにつきます。