コーポレートブランディングとは?成功事例とその意義や進め方を解説
最終更新日:2024年03月19日
ここでは、コーポレートブランディングの基礎知識やメリットに加えて、実際にコーポレートブランディングで成功している企業の事例を紹介しています。
また、親和性の高いユーザーに絞った認知度の向上と、購買意欲や利用意欲のあるユーザーにも同時にアプローチできる「ブランディングメディア」も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
コーポレートブランディングとは?
コーポレートブランディングとは、企業ブランドを醸成し構築していくことによって、企業の価値そのものを高めていく手法のことを指します。
企業ブランドを構築することによって企業に利益をもたらすステークホルダーによい影響を与え、企業価値を向上させて市場でのポジション確立にも寄与します。
商品・サービスのPRを個別に考えるプロダクトマーケティングに対して、コーポレートブランディングは、企業全体のイメージを向上させて、価値を高めていくものです。
ブランディングとの違い
販売する商品やサービスのブランド価値を上げるブランディングとは異なり、企業指針やスローガン、社会貢献、経営方針と言った企業価値そのものにスポットを当て、企業自体のブランド力を向上させていくことが目的です。
4大経営資源として認識されているのは、人・物・金といった有形資産と、情報という無形資産ですが、ブランドは「第5の資源」と位置づけられるようなり、近年その重要度が増しています
そのため中長期的なマーケティング施策として、コーポレートブランディングに取り組む企業が増えているのです。
- 有形資産…人・物・金
- 無形資産…情報・ブランド
ポジティブな印象を与え、経営基盤を強化する
コーポレートブランディングでは、企業として社会にどう貢献していくかを明確にする必要があります。
企業がなぜ存在し、商品やサービスを通じてどのような社会を実現させるのか、ステークホルダー(利害関係者)の企業そのもののイメージを変えていくものでなくてはなりません。
ステークホルダーをファンに引き上げることができれば、経営基盤をさらに強化できます。
コーポレートブランディングの意義とメリット
ここからは、コーポレートブランディングの意義とメリットを見ていきましょう。
顧客に安心感・信頼感を与える
コーポレートブランディングにより、企業を深く理解してもらうことで、「顧客」からの信頼感や安心感を獲得できる可能性が高まります。
社会問題に対する取り組みなど、企業の活動内容に興味を持ってもらえれば、製品や企業に対する信頼度が高まり販売機会を増やすことが可能です。
顧客に対する影響力
- 企業に良いイメージを持つ
- 製品やサービスを好意的に受け止める
- 販売機会が増える
人材採用で優秀な人が集まりやすくなる
コーポレートブランディングを実施すると、人材採用においても影響力を発揮します。企業に良いイメージを持つ人が増えることで、採用市場においても人気を集めやすくなるのです。
応募者が増える分、優秀な人材を集めやすくなります。
また、良いイメージを持って入社してもらえれば、人材定着率の向上にも繋がります。
就活生に与える影響
- 企業に良いイメージを持つ
- 採用市場で人気が高まる
- 応募社数が増え、優秀な人材が確保しやすくなる
- プラスのイメージにより、人材定着率がアップ
従業員の定着率を高める
コーポレートブランディングの実施により、従業員の定着率を高める効果が期待できます。
企業の存在価値を正しく伝えて、社員一人ひとりが社会に貢献していると認識してもらうことで、仕事に対するモチベーションを高められるのです。
社員が企業や仕事に対する誇りを持てるようになり、離職を防ぐのに一役買うでしょう。
社員・従業員に与える影響
- 「社員が社会に貢献している」と伝わる
- 企業や仕事に対して誇りを持てる
- 仕事のモチベーションが高まる
- 愛着心が生まれ、人材が定着しやすくなる
出資者に対して良いイメージを与える
コーポレートブランディングを実施すると、出資者にプラスのイメージを与えられます。資金調達においては、企業に対する信頼性や将来性も重視されます。
企業の社会的価値や経営姿勢を評価してもらうためにも、企業が何を取り組んでいて、どう社会貢献しているのか良い認知をしてもらう必要があります。
