採用広報をはじめる! 目的や広報手法・ツールまとめ
最終更新日:2024年05月29日
採用広報とは?
採用広報とは、自社に応募する人々や、将来的に就職・転職を考えている方のために自社の特徴や魅力を発信する広報活動を指します。採用を公に募集するための採用広告とは異なり、採用広報ではSNSやYouTubeなどさまざまな媒体を通じて自社の特徴を発信します。
ここからは採用広報の目的・必要性・メリットや効果をみていきましょう。
採用広報の目的
採用広報とは自社を多くの人に知ってもらうと同時に、応募を検討してもらえるようにアピールを行う方法です。「採用」と「広報」はそれぞれ別の目的ですが、PRの方法や広告媒体の選び方次第では、両者を同時に実現します。
採用活動に繋げる場合は採用サイトへの誘導を行ったり、採用担当者からのメッセージやPRを行うといった工夫で、応募者を引きつけることができます。
しかし一定数の応募が集まったからといって、必ずしも自社にマッチする人材ではない場合もあります。入社後しばらくして辞めてしまったり、その人材が求めているスキルに到達していなかったりすると、企業にとっては狙った以上の成果が得られない可能性もあるでしょう。
そのようなミスマッチを防ぐためにも、採用広報の段階からターゲティングを行い、マッチする人材を募る必要があるのです。
採用広報の必要性・重要性
採用広報の目的は、大きく分けて以下の3点です。
- 就職・転職希望者にアピールする
- 自社を多くの人に認知・理解してもらう
- 将来の求職者にもアプローチをかける
採用広報は広報する時点で就職や転職を検討している人々にアプローチを行い、自社を応募先に選んでもらうためのものです。同時に「現時点ではまだ就職・転職の予定はないが、将来的に検討したいターゲット層」に対しても自社の魅力を発信することが可能です。
毎年決まった時期に開かれる就職・転職サイトや説明会・セミナーは、現時点で応募を考えている人への採用活動ですが、採用広報はその先まで見通しながら行うのが基本的です。
自社の認知度を高めるとともに、未来の求職者となりうる人にもポジティブな印象を持ってもらうことで、広報活動から採用へと繋げていきます。
採用広報のメリット・効果
採用広報は「採用活動と広報活動が一度に行える」「自社に合うツールを選択できる」などにおいて大きなメリットが期待できます。
従来それぞれ個別に行われていた採用活動に広報を加えることで、事業や会社全体の情報を周知しながら会社に興味をもってもらい、「働いてみたい」「応募してみよう」と思わせることができます。
採用と広報をセットにすると、それぞれにかかる人件費やその他のコストの削減ができますし、SNSやその他のメディアを活用すれば、24時間365日マーケティングと採用活動の両方が行えます。
TwitterやInstagramのようなSNSや動画サイト、あるいはオウンドメディアやポータルサイトを活用し、自社に一番合う方法で採用広報が行えることもメリットといえるでしょう。
採用広報の進め方
実際の採用広報の進め方について、PDCAサイクルを踏まえながら確認していきましょう。
採用広報の目標時期予算を決める
PDCAサイクルの1番目である「Plan(計画)」では、採用広報にかかる予算や目標、実際の広報の方法を具体的に落とし込みます。
「なぜその目標を立てたのか」「実際の現状とのギャップはどの程度か」「到達可能なポジションはどこか」を洗い出し、確実にゴールに到達できる手順を組み立ててください。そしてこの段階からすでに最終的なゴールを決めておき、そこに到達するまでの流れも確認しておきましょう。
PCDAサイクルは「サイクル(循環)」と名のつくとおり、各項目を何度も繰り返してより良い体制を構築していきます。
そのため以下に続くDCAサイクルが終わったあとは再度Planに戻り、計画の立て直しや見直しを行います。
採用市場競合他社と自社の採用状況を分析する
次に採用市場における競合他社の動向を見極めます。すでに採用活動にかかっている競合があれば、どのような手法をとっているか・その手法が効果を発揮しているかをチェックします。
競合他社のほうが効果的に広報活動を行えているならば、自社にも適用できる点がないかを探り、良いところは取り入れていきましょう。
ただしコストや人材の問題、広告を掲載する媒体と自社との相性などは、必ずしも競合他社と同じとは限りません。計画段階できちんと自社にふさわしい媒体を探し、自社と他社の採用状況を比較・分析してください。
採用広報の手法ツール媒体を決め、広報活動する
計画を立てた後は、流れに沿って「Do(実行)」に移します。すでにPlanの段階で採用広報にかかる費用や方法を決定していますから、その計画にできるだけ沿うかたちで実行に移すようにしてください。
ただし必ずしも計画通りとはいかず、予算やタイミングなどの問題が出てくる場合もあるため、何から着手すべきなのか優先順位をつけながら実行しましょう。
