メディカルツーリズム(医療観光)の集客・集患に必要な施策とは?
最終更新日:2024年04月03日
医療ツーリズム・メディカルツーリズムとは
医療ツーリズムやメディカルツーリズムは医療を受けることを目的とした海外ツアーを指します。ふたつの言葉は呼び方が異なるだけで違いはありません。日本国内の医療関係者がこの医療ツーリズムやメディカルツーリズムを利用してインバウンドでの収益を狙うことが注目されています。
医療ツーリズムやメディカルツーリズムをする理由は海外の医療費用が高額なため
日本国内から考えるとなぜわざわざ海外に行って医療治療を受けるのかと考える方もいるかもしれません。その背景には保険診療体系の違いがあるのです。
日本では国民が全国どこでも同じ費用で治療を受けられる「国民皆保険」という制度があるため、誰でも保険医療費の1割から3割を医療機関に支払うことで医療を受けられますが、海外では国により異なります。
例えばアメリカでは誰でも公的な保険で治療が受けられるわけではありません。急に病気になった場合に大きな治療費を支払うことが難しいために自己破産してしまうというケースもあるほどです。
医療と観光を兼ね備えたツーリズム
医療ツーリズムやメディカルツーリズムは治療のみが目的の渡航ではありません。もちろんメインは治療のため、医療体制を整えておくことは必要ですが、治療以外のときは日本で自由に過ごすことが可能です。そのため日本の人気の観光地へ旅行ができるというメリットもあります。
医療施設だけではなく、周辺の観光業としてもインバウンドの収入が見込めるのです。
メディカル ツーリズムの市場規模
日本での医療ツーリズムやメディカルツーリズムでの市場規模についてみてみましょう。
2020年時点での日本の医療ツーリズムやメディカルツーリズムの市場規模は5,507億円です。このうち検診なども含めた医療費の金額は1,681億円と、医療費だけではなく観光にも大きな影響をもっていることがわかります。
(参考元「株式会社日本政策投資銀行 産業調査部」https://www.dbj.jp/ja/topics/report/2010/files/0000004549_file2.pdf)
医療ツーリズムやメディカルツーリズムでのメリットはツアーなどによる収入
医療ツーリズムやメディカルツーリズムの体制を整えることで受けられるメリットとしては下記があります。
- 長期間滞在するため国内で消費をしてもらえる
- 滞在期間中の観光消費が増える
- 参加者はある程度金銭的に余裕をもっている
- 医療機関の症例が多くなり研究にも役立つ
通常のインバウンドよりも多く国内で消費してもらえるのです。医療機関も収入が増えるため設備を新しくでき、全体的な医療技術の進歩にもつながります。
他国でもインバウンドの医療ツーリズムで成功している事例がある
日本ではまだ医療ツーリズムが広まっているとはいえません。しかしアジアではすでに医療ツーリズムやメディカルツーリズムの体制を整えてインバウンドに成功している事例もあります。下記は2019年の共同通信による報道です。
台湾の衛生福利部(衛生省)の統計によると、2018年に医療ツーリズムで台湾を訪れた外国人は延べ41万4,000人と過去最高を更新した。このうち、東南アジア諸国連合(ASEAN)からの訪台客が初めて中国を上回った。自由時報が伝えた。
(引用「共同通信」https://www.nna.jp/news/show/1899107)
医療観光で集患するために必要な準備
医療ツーリズムがメディカルツーリズムの体制を整えるのは簡単ではありません。医療施設にて適切な治療が受けられる体制を用意しておくことはもちろんですが、医療施設だけではなく生活をする地域の宿泊施設など、生活にかかわる施設が外国語に対応している必要があります。また体制を整えた上で海外に向けた宣伝活動も行わなければいけません。
そのためその周辺地域、もしくは自治体単位で力を合わせて進めなければいけないのです。
厚生労働省のマニュアルをもとに医療ツーリズムやメディカルツーリズムの体制を整備
医療ツーリズムやメディカルツーリズムに力を入れるのであれば、厚生労働省が発行している外国人患者の受入れのための医療機関マニュアルを元に外国人患者を受け入れる体制を整えておく必要があります。
例えば本来であれば海外で来日する外国人は短期滞在ビザを利用しますが、その期間は最大で90日となっています。医療ツーリズムやメディカルツーリズムでの滞在の場合、医療滞在ビザの申請がよいです。滞在期間は同じく90日以内であるものの、下記のような特徴をもっています。
- 入院する場合には最大で1年までの期間が認められる
- 患者の同伴者にも同様のビザが発行される
- 歯科治療や健康診断、温泉湯治の療養なども対象
これは医療ツーリズムやメディカルツーリズムを推進するために規制が緩和された政府の施策のひとつです。