資金調達に与える影響
- 企業の社会的価値を高める
- 社会的価値や経営姿勢が評価される
- 資金調達が有利に進む
ブランド拡張の容易さ
すでに企業自体を信頼している顧客層がいるため、新製品やサービスを展開した際にはブランド力がない企業と比べて受け入れられやすいというメリットがあります。
また、既存の製品やサービスと新製品に関連性を持たせることができれば、相乗効果が生まれブランド全体の価値向上にもつながります。
万が一のブランド毀損が起きても耐えることができる
コーポレートブランディングがうまくいけば良い企業イメージを持たせることも可能。
たとえトラブルが起こったとしても、その企業ならしっかり対応してくれるだろう、という期待を持ってもらうことは、信頼につながり、購買してもらいやすくなります。
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コーポレートブランディングの進め方
これより先は、コーポレートブランディングを進めるにあたって、事前に準備しておくべき事柄を解説しています。
方向性がぶれるリスクを減らすためにも、コーポレートブランディングをやみくもに進めるのではなく、きちんと下準備をしたうえで取り組みましょう。
自社の状況を見極め、開始時期を決める
コーポレートブランディングを進めるにあたって、まずは具体的な実施内容と、中長期的な実行計画を立てましょう。そのうえでプランの開始時期を決定します。
実施スケジュールは関係する各部署に事前ヒヤリングを行い、実現性のあるスケジュールにすることが大事です。
全社をあげての中長期的な取り組みとなるため、事業継承・中長期経営方針発表・周年事業・上場・合併・統合・事業拡大・事業再生・人材採用といった節目に取り入れるのが一般的です。
自身が所属する部署を近視眼的に見るのではなく、企業全体を俯瞰して現状を把握。第三者目線で開始するタイミングを判断するのが理想です。
部署を横断して、プロジェクトチーム編成を行う
コーポレートブランディングは、企業が一丸となって取り組むべき手法のため、プロジェクトチームは部署を横断して編成する必要があります。
チームメンバーには組織全体の最適化を考慮でき、中長期的に問題意識を持って取り組める人物の採用が望ましいでしょう。
組織全体の最適化が難しく、問題意識を持って取り組むのが難しい若手社員ではなく、中堅社員の採用が好ましいといえます。もちろん若手社員の意見も重要なので、メンバーはバランスを考えて選抜するようにしましょう。
チームの士気を高めるために、キックオフミーティングの開催
コーポレートブランディングの実施に向けて、チームの士気を高めるためにも、プロジェクトのキックオフミーティングを実施。決意表明やゴール設定、スケジュールの整理や各部門の体制づくりなど、チームメンバー同士で情報共有を行います。
各メンバーが自身の役割の理解を深めるために、ノーミングセッションを実施するのもひとつの手です。
ノーミング・セッションとは、1時間程度で行うチームビルディングのための会議のことで、プロジェクトの目標達成に対する意欲が高まっている状態である「安定期(ノーミング・ステージ)」に行なうものです。
メンバー同士で意見を交換したり、テーマを絞り込み限られた時間内でアイデアを出し合ったりします。
コーポレートブランドへの理解を深める
コーポレートブランディングを行うにあたり、コーポレートブランドへの理解は必要不可欠です。社内資料・ブランド関連の資料を収集し、ステークホルダーの調査を行い、企業としての問題点を可視化します。
さらに、ブランド関連のデザイン資料を収集し、社会目的や企業が目指す姿勢をデザインに落とし込めているかを振り返りましょう。
業界内でブランドポジションを確立できる集客メディア
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コーポレートブランディングの方法
ここでは、実際にコーポレートブランディングに取り組む方法を紹介します。
コーポレートブランディングの手法は、インナーブランディングとアウターブランディングの大きく2つに分けられます。
