新サービスの戦略立案に役立つフレームワークと活用手法を解説
最終更新日:2024年04月16日
新規事業の戦略立案前にフレームワークで市場や自社商品の分析を行なうのは立ち上げ準備の基本です。しかしフレームワークの選択や分析方法が誤っていると新規事業の戦略にうまく活かせません。
ここでは新規事業の戦略立案に役立つフレームワークの説明と活用法について解説、さらに新規事業を軌道に乗せるための具体的な施策も紹介します。
- 商材の強みを理解した反響が取れるため、価格競争から脱却し受注単価が2.5倍になった
- 数ある競合から自社に興味を持ってもらえ、反響獲得後から契約までの期間を3分の1に短縮できた
を実現した「ポジショニングメディア」というメディア戦略です。
全研本社が提供するポジショニングメディアについてはこちら(記事の後半へジャンプ)から飛べば、すぐにお読みいただけます。
新事業展開に成功した企業で経常利益率が増加傾向にあると回答した企業は51.4%となっている。
引用元:中小企業庁「新事業展開の促進」(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap3_web.pdf
)
中小企業庁の調査では新規事業展開が成功した場合の経常利益率について、上記データを公開しています。もちろん、すべての中小企業が新規事業で成功するわけではありませんが、会社の発展に新規事業が大きな影響を与えることは間違いありません。
新規事業を継続するだけではなく利益の増加成功につなげていくにはどうすればよいか。まずはこの点について整理しておきます。
新規事業の戦略立案前に整理すべきこと
まずは新規事業の戦略を考える前に、整理点をまとめます。
新規事業をなぜ立ち上げるのか?
いわゆる事業のビジョンです。なぜ新しく商品やサービスを提供するのかを明確にします。トップ陣だけではなく可視化して新規事業に関わるスタッフ全員に認識させることが重要です。
新規事業の市場分析
新規事業の範囲を決める、つまり適切な事業ドメインの設定も必ず事前に決めておかなければ成功できません。
すでに強いライバル企業がいる市場は勝つのは大変です。しかし市場分析にてブルーオーシャンのポジションを見つけられれば、差別化された商品を提供できるため新規事業の成功確率はグッと上がります。
新規事業で用意できるリソース
新規事業において用意可能なリソースも必ず整理しておきましょう。戦略を立てたけれど進められない事態になりかねません。主に4種類が挙げられます。
経済的リソース
設備投資に回せる資金、人件費として今後も固定で発生する費用で対応可能な資金を把握しましょう。中小企業においては経済的リソースが一番問題となりやすいポイントです。
しかし他のリソースと異なり経済的なリソースについては将来性が見込めれば、融資を活用するなど資金調達にてフォローできます。
ノウハウ的リソース
ノウハウを再確認するためには、棚卸が欠かせません。当たり前にできると思っていることも、実は他社にとっては簡単にはできない技術の可能性もあります。小さなことでも分類表に記載して整理しておきましょう。
人的リソース
新規事業運営にあたり動かせるスタッフの人数です。ノウハウにつながる部分でもありますが、頭数の人数だけではなく事業全体もしくは事業の分野ごとに統率できるリーダーが存在するかも確認しておかなければいけません。
新規事業に参加したいと思ってくれる社員は一般的に多くないため、リーダーを含めた人的リソースを用意するのはなかなか大変です。日本企業においては海外と異なり「失敗するのはいけない」という空気が強くあるのも関係しています。
企業のなかで普段から失敗を寛容な空気をつくっておくことが新規事業を立ち上げ時のリソース確保につながるのです。
販売経路のリソース
過去の事業において作られた販売経路も、必ず整理しておかなければいけないポイントです。新規事業のジャンルをアプローチできる顧客をもっているかいないかで、戦略も変わってきます。
特に中小企業においてはよいアイディアから新規事業を立ち上げても、アプローチできる顧客がいないために苦戦するケースがみられます。
新規事業立ち上げの戦略計画をつくる
自社や市場の分析が完了し用意できるリソースが整理できたら、あとは具体的な事業計画を検討しましょう。ポイントとして以下の3点があります。
- 5W1Hの具体的な計画である
- 理想のみではなく現実的な計画にする
- 根拠のある数値や戦略を設定する
