インバウンドリクルーティングとは?効率的な自社採用の方法について解説
最終更新日:2021年08月27日
インバウンドリクルーティングとは?
近年、採用市場が変化してきたことにより、多くの企業で採用担当者は人材獲得に苦労しています。求人広告を出したり、スカウトメールを出したりしても反応を得られないばかりか、あったとしても自社が求めている人物像にはマッチせず、結果に結びつかないことも少なくありません。
そのような状況を改善するため、インバウンドリクルーティングという考え方が注目を集めています。
インバウンドリクルーティングは、採用ブログやSNS、ニュースリリースなどを通して、企業の取り組みを発信することで、自社を認識してもらうだけでなく、将来的に応募してくれる可能性のある、潜在的な候補者との良好な関係を築くことに着目したリクルーティング手法です。
アウトバウンドリクルーティングとの違い
今までの企業採用では、アウトバウンド(外に向かう)コミュニケーションを中心に成り立ってきました。例えば、求人広告を出したり、会社説明会をしたり、スカウティングメールをするなどが挙げられます。このようなアウトバウンドに向かう採用手法は、アウトバウンドリクルーティングと呼ばれます。
これに対し、インバウンドリクルーティングは、インバウンド(相手から向かってくる)コミュニケーションに着目した採用手法です。インバウンドリクルーティングでは、SNSや採用ブログで発信を行います。アウトバウンドリクルーティングの発信との最大の違いは、発信する目的です。
求職者自身に調べたり、検索したりしてSNSや採用ブログにたどり着いてもらい、「能動的に接点を持ってもらう」ことを目的としています。
インバウンドリクルーティングが注目を集めている背景
インバウンドリクルーティングが注目を集めている背景には、リクルーティングに対する考え方が変わってきていることが挙げられます。
近年は、売り手市場が続き、求人広告を出して待っているだけでは人材が集まらない状況となっています。また、応募があったとしても自社が求めている人物像にマッチする人はごくわずか、というケースも少なくありません。
このように、採用担当者からアウトバウンドに発信しても、自社にマッチした人物に合える可能性が低いため、自社にマッチした人が「向こうから来てくれる」状況を作れないかと考えられていました。
インバウンドリクルーティングは、採用担当者も積極的に発信を行い、将来的に自社に応募してくれる見込みのある転職潜在層を惹きつけ、応募につなげることを目的とした、リクルーティング手法です。
自発的に興味関心を抱いてくれた人材は入社意欲やモチベーションが高い傾向にあり、会社が求めている人材が獲得しやすいことから近年注目されるようになってきました。
インバウンドリクルーティングはアウトバウンドリクルーティングと比べて中長期的な採用活動であることも、採用マーケティングとして注目されている理由のひとつです。
近年は、採用においても、候補者との中長期的な関係を築くことが重要だと考えられているからです。
インバウンドリクルーティングの流れ
将来的な応募者となる転職潜在層を惹きつけるためのインバウンドリクルーティングは、どのように実現するのでしょうか?ここでは、インバウンドリクルーティングを実践するための具体的な流れについて、詳しく解説します。
採用目標を立てる
最初に、具体的な採用目標を立てましょう。採用目標は、自社の経営戦略とも直結する重要な指標となります。自社の状況をしっかりと把握することが重要です。
採用目標では、次のような指標に注目して検討すると、整理がしやすくなります。
- 経営目標とのギャップがどの程度あるか
- ギャップは人材を追加することで埋められるのか
- 目標採用人数
- どのような人物を採用するか
設定する目標は、会社の経営層にも確認することで、認識にズレを生まないように意識すると、より現実的な目標となるでしょう。
採用計画を立てる
採用目標が決まったら、期限までにどのようなスケジュールで活動を行うかを検討しましょう。
この工程では、経営戦略に合わせてスケジュールを行います。そのため、ここでも経営層との情報連携が重要となります。
計画の立案には、次のようなポイントにも注意しましょう。
- 売上規模はいつまでにどの程度になると予想されているか
- 事業計画に沿うためには、いつまでに、どの部署で何人採用する必要があるか
