【収益アップ】原価率意識で利益を積み重ねる
最終更新日:2024年05月29日
商売の基本は、安く仕入れて高く売ることです。この仕入れる値段のことを原価といい、売上に対する原価の比率を原価率といいます。
ここでは飲食店をモデルとし、原価率について紹介します。
原価率はどのように算出する?
まずは原価率の求め方から学びましょう。
原価率を求める場合は、売上の原価÷売上高×100で計算をします。
たとえば、20円で仕入れた大根を100円で売った場合、20÷100×100=20となり、大根の原価率は20%となるわけです。
経営スタイルによって原価率は変動
店舗経営は、人件費と原価率の合計が売上高の7割を超えると維持が厳しくなります。
これらの他に雑費や生活費も含まれるので、赤字になる可能性もあるからです。よって、人件費と原価率の合計は、収入の6割以内におさえることが大事です。
飲食店の一般的な原価率の基準は、だいたい20~30%。しかし、これは経営スタイルによって変動します。
たとえば、小規模な個人経営店の場合、大手のファミリーレストランに比べると人件費や光熱費が安いです。そのため、大手レストランとの差別化を図るため、質の良い食材を購入することがあります。
この時、原価率は40%を超えることもありますが、他の経費が抑えられているので大きな問題にはなりません。
しかし、原価率と人件費の合計が6割を超えるのであれば、人員の削減あるいは材料費の見直しをして原価率を下げることが必要です。
原価率と同じくらい大切な率
お店の収入を見直す時は、原価率だけではなくロス率の見直しも大事です。
ロス率とは、ロス高(値下げや材料廃棄による損失額のこと)と売上高の差額を、パーセンテージで表した数値のことです。
- ロス高
販売額×廃棄した数×値引き額
- ロス率
ロス高÷売上高×100でロス率
ここで、具体例をひとつ紹介しましょう。
原価500円の商品を1,000円で10個販売したとします。在庫が2個残ってしまったので800円に値引きして1つを販売。そして、1つだけが売れ残りました。
この場合、ロス高は1,000×1(廃棄した数)+800(値引きした販売額)×1となり、1,800。
この1,800を元にロス率を割り出す場合は、1,800÷(1,000×10-1,800)×100という計算です。
結果、ロス率は小数点を四捨五入すると約22%。ロス率も原価率と同じく低いほうが利益につながります。
一般的に、許容できるロス率は、飲食店でだいたい5%。売れ残りや値下げ商品を出さないように、不用意な発注を減らすなどしてロス率を下げるようにしましょう。
定期的に原価率をチェック
原価率チェックにうってつけな時期
原価率は定期的に把握しておく必要があります。こまめにチェックをすることで、月の収入や収支がよりわかりやすくなり対策を立てやすいからです。
原価率をチェックするタイミングは、下記の通りです。
- 品物を仕入れる前に原価率を設定する時
- 取引先の仕入れ価格や原価に変更があった時
- 月次で粗利額の見込み計算をし、収入を割り出す時
- 週単位で計算をし、売上分析をする時
これら4つのタイミングで見直せば、売れ残りなどのロスを出さないための分析も行えるので、ロス率の軽減にもつながります。
上手く原価率とロス率を下げるテクニック
素材発注は必要最低限分
飲食店を経営する場合、保存のきかない食材は安売りすることもできず、廃棄しなければなりません。そのため、発注は必要最低限の数だけ行う必要があります。
「もしかしたらたくさんお客さんが来るかもしれない」という曖昧な推測で食材を仕入れると、使いきれなかった分は廃棄となって原価率は高くなります。
また、在庫の状況も常に把握しておく必要があります。
たとえば、保存の効く食材を店や冷蔵庫に保管しているのを忘れ、新たに追加購入してしまう人は多いです。そうなると、余計に費用がかかるだけではなく、保管場所も減ってしまいます。
食材の在庫管理は、メモでもいいのでこまめにやっておきましょう。メモは保管場所の目立つところに張っておくと、発注作業のときにも便利です。
オーバーポーションには要注意!
飲食店を経営しているなら、オーバーポーションにも注意が必要です。オーバーポーションとは、ひとつの料理に通常以上の食材を使ってしまうことです。
そうなると、必要以上に使用しただけ別のメニューに影響が出る他、積もり積もると余分な出費にもつながります。
どの料理にどのくらい材料を用いるかを決め、分量を守って使用しましょう。
原価率意識にこだわりすぎない!
原価率やロス率を減らすのはとても大事です。
しかし、終始それに固執してしまうのも考えもの。お店を繁盛させたいのであれば、リピーターを作ることは必要不可欠です。
そして、リピーターになってもらうためには、お客さんに満足して「また来よう」と思わせなければなりません。
そのためには、時として原価率などを度外視したサービスを提供したほうが良いケースがあるのです。
一般的な手段として、採算度外視(さいさんどがえし)の目玉商品を用意するというものがあります。これをフロントエンド商品といいます。
しかし、ただフロントエンド商品を売るだけではいけません。
オプションとして、利益が出るような商品を抱き合わせることで、顧客満足度にあわせて利益を得ることができます。
この利益を確保するための商品を、バックエンド商品といいます。
具体的な手段の一例としては、利率が高い料理に「200~300円プラスするだけでオプションがつく」といった宣伝を盛り込みます。このオプションは利率が極めて低い料理を採用します。
そうすると、総合的に見れば利率は若干低くなり、単にフロントエンド商品を提供するよりも利益を得られやすくなるのです。
さらに、フロントエンド商品はインパクトが大きいほど、店に行きたいと思わせる宣伝効果も兼ねています。
「自分の経営しているお店に強みはあるか、宣伝となるような商品はあるか」。
まずは、商品や販売方法をいろいろ創意工夫してみましょう。