BtoBのカスタマージャーニーマップ完全ガイド
最終更新日:2022年04月05日
マーケティングにおいて、顧客行動を分析する上で重要なファクターを占めるカスタマージャーニーマップ。これを活用することにより顧客への課題解消が可能となります。
こちらではカスタマージャーニーマップの意味と役割やその作成方法、そして使用する事によるメリットなどを解説しています。
そもそもカスタマージャーニーマップとは?
カスタマージャーニーは英語表記で「Customer Journey」となり、「顧客の旅」という意味があります。
マーケティング用語としてビジネスの現場ではよく使用されている言葉となります。
顧客が商品やサービスを知ってから購入に至るまでの行動や、また購入してから利用後に廃棄するまでの行動など、これら一連の流れを旅行や旅に置き換えた概念をカスタマージャーニーと呼んでいます。
カスタマージャーニーマップの意味とその役割
カスタマージャーニーマップとは上述カスタマージャーニーを可視化し、マップとして作成したものを指します。
顧客の購買行動のプロセスを知ることはマーケティングを行う上で重要事項となります。顧客は商品やサービスを認知してから購買に至るまで、多くの過程を経ます。そしてそれぞれステージごとに、そのとき抱く感情や考え方も変化していきます。
これらすべての工程を可視化し、カスタマージャーニーマップで全体像を俯瞰して見ることにより、ステージごとの課題が浮き彫りとなってくるのです。そして顧客の課題が明確にになっていれば、それに合ったマーケティング施策を打ち出すことができるようになります。
カスタマージャーニーマップを使うメリット
カスタマージャーニーマップを活用することによるメリットには、以下のようなものがあります。
- 顧客のニーズに合ったマーケティングができる
- 取り組むべきマーケティング施策が分かりやすくなる
- 顧客視点による自社の評価が分かる
- チームで統一した意識でマーケティングに取り組める
顧客のニーズに合うマーケティングができる
マーケティングにおける重要事項のひとつとして挙げられるのは、その商品やサービスに需要があるかどうかということです。
需要とは言わば顧客のニーズであり、求めているものです。これを考慮しない商品やサービスを開発しても、顧客が興味を持つ可能性は低く失敗する確率が高くなります。
カスタマージャーニーマップを活用し、顧客を客観的に分析できれば、顧客のニーズにマッチした商品やサービスの開発案とそれに合ったマーケティング戦略が出せるのです。
取り組むべきマーケティング施策が分かりやすくなる
マーケティングは看板広告から専門誌への広告掲出、Webサイト、SNSなど、「戦術」のオプションが豊富です。しかしそこで問題となりやすいのは、「施策選び」です。
自社に合っているマーケティング施策を把握せず、行き当たりばったり様々なものを試しているうちに費用がかかってしまう、というケースが少なくありません。その原因は、どのような伝え方をすれば反響が得られやすいのか、整理できていないことにあります。
カスタマージャーニーマップを活用すれば、顧客の購買プロセスに合わせて最適なマーケティング施策が簡単に洗い出せます。優先順位を立てて「刺さる」施策をピンポイントで打ちだし、マーケティングの効率上げられます。
顧客視点による自社の評価が分かる
顧客から見た自社の評価はもっとも気にすべきところです。マーケティングにおいて行いがちなのは、顧客の目線や評価を無視した売込みです。
従業員たちが「自社の技術は優れている」とどれだけ感じていても、顧客のニーズにマッチしていなければ、顧客が興味を示す可能性は低いと言えます。
カスタマージャーニーマップは顧客目線を軸にしたフレームワークです。その時の顧客の課題の他、感情なども検討するため、顧客のニーズや必要とするものはもちろん、商品やサービスに抱く感情まで予測できるようになります。
これらを通して顧客視点による自社への評価も客観的に推察することができるようになり、顧客の評価を無視した売込みの改善へと繋げられるのです。
チームで統一した意識でマーケティングに取り組める
マーケティング施策での悩みの種は、それぞれのマーケターが施策を独自に進行してしまうことです。つまり往々にして、統一性が取れていないマーケティングになってしまうのです。これを防ぐには案件の一つひとつにおいて、チームで統一した意識を持ち、取り組むことです。