また、思うように計画が進められない可能性も視野に入れて、遅れた場合の対応についても事前に認識合わせをしておくと良いでしょう。
採用の流れを設計する
採用を実施するにあたり、具体的な採用までの流れを設計します。具体的には、次のようなポイントを整理してまとめましょう。
- 採用説明会や筆記試験、採用面談は行うか
- 選考試験は何回、どの順番で行うか
- 採用募集、選考試験はそれぞれいつから開始するか
- 選考にはどの社員や経営層が関わるか
- 応募者、内定者への通知やフォローはどのように行うか
- 評価基準はどうするか
なお、新卒採用と中途採用を行う場合は、採用の流れは異なるものになります。上記ポイントを分けて考える必要がありますので注意しましょう。
採用管理方法を決定する
つづいて、応募者の情報をどのように管理するかを検討しましょう。特に、求人媒体など、求職者へのアプローチ方法を複数利用する場合は、情報をどのように集約して、混乱の無いよう進捗を管理するかが重要になります。
応募者が増えてくると、足並みがそろわず、応募者への連絡が滞ったり、連絡ミスが発生したりするなど、徐々に混乱するリスクが発生します。また、選考試験や面接官との連携が十分にできず、評価ができないなどの問題が生じる可能性も出てきます。
このような場合、採用担当者の力だけに頼らず、採用管理システム等の補助システムの力に頼ることも有効な手段となるでしょう。
媒体とアプローチの仕方を決める
次に、求職者へのアプローチ方法を決定します。自社で採用したい人物にアプローチするためには、どのような媒体を使い、どのようなメッセージを発信するかを検討します。
短期的な求人に対しては、求人サイトやハローワークへの掲載、長期的な求人に対してはSNSやオウンドメディアを利用するなど、アプローチしたい相手や期間などによって、利用できる手段はさまざまです。
採用にかけられる予算や、人的リソースなどの状況を加味して、自社にとって最良の媒体やアプローチ方法を検討しましょう。
情報共有し社内合意をとる
最後に、採用に関わる関係者に情報共有し、合意形成を行いましょう。採用には、採用担当者だけでなく、選考に関わる社員からの協力が必要不可欠です。また、予算を執行するうえでは、経営層からの理解も必要になります。
採用したい人材の人物像や、選考試験を通じてどのようなメッセージを伝えて欲しいのか、採用後のフォロー体制など、社内で採用に関わる関係者全員で共通認識を持てるように心がけ、採用目標を達成するための協力体制を築きましょう。
インバウンドリクルーティングの意義・目的
つづいては、インバウンドリクルーティングを用いて中長期的な視点で採用を行うことの意義や目的について説明していきます。
転職潜在層へのアピール
インバウンドリクルーティングの大きな目的は、将来的に自社に応募してもらえる可能性がある、転職潜在層を獲得することです。
現在、就職や転職を考えていない人を自社に誘ったとしても、あまり良い反応はもらえないでしょう。しかし、SNSや採用ブログなどを通じて自社の魅力を伝え続けることで、活動に興味を持ってくれる人が出てくるかもしれません。
インバウンドリクルーティングでは、採用担当から直接アピールをしなくても、検索などから自社に興味を持ってもらうための資産を制作します。求職者にとって魅力的なコンテンツを発信し続けることで、自分たちでは探すことができなかった転職潜在層へアピールすることができるのです。
カルチャーマッチ確度が高い人材の発掘
インバウンドリクルーティングでは、コンテンツを発信し続けることで自社の考え方やカルチャーを伝えることができます。転職潜在層の人が公開されているコンテンツに興味を感じ、共感してくれることで応募につながるのです。
自社の公開しているカルチャーに共感してから応募するため、カルチャーマッチの確度が高い人材発掘を可能にすると考えられています。
また、自社のことも知っているため、採用面談では応募者への説明時間を減らし、応募者を理解することに時間を割くことができます。
会社のカルチャーに理解を示す人材確保ができるだけでなく、同時に企業のブランディングにもつながるため、人材採用サイトを活用するよりもコストに無駄がないという点でも、インバウンドリクルーティングを採用する意義があります。
インバウンドリクルーティングを成功させるには?