インナーブランディングとは、企業のミッション・ビジョン・バリューを組織に浸透させる手法。一方で、アウターブランディングは、自社の商品・サービス・企業理念を社外に浸透させる手法です。
内部(社内・コミュニティ内)に発信する際はインナーブランディング、外部(顧客・消費者)に発信する際はアウターブランディングを行います。
インナーブランディング
インナーブランディングの形成を促進するため、企業のミッションやビジョン、自社のバリュー(価値)を社員や従業員に向け正しく発信し続ける必要があります。
日々の朝礼や社内報、イベントなどで、自社の社員に対してビジョンなどを掲げ続けることで、組織への浸透を図ります。
さらにワークショップやセミナー、研修などを開催し、場合によっては簡単なテストなども実施していきます。
オフィスにスローガンや企業指針を掲示して組織風土やビジョンを伝える手段も有効ですが、価値観の押し付けは離職率を高める要因ともなりかねませんので、浸透させるには社員の自主性も尊重するようにしましょう。
社内向けの発信
- 社内報・ブログ
- ワークショップ
- 社内向けのセミナー・研修・イベントなど
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アウターブランディング
アウターブランディングで、社外に商品・サービス・企業理念を発信するためには、WebサイトやSNSといったインターネット媒体が活用できます。多くの人が利用する媒体で訴求することで、認知拡大を図ります。
また、資料の配布やセミナーの開催で、自社の魅力を発信するという手もあります。
配布時や開催後にアンケート調査を実施しやすく、消費者の属性や課題、購入意欲といった情報を可視化できるのがメリットです。
コロナ禍をきっかけとしてウェビナーなどのオンライン手法も一般的になりつつありますので、インターネットを活用したアウターブランディングも積極的に取り入れていきましょう。
社外向けの発信
- Webサイト
- SNS
- 広告
- セミナーなど
コーポレートブランディングの成功事例
以下に、コーポレートブランディングの成功事例をいくつか紹介していきます。
インナーブランディング・アウターブランディングの具体的なイメージが掴めない方は、下記を参考にして実施していきましょう。
ニベアのコーポレートブランディング
ニベアは1911年に発売されたスキンケアクリームブランド。
信頼・愛情・やさしさといったブランドイメージを訴求するために、ミッドナイトブルーをブランドカラーとして採用しています。
家族や大切な人をまもるスキンケアクリームとして訴求し続けることで、小さな頃に母に塗ってもらうスキンケアクリームとして認知され、3世代にわたって使い続けられるブランドとして成長しました。
ニベアのアウターブランディング
- 信頼・愛情・やさしさのイメージを訴求
- 母に塗ってもらうスキンケアクリームとして人々の思い出になる
- 子どもや家族ができたときに思い出とともにブランドが想起される
- 3世代にわたって親しみ続けられるブランドに成長
ヤッホーブルーイングのコーポレートブランディング
ヤッホーブルーイングは、「よなよなエール」をはじめとしたクラフトビールを手掛けるビール製造会社です。
コーポレートブランディングとして、企業風土を社内外に認知させるために「定時退社協会」という団体を立ち上げ、円滑な定時退社でゆったりビールを楽しめる時間をつくる活動を実施。
ヤッホーブルーイングの自由な枠にとらわれない、社員に楽しく働いてほしいという企業風土の認知拡大に役立っています。
また、定時退社イコール「ヤッホーブルーイング」というブランド想起に繋がり、販売機会の増加にも繋がりました。
ヤッホーブルーイングのアウターブランディング・インナーブランディング
- 社員に楽しく働いて欲しい
- 定時退社でビールを楽しめる時間をつくる
- 定時退社協会で社内外にPR
- 定時退社=ヤッホーブルーイングというブランド想起
- 販売機会の増加
Red Bull(レッドブル)のコーポレートブランディング
レッドブルは、エナジードリンクを手掛ける飲料メーカー。
レッドブルのブランドを想起させるために、「レッドブル、翼をさずける」というフレーズを繰り返し訴求しています。
エナジードリンクといえば成分や疲労回復効果をうたうメーカーが多い中、エネルギーを与えるというブランドイメージの確立にこだわっています。