カスタマージャーニーマップは、複雑な顧客の購買プロセスを、誰が見ても同じ解釈ができるように視覚化されたものです。
これをチーム全員で共有して使用することによって、視点のズレがなくなります。結果、チームで統一した意識を持ちつつ、同じ視点からマーケティング施策に取り組むことができるのです。
BtoBにおけるカスタマージャーニーマップのポイント
BtoBにおけるカスタマージャーニーマップの作成はBtoCとは異なるポイントを抑えておく必要があります。それが以下の項目です。
- 成約に繋がりやすいテーマの設定
- 意思決定に関わる複数の人物への対応
- 中~長期の検討期間への対応
- 自社商材の合理的なアピール
成約に繋がりやすいテーマの設定
BtoBにおいては顧客の購買プロセスが複雑になりがちですので、カスタマージャーニーマップの作成では、はじめに成約に繋がりやすいテーマの設定を行います。それぞれ以下の要素を明確にします。
- 自社で提供できる商品やサービス
- 顧客の状態
顧客のニーズと自社ならではの強みが合わさる部分をもとにカスタマージャーニーマップを作ることで、施策をより早く成果に繋げることができます。
自社で提供できる商品やサービス
ターゲットである顧客に対して、自社で扱っている商品やサービスが複数ある場合は、ターゲットに適切なものを明確にします。その商品やサービスの購入から使用までの過程がテーマとなります。
顧客の状態
顧客の状態では、顧客のスタートとそのゴールについて設定をしていきます。
スタートに関しては顧客がその商品やサービスを認知しているか認知していないか、という段階から設定を始めます。これはその顧客における商品やサービスの認知度によっても設定は異なるからです。
既にある程度認知度があると自ら判断できれば、認知している段階から開始します。あまり名が通っていないのであれば、認知前の状態から開始します。
ゴールにおける設定例としては、購入された段階にするのか、もしくは購入後に問題や課題が解決された段階にするのか、あるいはリピートされた段階にするのか、それぞれ自社の商品やサービスの特性に合わせて設定を行っていきます。
意思決定に関わる複数の人物への対応
テーマの設定を行った後はペルソナを設定していきます。BtoBではBtoCと違い、企業が商品やサービスの購入を決定するまでには、複数の人物が意思決定に関わっています。BtoCではペルソナ設定を一人に絞って行いますが、BtoBでは企業全体としてのペルソナも設定します。
企業全体としてのペルソナ設定には、事業内容や業種、売上規模など企業に関する多くの項目を調べていきます。方でそれと同時に、その企業における最終的な購入決定権を持つ人物像のペルソナも行っておきます。
その理由として、企業全体としてだけでは考察範囲が広すぎて絞り込めず、漠然としすぎてしまう場合があるからです。そこで最終決定権に大きな影響を与えるであろう重要人物のペルソナも行っておくのです。
この人物像におけるペルソナは企業内における場合と企業外における場合の両面から設定を行います。企業内では役職に就いている場合のペルソナ設定を行います。例えば役職や所属部署、業務内容といった項目が挙げられます。
一方「企業外」は言い換えると「家庭内」ということになり、こちらはBtoCと同様のペルソナ設定を行っていきます。例えば年齢や性別、家族構成などの項目が挙げられます。
中~長期の検討期間への対応
企業内において商品やサービスの購入が決定するまでには時間がかかります。そのためBtoBにおけるカスタマージャーニーでは顧客の段階をBtoCよりも細かく分ける必要があります。
BtoCと違うのは、購入に至るまでの過程に「社内としての意思決定」や「複数人による稟議と承認」などの行動ステップが加わる点です。これらも含めたカスタマージャーニーマップを作成し、顧客のニーズ解消に繋がるマーケティングを行うと成果がでやすいでしょう。
自社商品やサービスの合理的なアピール
BtoBでは自社商品やサービスをいかに合理的にアピールできるかが鍵となります。それらアピール方法も模索しておきます。
企業を相手にする場合、顧客との接点はその企業の一部の担当者のみに限られてしまいます。
購入決定権を持った人物と接触できる可能性も低く、接触できる一部の担当者にいかに合理的に自社商品やサービスをアピールできるかが成否を分けるポイントとなるのです。
BtoBカスタマージャーニーマップの作り方
