D2Cのデジタルマーケティング・広告事例

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2010年代にアメリカで発祥したビジネスモデルD2C(Direct to Consumer)。実店舗を持たず、ネットショップのみを運用する人やスタートしたばかりの企業が低予算から始められるビジネスとして人気です。

ブランドイメージをダイレクトに消費者へ伝えられるD2Cは、デジタルマーケティングとも好相性。
コロナ禍の外出自粛によって、ネットで買い物をする人が増加した今、ビジネスチャンスとしてD2Cにデジタルマーケティングを応用する企業も多くなっています。

この記事では、デジタルマーケティングの基礎知識についてふれながら、D2Cにデジタルマーケティングを上手く取り入れている企業事例を紹介しています。

デジタルマーケティングとは

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デジタルマーケティングとは、検索エンジンやWebサイト、SNS、メール、モバイルアプリなど、あらゆるオンラインチャネルを活用したマーケティング。「デジマ」と略されることもあります。

同じような言葉にWebマーケティングがありますが、WebマーケティングはSEOやアフィリエイト、Web広告などの施策を実施するマーケティング活動のこと。

それに対してデジタルマーケティングは、アプリの会員情報やユーザーデータ、ポイント情報、モバイルユーザーの位置情報など、履歴やスマートフォンなどから得られるデータを活用して、顧客と接点をつくることを重視したマーケティング活動です。

デジタルマーケティングが注目される理由とは?

デジタルデバイスの普及

スマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスの普及によって、年齢や性別を問わず幅広い人がインターネットにアクセスするようになり、モバイルデバイスで買い物をする人が増えてきました。

すると、どこにいても情報を得られるようになった顧客の購買行動には変化が起こります。気になる商品があれば「実店舗にいながら商品の価格や口コミ評判を調べる」など、検索行動にも変化が起こってきたのです。

企業側は、実店舗や公式サイトで商品を陳列し、一方的に情報を発信しているだけでは、上手く顧客を得られなくなりました。
個人が1台ずつ所有するモバイルデバイスの特性を活かして、顧客1人ひとりとのつながりを強化したマーケティングに最適化することが求められています。

顧客の情報源の多様化

これまでは主に検索エンジンを経由して情報を得ていた顧客も、モバイルデバイスやアプリの普及によって、SNSやWebメディアといった多くのチャネルから情報を入手できるようになりました。
このような顧客の行動変化によって、企業のオフィシャルな情報よりも「インフルエンサー」によるSNSでの発信や顧客が身近に感じているメディアの情報を、購買の判断基準にする人が増加しています。

顧客がアクセスするメディアの情報源を網羅し、デジタルマーケティングでアプローチして商品・サービスのファンを獲得した企業が成功をおさめるようになってきました。

新型コロナの影響

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって、外出や対面でのコミュニケーションが著しく制限されました。
飲食店や小売店など、実店舗への来店を前提としていた業界が未曽有の打撃を受けたのは、誰もが知るところでしょう。

多くの業界で非対面・非接触のビジネスモデルの模索がすすめられ、デジタルシフトが進んだこともデジタルマーケティングが注目される理由のひとつです。
Webでテイクアウトの注文ができる店舗の増加や、Webで予約から決済、配達までを行う「Uber Eats」などのデリバリーサービスが台頭してきたのはその典型と言えます。

展示会やセミナーなどの見込み客を獲得するビジネスイベントも、動画広告やウェビナーなどのオンラインにシフトしました。
このように、デジタルマーケティングに注力する企業はコロナ禍を機に急増しています。

D2Cとデジタルマーケティングは相性が良い

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流通業者などの他社を介さず、自社商品をオリジナルブランドとして直接的に(Direct)消費者へ(Customer)販売するD2Cは、商品の企画や製造、販売に加え、「売り方」を決めるのも企業自身です。
顧客に「どのチャネル」で「どんな形で情報を発信し」顧客と「どうつながるか」も企業が決めなくてはなりません。