市場分析結果や整理したリソースをもとに、具体的な計画を立てなければいけません。理想だけで決めてしまうと実際に事業を進める上で修正が発生しやすくなります。
新規事業の戦略立案に活用したいフレームワーク
新規事業の戦略を検討する際の分析には、STP分析や3C分析、SWOT分析などを代表としてさまざまな種類があります。いくつかピックアップしてご紹介します。
MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)
ミッション、ビジョン、バリュー(Mission, Vision, Value)の略で「使命、理念、行動指針」という意味です。新規事業の方針を決める際に定めておくべきポイントです。
きちんと設定していないと関連メンバーが別々の方向に進んでしまう、トラブルが起きたときの修正で本来のビジョンとは異なる方法に向かってしまうといった可能性があります。
ミッション
新規事業を立ち上げる理由や使命です。ターゲットがもっている悩みを解決する方法が該当します。
ビジョン
上記のミッションを達成するにあたり必要な指針、意識設定です。達成後どのように市場や日本、または世界を変えていきたいのかという内容になります。
バリュー
ミッションを達成するための価値観設定です。新規事業プロジェクトのメンバーが全体で同じ方向に進むために統一させておきます。
ペルソナ分析
新規事業をアプローチするターゲットを具体的な人物として作り上げる手法です。ターゲット像を想定するケースは多々ありますが、ペルソナは下記に注意してより具体的に設定します。
- 分析データをもとにして設定する
- 属性を細かく設定する
- リアリティな人物像を考える
- 購入するまでのストーリーを設定する
- 顧客と接するスタッフにズレがないかチェックしてもらう
データを集めるためにインタビューやアンケートを活用するのもおすすめです。
SCAMPER
アイディアを考える際に役立つフレームワークです。新規事業の準備段階で、よい決定打がでないときに活用してください。
- Substitute:素材やサービスを別のものに置き換える
- Combine:複数の方法を組み合わせる
- Adapt:別や類似のものを適用させてみる
- Modify:サイズや内容を修正、訂正し変更する
- Put to other uses:別の用途で利用できないか
- Eliminate:取り除き、はずしてみる
- Reverse・Rearrange:入れ替えたり逆にしたりする
ひとつずつをじっくり考えるのではなく、まずは上記のネタをもとに沢山のアイディアをだしてみます。数がそろってからじっくりと取捨選択しましょう。
アドバンテージマトリックス
新規事業の市場ドメイン設定において、競争要因と優位性にて4種類に分析するフレームワークです。競争要因が大きいと工夫次第で勝てますが、競争要因が少なければ価格差など単純な内容で決着がつきやすいため、大手企業がいると入り込むのは難しくなります。
競争要因が多く優位性も高い:特化型事業
ニッチながらも規模の大きい市場が該当します。差別化された分野をもつ中小企業が狙いやすい事業です。
争要因が少ないので優位性も高い:規模型事業
将来性も加味しなければいけませんが、すでに特化している技術やノウハウがある場合に成功しやすくなります。
競争要因が多く優位性も低い:分散型事業
競争要因で勝てるポイントがあれば利益をあげられますが、小規模で進めないと利益をあげるのが難しくなります。
競争要因が少なく優位性も低い:手詰まり型事業
勝ち負けに決着がつきやすく、かつ優位性も低いために新しく入るのは避けるべき事業分野です。手詰まり型事業に該当すると判断したら市場を変えましょう。
ビジネスモデルキャンパス
新規事業のビジネスモデルを可視化できます。従業員に対して事業内容を認識してもらうだけでなく、融資を受ける、社内で事業立ち上げによる決裁をもらうための事業計画書作成時の骨組みとしても役立ちます。項目は下記の9点です。
- 顧客:セグメントされた顧客
- 価値:顧客に提供できる価値
- チャネル:商品やサービスの提供方法
- 関係:顧客と関係を構築する方法
- 収益:利益化する方法
- 資源:価値を提供するリソース
- 主要活動:価値提供のためにやること
- 協力者:主なパートナー
- コスト:提供するために必要なコスト
具体的なビジネスモデルを可視化しているため、完成した際には仮説と検証も進みやすくなります。
ファイブフォース
競争要因を分析するフレームワークです。図を見ればわかるように、5つの脅威で構成されます。
新規参入業者
