中小企業のブランディングの実践方法について事例を交えながら解説
最終更新日:2022年12月07日
ブランディングは中小企業へのユーザーの信頼感を高め、安定的な利益を提供するための有効なマーケティング施策です。この記事では、ブランディングの事例や具体的な進め方や注意点について解説します。
なお、下記のページにはブランド戦略やブランディングの情報を詳しくまとめている資料も用意しております。ブランドの価値構造やブランディングの各ステップを解説していますので、ぜひこの記事と合わせてお役立てください。
中小企業のブランディング事例
中小企業のブランディングについて解説してきましたが、実際にどのようなブランディングが行われてきたのか、ブランディングに成功した事例をご紹介します。自社にとって効果的なブランディングを行うための参考にしてください。
葉物野菜を販売する中小企業のブランディング事例
まずは葉物野菜を販売する中小企業が、クレソンの商品パッケージでブランディングした事例です。
サラダ用クレソンを主力商品として打ち出していきたいと考えていた対象企業は、ロゴマークと商品パッケージを変更することにしました。
クレソンによく馴染むよう透明パッケージの随所に緑色を施し、緑色に映えるように赤色と青色でシンプルに、産地とサラダ用葉野菜であることをアピールできるデザインを実現させたのです。ロゴマークも緑・青・赤・白と色味を揃えて統一感を出しています。
パッケージには色味を使いながらも、透明の窓を作ってクレソン自体はしっかりと見えるようにしました。パッケージのデザインとシンプルなロゴで、クレソンのみずみずしさと魅力を伝えられるようブランディングした事例です。
イベリコ豚専門店のブランディング事例
イベリコ豚専門店で実施されたブランディングの事例です。イベリコ豚のブームが去ったことにより売り上げた低迷し、直営店舗が次々と閉店を余儀なくされていた状態でブランディングが行われました。
イベリコ豚は世界一の生ハムとまで言われる逸品なので、イベリコ豚の歴史や素晴らしさをユーザーに伝えること、そして環境問題の解決に取り組んでいくことを目標に据えて、メニューや店舗、サービスを企業の目標に合わせた内容に変更しました。
さらに企業の目標をストーリー化して、随所で閲覧できるようにしたのです。
ブランディングを行った結果、客単価が大幅にアップし、リピート率も上昇したことで業績の向上に成功しました。
遠州綿紬を製造する中小企業のブランディング事例
遠州綿紬製造元である中小企業が、パンフレットでブランディングを行った事例です。
遠州綿紬は歴史ある伝統産業ですが、古めかしさや重厚感を与えないシンプルなデザインでパンフレットを作成しました。
カラフルな反物が並ぶ写真はポップな印象で、パンフレットのページを開いていくと企業理念や遠州綿紬の歴史・背景・製造工芸が写真とともにシンプルに纏められています。また、一部に以前のパンフレットと同じ写真を用いたことは、ブランドのアイコンとしての役割を果たしました。
ページを捲っていくと商品一覧ページにたどり着きますが、着物以外で使える用途を写真で紹介しているので、若い人にとっても遠州綿紬が身近に感じられるデザインです。
ブランディングによって遠州綿紬の魅力と用途、企業理念である「人から人へぬくもりと伝統を伝えること」を発信した事例です。
椅子を製造する中小企業のブランディング事例
椅子の製造と張替えを行う中小企業で実施されたブランディングの事例です。5年間にわたり3段階のブランディングを実施したので、長期的なブランディングの好事例としてご紹介します。
- 第1段階:新サービスを提供しブランドとして確立することで売上を向上させる
- 第2段階:技術の継承や雇用を通した社会貢献でブランドの価値を高める
- 第3段階:SDGsの達成を企業の目的としてブランドの価値と世界観を確立させる
3段階にわたるブランディングの流れを確認すると、ブランドとしての確立から始まり、企業の充実度を上げて社会貢献に取り組み、さらにSDGsを目標に掲げてブランドの価値を一層高め、世界観を確立する流れでステップアップしていることがわかります。
中小企業のブランディングは最初から大きな目標に挑むのではなく、段階を踏んで少しずつ成長していくほうが無理なく効果的な施策が行えます。
ブランディングと売上を両立するWebブランディング施策
通常、ブランディングをする場合は何千万単位の制作費や広告費、そして時間を掛ける必要があります。
しかしブランディングに失敗してしまえば、効果が出ず莫大な費用を失うだけでなく、間違った印象がついてしまう可能性も。
そこで、自社商材と親和性の高いユーザーには認知度を上げ、成約につながるユーザーはしっかり集客をするWebブランディング施策を行うことで、知る人ぞ知るブランドとして認知度と売上を上げることが可能です。
そのWebブランディング施策がZenkenが提供する「ブランディングメディア」です。
ブランディングメディアを導入した結果、
- 1ケタ分受注単価が増える売上を獲得できた
- 求人広告に依存することなく、自社サイトから今までの10倍採用応募が来るようになった
というようなブランディング効果も発揮できております。詳しくは下記より資料をダウンロードしてください。
そもそもなぜ中小企業にブランディングが必要なのか
まずは中小企業になぜブランディングが必要なのか、理由について解説します。
