コンテンツマーケティングで注目されるファネルの基礎的知識や活用方法
最終更新日:2024年06月11日
この記事では、コンテンツマーケティングに欠かせないファネルの概念と、その段階ごとの対策について解説しています。コンテンツマーケティングで一つ一つのコンテンツがもたらす効果を最大化したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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マーケティングにおけるファネルとは
ファネルとは日本語で「漏斗(ろうと)」という意味で、商品やサービスの認知から購入に至るまでのユーザーの変遷を指します。
マーケティングにおいては、ユーザーが購入などの最終的な意思決定を行うまでの段階を可視化することで、各段階において必要なコンテンツを検討することに役立てます。
マーケティングにファネルが必要な理由
マーケティングにおいてファネルが必要な理由は、ユーザーの購入までの各段階によって、効果的なアプローチに違いがあるからです。
自社の商品・サービスをまだ認知していないユーザーにいきなり購入を勧めても、実際にすぐその場で購入してもらう可能性は低いでしょう。むしろ逆に「押し売り」というマイナスのイメージを引き起こし、見込み顧客を遠ざけてしまう可能性があるでしょう。
商品・サービスを認知していないユーザーに対しては、まず商品・サービスの魅力をアピールし、興味をもってもらうようなアプローチが必要です。これは広告などをマーケティングだけではなく、もちろんコンテンツマーケティングも同じです。
そもそもコンテンツマーケティングはユーザーのニーズを拾い上げて解消することによって商品に興味を持ってもらい、最終的には購入に繋げる中期・長期的な視点に立ったマーケティング手法です。
コンテンツマーケティングにファネルの概念を当てはめれば、ユーザーがどの購入に至るプロセスのどの段階にいるか特定できます。そしてそれぞれの段階に合ったコンテンツを用意することで、マーケティング効果の最大化が可能となります。
3種のファネル
マーケティングにおけるファネルは大きく以下の3種類に分かれます。
- パーチェスファネル
- インフルエンスファネル
- ダブルファネル
パーチェスファネル
パーチェスファネルとは、ユーザーが購入などの最終的な意思決定や行動を起こすまでの段階を図式化したものです。
マーケティングにおいて、ファネルというとパーチェスファネルを指すのが一般的です。
パーチェスファネルでは「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」という4段階に分けらています。段階が進むほどユーザーの数は減っていくため、逆三角形の形になっています。
インフルエンスファネル
インフルエンスファネルは、ユーザーが商品を購入した後の行動を図式化したものです。
近年ではTwitterやInstagramなどのSNSが広く普及しており、ユーザー購入後の行動がマーケティング上でも重要視されていることから生まれた考え方です。
インフルエンスファネルは「継続」「紹介」「発信」の3段階に分けられます。
ユーザーが購入した商品を「継続」して購入・利用しているうちに自社のファンとなり、商品を友人や家族に「紹介」してからSNSなどでも自ら「発信」を行う、という流れです。
SNSの普及や口コミ・レビューの一般化によって、ユーザーの購買行動に大きな影響を与えるからこそ確立されたモデルといえます。
ダブルファネル
ダブルファネルは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたファネルです。商品の認知から口コミ・情報の拡散までのユーザーの購買前・購買後の一連の流れを表す図式です。ダブルファネルは「購買前」「購買後」の段階として、以下のような段階に分かれます。
購買前 | 購買後 | |
---|---|---|
段階 | 認知 興味・関心 比較・検討 購入 |
継続 紹介 発信 |
BtoBや、近年拡大しているサブスクリプションなどの継続を前提とした商品・サービスでは、購入だけがゴールではなく利用の継続や情報拡散による潜在ユーザーの獲得が重要です。商品・サービスを利用したユーザーの行動が重視される現代において、ユーザーの購買行動全体を見渡したファネルの活用は大きな効果が見込めるでしょう。
