【5分で理解】ヒット商品のマーケティング戦略を分析!事例つきで解説
最終更新日:2022年07月15日
この記事ではマーケティング戦略が功を奏してヒット商品となった、様々な商品の戦略を分析・解説しています。
世の中で話題になるヒット商品には、その価値を伝えるための巧みな戦略があります。
ヒット商品の事例を参考にしながら、自社の商品やサービスに応用できる部分がないか、改善すべき施策はないかなど、マーケティング戦略の参考にしてみてください。
ヒット商品には巧みなマーケティング戦略がある
ヒット商品の多くは、「こんな商品が欲しかった!」といった隠れていたニーズに応えているものや、「これは新しい!便利!」とユーザーが気づいていなかった新たなニーズ・価値に気づかせるものになっています。
マーケティング戦略の基本は「誰に」「何を」「どのように」伝えるかということ。
この「誰に」の部分にあたる、ユーザーについて徹底的に分析・理解することがヒット商品の第一歩です。
「じゃあ商品開発段階でユーザーのことを分析できていないと失敗…?」と思われるかもしれませんが、既存の商品であっても戦略を変えることでヒット商品につながる可能性はあります。
※実際にこれから紹介する事例にも、途中で戦略を変えたことでヒットした商品があります。
これから紹介する事例だけでなく、気になっている商品や競合商品などがあれば、「誰に」「何を」「どのように」の部分に着目して分析してみてください。
ヒット商品のマーケティング戦略事例
アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶
それまでの缶ビールの常識を覆し、新しい概念を植え付けたのが「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」です。
フルオープンの蓋を開けるとモコモコとせり上がってくる泡が特徴で、缶ビールでありながら居酒屋で提供されるような生ビールの味わいを堪能できます。
ユーザーの「ビールの泡を楽しみたい」というニーズを汲み取り、「缶ビールでは泡は楽しめない」というそれまでの常識を覆した画期的な商品となりました。
この商品が発売された2021年4月当時はコロナ禍の真っ只中であり、家飲みでの需要も重なったことから大ヒット。
缶ビールでありながら泡を発生させられる技術は、それまでの缶ビール製造工程から視点を変えることにより実現ができました。
1つ目のアイデアは、缶の裏側に凹凸を付けることにより自然発泡させる技術を導入したことです。
これにより蓋を開けたときにビールの醍醐味の一つである「泡」を発生させられるようになりました。
2つ目のアイデアは、フルオープンの蓋に変更したことです。それまで缶ビールの常識だったプルタブ型ではなく、日本酒のワンカップのようなフルオープンの蓋を採用することにより、ジョッキを再現しました。
このような視点の転換とアイデア・発想の組み合わせにより、アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶は大ヒット商品となったのです。
アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶のマーケティング戦略ポイント
- 美味しいビールには泡がある、というユーザー心理をとらえた
- ビールの味などではなく、缶を改良することで体験を変えた
スタディサプリ
リクルートグループが運営する「スタディサプリ」はマーケティング戦略を見直すことにより、国内有料会員数110万人を擁するまでに事業規模拡大を成功させました。
スタディサプリは小中高生を対象としたオンライン学習支援サービスです。スタディサプリが誕生したそもそものきっかけは、あるアイデアからです。
地方在住の生徒や経済的な理由から学習塾に行きたくても行けない生徒がたくさんいることを知ったリクルートの社員が、オンラインで学習塾を開けないか、と模索したのがきっかけとなっています。
これらの学生をターゲットとし、セグメンテーションしたマーケティング戦略を打ち出した結果、好調なスタートを切ることができました。
その後一時伸び悩みますが「OOH施策」と「価格戦略」を打ち出すことにより不調を解消します。
