エンタープライズマーケティングとは?大手企業への営業のコツ
最終更新日:2024年03月06日
大手企業や公的機関などエンタープライズとの契約や取引ができれば、事業や売上に対してのインパクトは大きいものに。しかし…
「キーマンとの接点が作れない…」
「マーケティング担当と営業担当の連携が図れない…」
「自社を認知してもらう機会がつくれない…」
エンタープライズの開拓に、このような悩みを持っていませんか?
このページでは、エンタープライズマーケティングのポイントやコツなどをご紹介します。
基本的な流れを改めて確認し、キーマンとの接点創出やリード獲得にお役立てください。
エンタープライズマーケティングとは
中堅企業や大企業に対して、自社全体でセールスを仕掛けていくのがエンタープライズマーケティングです。場合によっては、B2B(Busienss to Business)マーケティング、エンタープライズ営業、あるいはエンタープライズセールスと呼ばれることもあります。
エンタープライズ企業は、顧客単価も高く、解約リスクも低いため、積極的に開拓していきたいもの。
また、エンタープライズに全社的に狙いを定めることで、リソース分配の最適化、PDCAの高速化も実現するため、事業の成長も見込めます。
エンタープライズ企業を開拓するコツは、企業の特徴や自社の強みを抑えた上で潜在ニーズを満たしていくことです。それでは、さっそく各ポイントについて見ていきましょう。
B2Bのエンタープライズマーケティングのメリット
中堅企業や大企業を狙っていくエンタープライズマーケティングのメリットは、大きく4つに分けられます。
- 顧客単価が高い:高額なプラン導入のハードルが低く、他部署へ展開することも可能
- 解約リスクが少ない:チャーンレートが低いため、安定的な収益につながりやすい
- リソース分配の最適化:LTVの高いセグメントへ狙いを定めるため、少数の顧客に集中できる
- PDCAの高速化:部門間での連携を図りながら効果測定することで、組織全体の業務改善につながる
エンタープライズ企業と対になるのがSMB(中小企業)ですが、開拓はしやすくとも顧客単価が低く、解約リスクも高いという特徴を持っています。
中堅企業や大企業の開拓に向けた「エンタープライズセールス」が、自社を成長させる大きな鍵になり得るということです。
とはいえ、「SMBの開拓は必要ない」という話ではありません。
多くの企業では、SMBに向けてインバウンドが主軸の「THE MODEL型」の戦略を取りつつ、メインでエンタープライズの開拓に注力するビジネスモデルが主流となっています。
エンタープライズ企業の特徴
エンタープライズ企業は、大手、中堅、公的機関といった大規模組織のため、以下のような特徴を持っています。
- 複数の部門にまたがっているため、意思決定が複雑
- 前年度の時点で予算取りを行う企業が多い
- 企業や部署ごとに潜在ニーズやプロダクト要件が異なる
とくに注意しなければならないのは、商談の獲得から契約までのリードタイムが長い点です。
エンタープライズ企業には、複数のキーマンやステークホルダーが存在するため、それぞれのニーズに応えられる機能を幅広く用意する必要があります。
また、導入について慎重になるケースも多いため、前年度に予算取りが行われることもしばしばあります。
そのため、新年度の予算策定について提案できるよう、遅くとも前年度の秋までにクライアントとの関係をつくることが大切です。
エンタープライズマーケティングの進め方
エンタープライズマーケティングを進めるには、ターゲット企業の特徴を踏まえた戦略が必要です。
- 特定
- 拡張
- 関係構築
- 他部署展開
それぞれについて見ていきましょう。
特定
エンタープライズ開拓を目指すためには、まず、売上の最大化に期待できるターゲットセグメントを特定することが大切です。
- どの企業が対象になるかの調査
- 自社製品のポテンシャルを整理
- ターゲット企業のセグメント
- セグメントごとのキーマンを特定
このように、自社の購買履歴や取引実績のデータを参照し、売上の最大化が可能な企業を特定していきます。
ターゲットを定めた後は、企業や部署のキーマンを見極め、それぞれに対する戦略を考えていきましょう。
拡張