細かく項目を分け、実際にカスタマージャーニーマップを作成していきます。分ける項目としては以下があります。
- 現状把握・競合調査
- ペルソナ作成
- ゴール・目的設定
- カスタマージャーニーの行動ステップ分け
- ステップごとのユーザー態度変容目的を設定
- 適したマーケティング施策の考案
現状把握・競合調査
カスタマージャーニーマップの作成に入る前に、まずは自社の現状把握と競合調査を行います。自社でできること、得意なことなどを改めて見直し、同業他社と比べて差別化できるポイントを確認していきます。
現状把握を効率よく行うには、3Cなどのフレームワークを使うことがおすすめです。下記のページには記入するだけで簡単に現状把握・自社と相性の良い顧客が洗い出せる無料ワークシートを用意しておりますので、ぜひご活用ください。
ペルソナ作成
次には、自社に合ったペルソナを作成していきます。注意しなければならないのはBtoBに最適なペルソナを作成することです。
上項目「意思決定に関わる複数の人物への対応」で説明した通り、企業全体としてのペルソナと最終的な決定権を持つ重要人物のペルソナの2種類を作成していきます。そのうえ、認知段階で最初に接するであろう担当者などのペルソナも設定できます。
ゴール・目的設定
どのような状態になったら成果と言えるのか、そのゴールやプロジェクトの目的を明確に決定しておきます。
購入の時点で成果となるのか、購入後の課題解消をもって成果となるのか、あるいはリピーターとなった段階で成果となるのか、このあたりの設定如何で目標となるゴールまでの工数が変わってくる場合があります。
カスタマージャーニーの行動ステップ分け
顧客が取るであろう行動やそのときにおける思考、そしてたどるプロセスを、ステップを分けてカスタマージャーニーマップを作っていきます。
主な項目として、縦軸には行動や思考及び感情の他、タッチポイント・チャネルなど、主に顧客が取る行動やそのときにおける思考などを記載します。そして横軸には認知や検討、購入、利用といった顧客が辿るプロセスを記載していきます。
ステップごとの顧客態度変容目的を設定
ステップ分けを行ったら、ステップごとに顧客がどのようなことを考えて、どのように感情が動いていくのかを実際に記入していきます。重要なのは自社にとって都合のよい「プラス感情」だけでなく、課題や悩みなど、負の「マイナス感情」も盛り込むことです。
適したマーケティング施策の考案・実行
すべての項目を埋めることができたら、それぞれのステップごとに顧客の反響が得やすいマーケティング施策を考えていきます。たとえばペルソナが40代 ~ 50代でよくSNSを見ている部長級の人物なら、フェイスブック広告を打ち出すのが1つの選択肢でしょう。一方、マーケティング担当者で会社のPCを使って解決策を探している人物がペルソナなら、自社サイトのSEO対策やポータルサイトへの掲載が良いかもしれません。
マーケティング施策を実行したあとは効果測定を行い、その効果に合わせてしっかりとPDCAを回していく必要があります。たとえばフェイスブック広告でターゲットとしていた40 ~ 50代向けの部長級のユーザーを集客できなかった場合は新しい仮説を立てて、ペルソナとカスタマージャーニーマップを修正します。
ペルソナとカスタマージャーニーマップ、そしてそれを基に考えるマーケティング施策を少しずつ改善することで、徐々に自社に最適なマーケティング戦略が明確になってきます。
Webマーケティングでお悩みなら
カスタマージャーニーマップを使うことで、成約に繋がる精度の高いマーケティングが可能となります。しかし、カスタマージャーニーマップの作り方が分かっていても
・ターゲット設定ができていなくてマップの内容がまとまらない
・具体的にどのようなマーケティング施策を打ち出せばいいのか分からない
・カスタマージャーニーマップに沿った適切なコンテンツを作るためのリソースが足りない
といった「壁」にぶつかることがあります。そのような場合は、Web制作会社やマーケティング会社など、外部のプロに相談するのも選択肢の一つです。
Zenkenではクライアントの強みに則したマーケティング戦略を提案しています。いままでに120以上の業種で8,000社を超えるクライアントを支援し、集客実績を挙げて参りました。
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