ユーザーからの長期的な支持を得られるから
ブランディングに成功すると、ユーザーから長期的な支持を得られるようになります。ブランディングとは「商品やサービスの価値を高めること」であり、ブランディングされた商品・サービスは、ユーザーにとって他の商品では代えがきかない特別なものとなるのです。
ブランディングによって、ユーザーを商品・サービスのファンにすることができます。その結果、たとえ競合が多くて自社の知名度がそれほど高くなくても、一定のユーザー層から継続的に選ばれることになります。
価格競争に巻き込まれることなく安定した利益が得られるから
中小企業にとってブランディングが必要な理由として、価格競争を行うことなく、安定した利益を得られるようになることも挙げられます。価格競争と無縁になることは、ユーザーから長期的な支持を得られるようになった結果です。
競合が自社より低価格の商品・サービスを打ち出しても、ファンを獲得していれば、例え価格が高くても購入してもらえます。ブランディングを成功させることは、自社の商品・サービスの価値を高め、ファンを作り、安定的な利益を得ることにつながります。
ブランディングが中小企業にもたらすメリット
それではブランディングが中小企業にもたらすメリットを5つご紹介します。
企業イメージの向上
ブランディングは、中小企業のイメージ向上に役立ちます。ブランディングを成功させることは、自社の業界・ニッチでの知名度向上にも繋がります。ユーザーは知名度の高い企業に対して「信頼できる」「一流」「品質が確か」などのイメージを持つため、ブランディングで企業の知名度を高めると、企業にプラスのイメージを付加できるようになります。
商品価値の上昇
販売する商品・サービスの価値がアップすることも、ブランディングのメリットのひとつです。知名度が高まることにより企業イメージが向上することに由来しますが、知名度が高く、信頼性のある企業が販売する商品・サービスは、ユーザーにとって安心して購入できる商品・サービスとなります。
中小企業がブランディングを行うことには、ユーザーから「よく名前の知られた企業の商品だから大丈夫」という思いを抱かせることにつながります。
競合との差別化が実現する
ブランディングには、競合との差別化が実現するメリットもあります。企業・商品・サービスをブランド化すると、たとえ類似商品と機能やデザイン性が似ていても、「ブランド」で競合との差別化が可能です。
例えば、エルメスのバッグとデザインが似ており、より機能性の高い1万円のバッグがあったとしても、「エルメス」というブランドに魅力を感じるユーザーは100万円を支払いエルメスのバッグを購入するでしょう。ブランディングに成功するとエルメスの例と同じように、ブランドで競合との競争に勝てるようになります。
社員のモチベーション向上
中小企業がブランディングを行うことは、社員のモチベーション向上にも役立ちます。「ブランディングされた一流企業で働いている」という思いを社員に抱かせることにより、社員の意識を変化させられるためです。
ブランディングで企業のイメージや商品の価値を高められれば、社員は企業や商品のレベルに見合った働き方をしようと無意識のうちに動きます。
売り上げの成長
ブランディングに成功してユーザーからの信頼度が高まれば、商品の売上も伸びます。多くのユーザーから信頼を得られるようになることは、多くのユーザーから商品を購入してもらえることを意味します。
ブランディングには商品価値を高め、企業や商品・サービスのファンを作り出す効果もあることから、長期的に安定した売上を継続できることは大きなメリットです。ブランディングは売上を成長させるために非常に有効なマーケティング法です。
集客コストの削減
ブランディングによりユーザーから選ばれる中小企業になると、集客コストを削減しながら売上が伸ばせます。
集客にコストをかけなければならないのは、集客しなければ商品・サービスが選ばれないためです。しかしブランディングにより商品・サービスの魅力を高めれば、集客をしなくてもユーザーの方から積極的に選んでもらえるようになります。
集客コストを抑えつつ商品・サービスの売上を向上させらえるので、中小企業にとってブランディングとは効率的に利益を上げるための基盤となる戦略です。
優秀な人材が集まりやすくなる
中小企業のブランディングには、優秀な人材が集まりやすくなるメリットもあります。自社や自社の商品の魅力をブランディングを通じて明確にできていれば、より多くの人が応募をしてきます。
その結果、優秀な人材を集めることもより用意となり、より生産性の高い企業へと成長できるようになるのです。
ブランディングにより企業や商品・サービスの価値を高めることは、既存社員のモチベーションを高めることに役立ちますが、新たに優秀な人材を集めることにもつながり、企業内が充実するようになります。
中小企業のブランディングの進め方
多くのメリットがあるブランディングですが、具体的にどのように進めていくべきなのでしょうか。ブランディングの進め方について解説していきます。
自社の強みの洗い出し
中小企業がブランディングを行うには、まず自社の強みを洗い出すことから始めましょう。他社にはない自社だけの強みを中枢に据えれば、ブランディングが成功しやすくなります。
自社の強みを洗い出すためには、「3C分析」「ポジショニングマップ」「ブランドの扇」などのフレームワークを活用して、自社の分析を実施することが有効です。自社にしかない強みを把握できれば、ブランディングの方向性が定められます。
