「インバウンドセールス」と「インサイドセールス」の違いは何?
最終更新日:2021年09月14日
インバウンドセールスの特徴
インバウンドセールスとは、有益な情報発信によって購買活動を支援する手法です。この「インバウンド」とは、外から内に入るという意味もあります。
今までは、自社から購入の見込みがある顧客に対して購買意欲を高めてから購入を促す営業方法が一般的でした。しかし、インバウンドセールスは自社のアピールに対して興味を持った人が自ら連絡してくるものです。顧客側からのアクションから営業する方法となるため、成約率の高さがあり、営業しやすいのが特徴です。営業や企業側の都合を押し付けないメリットがありますが、相手から購入したいと思うような土台作りをしていかなければなりません。
インバウンドセールスは、Webを活用したマーケティングとの適正や相性が良いです。売ることだけに固執した営業ではなく、相手の興味や信頼を得ることに重点を置いています。また認知度を高められるという期待もあります。
インサイドセールスの特徴
インバウンドセールスと似た言葉として、インサイドセールスというものがあります。
インサイドセールスは、顧客が成約に近いかどうかを見極めて、見込みが低い場合は電話やメール等で関係性を育てるという営業手法です。インサイドセールスの段階では、基本的に電話やメール、ツールなどを活用しながら対面せずに営業を行います。アメリカで誕生した営業の方法であり、広いアメリカは営業に回るのが難しいことから、電話での営業が盛んに行われていました。
顧客へのヒアリングを行いながら課題を顕著化して、顧客を育てていくのもインサイドセールスの特徴です。顧客へのアプローチから顧客情報の整理や共有など、データ管理も担います。業種によっては購入時や購入後もインサイドセールスで完結する場合もあります。
内勤の営業スタイル
インサイドセールスは、内勤型営業と言い換えることもできます。今までの営業スタイルは、営業担当者が見込みのある顧客をリストアップしてからアポイントを取って訪問し、クロージングまで流れるようにしていました。インサイドセールスは、基本的に非対面での営業となるため、今までのような営業活動を非対面で行います。
現在は営業活動の部分となるインサイドセールス、訪問や商談、受注の部分を分けて行うフィールドセールスという形で導入されつつあります。
インサイドセールスのメリット
インサイドセールスのメリットは、営業効率が上がりやすい点です。以下で詳しく説明します。
営業効率が高い
インサイドセールスは、社内で業務を完結させます。オフィス内にいながら全国の顧客対応が可能です。営業担当者が出向く場合、1日に対応できる顧客の人数にも制限がありますが、インサイドセールスなら少人数で多くの顧客対応が移動せずに実現できます。
資料や説明内容を使い回すことができ、情報を収集している段階の見込み客にも早期対応や情報提供が可能なので、よりアプローチができます。フィールドセールスに比べると営業効率が高いのがメリットです。
移動コストを削減できる
営業担当者は、購買意欲に関係なく電話や訪問で営業をしなければなりません。時には、訪問先に出向いても相手に会えない場合もあります。
従来の営業からインサイドセールスになると、移動にかかる時間や費用を削減できます。負担が軽減されるため、仕事のモチベーションも維持しやすいです。
営業の質が統一されやすい
今までの営業では、担当者によってそれぞれ準備する資料や説明に違いがありました。そのため、担当者によって営業の質にも幅ができていたのです。インサイドセールスを活用すると、事前の準備資料や説明内容が同じものが使用できるだけでなく、担当者による質の違いも統一化されやすくなります。
インバウンドセールスとインサイドセールスの違いとは?
ここまでインサイドセールスについて説明してきましたが、インバウンドセールスとインサイドセールスにはどのような違いがあるのでしょうか?