もしもDoの部分が計画通りにいかない可能性があるならば、Doの過程の中に小さなPDCAを入れ込み、短いスパンで回す方法もあります。
全体の計画を項目ごとに区切ったうえで、細分化したものを計画・実行・評価・改善することで項目ごとに起きうる問題をそのつど改善することができます。
採用広報を評価改善する
Check(評価)では、PからDで実行してきた行動を見直し、どこに問題があるかを見極めていくプロセスです。
たとえばSNSで採用広報を行ったが、思ったよりも反応が得られなかったとします。その場合、広報先の媒体に問題があったのか、採用広報の方法自体に改善点があったのかを検討していかなければなりません。
改善点が見つかったときは、よりよい活動に繋げるために改善案を出します。しかし改善案があいまいであると結果に反映されにくく、改善したつもりになってしまうため注意してください。
採用広報に活用できる手法ツール
ここからは実際の採用広報に活用できる手法・ツールである「PESOメディア」を紹介します。PESOとは「Paid」「Earned」「Shared」「Owned」の頭文字を繋げたもので、それぞれのメディアごとに特徴や効果が異なります。
ペイドメディア
ペイドメディア(Paid Media)は、企業が費用を支払い、自社の広告を掲載するメディアのことです。テレビ・新聞・雑誌・情報誌・ラジオ・Web広告などが挙げられ、企業が自社で保有しているものではなく、マスメディアを含めた従来型のメディアとなります。
ペイドメディアにはそれぞれの顧客・ユーザーが存在するため、不特定多数への訴求効果が期待できます。ペイドメディアへの広告掲載によって、短期間でも認知度を高めることが可能です。
ただし、ペイドメディアのみに広告を掲載しても思うような集客効果に繋がらない可能性があります。採用広報では自社の魅力を発信しながら、同時に採用サイトへも誘導しなければなりません。
そのため、ペイドメディアで注目を集めつつ自社の採用活動も並行して行い、積極的に採用を行っていると発信する必要があります。
またペイドメディアの広告掲載は期間や枠が限られており、媒体によっては1回あたりの出稿にコストがかかるおそれも。広告掲載にかけられる予算には限りがありますから、ペイドメディアを活用する際は掲載先を慎重に吟味すること、掲載期間で狙いどおりの効果が得られるかを検討し、出稿を行いましょう。
アーンドメディア
アーンドメディア(Earned Media)は、一般のユーザーが情報源とする出版社や報道関係、インフルエンサーによって発信されるメディアを指します。
具体的には著名人・業界人・ジャーナリスト・インフルエンサーなどが作り上げるメディアを指し、「Earned」が「獲得」という意味であるように、共感や信頼性を獲得することを目的としたものがアーンドメディアと呼ばれています
集団が構成する情報源以外にも、個人で運営しているブログ・ブログサイトもアーンドメディアに含まれます。何らかの情報を発信し、その結果人気や認知を獲得できるので、マスメディアが運営するペイドメディアとは基本的な目的が異なっています。
アーンドメディアの多くは客観性や拡散力があり、インフルエンサーや著名人も集うことから、ソーシャルメディアならではの影響力や情報拡散力が期待できます。
ただしアーンドメディアは、パブリシティな発信元であるにも関わらず誤情報が掲載されるリスクもあります。ペイドメディアと同様にアーンドメディアを活用して採用広報を実施している企業も増え続けていますが、大きな影響力をもつメディアならではのデメリットも理解しておく必要があるでしょう。
シェアードメディア
シェアードメディア(Shared Media)は、口コミやSNSによる情報の拡散をもって発信されるメディアを指します。具体的にはTwitter・Instagram・Facebookを含めた各SNSのことで、製品やサービスを必要とするユーザーが気軽に情報にアクセスできるメディアでもあります。
各SNSでは「シェア」機能がつけられており、このシェア機能を使って情報が人から人へと渡っていきます。採用広報ではシェア機能をうまく活用しながら口コミ効果の波及を狙うケースが多く、企業のCEO自らがTwitterを利用する事例も一般的なものとなりました。
シンプルに企業の知名度を上げていく以外にも、企業の事業情報をリアルタイムに伝える「公式アカウント」や応募者と直接のやり取りが可能な「採用アカウント」の作成も可能です。
シェアードメディアはコストがかからないため多くの企業に選ばれていますが、そのSNSが自社に合っているかを考慮し、誤情報やネガティブな情報が拡散されるリスクについても検討するようにしてください。
オウンドメディア
オウンドメディア(Owned Media)は、自社で所有するメディアのことで、企業の公式サイトやブログサイトが挙げられます。