次のステップとして、できる限り多くのリードを獲得するために拡張を目指します。
キーマンとの接点創出のための施策例について、いくつか挙げてみます。
- オウンドメディア
- コンテンツマーケティング
- リスティング広告
- エキスポ
- 著名人セミナー
- レター・アウトバウンド
このように、オンラインとオフラインの両方からアプローチするのが一般的です。
関係構築
実際にリードを獲得したら、ターゲット企業との関係構築を目指していきます。
このときに気を付けたいポイントは、以下の4つです。
- リード獲得時の会話や雰囲気などを共有する仕組みの徹底
- ターゲット企業の組織図をつくり、会社全体でキーマンを把握する
- ターゲットのニーズや検討方法から、先を見据えた施策を立てる
- BDRチームを立ち上げ、リファラル戦略を推進する
関係構築を図るためには、自社のビジネスモデルとターゲット企業のキーマンに合わせた取り組みが求められます。
このとき重要な役割を担うのがBDRチームで、契約を結ぶためのあらゆるフローを担当します。
イベント共催やリファラル制度などのパートナー施策を採り入れることで、ターゲット企業との関係構築、ひいては契約を目指していきましょう。
他部署展開
ターゲット企業との契約は、ゴールではなくスタートだと考えましょう。
というのも、エンタープライズはアカウント数が多く、他部署展開も可能だからです。
ここで重要になるのが、「どうやってターゲット企業の売上に貢献していくか」というLTV視点です。
ターゲット企業のエンゲージメントを高められるよう、全社横断で取り組むことが求められます。
別事業部で商談に行った際のBANT(※)なども非常に重要ですので、社内の情報を整理し、すぐに参照できる状態にしておきましょう。
もし失注となってしまった場合も「確認必須事項」「ネガティブな影響が出たケース」など、事例として活用できる項目はあるはずです。
エンタープライズマーケティングの事例については、特にひとつひとつ丁寧にフィードバックし、他事業部へのシェアも徹底しましょう。
※BANT:Budget(予算),Authority(決裁権),Needs(ニーズ),Timeframe(導入時期)の頭文字をとった略語
120業種以上のマーケティング支援を行ってきたZenkenが考える、BtoB向けの戦略についてまとめた資料もご用意しました。社内共有などにご活用ください。
効果的なB2Bのエンタープライズマーケティング手法5選
先では、エンタープライズマーケティングの基本的なフローについてご紹介しました。
この項目では、エンタープライズの開拓に効果的な手法を5つご紹介します。
テレアポ
テクノロジーが発展し続ける時代ですが、エンタープライズの開拓においてはテレアポも効果的です。
- コールドコール:PUSH型の電話営業
- アポアウトソース:電話営業の業務委託
- CXOレター:大手の責任者クラスに手紙を送付
テレアポと聞くとコアタイムを狙ってひたすら電話をかけるようなイメージがありますが、実際には上のような3つのタッチポイントがあります。
エンタープライズの開拓には、CXOレターも効果的だと言われており、大手や中堅企業のキーマンに直接リーチ可能です。
手紙の送付とフォローコールをセットにすることで、アポイントの獲得率アップに期待できるというメリットもあります。
エンタープライズ施策の中でも、低コスト且つすぐに始められる手法ですので、積極的に採り入れるとよいでしょう。
情報配信
エンタープライズを開拓するためには、ターゲット企業に向けた情報発信も欠かせません。
とくに重要なのは、ターゲットのニーズに応えられる良質なコンテンツを提供し、潜在顧客の育成やファン化につなげる「コンテンツマーケティング」でしょう。
- SEO施策:検索エンジンからの流入を狙う手法
- Webinar:Web上でセミナーを開催する手法
- MA:マーケティング活動の自動化ツールの使用
- SNS:Twitterやインスタグラムなどで情報発信する手法
- Web:自社メディアやポジショニングメディアを使って情報発信する手法
コンテンツマーケティングの手法としては、上記の5つが有名です。
また、昨今では「note」などのソーシャルメディアで情報発信し、問い合せにつながる事例も多いようです。
