中小企業のマーケティング戦略を事例とともに解説
最終更新日:2024年03月15日
この記事では、中小企業が行うべきマーケティング戦略を事例とともに紹介します。中小企業の中でも戦略を策定し実行したことで、市場における企業ポジションを既に確立し事業拡大に成功しているところもあります。現在、導入を検討中の企業にとっても、今後どのように進めるべきか実践のヒントや方法が分かります。ぜひ、マーケティング戦略の策定にお役立て下さい。
中小企業におけるマーケティングの現状と課題
中小企業のマーケティング戦略を考える前に、中小企業におけるマーケティングの現状と課題を整理します。どのような課題を抱えているケースが多いのでしょうか。
マーケティングの重要性を理解していない
現在の中小企業は、マーケティングを軽視している傾向があります。経営者の多くが、
自社の製品やサービスの質を向上させれば、売上は自然に伸びる
と考えているからです。自社の製品やサービスの質を向上させることも重要ですが、品質が向上しても顧客に伝わらなければ販売拡大に繋がりません。
顧客のニーズが細分化している現在では、この傾向が強くなっています。マーケティングを軽視しがちな点は、中小企業の課題といえるでしょう。
マーケティングの予算がない
マーケティングの重要性を認識していても、思うように施策を実施できない中小企業も存在します。施策を実施できない主な理由は、予算不足といえるでしょう。
事業規模が小さい中小企業は、大企業のようにマーケティングの予算を確保できません。無理をすると利益を圧迫してしまうからです。またマーケティングは結果に直結しづらいため、予算を確保しづらい面もあります。事業規模が小さい中小企業では、売上に直結する
- 営業活動費
- コスト削減
への優先度が高くなりがちです。しかし、現状を維持し続けても問題解決にはなりません。中小企業の中には、マーケティング戦略を策定し実行した上で、既に市場で有利なポジションを築いている企業も存在します。
マーケティングの専門知識がない
予算を捻出してマーケティングに取り組んだものの、期待する結果を得られないケースもあります。中小企業が期待した結果を得られない主な理由は、社内にマーケティングの専門知識を有した人材がいないからです。中小企業が人材を確保しづらい理由として、以下の2点が挙げられます。
- マーケティング専門の部署がないため人材が育たない
- マーケティングの専門知識を有する人材を雇えない
体力のない中小企業は、マーケティングの専門知識を有した人材を確保しづらい傾向があります。他の業務に従事するスタッフが兼務することもできますが、片手間だとマーケティングの精度は落ちてしまします。人を育てる、あるいは雇うことが難しい場合は、マーケティング会社への相談も検討するべきでしょう。
ITシステムを導入できていない
近年になって、顧客情報管理システムをはじめとするマーケティングの精度を高めるITシステムの導入が進んでいます。中小企業は、最新のITシステムを導入できていない傾向もあります。ITシステムを導入できていない主な理由は、予算と人員が不足しているからです。
ITシステムの導入には、それなりの費用がかかります。また活用するとなると、スタッフの教育も必要になります。成果に直結するといいきれないものに貴重な予算と人員を割けないため、中小企業ではITシステムの導入が進んでいないのです。
ITシステムの強みは、データを分析して効果的な商談やプロモーションなどを行えることです。また一部の施策を自動化できるなど、業務の効率化も助けてくれます。ITシステムの導入が遅れると、担当者の経験に頼って非効率な商談やプロモーションなどを行うことになります。
ITシステムを導入している企業との間に大きな差が出てしまう恐れがあります。ITシステムの導入が遅れている点も、中小企業の課題といえるでしょう。
中小企業がマーケティングを成功させるポイント
中小企業でも、マーケティングを成功させることは可能です。ただし思い付きで行うと、成功する確率は低くなります。マーケティングを成功させるため、中小企業が意識したいポイントを紹介します。
マーケティングを戦略として考える
マーケティングを成功させるため、マーケティングについて理解を深めなければなりません。マーケティングとは、
売れる仕組みを作る
ことです。単に広告を出すことや、展示会に出展することを指してマーケティングというわけではありません。マーケティングを成功させたい中小企業は「売れる仕組みを作るための戦略」を考える必要があります。「売れる仕組みを作るための戦略」とは、即ちマーケティング戦略に他なりません。マーケティング戦略は簡単に説明すると、
「誰に、どのような価値を、どれくらいの価格で、どうやって提供するか」
