BtoBにおけるセグメンテーションを行うメリットと具体的な成功事例
最終更新日:2021年12月03日
BtoBにおけるセグメンテーションとは何か
セグメンテーションとは市場をさまざまな切り口で細分化することです。市場の中でも似たようなニーズや性質を読み解き、細かなグループへと分けていきます。
競合と比べて優位なセグメンテーションを探すことが、ビジネスの成功を左右するといっても過言ではありません。セグメンテーションを正しく行うと、顧客に対し適切なメッセージを届けられるようになります。
無駄なコストを削減し、最小限の予算で最大限の利益をつくるためにも必要不可欠な行程がセグメンテーションなのです。セグメンテーションを考えるうえではSTP分析の知識が必要不可欠といえます。ここではSTP分析について簡単に解説しましょう。
セグメンテーションで大切なSTP分析とは
STP分析は下記3つの要素の頭文字をとったフレームワークです。
- Segmentation(セグメンテーション)
- Targeting(ターゲティング)
- Positioning(ポジショニング)
セグメンテーションにより市場を細分化し、さらにターゲティングで顧客層を絞っていきます。最後に市場で自社の優位な立ち位置を確立するためのポジショニングを行う流れです。セグメンテーションで終わりではなく、ターゲティング・ポジショニングまで考えることが重要だといえるでしょう。
STP分析では顧客目線に立って検討するのがポイントになります。顧客のニーズを把握し、自社商品の強みを明確にしましょう。
セグメンテーションがBtoBに必要な理由
BtoBにはセグメンテーションが必要不可欠です。なぜセグメンテーションが必要になるのか、その理由を2つ解説します。
ニーズの多様化と多彩な情報
大量生産・大量販売が主流であった時代は、ターゲットを絞らずともビジネスが成功していた事例が多くありました。マスメディアを利用し、不特定多数に向けたプロモーションを行うのが常識的な考えだったのです。
しかし近年は商品やサービスに対するニーズの多様化が進んでいます。インターネットの普及により、情報があふれかえっている状況にあるといえるでしょう。以前のような不特定多数に向けたプロモーションでは、売上を出すことが難しくなってきているのです。
これからはターゲットを絞ったプロモーションが必要不可欠となります。情報があふれかえる市場の中で優位な立ち位置を確立するためには、より的確なセグメンテーションが必要です。
IT化による競合の高度なマーケティング実施
IT化が進み、顧客の興味・関心などはSNSを通じて簡単に把握できるようになりました。最近では入手したデータを活用し、SNS・リスティング広告などの広告を打ち出す企業が増えてきています。
競合他社がデータを駆使してマーケティング戦略を立てる中、従来の方法に頼っていては優位なポジショニングは難しいでしょう。IT化の加速に合わせて広告の配信を行わなくてはいけません。高度なマーケティングを実施するためにも、セグメンテーションは必要不可欠な要素といえます。
BtoBでセグメンテーションを行うメリット
ここではBtoBでセグメンテーションを行うメリットについて紹介します。
コストカットが期待できる
セグメンテーションを行う大きなメリットは、コストカットが期待できることにあります。市場を性質・ニーズの似通ったグループに分けると、より効率的なマーケティングができるようになるのです。効率的なマーケティングは利益率の向上にもつながります。
セグメンテーションの有効活用によって、広告費・製品やサービスの拡充を最小限に抑えることが可能。自社の商品・サービスに合った的確なセグメンテーションは、大幅なコストカットが期待できるでしょう。
効果的なマーケティングの実施
セグメンテーションを行うと効果的なマーケティングを実施できます。市場を顧客のニーズに分けることで、セグメントごとに適切なマーケティング方法を使い分けられるのです。
ニーズに合わせたマーケティングを行うため、利益率の向上が期待できるでしょう。顧客のニーズや価値観に合わせたマーケティングを行うためには、セグメンテーションが必要になります。
セグメンテーションに大切な「4R」