モノやサービスがあふれる現代では、購入したりサービスを利用したりすることによって、顧客がどのような体験ができるのかといった「付加価値」が重視されています。

デジタルの発展によって、顧客とダイレクトにつながれるようになった今、コミュニケーションや体験を重視するD2Cのビジネスモデルは、デジタルマーケティングと相性が良いと言えるでしょう。

D2Cのデジタルマーケティングの広告事例

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消費者の行動の判断軸が、商品の機能面やスペックではなく「体験」に変化したことを受け、デジタルの力を取り入れて顧客に体験を提供し、豊かさや満足度を生み出そうとする企業が増えてきています。

ここでは、実際にD2Cにデジタルマーケティングを活用している広告事例を紹介します。デジタルツールやチャネルをどのように活かすべきか、ぜひ参考にしてみてください。

試着したユーザーをブランドの広告塔に

WARBY PARKER(ワービー・パーカー)

WARBY PARKER は、2010年にアメリカ・NYで誕生したメガネブランドです。D2Cの先駆けとも言われており、顧客同士のSNS投稿によってフォロワー数を伸ばし、人気を確立していきました。

創業当初は珍しかった、スマートフォンの画像でメガネの試着ができるARアプリを開発。「店舗まで足を運んで試着する」顧客の手間を省きつつ、試着した画像をハッシュタグ付きでSNSにアップすると、アドバイスが得られるような仕組みにしました。

さらに、フォロワー数40万人以上とInstagram上で影響力のある人気インスタグラマーや人気アーティストとのコラボを実施。
メガネをかけて投稿してもらい、おしゃれでスタイリッシュな商品イメージを広め、ユーザーに上手く訴求しています。

気になるメガネを選ぶと自宅に実物のメガネが届き、最大5つのフレームを5日間試着ができるサービスも好評。「実際に商品を手に取ってみないと分からない」というユーザーの不安を解消しつつ、新しい顧客体験につなげています。

オウンドメディアをきっかけに商品開発

PHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティーアップ)

さまざまなWebメディアやSNSを手がける「DINETTE社」が立ち上げたD2Cブランドです。
思わずSNSにアップ、シェアしたくなるような可愛らしいパッケージ、まさに「インスタ映え」する世界観によって一気に注目を集めました。

まつ毛美容液が2ヶ月に1回手元に届くサブスクリプション方式を採用し、InstagramなどのSNSインフルエンサーによるアピールを活用しています。

商品開発のルーツは、同社が運営する美容オウンドメディア。美容に関心の高いユーザーの悩みを日々耳にする中で、それを解決するための商品として生まれたのがきっかけと言います。

ブランドを立ち上げる前から美容に関する世界観を発信し続け、積極的にユーザーとのコミュニケーションを取っていたことが、成功につながったとも言えるでしょう。

Instagramのショッピング機能を活用

Minimal(ミニマル)

2014年に実店舗から創業したチョコレートブランドで、現在では店舗と自社のECサイトで商品を販売しています。
原料であるカカオ豆の選定や仕入れから、加工・製造・販売まですべての工程をMinimalが手がけており、チョコレートの国際品評会では、部門別最高金賞を受賞して有名になりました。

Minimalは、Instagram投稿でブランドの世界観を細かく表現し、顧客の興味を惹き付けています。
カカオ豆の持つ特徴や風味を細かく紹介する、口に入れたときの味わいや魅力を伝えるなど、チョコレートに対する熱量や想いを通して顧客と上手くコミュニケーションを取るブランドです。

さらにInstagramのショッピング機能を活用し、購入を希望するユーザーをInstagramから直接ECサイトへ遷移させることで売上につなげています。

実店舗では、カカオ豆の殻をむく段階からチョコづくりができるワークショップや、実際の商品開発を体験できるイベントを開催するなど、顧客ロイヤリティを高める取り組みでもファンを獲得しています。

プロによる食事相談サポートを体験

Muscle Deli(マッスルデリ)

ダイエットや筋肉量アップ、増量など、自分の理想のからだづくりに合わせた食事メニューをデリバリーしてくれるサービス。一時的なダイエットやボディメイクではなく、一食ごとに栄養管理された「続けられる食事」をモットーに、フードメニューを提供しています。

