独自価値をマーケティング戦略に活かした事例からわかることとは?
最終更新日:2024年07月26日
独自価値とはその名の通り、自社にしかない強み・価値のことです。
競合他社がいる中でも、顧客に選んでもらえるようなオリジナリティを主張できる強みこそが、独自価値として認められます。
ここでは、この独自価値の定義や独自価値をマーケティング戦略に活かした事例について解説。これから中小企業が生き残っていくために必須の戦略である理由について説明していきます。
独自価値とはなんなのか
自社や自社の製品・サービスの強みを正しく理解しているか。これはどのような業態でも繰り返し自身に問い続けなければいけない設問です。
モノや情報が普及した現代では、顧客から選ばれる企業にならなければ、事業で売り上げを上げ続けることが難しくなります。
これまで企業の多くは競合他社との差別化によって顧客を獲得し、市場におけるシェアを拡大させてきました。しかし、全体的な技術力の底上げによって、どんな商材であっても機能面において他社との差別化が困難になっているのが現状です。
このような状況下において、これからの時代は従来以上のブランド力が企業に求められるようになりました。そして、企業のブランド力を上げるために必要となるのが独自価値の発掘です。
顧客が製品やサービスの特徴やベネフィットをインターネット上で容易に比較検討できるようになったいま、独自価値による差別化がより重要な要素になることは間違いありません。
中小企業にはなくてはならない独自価値
差別化は競合他社が存在して成り立ちます。差別化に集中しすぎると、常に競合他社との競争ばかり意識が向いてしまいがちです。本来であれば顧客ファーストの企業活動であるべきなのに、いつしか競合相手に対してビジネスをしかけてしまうことも。
その結果、他社との価格競争に陥ってしまい、価格面でしか顧客に選ばれなくなってしまいます。顧客は必ずしも安い価格に価値を感じているわけではありませんので、選んでもらうためには、価格以外の独自価値が必要となります。
中小企業は知名度で大手企業に劣ってしまうため、価格競争に巻き込まれやすい傾向にあります。そのため、中小企業には大手にない独自価値が必要不可欠なのです。
独自価値は顧客との関係性から生まれる
ここまで独自価値の定義について説明しましたが、まだ世に出ておらず、自社にしか作れない商品やサービスを新たに生み出すのは困難です。
そこで、顧客に選んでもらうための重要な要素として挙げられるのが、「企業と顧客の関係性」です。
同じような商品・サービスがある場合、顧客はより関係性が深い方を選びます。この顧客との関係性こそが、他社にはない自社の独自価値となるのです。
顧客との関係性を深めるためには、SNSやオウンドメディア、販促物、広告など、日常的に企業と顧客の接点を増やすことが重要となります。
なるべく多くのタッチポイント(顧客接点)を用意して、さまざまなシーンごとに顧客とのコミュニケーションを重ねていくことで関係性が深まり、ロイヤリティが醸成されていきます。
独自価値によるブランディング事例
上述の通り、他社との差別化が難しい状況において、企業が生き残るためにはブランディングが必須です。そして、独自価値を見出すことが、企業ブランディングのファーストステップとなります。
独自価値とブランディング戦略には密接な相関関係があり、「自社を選ぶ、選びたくなる理由」を見つけることがブランディング戦略です。
ここからは、具体的に成功したブランディングの事例をいくつかご紹介します。
スターバックスのサービスブランディング
スターバックスは、世界中に店舗を持つコーヒーチェーン店です。2011年にスターバックスはロゴを変更し、従来のロゴから「Coffee」という文字を消しました。
スターバックスのブランドアイデンティティとして、主役は人でありコーヒーは人を豊かにするための脇役であると考えられています。
この考えに基づいて、スターバックスはコーヒービジネスではなく「人のビジネス」であるということを明示するために、ロゴ変更を行ったのです。これはあまりにも有名な話です。
人のビジネスであるという考えを主軸に、スターバックスはバリスタの教育にも力を入れています。
人が中心のビジネスという考えに基づき、顧客にとって居心地のよい空間の提供に成功したことで、広告宣伝を行わずにコーヒーチェーン店の中でも確かなポジションの確立に成功しました。
ダヴの商品ブランディング事例