インバウンドセールスの手法にインサイドセールスがある
インサイドセールスとインバウンドセールスは、互いに似た意味で使われることがありますが厳密に言えば異なります。正確には、インバウンドセールスの手法のひとつとして、インサイドセールスが含まれていると考えてよいでしょう。
インサイドセールスは、基本的に電話やメールなど対面せずに顧客とコミュニケーションをとります。電話での営業ならテレアポ(アウトバウンドセールス)と同じなのかと思うかもしれませんが、テレアポは商品を売り込むのに対して、インサイドセールスでは商品を売り込むことはありません。
またテレアポとの大きな違いは、その目的です。「アポイントを獲得すること」がテレアポの目的ですが、インサイドセールスの目的は、「見込み客の育成」です。インバウンドセールスとインサイドセールスは、「見込み客の育成による顧客獲得」を目的としているという点では共通しています。
インバウンドリードにはインサイドセールスでアプローチ
見込み客から企業に対して問い合わせ可能な環境を作るインバウンドリードでは、今までと同じような営業スタイルを行っていても効果を十分に得られない可能性が高いです。その理由は、インバウンドマーケティングで得たリードは、悩みを解決したいと考えているからです。
その悩みに対してアプローチせずに、従来と同じような機能やメリットを伝える営業トークでは何も解決しません。このような顧客の状況や背景にポイントを置いた営業手法をとるためには、インサイドセールスによるヒアリングが重要となってきます。
インサイドセールスがアウトバウンドセールスに含まれる場合も
インサイドセールスはオンラインツールなどを用いて潜在顧客などに対して営業を行います。基本的にはインバウンドセールスの一手法と考えて問題ありませんが、方法によってはアウトバウンド型のインサイドセールスもあり得ます。
これは、潜在顧客に対して直接訪問することなくインサイドセールスの手法で飛び込み営業を行った場合です。
新たな潜在顧客の開拓を行いながら顧客の情報を収集していく場合には、電話やメールのような内勤型の営業手法であっても、積極的に営業をかけるアウトバウンドセールスに含まれます。電話で新規顧客にアポを取り、その後にヒアリングをしていく、というケースです。こうしたアウトバウンド型のインサイドセールスは、非対面で多くの顧客にアプローチをしたい場合に用いられることがあります。
インサイドセールスを導入する際のポイント
インサイドセールスは、導入するだけでは成功しません。導入の仕方によっては失敗する可能性があります。インサイドセールスを成功させるためには、何を押さえるべきか紹介していきます。
目的を設定する
インサイドセールスを導入する前に、営業のプロセスをきちんと確認して洗い出すことが大切です。インサイドセールスの目的は何かを明確にしなければ、何が重要になるかも分からないまま失敗する可能性があります。 目標達成までのプロセスを洗い出すことから始めて、設計しましょう。
営業プロセスを徹底して洗い出す
まず、営業プロセスの洗い出しから始めます。洗い出しの際に憶測で進めていくのではなく、関連セクションから現状をヒアリングするのがポイントです。
プロセスの洗い出しが終わったら営業担当業務とセールス担当業務を分業し、担う範囲を決めてチーム構成を行います。営業業務をインサイドセールスに移行し、新たな体制を作っていきます。特にインサイドセールスは組織全体との関わりが重要なので、周知の徹底は必要です。業務の構造そのものが構築し直しの場合も出てきます。
インサイドセールスに適した人材を配置する
インサイドセールス導入の際には、適した人材の配置や選定も大きなポイントです。個人のスキルもですが、業務に対して適正な人材も必要となります。
インサイドセールスの特徴から担当者には状況を把握できる能力と見極める力、コミュニケーション能力などが求められます。間接的な手法となるものの、直接的な営業を行ってきた担当者を配置するのが成功だと思うかもしれません。
しかし、ベテランの営業担当者は訪問営業でのスキルが高く慣れているので、インサイドセールスへまわす必要はありません。今まで外での営業をしていたものの、あまり成果が出せなかった営業担当者などを選ぶのも効率的です。
集客力を高めてインサイドセールスを実行しよう
インバウンドセールスは、メールマガジンやWebを活用しながら顧客に対して情報を提供します。手あたり次第に行う営業活動とは異なり、営業にかかる時間や手間を削減できます。
インサイドセールスもインバウンドセールスも、非対面で営業活動を継続することと、顧客の育成を目的としているのが特徴です。営業活動の幅を広げ、効率もアップできる優れた手法ですが、導入にはしっかりと目的を明確にして徹底したプロセスの洗い出しが重要です。それぞれの目的や特徴をきちんと押さえたうえで、自社に最適な営業手法を選択しましょう。
なおインバウンドセールスに関して詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてみてください。
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