佐川急便の経営戦略・マーケティング戦略とは
最終更新日:2022年06月22日
緊急事態宣言や「自宅待機」をきっかけに、さまざまな産業のEC化が加速したコロナ禍。その影響を受け、業績を順調に伸ばしているのが宅配便業者です。
国内大手である「佐川急便(SGホールディングス株式会社)」は、2021年3月期に営業収益、営業利益、経常利益のいずれも過去最高を記録しました。
ここでは、佐川急便の経営戦略・マーケティング戦略のポイントを解説しながら、事例から学べることを考察していきます。経営方針の策定や成果につながるマーケティング戦略の構築に、ぜひご参考いただければ幸いです。
また、記事に合わせて自社と競合他社の分析を通じてマーケティングを成果に繋げるためのワークシートも提供しています。シートに記入するだけでマーケティングに活かせる分析が進められる内容になっていますので、ご興味のある方はぜひご活用ください。
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佐川急便の経営戦略のポイント
佐川急便の荒木秀夫社長は「ターゲットは宅配便の個数ではなく物流業界の市場である」という考えのもと、独自のビジネスモデルで他社との差別化を図っています。
値下げ競争を回避
これまで佐川急便は、荷物の量を増やして売り上げを伸ばそうとし、失敗に終わった過去がありました。
そこで、荷物の量ではなく「配送の質」を上げる取り組みに注力。顧客別・地域別で配送情報をデータ化し、運賃の適正化を顧客に求めるなど、大規模な契約の見直しに取り組みました。
適正な運賃での配送が叶わない契約では、大口であっても取引を解消するという難しい決断も下しています。これにより、他社との値下げ競争を回避しつつ、荷物の量を増やさずに利益拡大につなげました。
無理に値下げをして他社に競り勝ったところで、荷物の遅延や破損などのミスが重なれば配送の質が下がり、結局はドライバーの負担が増えてしまう、という経験をもとに導かれた戦略です。
チームで顧客の課題を解決
顧客の物流に関する困りごとを解決するための特殊チーム「GOAL」を結成し、顧客の課題に向き合う専門部署を設けました。
GOALの主な仕事は、顧客の情報をつかんで、顧客のニーズや「顧客もまだ気づいていないニーズ」を引き出す業務です。
コロナ禍の顧客からの要望に応え、これまで先送りにしていた「置き配サービス」を開始。また、集荷と仕分け、輸送、検品を佐川急便がワンストップで行うサービスの提案など、柔軟で臨機応変な対応につなげています。
ドライバーの「気づき」を現場ですぐに生かすことで、受注増加や生産性向上に結び付けました。
DXによる生産性向上
佐川急便は、これからの物流業界ではビッグデータの活用が重要と考えており、従業員の活動データを利活用する取り組みをはじめました。
まず、ドライバーの集配実績や出庫・帰庫時間などの行動をデータ化して生産性の向上につなげています。
また、配送業務だけでなく調達や製造、在庫管理、加工など、物流全般のサプライチェーンにも着目。運ぶ業務以外の課題解決の提案によって、付加価値を高めようとしています。
今後は、物流以外の領域であるマーケティングのニーズに対しても応えられる組織を目指すとのことです。
佐川急便の経営戦略まとめ
佐川急便は、値下げによって競争優位性を獲得するのではなく、配送の質を高めて顧客ニーズに応えました。また、セールスドライバーの現場での経験をすぐに反映して、受注増加や効率化につなげています。
これらが「独自の強み」となり、新たな利益を生み出していると分かりました。
今後は物流領域の枠を超え、マーケティング市場での独自のポジションを探り、利益向上を目指しています。佐川急便のように、価格競争ではない「勝ちポイント」を見つけられると、市場で優位なポジションを築くことができます。
「自社独自の強みとは何か」を見つめなおし、うまく経営戦略に応用していきましょう。
「伝えたい強みがユーザーに伝わっていない…」とお悩みでしたら、以下で経営戦略の立て方や成功事例を紹介しておりますのでぜひチェックしてみてください。
経営戦略の立て方と
成功事例を紹介