自社の強みやブランディングによって手法も変わりますが、情報発信の場を増やすことをおすすめします。
紹介
タッチポイントを増やす手法として、紹介(リファラル)制度を利用するのもおすすめです。
- 顧問サービスの利用
- 紹介契約の利用
- ユーザーからの紹介
- パートナーからの紹介
- 銀行・証券・VCからの紹介
このように、ターゲット企業との接点創出に期待できる機会は豊富にあります。
オフラインだけではなく、SNSの知り合いやフォロワー経由でターゲット企業に接近できることもありますので、常にアンテナを張っておきましょう。
イベント
エキスポやカンファレンスなどのイベントも、ターゲット企業との重要なタッチポイントです。
- エキスポ
- 顧客内イベント
- 展示会
- クロージングセミナー
など、自社で開催するイベントはもちろん、共催イベントから接点が生まれることも考えられます。
経営層が求めているコンテンツをあぶり出すことで、キーマンとダイレクトに接近することも叶うでしょう。
セミナー
著名人を呼んだり、パートナー企業と共同開催したりして行うセミナーなども、接点創出に役立ちます。
- 自社セミナー
- エグゼクティブ向けセミナー
- 著名人セミナー
- 共催セミナー
このように、セミナーと言っても自社で開催するもの、他社で開催されるものなど、チャンスは至るところにあります。
自社で積極的に取り組むべきなのは、DXやイノベーションといった抽象度の高いテーマです。
経営層が求めるようなテーマについての情報発信やコンテンツ提供を行うことで、興味を持ってもらったり、紹介につながったりするケースもあるでしょう。
エンタープライズセールス担当者に必要なスキル
エンタープライズセールスを成功させるためには、いくつかのスキルを磨く必要があります。
- 個社ごとの課題分析スキル: 顧客の課題を分析し、説得力のある提案を行う能力が求められます。
- 課題合意スキル: 顧客と課題を合意し、提案へ移行する能力が必要です。
- 商談コントロールスキル: 商談のスパンや時間軸をコントロールし、営業プロセスを前進させる能力が重要です。
- リスクヘッジのスキル: 受注前の案件の失注リスクを最小化し、早めに対応する能力が必要です。
研修やロールプレイは有用ですが、実践的なトレーニングが重要です。プロセルトラクションでは、エンタープライズセールス代行を提供し、企業の営業活動を効果的にサポートします。
まとめ
エンタープライズの開拓は必須
このページでは、近年注目を集めているエンタープライズマーケティングについて解説しました。
中堅や大手、公的機関などをターゲットに、リード獲得や他部署への展開などを目指していくエンタープライズセールスは、事業の成長のために欠かせない施策です。
エンタープライズマーケティングのためには「特定→拡張→関係構築→他部署展開」といった4つのステップを踏む必要があります。
「認知拡大→顧客拡大→商談→契約」といった「THE MODEL型」の手法とは大きく異なりますので、注意しましょう。
なお、ターゲット企業との接点を創出するためには、テレアポや情報発信、紹介、イベント、セミナーなどの手法がおすすめです。
自社の強みを活かしたマーケティングならご相談を
エンタープライズマーケティングを進める際、ターゲットである企業に強く訴求可能なホームページやメディアを用意しておく必要があります。
なぜなら企業の詳しい情報や強みを、インターネットで検索することは現代では当たり前だからです。
アプローチに成功し興味を持ってくれたエンタープライズが、自社情報を検索した際に適切な情報がヒットしなければ、比較検討対象から外れてしまうリスクも高まります。
そのため、エンタープライズの開拓と合わせてWeb上のコンテンツの強化を図る必要があるでしょう。
Zenkenではクライアントならではの強みであるバリュープロポジションを軸にした、マーケティング戦略をご提案しています。
特に競合と比較しながら差別化ポイントを明確にし、市場内における立ち位置を明確にできるポジショニングメディア戦略を得意としています。
エンタープライズマーケティングの成功率を高めるため、自社の強みに則したコンテンツマーケティングの強化やWebメディアの制作を検討される際は、ぜひお気軽にご相談ください。