「エネルギーをチャージする」というポジションを確立した結果、年齢や性別を問わず、広く認知されることとなりました。
とくに注力しているのはモータースポーツやさまざまな競技大会のスポンサードで、レッドブルのブランド認知を世界中に広めることに成功しています。
Red Bullのアウターブランディング
- 「翼をさずける」というフレーズで、パワフルなイメージを与える
- レッドブル=エネルギーをチャージできるというブランド想起
- 幅広い年代に認知
- 販売機会の増加
東京ディズニーランドのコーポレートブランディング
東京ディズニーランドは、千葉県浦安市にあるテーマパーク。
夢と魔法の国というテーマパークのイメージを認知させるために、ゲストにハピネスを提供するというコンセプトを徹底しています。
「どのようなときでも信頼感を与える接客に努める」、「いつでもキャラクターになりきる」と社内に認知させたことで、顧客に夢を与える接客サービスの提供を可能にしました。
東京ディズニーランドのインナーブランディング
- ゲストにハピネスを提供するというコンセプトを掲げる
- 信頼感を与え、キャラクターになりきると社内に認知
- 顧客に夢を与えるサービスの提供を実現
- 夢と魔法の国というポジションを確立
スターバックスのコーポレートブランディング
スターバックスは、コーヒーチェーンを運営する企業。サードプレイス、第三の居場所の提供を社内に認知させ、接客を含めて居心地の良い空間を実現させています。
コーヒーチェーンでありながら、ブランド名から「コーヒー」を外した戦略もはまり、多くのファンを獲得し続けています。
カスタマイズしたコーヒーと、品質を保つための気配りを徹底させたところ、スターバックス独自の顧客体験を生み出すことに成功したことは、あまりにも有名な話です。
スターバックスのインナーブランディング
- 第三の居場所の提供を社内に認知
- 接客や気配りを徹底させる
- 独自の顧客体験を生み出す
- スターバックスとしてのポジションを確立
Webメディアを活用したブランディング施策
自社製品を購入する可能性が高いユーザーに向けたブランドメディアを独自に立ち上げ、成約に結びつける「ブランディング」と「購買行動」を同時に実現させるWebブランディング施策を採用する企業も増えてきています。
店舗や企業のホームページだけでなく、特定のテーマや絞り込んだターゲットに向け、Web上に独自のメディアを立ち上げ情報を発進し続ける施策がトレンドです。
ブランディングメディアとは、キャククルを運営するZenkenが制作する、ブランド認知の向上と売上につながりやすい親和性のあるリード(見込み顧客)が集客ができるオウンドメディアです。
通常、ブランディングをする場合は何千万単位の制作費や広告費、そして時間を掛ける必要があります。しかしブランディングに失敗してしまえば、効果が出ず莫大な費用を失うだけでなく、間違った印象がついてしまう可能性も。
ブランディングメディアとは、親和性の高いユーザーに絞った認知度の向上を行い、ニーズが顕在化した際の第一想起されるブランドとして広めていきます。
自社のブランドを確立し
売上アップも叶える
ブランディングメディアとは?
また、購買意欲や利用意欲のあるユーザーにも同時にアプローチができます。その顕在的なユーザーにはなぜそのブランドや企業を使うべきかを解説し、さらに成約や購入につながるよう温度感を上げた集客が可能です。
ブランディングメディアを導入した結果、
- 1ケタ分受注単価が増える売上を獲得できた
- 求人広告に依存することなく、自社サイトから今までの10倍採用応募が来るようになった
というようなブランディング効果も発揮できております。下記で詳しく紹介していますので、ぜひ一度ご確認ください。
コーポレートブランディングで企業価値の底上げを
コーポレートブランディングは、企業に利益をもたらすステークホルダーに影響を与える手法です。社員の定着・人材採用・販売機会の創出・資金調達など、影響を及ぼす範囲は広く、企業成長には必要不可欠だといえます。
社内に発信するインナーブランディングと、社外に発信するアウターブランディングをほどよく取り入れて、今以上に自社の価値が多くのステークホルダーに評価してもらえるようにしていきましょう。