を決めることです。そしてマーケティング戦略を策定する上で非常に重要な要素が、
- セグメンテーション(Segmentation)
- ターゲティング(Targeting)
です。セグメンテーションとは、性別・地域・行動など、さまざまな切り口で市場を細分化することで、細分化した市場の中から自社にとって理想的な顧客を定めるのがターゲッティングです。
顧客が明らかになれば、自社の商品やサービスの強み、有効なプロモーションなどが明確になります。セグメンテーションとターゲティングは、マーケティング戦略の成否を決める重要なポイントです。
「誰に」が決まったら、4Pについて検討を進めます。4Pとは
- Product(製品・サービス)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(販促)
ことです。セグメンテーションとターゲティングで設定した顧客に合わせて4Pを組み合わせます。
例えば、コストパフォーマンスを重視する顧客であれば、製品のボリュームを増やし価格を抑え量販店で販売する、ターゲットが10代、20代であればSNSを中心にプロモーションを展開するなどが考えられます。売れる仕組みを戦略的に構築していくことが重要です。
自社の強みを活かしたマーケティング戦略を策定する
中小企業のマーケティング戦略では、自社の強みも明らかにしておく必要もあります。自社の強みとは、「顧客に提供する価値」です。製品の機能や特徴ではありません。言い換えれば、
製品やサービスが顧客にもたらす「結果」
が、顧客に提供する価値ということになります。新素材を使った通気性が高いマスクを例に挙げると、顧客に提供する価値とは、「新素材」ではなく「マスクの中がムレずに呼吸もしやすい快適さ」になります。自社の強みは、製品やサービスが顧客の生活などに与える影響を細かく分析して設定する必要があります。自社が設定した価値と顧客が感じる価値がずれていると、効果的なマーケティングを行えないためです。
「そうはいっても、自社の強みや価値が何なのか分からない…」という方には、自社と競合他社を分析し「成果に繋げるワークシート」を差し上げます。このワークシートは、
- 競合他社にはない自社の「価値」
- 自社の価値を必要とする「ユーザー」
- 自社の価値を理解し成約に繋がるユーザーを集める「Web施策」
などが分かる内容となっております。貴社のマーケティング戦略を立てる上でも役立つ資料ですので、ご興味のある方はこちらよりダウンロードして下さい。
PDCAサイクルを回しながら常に分析・改善を行う
中小企業のマーケティングでは、PDCAサイクルを回すことも重要になります。PDCAとは
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
のことです。マーケティングに取り組む中小企業は、
- 戦略的にマーケティングを行っているところ
- 戦略的にマーケティングを行っていないところ
に分かれます。戦略的にマーケティングを行っていない中小企業は、「Plan」と「Do」だけで終わらせてしまうケースが多いといえます。
「Check」と「Action」を行わないと、ノウハウを蓄積できないためマーケティングの精度は高まりません。戦略的にマーケティングを行っている中小企業は、Planで設定した目標とDoの結果を照らし合わせて、CheckとActionを行っているケースが多いといえます。マーケティングは仮説・検証・改善を繰り返しつつ、精度を高めていくことが非常に重要です。
良い結果が出たときは理由を分析して再現性などを、悪い結果が出たときは原因を分析して改善策などを考える必要があります。結果に一喜一憂することなく、PDCAサイクルを回すことも、マーケティングを成功に導くポイントといえるでしょう。
中小企業が実践すべきWebマーケティング戦略
続いて中小企業が取り組むべきWebマーケティング戦略について解説します。
- 自社サイト制作
- SEO対策
- コンテンツマーケティング・オウンドメディア
- リスティング広告
- SNSアカウントの運用
- MA・CRM
1.自社サイト制作
Webマーケティング戦略の基本は、自社サイトの制作です。ただし事業内容によって、サイト制作の重要度が異なります。
- 顧客が自社Webサイトをアクセスする可能性が高い事業
- 成約までに自社Webサイトを経由する事業
は重要性が高くなります。例えば、顧客が施工事例を確認したいと考える工務店、発注の前に問い合わせや資料請求で製品の特徴などを確認することが多いBtoBビジネスなどは、自社ホームページの重要性が高くなります。
顧客が求める情報をスムーズに提供できるサイト環境に整える必要があります。
キャククルが手がけるオウンドメディアとは?