インバウンドリクルーティングを行うにあたっては、「候補者の立場に立って考える」ことが重要です。
そのためには、自社のどのような取り組みやカルチャーが候補者の興味を誘うかを考え、自社に興味や好印象を持ってもらうためにはどのようなアプローチを行うかを検討する必要があります。
また、採用において、企業は応募者を選ぶ権利がありますが、応募者にも企業を選ぶ権利があります。インターネットを通じて情報がまたたく間に広がっていく現在の社会では、採用活動の悪印象もあっという間に広まります。
企業側が人材を選ぶというよりは、応募者に選んでもらえる企業になるための情報発信を心がけ、ていねいにコミュニケーションを重ねる努力も継続していきましょう。
インバウンドリクルーティングの具体的な手法
インバウンドリクルーティングでは単独のメディアではなく、いくつかの手法を組み合わせて新卒や転職潜在層の人材に見つけてもらいやすいコンテンツを発信する必要があります。
企業の特徴や業界によってもマッチ度が違ってくると思いますが、以下にいくつか具体的な手法を挙げておきます。
採用オウンドメディア
オウンドメディアは、自社のホームページやSNS、ブログなど、自社が所有・運用するコンテンツ全般の総称です。
オウンドメディアの主な目的は、自社のサービスを認知してもらい、好きになってもらうことです。そのためには、単にサービスやカルチャーを説明するだけではなく、そこに至った考え方や哲学についてもしっかりとアピールしましょう。
オウンドメディアを見た人が、自社の考え方に共感し、納得してくれる人材があらわれることが、その後のリクルーティングの成功につながります。
最近では採用に特化した採用オウンドメディアを導入する企業が増えています。これは短期的な人材採用サイトよりも、中長期的な採用マーケティングである採用オウンドメディアのほうが、導入する価値が高いことがわかってきたためです。
企業のブランディングを続けながら潜在ターゲットに自社のファンになってもらい、採用活動を年間を通して継続することができます。
新卒だけでなく、中途採用のためのコンテンツを採用オウンド内に用意するなど、フレキシブルなコンテンツマーケティングが展開できる点でも、評価されています。
自社ホームページ
ホームページは、企業にとって自社の魅力をもっとも詳細に伝えやすいメディアです。また、構成を自由に決められるため、もっとも個性の出しやすいメディアでもあります。
じつはホームページもれっきとした広告であって、単に会社のスペックや事業内容を明記するだけの媒体ではありません。
自社の事業やカルチャーだけでなく、代表や先輩社員からのメッセージ、業務の体験談など、求職者にとって入社した後のイメージがしやすいコンテンツがあると、応募へのきっかけにつながりやすくなります。
雇用制度や福利厚生などの情報もあると、業務だけでなく入社後の生活がイメージしやすくなるため、応募者の背中を押すコンテンツにはるはずです。
SNS
SNSは求人サイト等と比べて圧倒的に利用者が多く、気軽に利用できるイメージがあるため、求職者が応募するまでのハードルが低いメディアと考えられています。
また、インバウンドリクルーティングに活用できるメディアの中でも、初期コストが低く抑えられることも特徴です。最近はSNS採用もめずらしくなくなってきました。
しかし、定期的に情報を更新し、最新化を行わないと効果が出にくいメディアでもあります。また、気軽に利用できるイメージから、不用意な発言によって炎上するなど、イメージダウンにつながるリスクもあるため、細心の注意を払って運用する必要があります。
インバウンドリクルーティングで欲しい人材を集めよう
この記事では、近年トレンドになりつつあるインバウンドリクルーティングについて紹介、さらにほしい人材が獲得できる具体的な手法についても説明しました。
インバウンドリクルーティングを効果的に利用することは、自社に興味関心を持った人材との接点を持てるようになります。貴社でもインバウンドリクルーティングで、自社にとって採用したい人材を獲得しましょう。
Web採用マーケティングならZenkenへ
採用マーケティングにおいては、同業他社との差別化を図ることが非常に重要です。とくに採用活動に苦労している中小企業は、優秀な人材の大手独占を阻止する策を講じ、競合他社との差別化を推進しましょう。
営業戦略でもインバウンドマーケティングやインサイドセールスにスポットが当たっていますが、インバウンドリクルーティングは今後さらなる活発化が予測される採用活動です。
採用オウンドメディアの実績もありますので、一度Zenkenまでご相談ください。