ブランドの定義づけ
自社の強みを見つけ出せたら、次にブランドの定義づけを行います。ブランドの定義づけは、ブランドコンセプトを設定することで、自社の強みをぶれることなくアピールできるために必要です。
ブランドの定義づけを行う際には、自社の強みを基盤とし、既存のユーザーが感じている自社への価値や、市場での自社の立ち位置を意識してみてください。
その3つを考慮しながら、自社の強みを友好的にアピールできるブランドコンセプトを考えましょう。
ターゲットの選定
次にターゲットの選定を行います。ブランディングの効果を高めるには、正しくターゲットの選定を行うことが重要です。
多くのユーザーに広く浅くアピールするよりも、自社のブランドイメージを好むターゲットを徹底的に絞り込み、少々狭くてもブランドイメージが的確に刺さる層のみにアピールすると効果が高くなります。
ターゲット設定があいまいな場合はブランディングのためのコストも膨張しやすくなります。中小企業でブランディングを行う際には、狭く深いターゲティングをすることがおすすめです。
商品の差別化・差異化
差別化は競合他社の商品よりも優れた点を自社商品の中から見つけ、差異化は競合他社が真似できない特性を商品に仕込むことです。
自社商品の強みやブランドの定義づけを行うためには、商品の差別化と差異化が重要です。他社より優れていて、他社が真似できない点を定義づけに使用すると、競合の中に埋もれづらくなります。
ブランディングは企業・商品・サービスの価値を高めることですが、競合と同じようなものでは価値を十分に高めることができないので、商品の差別化・差異化を行うことは中小企業が実践するブランディングにおいて重要なポイントです。
広報・広告物のコンセプト統一
ブランディングの効果を最大限に高めるには、広報や広告物のコンセプトを統一させることも欠かせません。
たとえば、去年は高級感をアピールしていたのに今年はシンプルなナチュラルさをアピールしている、Webサイトは温かく優しいイメージなのに広告物はクールでスタイリッシュなイメージがあるなど、ブランドコンセプトが統一されていないとイメージが確立されません。
ブランディングを実践する際には、確固たるブランドコンセプトを確立させて、広報や広告物からWebサイトと店舗内装まで、あるあゆるものをコンセプトに合わせるのが重要なポイントです。ブランドコンセプトがブレてしまわないよう、統一感をもたせましょう。
PDCAサイクルに従い長期的実践を
ブランディングは短期的な活動ではなく、長期的に実践していく活動です。ブランディングを実施して一連の流れが終わったら、効果やユーザーの反応を検証し、改善点や評価点を見つけて次の活動につなげていきます。
活動を振り返って改善するべき点があれば改善していきますが、効果的だった手法も時代の流れとともに効果が現れなくなるケースもあります。
長期的な活動であるブランディングを成功させていくには、都度改善点を見つけることと、時代の変化に対応することが必要です。
中小企業がブランディングを進める際の注意点
中小企業がブランディングを進める際には、注意するべきポイントもあります。
身の丈に合った施策を実施する
まずは身の丈に合った試作を実施することに注意しましょう。
多額の資金を投資すれば、外部のブランドデザイナーを雇って、完成度の高いブランディングを行えます。しかし、それだとメリットの一つであるはずの「集客費用削減」が叶わなくなってしまいます。
中小企業でブランディングを実施するなら、外部に頼らず全社で取り組む方法がおすすめです。全社をあげてブランディングを行えば、自社が持つ本当の魅力を再認識できるようになります。
社内で賛同しきれない意見が挙がっていれば、ブランディングを中止して立ち止まることも必要です。多額のコストをかけて外部に頼るよりも、全社をあげて自社の魅力を確認し、身の丈に合った施策を実施するほうが成功する確率が高まります。
目立つことだけを目指さない
ブランディングには、企業や商品・サービスの認知度を高められるメリットがありますが、ブランディング施策は必ずしも自社を目立たせるためのものではありません。ブランディングの目的は「自社らしさ」をアピールすることであり、自社の目標達成につながることが大切です。
もし「地域の住民に寄り添った経営をしたい」「社員の安定した生活を保証したい」などの目標がある中小企業なら、ブランディングで認知度が高まった結果、地域内の経営に収まらなくなったり、多忙になって社員のプライベートが失われてしまったりすることもあります。
ブランディングを実践する際には、認知度を高めることや目立つことだけを目指すのではなく、企業の目標達成につながるか今一度確認してください。
中小企業の事例を参考にして自社らしいブランディングを
ブランディングを実施するなら、ご紹介した中小企業の事例を参考にしながら自社らしいブランディングを実施していくことが重要です。
認知度を高めるために目立つためのアピールをしても、自社らしさが表現されていなければブランディングは成功しません。
まずは全社をあげて自社の強みや魅力を再確認し、ブランドコンセプトを統一させながら表現する方法を探して、長期的に取り組んでいくようにしましょう。
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