セグメンテーションには重要な「4R」という要素があります。4Rは自社がどのセグメントを狙うかを決めるターゲティングの判断に役立つ指標です。セグメンテーションを検討する際には4Rを意識するとよいでしょう。
Rank(優先順位)
市場をニーズに分けたセグメントの中で、どれを優先的に利用するかを決める指標です。自社にとって有利な状況となる顧客層に優先順位をつけます。
セグメントを比較しつつ、重要度の高いものから優先順位をつけていきましょう。順位の高いものからターゲティングしていくのが基本的な進め方です。
Realistic(有効規模)
セグメントをターゲットとした場合、市場規模を考慮してどれほどの売上・利益が見込めるかを判断する指標です。セグメンテーションは利益率の向上・効果的なマーケティングを行うために行います。
そのため有効規模の小さいセグメントはターゲットにするべきではないでしょう。どれほどの市場規模を持つかは事前に計算しておかなければいけません。
Response(測定可能性)
セグメントに対しプロモーション・セールスを行った際、ターゲットからの反応がどれくらい測定できるかを判断するために用いられます。セグメントの規模・購買力・特性などが十分に測定できるかがセグメンテーションでは重要な要素です。
ターゲットからの反応が明確に測定可能であれば、改善策を練るのも容易になります。口頭では測定が取りづらいため、オンラインで測定が可能なセグメントをターゲットとする必要があるでしょう。
Reach(到達可能性)
ターゲットとしたセグメントに対しプロモーション・サービスの提供が可能かどうか、到達する方法・難易度を図る指標です。ターゲットのニーズにマッチした商品・サービスであっても、実際に届けられなければ意味がありません。
例として挙げるならば、海外製品であれば予算や言語の壁などがかかわってきます。商品価値を認知してもらえる環境があるかどうかは必ずチェックしておきましょう。
セグメンテーションを行う4つの代表的な切り口
セグメンテーションには代表的な4つの切り口があります。4つの切り口から、自社の商品・サービスに合うものを選ぶとよいでしょう。
ジオグラフィック変数(地理的変数)
ジオグラフィック変数とは、国や地方・気候・人口密度・文化・生活習慣・宗教・政策などの地理的要素を用いた方法です。地理的な要素により、売れ筋の商品が変わるのが特徴。活用方法として挙げられるのは、人口密度に合わせた商品の入荷を行うなどです。
デモグラフィック変数(人口動態変数)
デモグラフィック変数とは、年齢や性別・家族構成・職業・年収・学歴・国籍・ライフサイクルなどの顧客の属性に関する要素を用いた方法です。セグメンテーションではよく用いられる切り口といえます。
消費者のニーズは大部分がデモグラフィック変数と強く結びついているのが大きな理由です。他の切り口と比べて、消費者のニーズの偏りがわかりやすいのが特徴。国・企業などの調査によりデータがとりやすいメリットもあります。
サイコグラフィック変数(社会的心理的変数)
サイコグラフィック変数とは、性格・価値観・こだわり・趣味・趣向・ライフスタイルなどの心理的な要素を用いた方法です。商品・サービスによっては、サイコグラフィック変数が密接に結びつく場合があります。
デモグラフィック変数に属していても、サイコグラフィック変数を用いてみると全く異なるセグメントに属しているケースもあるので要注意。サイコグラフィック変数だけを用いることは少なく、ほとんどは他の変数と併用して用いられます。
ビヘイビアル変数(行動変数)
ビヘイビアル変数とは、購買状況・経路・使用頻度・商品に対する知識・使用場面・反応などの行動的な要素を用いた方法です。過去の購入データ・会員カードから得られる来店履歴が活用可能。MAツールを活用すると得られるWebサイトの閲覧ログも同様に、セグメンテーションに用いられます。
セグメンテーション後に行うべき2つの行動
マーケティングの効果を最大限に発揮するためには、セグメンテーションだけでは不十分です。セグメンテーション後はターゲティングとポジショニングの2つを行うべきでしょう。ここでは、それぞれの詳細を解説します。
ターゲティングとは
ターゲティングとはセグメンテーションで細分化した市場の中からターゲットを絞り込むことです。自社の商品・サービスの提供に適した市場を絞り、ターゲットに合った戦略を構築していきます。