ダイエット企画やモニターなど、ユーザーが実際に参加できるイベントに積極的に取り組むことで、サービスの魅力をアプローチ。
自分の好きなメニューを組み合わせて購入することも、サブスクリプションでの定期購入も自由に選べます。

さらに、LINEと連携した栄養士によるオンライン食事サービスも実施。宅配フードの枠を超えてトータルでボディメイクや身体づくりをサポート。InstagramなどのSNSでは、実際に食べた感想やダイエットの結果を報告するなど、顧客同士のコミュニケーションも盛んに実施されています。
企業とユーザーとの間だけでなく、ユーザー同士のつながりが「ダイエット中もひとりじゃない」という勇気づけの体験となり、人気につながっていることが分かります。

睡眠サポートによる集客

Casper(キャスパー)

アメリカで登場したマットレスを中心に商品を展開する寝具ブランドです。
EC商品ながら配達に業者を使用せず、Casper自身が独自の配送方法で顧客の家まで届けるというスタイルで、物流コストをカットし収益を上げています。

また、アメリカ中のさまざまなメーカーが、膨大なバリエーションのマットレスを販売している現状から「消費者が選びにくいと感じている」ことを知り、1つに絞った商品展開で、顧客の「選ぶ手間」を省きました。

購入後、100日以内であれば無料返品ができる点やインフルエンサーを活用したSNSでの画像のシェアで人気が広まり、フォロワー数を伸ばしています。

さらにCasperは、「睡眠トラッカーアプリ」や睡眠をサポートするチャットボットなどを開発。顧客とコミュニケーションを取りながら睡眠の悩みを改善することでつながりを深め、ファンを獲得しています。

顧客とクラウドファンディングでつながる

ALL YOURS(オールユアーズ)

「インターネット時代のワークウェア」をコンセプトに展開する日本のアパレルブランドです。
流行やファッション性の高さではなく、着ていることを忘れるような着心地の良さ・使いまわしの良さなど、日々の生活に溶け込む服を目指して設立されました。

「着たくないのに、毎日着てしまう」というキャッチフレーズをもとに、さまざまなシリーズを展開しています。

「雨に濡れるのがイヤ」という顧客の声をもとに防水パーカーを販売するなど、悩みや要望に反応した商品開発が得意。D2Cビジネスにすることで、高機能ながら価格を抑えて販売しています。

ALL YOURSは、実際に製品を身に着けている顧客にも商品開発を体験してもらうイベントで、ブランドの魅力を深めてもらうといった顧客との「共創」にも力を入れています。

ユーザーとともに、クラウドファンディングでブランドをつくる取り組みでも、ファッションカテゴリで国内クラウドファンディング支援金額No.1を獲得し、成功をおさめました。
深いつながりによって顧客が根強いファンとなり、共同経営者にまで発展した事例です。

チャネルを上手く組み合わせて顧客ニーズを満たそう

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D2Cでは、自社のWebサイトや広告、メール、SNSなどを単一のチャネルとして見るのではなく、顧客がどのような購買プロセスで自社の製品・サービスを購入しているか、何を体験したいと考えているかのニーズを知り、さまざまなデジタルマーケティングをつなげることで収益を上げていると分かります。
顧客の行動や思考、感情を知ったうえでの施策が大切と言えるでしょう。

また、D2Cのもうひとつの重要な特徴は「モノを売れば終わり」と考えている企業が少ない点です。
企業と顧客、または顧客同士がつながり続けることでファンを増やし、再購入や評判の波及につなげています。

顧客が商品に対し、それを利用した先に何を求めているのか「一歩先のニーズ」を見据えることも大切です。

自社の顧客や見込み客が商品・サービスを利用した先に何を感じ、どうしたいと考えているのか。常に顧客視点でニーズを考えながら施策をすすめていきましょう。

キャククルを運営するZenkenでは、デジタルマーケティングの一種である「ポジショニングメディア」や「オウンドメディア」の運営といった、マーケティング戦略のアドバイスを行っています。
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