120業界・8,000サイト以上の実績があるキャククルのオウンドメディア。
認知度向上、他社との差別化、従来と異なるターゲットにアプローチしたいなど、様々な目的で制作することができます。詳しくは以下のページでご確認ください。
2.SEO対策
自社ホームページを運用するなら取り組みたい施策です。SEOとは、Search Engine Optimization(サーチ・エンジン・オプディマイゼ―ション)の頭文字をとった略語で、日本語で「検索エンジン最適化」などと訳されます。簡単にいうと、特定のキーワードが検索されたときに自社ホームページを上位に表示させるための取り組みです。
具体的にはユーザーが求める情報をわかりやすく提示するコンテンツを作成するなどが該当します。自社ホームページが検索結果の上位に表示されれば、自然検索流入数が増えます。
ビジネスや自社ホームページの内容によっては、広告費をかけずに売上や資料請求の件数などを増やすことが可能です。ただしSEOで結果を出すには、数カ月~1年程度の時間がかかります。
3.コンテンツマーケティングの導入
近年になって注目を集めているWebマーケティング戦略が、コンテンツマーケティングです。コンテンツマーケティングとは、ユーザーに価値のあるコンテンツを提供して自社のファンを作り最終的には購買に結び付けるマーケティング手法です。また、コンテンツには次のような種類があります。
- 記事…Webサイトやブログ等に掲載される「テキスト」中心のコンテンツ
- メールマガジン…見込み顧客に定期的にメールで配信するコンテンツ
- プレスリリース…新商品・サービスの案内などの情報を文書にまとめて外部に発信するコンテンツ
- 動画…映像や音声を使って伝えるコンテンツ
- 音声…音声のみで伝えるコンテンツ
商品やサービスを販売することよりも、ユーザーにとって価値のある情報が提供できるかどうかが成功のカギを握ります。前述したコンテンツの中でも、多くの企業が取り組んでいるのが、記事型のコンテンツです。自社商品に関連したお役立ち情報をコラム形式で自社サイト内に掲載しています。
コンテンツは公開がゴールではない
しかし、コンテンツを作ること自体が「目的化」してしまい、公開後、セッション(流入数)、熟読率、CV率(資料請求数や問い合わせ数)等の結果の分析ができておらず「成果が出たのかどうかも分からない」ケースも少なくありません。
無理に内製化を進めて、通常業務に影響を与えるよりも、プロのノウハウを借りてコンテンツマーケティングを導入することで、
- コンテンツ作りに悩まずに済む
- 売上に繋がる戦略策定から、制作・運用・改善までを任せられ、通常業務に専念できる
- 自社サイトへの流入を増やし、閲覧してくれる人の数が広がる「Web施策」
- テレアポや展示会に出展しなくても、自社独自で集客できる
といったプラス効果が得られます。成果に繋がるコンテンツマーケティングを導入したいという方は、マーケティング支援サービスをまとめた概要資料をご用意しましたので、ご興味のある方はこちらよりダウンロードしてください。
4.リスティング広告の出稿
ビジネスの内容によっては、リスティング広告も有効な施策になりえます。リスティング広告とは、ユーザーが検索したキーワードに基づき検索結果に表示される広告です。手軽に利用できるWeb広告ですが、誰でも期待通りの成果を上げられるわけではありません。
リスティング広告の成否は、自社ホームページの品質、競合他社の状況、商品の魅力などから影響を受けます。例えばリスティング広告で商品ページに集客できたとしても、その内容がいい加減だと成約にはつながりません。
リスティング広告の成功にも、総合的な戦略が必要なのです。必要に応じてマーケティング会社などに相談するべきといえるでしょう。
5.SNSアカウントの運用
中小企業がマーケティングにSNSを利用する主なメリットは以下の2点です。
- 顧客とコミュニケーションをとれる
- 自社や自社製品・サービスの認知度を高められる
コストをかけずに顧客の反応を確かめられる点や、見込み客に情報を発信できる点が魅力といえるでしょう。ただしSNSにより特徴やユーザー層は異なります。自社の製品・サービスと相性の良いSNSや自社の見込み客が利用しているSNSを選ぶべきといえるでしょう。