オウンドメディアに決まった形式はなく、Webサイトを制作してその中にさまざまなコンテンツを埋め込んだり、シンプルな構成で採用サイトへのリンクを貼ったりする方法もあります。
オウンドメディア内にSNSアカウントへのリンクを貼ったり、Twitterのタイムラインを表示させたりといったSNSとの連携も可能。
自社でWebサイトを所有するため、シェアードメディアよりもコストはかかりますが、誤情報が拡散される心配がない点においては安全であり、外部媒体への広告出稿にかかる費用も抑えられます。
ポジショニングメディア
ポジショニングメディアとは、自社と親和性の高い求職者を獲得できる採用手法です。
求職者はポータルサイトなどをはじめとした求人媒体から自分にとって最適な求人情報を探し応募をします。
しかし、Web上やポータルサイトではどの企業も良い点を謡っているため、本当に自分に合った求人が探しづらい状況です。
そこでポジショニングメディアを活用することで、自社は他社と違ってどんな会社でどんなポジションであるか浸透させることが出来ます。
そのメディアを見ることでユーザーは自分に合った求人情報や会社を探せ、企業側も自社に合った求職者を獲得できるようになります。
詳しくはこちらからご覧ください。
ポジショニングメディア
について詳しく
採用広報の成功事例
実際にPESOメディアを活用して採用広報を成功させた事例と、それぞれのメディアを紹介します。
アーンドメディア - ベルフェイス株式会社
オンライン営業システム「bellFace」を開発・提供しているベルフェイス株式会社では、アーンドメディアであるWantedlyを活用。リファラル採用によって入社した社員のインタビューを、その社員の入社月に公開し転職者にリアルタイムな状況を伝えられるように工夫をしています。
リファラル採用を経験したことがない人や、これからリファラル採用に挑戦してみたい層に対してわかりやすく企業の情報と社員の声を届けられる施策で、実際にベルフェイス株式会社の社員の同級生がWantedlyのインタビュー記事を読み、そこから採用に繋がった事例もみられます。
シェアドメディア - キャディ株式会社
製造業界初のマッチングプラットフォームを提供するキャディ株式会社では、Twitterによるイベント情報・コンテンツ情報・メディア掲載情報を公式に発信。Webサイトでの発信に加えて「note」も併用し、イベントレポート・社員のリアルな声を届けています。
キャディ株式会社では複数の媒体を併用しながら、スカウトやイベントなど対面形式での採用施策も行っており、オンライン上で見た情報をオフラインでも体験できるように工夫をしています。
特にTwitterでは「最新の情報がキャッチアップできる場」としてこまめに運用を行い、他の媒体とも連携しながら採用広報活動を続けています。
ペイドメディア - 株式会社ONE
日本全国に4つの拠点を持つ求人広告代理店・株式会社ONEでは、ペイドメディアへの広告掲載を通じて自社の事業をユーザーに伝えています。日本全国に支店を持ち人材採用事業や求人広告事業を手掛けているため、広く人材を募集するためにペイドメディアを活用しています。
さらにInstagramにも新卒・中途採用アカウントを開設し、公式サイトや広告だけではわからない自社の風潮や社員の特徴をPR。一人ひとりの社員にスポットを当て、ライフスタイルと仕事の両立や新入社員へのインタビューを動画形式で掲載しています。
オウンドメディアの成功事例 - ナイル株式会社
ナイル株式会社は、Web・アプリ・自動車と異なる領域においてWebソリューション事業とインターネットメディア事業を展開する企業です。
採用広報には独自のオウンドメディア「ナイルのかだん」を運営し、自社の取り組みや展望を座談会形式で収録し、読み物として提供することで多くのユーザーにわかりやすく情報を提供。
エンジニアの仕事内容やリファラル採用など、ユーザーが知りたい企業内部の情報もオウンドメディア内のコンテンツとして掲載しています。
さらにスタートアップ情報のプラットフォームであるINITIALやWantedlyも活用しながら、事業の情報や自社の強み、社員の顔を掲載し他社との差別化を図っています。
多角的なマーケティングで採用広報へと繋げる
企業の多くは、自社の認知度を高めながら商品やサービスへの理解を広げ、就職や転職を考えている人々のための広報活動を行っています。
なかでも無料で使えるSNSはユーザーと直接繋がれる媒体として活用されているケースが多く、自社のPRには公式サイトの強化やオウンドメディアの制作で対応し、SNSと併用するケースが多くみられました。
Webも含め、採用広報はマーケティング戦略と同様にターゲットを絞りながら、段階的かつ計画的に進めていかなければなりません。
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