自社の強みを活かせること・競合他社より優位なポジションを確立できる市場を重視して選ぶ必要があるでしょう。ここではターゲティングの重要性についても触れておきます。
例えば商品・サービスを売る相手を決めずに(ターゲティングせずに)全員にアプローチするとどうなるでしょうか。広告コストはもちろん、人的・経済的コストも必要以上にかさんでしまうのです。
本来ターゲットとすべき人以外にもアプローチするため、費用の割には成約率や購入率が低く非効率であるといえます。必要な市場を明確化し、ターゲットを正確に定めておくと効率・成約率を高められるのです。
必要最小限の費用で最大の効果を発揮するために、ターゲティングは必要不可欠な行動といえますね。
ポジショニングとは
ポジショニングとは自社商品の特徴を明確化し他社商品との差別化を図ること。市場の中で自社ならではの立ち位置を確立するための行動です。自社商品が魅力的であると認知されているかどうかが重要な要素になります。顧客視点で商品の強みを追求することがポイントといえるでしょう。
ポジショニングにはさまざまな手法がありますが、自社・他社の製品をマッピングするやり方がおすすめです。自社製品の優位性を消費者に認知させる場合に効果的な方法となります。
同じカテゴリー内に自社商品が複数ある場合には、特徴の整理・確認も容易になるメリットも。ポジショニングは競合他社との差別化・自社商品の認知に有効なので必ず行うべき行動といえるでしょう。
BtoBにおけるセグメンテーション成功例
効果的なセグメンテーションにより、事業を成功させた企業をいくつか紹介しましょう。成功例を参考に、自社商品に合ったセグメンテーションを実施してみてはいかがでしょうか。
株式会社リクルート
株式会社リクルートの「スタディサプリ」では、次のセグメンテーションを行いました。
- ジオグラフィック変数:地方
- デモグラフィック変数:大学受験を控える高校生
- サイコグラフィック変数:高度な受験指導を求める志向にある
セグメンテーションを行った結果に見えた課題を解決するべく、有名講師を採用した講義を、Webを通し低価格で提供。従来の大都市部中心の予備校ではカバーできていなかった大学受験者にも、高品質な授業を提供できるようになりました。
株式会社ユニクロ
株式会社ユニクロは従来のアパレル業界とは異なる、セグメンテーションを逆手にとった戦略を行ったことで知られます。顧客のセグメンテーションを細かく行うのが従来の型であったとしたら、ユニクロはその真逆で「顧客をセグメンテーションしない」戦略を取ったのです。
商品のジャンルをカジュアルベーシックなものに絞り、サイズ展開もシンプル化。男性用・女性用・キッズ用のサイズ展開で生産することで、代わりに豊富なカラーバリエーションを実現しました。
豊富なカラーバリエーションにより、顧客は自分の好みに合わせて商品を購入できるように。従来の型にとらわれないセグメンテーションにより成功を収めた事例です。
パナソニック株式会社
パナソニック株式会社は、法人需要にターゲットを絞ったセグメンテーションにより成功しました。商品はノートパソコンだったのですが、PC業界は特に競合他社の競り合いが大きな市場です。
スペックの大きさで各社が競い合う中、パナソニック株式会社は法人・外回り営業というセグメンテーションに注力。結果的に大ヒットを収めました。
Apple
スマホ市場で高いシェア率を誇るAppleは、セグメンテーションを取り込んだマーケティングを行いました。他社があまり注力しなかった「デザイン性」を重視した製品開発・販売を実施。市場ではデザイン性を重視した製品はあまりなかったため、新たなセグメントを発掘できたのです。
STP分析を取り入れ効果的なセグメンテーションを行おう
自社の商品・サービスを活かせるセグメンテーションを定めることこそ、ビジネスの成功のカギといえます。近年はIT化の加速により、以前よりも高度なマーケティングが必要不可欠です。STP分析を取り入れ、競合他社との差別化を図る効果的なセグメンテーションを実施しましょう。
またターゲティング・ポジショニングもセグメンテーション同様に奥が深いものです。顧客目線に立って自社の強みを追求していくことで、より効率・成約率の高いマーケティングが行えます。
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