また手軽にメッセージを投稿できるので、方向性がぶれてしまいがちです。戦略的に活用しないと、効果的なマーケティング施策にはなりません。事前に運用する目的を設定して、一貫性のあるメッセージを発信する必要があります。
6.MA・CRMの活用
MAやCRMも効果的なWebマーケティングの施策になる可能性があります。MA(Marketing Automation)は情報収集や見込み客の育成などを自動化できるツール、CRM(Customer Relationship Management)は顧客の購入履歴や行動履歴などを管理して良好な関係構築をサポートしてくれるツールです。
MA・CRMはマーケティングの効率を高めたい中小企業などに適しているといえるでしょう。
中小企業のマーケティングの参考事例
中小企業の中には、マーケティングで売上を大きく伸ばしているところがあります。ここでは、中小企業が参考にしたいマーケティングの成功事例を紹介します。
赤城乳業
人気のアイスを作った会社のユニークな施策
赤城乳業は巧みなマーケティング戦略によりガリガリ君の売上本数を約1億本/年(2004年)から約4億本/年(2013年)に伸ばしています。
売上を拡大するため最初に取り組んだのが、ガリガリ君のキャラクターを好きになってもらうことです。ガリガリ君のキャラクターは、知名度が高いにもかかわらずあまり好かれていませんでした。
赤城乳業はキャラクターのイメージをよくするため、次のマーケティング戦略などを展開します。
- 人気RPGゲームにガリガリ君を登場させる
- 人気RPGゲーム内でガリガリ君を販売する
- ガリガリ君のパッケージに人気RPGゲームの主人公を登場させる
- 小学生向け月刊漫画誌にガリガリ君が主人公の漫画を連載する
マーケティング戦略でキャラクターのイメージが好転した赤城乳業は、ファンクラブにあたる「ガリガリ部」を設立するとともに、ガリガリ部のアンケート結果をもとに「みんなのマンゴー味」を開発しました。
さらに氷菓が売れない冬期に新商品を投入するなど、消費者と一緒に楽しめる施策と次々と展開します。さまざまな話題の提供によりガリガリ君の口コミは急増。売上も大きく伸びました。具体的には2007年に売上本数2億本を突破しています。
ガリガリ君の人気を決定づけたのが、2012年に発売した「ガリガリ君リッチコーンポタージュ」です。常識では考えられないフレーバーにより大きな話題を獲得し、普段はガリガリ君を食べない層を巻き込んだヒット商品となりました。
今治タオル
ブランディングを生かした施策
今治タオルは安価な外国製タオルとの競争で、メーカーが次々に倒産する状況に追い込まれていました。状況を改善するため取り組んだのが、今治タオルのブランディングです。
具体的には他の地域のタオルと区別してもらうためロゴマークを作る、独自の品質基準を設けてクリアしたメーカーの製品だけにロゴマークを付与するなどの施策を実施しました。
製品の位置づけを明確にすることで、安価な外国製タオルとは異なる市場を獲得することに成功しています。
マーケティング戦略策定でお悩みの中小企業ご担当の方へ
中小企業は、自社の製品やサービスの品質向上に集中する傾向があります。素晴らしい取り組みですが、顧客に理解してもらえないと売上には結びつきません。並行してマーケティング戦略を策定する必要もあります。
戦略策定で大切なのは、自社を取り巻く市場や競合を隈なく分析し、「誰をターゲットにどの商品をどんな方法で伝えるのか」といった具体的な施策まで落とし込むことです。
しかし、ほとんどのケースで見受けられるのが、
- そもそも適切な分析ができていない
- 分析はできたが、それを支える戦略と戦術まで落とし込めていない
- 分析や戦略までは組み立てたが、戦術と連携していない
といった課題です。Zenkenでは、貴社のマーケティング課題をお伺いした上で、120業種以上で7,500サイト以上の運用ノウハウを基に貴社がどんな市場でどんなターゲットでどんな強みを打ち出していくべきかを分析し策定。
策定結果をもとに貴社の強みを理解したユーザーを集中的に集客できる、成約までを見据えたWebマーケティングを実行します。