「ユニクロ」販売戦略、3つのポイントとは?
最終更新日:2022年11月30日
ユニクロの販売戦略のポイントにまとめました。顧客が気づいていない新しい価値観を提供する革新性や、徹底したコストカットなど、高品質を低価格で販売できる秘訣についても深掘りしています。
また、貴社が市場でどんな立ち位置でマーケティング戦略を策定すべきかが分かる「市場分析シート」を無料でご提供しています。自社の強みを活かしたマーケティング戦略を立てたい方は、今後の戦略策定にご活用ください。
日本国内はもとより、アジアで急成長を遂げる衣料品ブランドの1つである「ユニクロ」は、世界中のほぼすべての主要都市に拠点を置いています。その数、国内で80店舗、国外でも1,473店舗(2021年2月末)を誇っています。日本のアパレル業界を牽引し続けているユニクロの販売戦略について見ていきましょう。
ユニクロの販売戦略の3つポイント
小さな街のメンズショップを、世界のユニクロに成長させた販売戦略には大きく分けて3つのポイントがあります。
コスト・リーダシップ戦略
1つ目の販売戦略は、「コスト・リーダシップ戦略」です。
言葉の通り、競合他社よりも原価コストを下げることで優位に立つ戦略のことです。
これを実現するために、製造から販売までを一貫して行う製造小売業(SPA Specialty store retailer of Private label Apparel)を採用。世界のファッションの流行や新しい素材をリサーチするR&D(デザイナー/パタンナー)から、商品企画生産を請け負うマーチャンダイジング(商品企画)、素材の開発や調達、生産、技術アドバイス、在庫コントロールからマーケティング、販売までをすべて自社主導で回しています。
流行となったヒートテックなど機能性素材の開発は、東レ株式会社などと協業し糸から開発するこだわりよう。また、素材調達に関しても、高品質な素材を大量発注することで、コストを抑えることに成功しています。
コストリーダーシップを取りつつも、同業他社とは異なる独自性も実現。さらに、販売状況に応じて柔軟な生産体制を取ることで、コストを抑えつつも品質の良い独自製品を業界トップクラスともいえる価格で販売し、事業拡大につなげてきたのです。
良いものを安く売りというコスト・リーダシップ戦略は製造小売業だからこそできた販売戦略でもあるでしょう。
顧客の声を汲んだ新製品開発戦略
2つ目は、顧客の声を汲んで行う「新製品開発戦略」です。
実際にユニクロ商品を使っている顧客の声や要望を、検証したり分析したりしながら、商品の開発や改良を行っています。
その1つの例が「ウルトラライトダウン」です。 雨でも大丈夫な撥水機能の付加や、見た目のスッキリ感を保ちつつ窮屈に感じさせないサイズへの見直し、Vネックにすることで重ね着のしやすさをアップさせるなど、お客さんの声をうまく取り入れています。
”こういう機能が欲しい!”との顧客の声は、カスタマー・クリエーションとも呼ばれるお得意さまを作る施策として有効です。これこそが、ユニクロを勝ち組に導いた新商品開発施策といっても過言ではないでしょう。
顧客の声を生かし、リピーターを増やすことで着実に商品を買ってもらう体制を作るというのも、ユニクロが得意としている販売戦略です。
ブルー・オーシャン戦略
3つ目は、ブルー・オーシャン戦略です。
新しい需要を、売り手側が生み出し提供する戦略です。あったらいいなを売り手側が提供し、新たな市場を造りだすことに成功したのがユニクロです。
たとえば、衣類に保湿機能を付加した「ヒートテック」や、発汗性と防臭性を付加することでサラッとした着心地と臭わないを実現した「シルキードライ」がいい例でしょう。また、ブラの窮屈さやブラのラインが透けることを避けられる「ブラトップ」も多くの女性に支持されています。
このように新たな市場で、顧客に低コストで高い付加価値を提供するブルーオーシャン戦略は、ユニクロの強みとなり、他社との差別化をはかることに成功しています。試してみたくなる新しい付加価値もまた、ユニクロの商品を売れ続けさせる販売戦略の1つです。
ユニクロの販売戦略まとめ
ユニクロの販売戦略は、単なる安物ではなく質の高い低価格商品を打ち出していることに加えて、顧客の声を商品に盛り込んだ新作の発表、顧客が気づいていない新しい価値観を提供してくれる革新性にあるといえるでしょう。
また、高級なブランド服ではなく、日常使いできる低価格かつシンプルなカジュアルウェアに特化していることも、年齢を問わず誰でもが気軽に着られるアイテムとして人気を博しています。