自社以外にも参入が容易であるかどうかです。サービス向上や技術がシンプルだと他社も参入しやすくなりライバルが増加します。
買い手
自社が提供する先、顧客が該当します。提供するものがあまり差別化されておらず、他にもライバルが多い場合にはあまり自社の交渉力は高くなりません。
売り手
自社への売り手、つまり原材料などの仕入先に該当します。仕入先の選択肢が少なくコストが高ければ利益をあげにくくなります。
代替品
提供するサービスや商品の代わりになる脅威があるかどうかです。多ければ自社の優位性は低くなります。
競争業者
上記4点を踏まえてライバルとなり得る企業を挙げます。競争業者が多いほど、新規事業の難易度が上がります。
AIDMA・AISAS
ターゲットが利用するまでの流れを考えるモデルを設定します。
AIDMAは下記5つとなります。
- Attention:事業について注目してもらう
- Interest:ターゲットが興味をもつ
- Desire:利用したいという欲求をもつ
- Memory:記憶する
- Action:実際に利用する行動に移す
AISASはインターネットを活用した流れに変えたものです。
- Attention:事業について注目してもらう
- Interest:ターゲットが興味をもつ
- Search:検索して調べる
- Action:実際に利用する行動に移す
- Share:利用者がSNSやブログなどで共有する
現代においてはAISASを利用して広告展開方法を考えるのがおすすめです。
アンゾフの成長マトリックス
市場と製品において既存か新規かを組み合わせて4つのマトリックスを作成するフレームワークです。今後の成長で必要な戦略が可視化されて分かりやすくなります。
- 既存製品と既存市場:市場浸透戦略
- 新規製品と既存市場:新製品開発戦略
- 既存製品と新規市場:新市場開拓戦略
- 新規製品と新規市場:多角化戦略
ピラミッドストラクチャー
主張したい内容をロジックツリーのようにピラミッド型にグループ化して整理するフレームワークです。
- メインのメッセージ
- 小さなキーメッセージ
- 根拠
上記の小さなキーメッセージがさらに細分化されるケースもあります。戦略を考える際に自分の考えを整理する、または相手に伝える際に理論的にまとめる際に役立ちます。
PPM
市場の成長性と市場シェアの軸を組み合わせて経営資源の増減を判断するためのマトリックス表です。
市場成長率が低く市場シェアは高い:金のなる木
比較的簡単に利益をだせる事業に該当します。他の苦戦している花形や問題児の事業に投資していくべきです。
市場成長率が高く市場シェアも高い:花形
ライバルが多く投資も必要となります。金のなる木で得た収益を流入していきたい分野です。
市場成長率が高く市場シェアが小さい:問題児
将来の市場を考えるとコストが必要なため、花形や金のなる木などで得た収益を投資しなければいけません。
市場成長率が低く市場シェアが小さい:負け犬
利益をだすのが難しい状況です。該当する市場事業をやめて他へ投入するべき段階です。
PEST分析
新規事業が外部環境とどのように影響するかを分析する手法。
- Politics:新規事業に影響する法や政治的動向
- Economy:経済的要因、海外と日本の為替状況や所得などが影響
- Society:流行りや習慣のほか、人口推移などの社会的要因
- Technology:IT技術や生産技術など技術面の要因
例えば法にて制限される事業なら展開するのは難しいですし、技術が発展すれば不要となるサービスもでてきます。外部の要因によって今後の市場変化を分析し、方向性決定に役立ちます。
ポジショニングマップにもとづいた具体的施策
ポジショニングマップも新規事業の立ち上げ時に活用すべきフレームワークです。3C分析にて市場の環境を基準として縦軸と横軸を組み合わせマッピングし、ブルーオーシャンとなるポジションを探します。
分析がずれるとポジショニングマップもずれるため、あらかじめ顧客と市場をどちらも丁寧に分析しておかなければいけません。
ポジショニングマップでブルーオーシャンを見つけられたら、該当のターゲットにアプローチするのに有効なのがポジショニングメディアです。
ポジショニングメディア
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自社サイトでコンテンツを拡充する以外に、「自社の強み」をコンセプト化したメディアを新たに立ち上げ、自社の強みを必要とするユーザーだけを重点的に集客する方法があります。それがポジショニングメディアです。