OOH施策では「高校生の導線に最適化させたOOH施策」として、高校が建っている近辺のみに交通広告を利用するマーケティング戦略を実施しました。
※OOH施策 = OutOfHome施策(店頭や街頭など屋外の広告施策)
この施策が功を奏し、想定比の150%を上回る新規会員獲得に成功しました。
価格の面でも、月額980円(2013年時点)で1万本以上の授業動画が見放題というサブスクリプション型を導入。
「神授業1万本」と銘打たれた広告戦略は、圧倒的数字でお得感と、スタディサプリならではの価値を伝えることに成功しました。
2021年12月現在の授業動画数は、5教科18科目4万本にまで増加。日本にある約5000校の高等学校の半数が導入しています。
スタディサプリのマーケティング戦略ポイント
- 塾に通えないユーザーの悩みをオンラインという手段で解決
- 受験という大きな学習タイミングにある高校生をメインターゲットにアプローチ
- 圧倒的な数的優位(動画数)とお得感のあるサブスクリプション型の価格設定を導入
ガリガリ君
コンビニエンスストアやスーパーのアイスコーナーでは、もはや目にしないほうが少ない「ガリガリ君」。年間で4億本を売り上げるヒット商品にまで成長しました。
実はガリガリ君も緻密なマーケティング戦略に裏打ちされたヒット商品。
一見計算された戦略があるようには感じられないかもしれませんが、数々のマーケティング施策が行われてきました。
中でもブランドを意識した「キャラクターイメージ戦略」に力を入れています。
「アイスクリーム売り場を明るくし、視認性や話題性を高める」との狙いから、ガリガリ君のシンボルでもある「わんぱくなガキ大将」のイメージ向上戦略を加速させます。
携帯ゲームを発売したり、雑誌に漫画を連載したりしてアイスクリームのイメージキャラクターという枠を超えて、独り歩きするような戦略を次々と打ち出していきました。
この取り組みが功を奏し、キャラクターの話題だけでアイスクリーム売り場に人を集められるようになりました。
いまではガリガリ君の妹やお姉ちゃんなど、家族が新たなキャラクターとして登場し、さらに親しみ度を高めています。
事実、ガリガリ君のブランドイメージの調査でも「楽しさ」という要素において、他社商品に比べ突出していることがわかっています。
10円値上げをする際に、社員みんなで謝罪をするCMが記憶に新しい方もいるのではないでしょうか?
ガリガリ君の戦略ポイント
- 商品ではなくキャラクターイメージを刷新(実は過去には嫌われていた)
- キャラクターが一人歩きできるよう、様々な媒体で露出を増やし、ガリガリ君ブランドを確立
- 「あのガリガリ君をつくった赤城乳業」としてブランドイメージも向上。親しみや楽しさを感じてくれるファンづくりに成功
通勤快足
現在は経営破綻してしまった株式会社レナウンがかつて発売した「通勤快足」も、あるマーケティング施策によって大ヒットを記録しました。
それがネーミング効果をうまく取り入れたマーケティング施策です。
通勤快足とネーミングを変更する前は「フレッシュライフ」というネーミングで商品を販売していました。しかし商品は思うように売れず伸び悩んでいました。
テレビCMや雑誌広告などを利用した販売促進活動、流通チャネルの拡大など、さまざまなマーケティング施策を講ずるも、目立った効果は表れませんでした。
そこで当時レナウンに在籍していた社員の一人が「具体的な効果をネーミングに取り入れたらどうか」と、ユーザーに分かりやすい商品名に変更したところ、これが大ヒット。
年間最高で27億円の売り上げを記録するまでになりました。
具体的な効果とは「靴下を履くだけで、水虫や足の匂い、不快感を解消してくれる」効果です。
フレッシュライフという商品名からは、このような効果は想像できませんが、「通勤快足」と命名された靴下からは、通勤時でも快適というイメージを容易に連想させることができます。
これはネーミング効果を取り入れたマーケティング施策がいかに有効であるかが示された事例と言えます。
快足通勤の戦略ポイント
- ネーミングから機能・価値がわかるように商品名を変更
- キャッチーな商品名でCMや店舗で目にとまるようになった
明治ザ・チョコレート
明治 ザ・チョコレートはパッケージデザインの変更というマーケティング施策で成功した商品です。