ダヴはボディソープなど、パーソナルケア製品を取り扱うブランドです。ダヴのブランドアイデンティティは、「美しさはこうでないといけない」という固定観念にとらわれず、女性に本当の美しさを知ってもらいたいという考えを掲げています。
世界中の女性のうち自分のことを美しいと感じているのは約4%という調査結果から、女性が自分の美しさで悩まないことが理想だとダヴは発信。
表面的な美しさだけでなく、それぞれの女性が持つ独自の美しさに訴えかけるスタイルが、多くの女性の共感を得ることに成功しました。
IBMのBtoBブランディング事例
IBMは世界170カ国以上でビジネスを展開するITテクノロジー関連企業です。そんなIBMはソリューションブランディングとして「コグニティブコンピューティング」を掲げています。
コグニティブとは日本語に訳すと「認知」という意味で、IBMはシステムを単なる情報処理のための機械ではなく、人間のように考え学習するものであると提唱。
コグニティブコンピューティングによって、システムが学習や判断まで担うことで、人間はより革新的アイデアの創造に時間をかけられるようになると考えているのです。
そして、このコグニティブコンピューティングの考えが広まれば、IBMの所有している人工知能Watsonの売上にも貢献するという導線まで作られています。
独自価値を見出す方法
どのような観点から独自価値を見出せば良いのでしょうか?ここからは独自価値を見出すための、具体的な方法について説明します。
お客様の目線に立つ
自社の独自価値を発信しても、その独自価値が顧客にとって魅力的でなければ意味がありません。
機能面で他社と競い合って優位に立つという考えではなく、顧客の目線に立って「顧客にとって価値のあるもの」を見極める必要があります。
こだわりを使わない
独自価値を追求すると「自社はどこよりもこだわりを持っている」という結論に達する場合がありますが、こだわりという言葉は独自価値として弱い傾向にあります。
こだわりは既に多くの企業があらゆる場面で使用しており、顧客から見ても「どこも同じようなもの」と捉えられてしまいます。
そのため、こだわりをより具体的にイメージできるような表現を考えることが重要です。
個人の思いをのせる
どんな企業にも経営理念や将来のビジョンは存在します。この理念や夢こそ、他社にはない自社だけが持つ独自価値です。
独自価値を見出すことは突き詰めると、企業理念や企業の存在価値を改めて確認する作業でもあります。個人の思いを再確認することで、自社の独自価値を確立することができるのです。
バリュープロポジションと独自価値
独自価値を見つけることの延長線上には、バリュープロポジションというマーケティングの基本があります。バリュープロポジションとは、一言で表すと「顧客が自社の商品・サービスを買う理由」です。
以下の3つを満たしたものが良いバリューポジションとなります。
- 顧客ニーズに応えられている
- 顧客の課題を解決できる優位性がある
- 競合他社には真似できない自社だけの強みがある
上述した通り、独自価値を見出してもその価値が顧客のニーズを満たしていなければ意味がありません。また、独自価値を創出しても他社に似たような商品・サービスがあれば優位性は確保できません。
独自価値を見出すことは、自社の明確なバリューポジションを確立するためにも非常に重要です。
バリュープロポジションの詳細については、下記の記事をご参照ください。
独自価値を活かしたマーケティングなら
今回は、中小企業のブランディングの核となる独自価値について、成功事例を紹介しながら説明してきました。どの業界においても。他社との差別化が難しい現代では、企業のブランディング力がこれまで以上に求められます。
そして、自社にしかない独自価値を見出すことが企業ブランディングの第一歩となるです。価格以外の独自価値を見出して顧客に選んでもらえるようになれば、他社との価格競争に巻き込まれるのを防ぐことができます。
これからは競合他社との差別化を目指すのではなく、自社の独自価値を見出すことで、市場における自社の立ち位置を明確にしていきましょう。
バリュープロポジションを基にしたWeb戦略
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なお、自社のバリュープロポジションを分析したいかたは、下記より「バリュープロポジションキャンパス」のテンプレートをダウンロードしてご活用ください。