一方、ダブルファネルはユーザーが通過する段階が多いためコンテンツ設計がパーチエスファネル・インフルエンスファネルよりも複雑で、難易度が高めです。
コンテンツマーケティングにおけるファネルの構造と最適施策
次にコンテンツマーケティングにおけるファネルの構造と各段階において最適な施策がどのようなものであるか、について見ていきましょう。
コンテンツマーケティングにおけるファネルとしては、ダブルファネルを用いることが最適です。
近年のマーケティングにおいて、顧客の口コミやレビュー、SNSでの拡散といったチャネルの存在は、無視できないほど大きくなっています。購入後のユーザーの行動も想定したコンテンツ展開が、大きくマーケティング成果を左右するため、購買前と購買後の双方を併せ持つダブルファネルで考えるべきです。
それではコンテンツマーケティングのダブルファネルの各段階でどのような施策を打ち出せばいいのか、見ていきましょう。
認知
認知の段階にいるユーザーはTOFU(Top of the Funnel)と呼ばれる、いわゆる潜在顧客の段階です。
認知の段階にいるユーザーは、商品・サービスそのものを認知していないため、まずは商品を知ってもらうきっかけを作り出さなければいけません。
コンテンツマーケティングで潜在顧客との最初のタッチポイントとなるのは、Googleの検索結果などに表示される記事コンテンツという場合が多いです。(他のオプションとしてはSNSの投稿や動画も考えられます)
認知段階のユーザーは、自社商品にほとんど興味がありません。いきなり商品の特徴やベネフィットを伝えるよりも、ユーザーの悩みや課題をキーワードとしたコンテンツを用意しておくと良いでしょう。
SEO対策によってユーザーを検索エンジンの検索結果ページから自社サイトへ誘導し、悩みや課題の解決策として自社商品をアピールすれば興味を持ってもらいやすくなります。
興味・関心
この段階にいるユーザーは自社商品に興味を示しているものの、購入からまだ遠いところにいます。ユーザーを次の「比較・検討」フェースに移行するには、商品の購買意欲を高めるコンテンツが必要です。
この段階で有効なのは、商品のベネフィットや活用シーンの紹介です。ベネフィットとは、ユーザーが商品を使うことによって得られる「嬉しい体験」です。たとえばスマートフォン用のマクロレンズならそのレンズで撮った写真や、レンズを活かした写真の撮り方を解説するコンテンツが良いでしょう。
逆に避けておきたいのは、特徴やメリットのアピールです。カメラの場合、特徴・メリットはたとえば「撮影距離」や「画角」といったスペックです。一部のユーザーを除いて、スペックを羅列するだけで購買意欲を高めるのは難しいでしょう。
比較・検討
比較・検討の段階は、商品・サービスの購入に興味を持っているユーザーが購入に向けて、、具体的なアクションを取る段階です。
例えば、映像配信サービスを例に具体的に考えてみましょう。自身の興味がある映像作品が見られることを知って、映像配信サービスに興味を持ったユーザーがいたとします。これが「興味・関心」の段階にいるユーザーです。
次の段階では、ユーザーはサービス利用に向けて…
- 目的の映像作品以外にどのような作品が見られるのか
- 価格設定はどうなのか
- 自身の端末に対応しているか
などなど、機能面・サービス面などさまざまな項目で他社サービスと比較します。
コンテンツマーケティングで比較・検討の段階にいるユーザーに対してアプローチするには、他社製品との比較コンテンツやユーザーレビューなどが有効です。ユーザーが「自分に最も合っている商品はこれだ」という判断に繋がるコンテンツを提供しましょう。
比較・検討段階では、上述のベネフィットに加えて興味・関心の段階で避けたかった「特徴・メリット」も活かせます。特徴やメリットは数字で表せる場合が多いですが、数字には「比較のしやすさ」という特徴があります。適切な使い方をすれば、数字化したメリット・ベネフィットは購入を強く後押しする要素となり得ます。
なお、数字を使う際に付けておきたいのは、ユーザーのニーズと合致する数字を提示することです。自社商品が競合他社と比べて優れている部分があっても、ユーザーがその部分に興味がないといくらアピールしても次の段階に進まないでしょう。