医療ツーリズムやメディカルツーリズムのコーディネーターとは
短期滞在ビザよりも場合によっては期間が長くなる可能性のある医療滞在ビザは、身元保証機関が必要です。こうした身元保証期間と、医療ツーリズムやメディカルツーリズムを希望する外国人をつなぐ役割である国際医療交流コーディネーターという登録制度があります。
国際医療のコーディネーター費用としてプラスアルファも
この国際医療交流コーディネーターに登録していなければ医療滞在ビザが発行できないわけではありませんが、日本政府によって登録される資格のため、取得している会社は身元保証機関として選ばれる可能性が高くなります。
特に医療コーディネーターがおこなう業務として、医療施設とのやり取りだけではなく翻訳や入出国のサポートなども必要な業務です。24時間の電話受付などの体制を整えているケースもあり、コーディネート費用としてコーディネーター会社はプラスアルファの収入を見込めます。
医療ツアーだけを重視してはいけない
医療ツーリズムやメディカルツーリズムで大きなインバウンド収入を狙えるといっても、集患しすぎることでその地域に住む日本人が医療サービスを受けられないという事態にならないように注意しなければいけません。外国人患者からの受け入れについては一定までにするなど、紹介する医療施設との取り決めや連携が必要です。
医療ツアーの治療費設定
医療ツーリズムやメディカルツーリズムは、その治療費の支払い方法や費用設定もしっかり検討しておくべきです。特に海外からの渡航者については医療費が未払いだった場合に回収が非常に難しくなってしまいます。前払い制にしておくなど、リスクを避けておきましょう。
外国人患者への診療費用は保険制度の対象外で自由診療のため、コーディネーター会社や自治体が医療機関としっかり話し合っておく必要があります。高額すぎると他の地域へ外国人が流れてしまう可能性がありますが、かといって医療施設の経営に影響がでるような設定にしてはいけません。
- 治療にかかる原価
- 医療施設を使うための費用
- 通訳できる体制を整える費用
これらを踏まえて適切な費用設定が必要です。
ツーリズムにつながるインバウンドの医療ジャンル
実際にどのような医療ジャンルってインバウンドにつなげているかをご紹介していきます。
一般医療のツーリズム
内科などの一般的な治療や総合病院であれば、健康診断という内容でも問題ありません。例えばこのような検査があります。
- がん検査
- 胃カメラなどの消化器検査
- 甲状腺などの超音波検査
- 心電図や動脈硬化などの循環器検査
- その他レントゲンなど
こうした診断をおこなった上で病気が見つかった場合にそのまま医療機関へ入院もしくは診察で治療を受けられる体制が整えておきます。
検査だけではなく、自国で既に病気が発覚している場合にはそのカルテをもちいて日本の医療施設が治療をおこなうケースも対応できるようにしておくのが望ましいです。
美容医療のツーリズムでインバウンドを狙う
美容医療に関してもいわゆる美容外科という医療ジャンルになり医療ツーリズムやメディカルツーリズムとして考えることができ、一般的な医療とは基本的に変わりません。ただし、日本国外では無資格の医師を紹介されたケースや、施術後に合併症が発生してしまったというトラブルなどが見られます。
国内で美容外科の施術を受けた後に万が一トラブルが発生した場合にどのような対応を取るのかなど、信頼してもらえるような体制を整えておくことが大切です。
デンタルツーリズムという分野も今後広がる可能性あり
歯科治療においても同様に歯の治療や検診に特化したツーリズムを考えることができます。日本であればインプラントや審美治療などが海外から考えると信頼性が高い治療ジャンルです。
口腔癌の検査というサービス方法もありますし、インプラントと審美など複数の治療を総合的におこなう方法もあるでしょう。
インバウンド集患の宣伝をするならWebメディア
医療ツーリズムやメディカルツーリズムとして態勢を整えて海外からの希望者を集患するのであれば、海外へ発信できる告知方法が必要です。
- 自治体のホームページにて発信
- 医療のホームページにて発信
- コーディネーター会社が現地やホームページで集患
このような方法が考えられますが、いずれにしても日本語だけではなく海外向けに翻訳されたサイトなども準備をしておかなければいけません。
医療ツーリズムやメディカルツーリズムのサイト作成依頼は英語対応可能な企業へ
ホームページの制作会社へ依頼をするのであれば、海外向けサイトの実績のある会社を選びましょう。
Zenkenでは海外向けのサイト制作実績もございます。医療ツーリズムやメディカルツーリズムで告知を考えているのであれば一度ご相談ください。
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