マーケティングの基礎となるポジショニングをベースとしたマーケティング施策で、市場や業界における自社と競合他社との「立ち位置」を明確にすることで、「自分(自社)が欲しい商品・サービスはこれ!」とユーザーが選びやすい情報を提供します。
例えば、競合と価格の安さでは競合他社に勝てなくても、購入後の保証内容、定期的な保守点検、トラブル時の迅速な対応などといった「サポート体制」の充実度で勝っている企業があるとしましょう。
そのような場合、価格の安さよりも「アフターケア」を最重視するユーザーに対して、「アフターケアの視点で捉える商品の選び方」をメインテーマとしたWeb集客メディア(ポジショニングメディア)を独自で立ち上げ、アフターケアの充実度に魅力を感じるユーザーだけを集客します。
なんらかの製品やサービスを探して比較しているユーザー全員をターゲットにするのではなく、メンテナンスや保証、きめ細かいアフターフォローを求めているユーザーをターゲットにするのです。
ポジショニングメディアを通じた問い合わせは、従来のような比較検討中のリサーチではなく、「貴社の商品購入を検討中なので詳細が知りたい」という、より購買意欲の高まった反響が得られます。
ポジショニングメディアと従来の広告掲載型メディアとの違い
ポジショニングメディアはBtoBでもBtoCでも導入できるWebメディア戦略で、製造業、不動産、美容医療、人材サービス、保険、学習塾、金融などこれまで120業種以上の中小企業に導入されています。
「これまで他社と比較される資料請求ばかりだったが、ポジショニングメディアを導入したことで、当社の強みを分かってくれる問い合わせが増えて、最終的には成約にまで繋がった!」というお声も頂戴しています。
その体験談のひとつをご紹介します。
ポジショニングメディアを導入した企業の体験談
今までは営業電話でしかアポが取れませんでしたが、ポジショニングメディアを始めてから電話やサイトからのお問い合わせが毎日続くようになりました。
しかし、営業戦略の要であるテレアポを辞めるわけにはいきませんのでまだまだ続けてはいます。しかしそこで驚いたのがアポ後の営業がとても楽になったと現場からの声でした。
話を聞くと、お客様は我々と会う前にどうやら商品サービスやその評判などを事前に調べているようで、その証拠にポジショニングメディアに書いていることを会う時点で知っていることが多いとのこと。
しかも、そのメディア上では我々の強みを伝えられているので、何よりも成約に繋がりやすいと営業が非常に喜んでいます。
Webからの反響の質がかなり改善されたので、営業が問い合わせに即対応するようになりました。
このほかにも、ポジショニングメディアを導入した企業の成功事例を資料にまとめて提供しています。自社の事業内容にマッチしているか、この機会にご確認ください。下記ボタンよりダウンロードできます。
新規事業戦略立案とフレームワーク活用手法まとめ
新規事業を進める際には下記を整理しておきましょう。
- 新規事業を立ち上げる理由
- 新規事業の市場分析
- 新規事業で準備可能なリソース
- 新規事業の戦略計画
また整理する際には、さまざまなマーケティング手法のフレームワークが役立ちます。ただ当てはめるだけではなくなぜ活用するのかも考えなければいけません。
- 入念な分析が不可欠
- 事業の従業員や関係者への伝達が重要
- プロジェクトメンバー全員が同じ方向に向かうように説明
- 説明したから大丈夫と考えない
- 可視化して整理しみんなで共有する
上記のようにきちんとした下準備ができなければ、新規事業の多くは失敗してしまいます。
新規事業のマーケティング支援ならZenkenへ
新規事業が立ち上がったあとは、改善のPDCAなどを踏まえて修正しつつマーケティング戦略に落とし込むプロセスが重要になります。
しかし立ち上げ直後においてはなかなか改善後のマーケティング戦略まで手がまわりません。マーケティングを専門とする外部パートナーにアウトソーシングすると効率的です。
Zenkenなら、下記のようにサポートいたします。
- 120業種以上のマーケティング支援ノウハウを活用
- 相談いただいた課題や問題の解決につながる施策を提案
- ポジションメディアで差別化された戦略を展開
新規事業の戦略決定後にお困りの方、差別化された広告展開を検討している方は、下記問い合わせフォームよりご要望をお寄せください
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