問い合わせ・購入
問い合わせ・購入の段階は、ユーザーの購入の最終意思決定の段階です。比較・検討段階を終え、実際に購入するアクションを起こさせるようなコンテンツ提供が必要な段階といえます。
先ほどの例である映像配信サービスであれば、無料体験モニターや加入プレゼントキャンペーンの実施などが、有効な施策となります。
継続
継続の段階は、利用者がサービスを気に入って引き続き利用・購買活動につなげてもらえる段階です。
継続の段階では、サービス内容に満足し購入した商品・サービスに対して良い印象を持ってもらえるようなコンテンツを用意する必要があります。
ブログを使ったコンテンツマーケティングの場合、商品の活用の仕方やトラブルが発生したときの対応方法をテーマとして記事を公開したり、関連商品の通知を送信したりすることで、購入後のユーザー体験を充実化できます。
紹介
紹介の段階は、言い換えれば商品のファン化をする段階と言えます。
利用者自身が商品を気に入り、人に勧めたくなっている段階にあたり、次の段階である「発信」を含めて、マーケティング効果を最大化する重要な段階となるものです。2019年にトランスコスモス株式会社が実施している調査によると、比較検討時に誰かに相談すると答えた人は84%、SNSや知人に相談するという人が60%にものぼります。
つまり、購買活動において知人からの紹介は意思決定の大きなきっかけとなるということです。映像配信サービスでいえば、知人紹介サービスによるクーポンやポイント還元などで、ユーザーに紹介を促すなどの方法が考えられます。
参照:トランスコスモス株式会社「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2019」
発信
発信の段階は、SNSなどでユーザー自身が商品の魅力を発信してくれる段階です。
先程ご紹介したトランスコスモス株式会社の調査によると、利用した商品・サービスのファンになった人の84%が家族や知人に好意的な評価を伝え、41%の人がSNSやブログで発信をすると回答しています。また逆に商品・サービスに満足していない場合は、62%の人が知人との話、あるいはSNSへの書き込みで不満を拡散すると答えています。
これらの情報が口コミとなり、新たに他の人が比較・検討する際の参考にしていくことを考えれば、発信の段階のユーザーがマーケティング評価に有効であることがわかります。
発信の段階においては、商品・サービスの満足度を極限まで高めることがもちろん重要になります。また、SNSのインフルエンサーなどを活用した良い評価の拡散や購入者への高評価依頼など、ポジティブな口コミの拡散にむけた施策も合わせて行うと効果的でしょう。
ユーザーの購買前後の行動を体系化するファネル
今回はファネルとはどういうものか、ファネルの各段階の意味や具体的な施策についてご紹介しました。
近年では、ユーザーの購入後の行動がマーケティングに大きく影響を及ぼす時代になっています。ファネルの段階に合わせて有益なコンテンツを提供し続けることで、ユーザーを単なる「消費者・利用者」から「自社商品のファン」に変えることができます。ファンとなったユーザーに自社商品の情報を発信・拡散してもらえたら、マーケティング効果を最大化することができます。
コンテンツマーケティングを進めるに当たってファネルを意識し、各段階に合わせてコンテンツを最適化しましょう。また、既存のコンテンツを分析する際もファネルを参考にして、コンテンツ戦略の弱点を見出しましょう。自社商材の購買でネックとなりがちファネルの部分を特定できれば、重点的に施策を打ってPDCAを効率的に回せます。
なお、ファネルに沿って施策を打ってもコンテンツマーケティングの効果が上がらないケースもあります。その場合、「自社と相性の良い客層をターゲットとしていない」など、コンテンツ戦略の根本的な部分に原因があるかもしれません。
自社で色々工夫しても成果が得られないのであれば、外部のプロに相談してみるのも選択肢の一つです。自力で対応する部分とヘルプに入ってもらう部分を見分ければ、成果に繋がるコンテンツマーケティングが実現できるでしょう。
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