2014年の9月末に初めて明治ザ・チョコレートを販売しました。「カカオにこだわったそれまでにない本格志向のチョコレート」というコンセプトで発売しましたが、いまいちユーザーに響かず、売れ行きが伸び悩んでいました。
そこで目をつけたのがデザインです。従来なかった縦型デザインを起用することで、ユーザーからの注目度が一気に上がったのです。
価格も他社製品の2倍近くを設定しているにも関わらず、3000万枚を売り上げる大ヒット商品となりました。
成功の要因として挙げられるのが、時代背景を意識したデザインの変更です。
パティシエやアーティストを連想させるようなキュートなカカオ豆のデザイン画に斬新な縦型パッケージ。インスタグラムなどのSNSに次々投稿され話題になっていきました。
一方で棚割りによって成功したとの見方もあります。
パッケージを縦型にし、高さを出したことによって、商品を陳列するためには棚の横一列を一段余計に用意しなくてはならなくなりました。
これによって商品棚の一列を目立つ形で独占し、事実上明治ザ・チョコレートの専用棚ができてしまいました。
その結果、競合他社商品との差別化ができてしまった、と言うものです。
いずれにしても、こちらの事例はチョコレートの味に目立った変更を加えていないものの、パッケージ戦略によって大ヒットを記録した良い事例となっています。
明治ザ・チョコレートの戦略ポイント
- 本格志向好きへ向けたターゲッティング戦略から、デザイン戦略へ転換
- パッケージ変更が、目立つ陳列や情報拡散のされやすさにつながった
ヒット商品のマーケティング戦略のポイント
上述の事例のようにそれまで売れなかった商品であっても、戦略を変えることで突然ヒット商品になることがあります。
自社商品の売れ行きが伸び悩んでいる場合は、「商品が持つ価値」「その商品でユーザーが感じる価値」がユーザーに伝わっているかを考えてみましょう。
商品自体に大きな変更を加えなくても、見せ方やアピール方法、ターゲティングなど、マーケティング戦略の観点で変えられることは多数あります。
自社に最適なマーケティング戦略の立案・実施にお悩みなら
ヒット商品の多くはたまたま売れたわけでなく、売れるための戦略が考え抜かれています。
ユーザーにとって価値ある商品をつくり、その価値をしっかりと届けるということがヒット商品をつくるきっかけになります。
自社の商品をヒットさせるためには、「誰に」「何を」「どのように」伝えるかという、マーケティングの基本に立ち返りながら戦略を考えていきましょう。
キャククルを運営するZenkenでは、企業や商品の独自の価値を徹底分析し、その価値を軸とした集客・マーケティング戦略をご提案することを得意としています。
いままでに120業種を超えるクライアントを支援しており、様々な業界や商品での効果的な戦略提案が可能です。
「自社の商品を求めてくれる人のもとに届け、ヒット商品をつくりたい」「マーケティング戦略を考えなおしたい」という方はぜひお気軽にご相談ください。
商品の価値を魅力に感じるユーザーを集める戦略
ユーザー自身が「自分にあう商品はこれだ!」と納得した上で、自社商品を選んでくれる。
そんな状況を実現するマーケティング戦略として、「ポジショニングメディア」という戦略があります。
ポジショニングメディアでは、競合商品と比較をしながら市場内での自社商品ならではの価値を伝えることで、その名の通りポジション(=立ち位置)を明確に示すことができます。
「〇〇といえば自社」というイメージをユーザーに伝えることができ、ニーズがマッチするユーザーに自社を選んでもらうことができます。
自社商品に魅力を感じて選んでくれたユーザーは、購入率や成約率、BtoBであれば商談率なども高まる傾向があります。
実際にポジショニングメディアを導入した企業様では、
- 自社の強みをわかった上で問い合わせをくれるので、商談率が8割アップした
- 自社にマッチしたユーザーやニーズに沿ったユーザー層を狙って集客できるため、受注単価が2.5倍に増えた
- 自社の特徴を理解してくれているので、すぐに具体的な打ち合わせや商談に移行できるようになった。契約までのリードタイムも1/3に短縮された
といった成果を実感できたという声をいただいています。
マーケティング施策としてポジショニングメディアを検討したいという際には、ぜひ以下ページにて詳細をご覧ください。