ブランディングをコンテンツマーケティングで実現するためには?
最終更新日:2022年02月21日
コンテンツマーケティングを活用したブランディングは、競合との価格競争から抜け出し、安定的に売り上げを伸ばすために有効な施策です。一方、自社商品はブランディングに向いているものではないと考えている方や、具体的な取り組み方が分からない方も多いでしょう。
この記事ではブランディングの概要とその必要性、そしてブランド強化施策としてコンテンツマーケティングを行うべき理由などを解説します。
そもそもブランディングとは?
ブランディングとは自社全体や商品に対してブランドイメージを与えることを指します。ブランドの言葉からいわゆるバッグや時計などの高級品を思い浮かべる方も多いでしょう。
高級品、高品質としてのブランドイメージを定着させているためブランディングの一例ではありますが、高級なものばかりがブランドイメージとは限りません。例えば下記があります。
- 庶民的な価格
- 革新的な技術を採用している
- 品質が高くて安心できる
- 特別なときに利用する
- 昔からの伝統
- 利用者を第一に考えている
- 広告が面白い
なかには企業が目標として掲げているキーワードが上記に入っているケースもあるでしょう。商品やサービスを売り込んでいくため他社と差別化するのがブランディングです。
ブランディングの種類
ブランディングと一口にいっても主に下記の4種類に分けられます。
- アウターブランディング:顧客、一般的な消費者
- インナーブランディング:社内従業員に対して
- ストーリーブランディング:自社の歴史に関連している
- 採用ブランディング:人材採用を目的とする
コンテンツマーケティングは多くの場合、アウターブランディングを目的とするのが一般的です。しかしストーリーブランディングや採用ブランディングでも応用できます。
特によい人材を集めるのが簡単ではない現代において、自社の魅力を伝えるサイトを制作しているのもよくみられる事例です。
なぜブランディングが重要なのか
コンテンツマーケティングのみならず、何らかの方法でブランディングするメリットは下記の通りです。
- 他社と差別化できる
- 価格競争に巻き込まれなくなる
- 従業員のモチベーションがあがる
他社と差別化できる
いわゆる一般的な商品の枠とは異なる分類として扱われるため、企業側からアプローチしなくても一般消費者が他の会社と比較をした際に自然に選んでもらえます。
例えば下記のように考えている方を身の回りで見たことがあるという方もいるのではないでしょうか。
- パソコンやスマートフォンはApple製品しか購入しない
- 自動車は天下のトヨタから購入する
- コンビニに行く際は基本的にセブンイレブンを利用する
- 服はいつもユニクロで揃えている
いずれもブランディングにより固定ファンがついているケースです。
価格競争を避けられる
他社との差別化につながる点ですが、ユーザーが印象から選んでくれるので他社との価格競争に巻き込まれなくなります。
本当は利益が厳しいので値段を下げたくないけれど、他社に合わせたために結果として設備投資や人件費を下げざるを得ないといったケースもあるでしょう。差別化できれば値下げをしなくてもユーザーに選んでもらえるため、利益率が高くなります。
従業員のモチベーションがあがる
ブランディングによるイメージは従業員のモチベーションも上げてくれるのです。大手の従業員は「大企業で働いている」と満足感が大きくなるのは多くの人が分かると思います。
ブランディングが成功していると、同様に「最近話題のあの企業で働いている」と大手で働くように仕事に対しての誇りをもってくれるのです。
ブランディングとコンテンツマーケティングの相性
コンテンツマーケティングはブランディング活動と非常に相性がよいといえます。具体的には下記の理由があげられます。
- 企業、商品の価値を自由に掲載できる
- 専門家としてのイメージを与えられる
- 長期的な広告費を削減できる
- 拡散しやすい
- 潜在顧客をつくりやすい
企業、商品の価値を自由に掲載できる
コンテンツマーケティングは、ブログ型のWebサイトといったオウンドメディアで展開するのが主流です。オウンドメディアなら記事広告とは異なり文字数やページの制限がありません。
会社のストーリーを伝える場合、多くの悩みを解決するためにQA方式にするなど、ブランディング内容に合わせて自由に戦略を立てられます。
専門家としてのイメージを与えられる
専門分野に特化したサイトを制作できるため、専門性が高いイメージを見ているターゲットに与えられます。
記事広告やバナーではあくまでコンテンツの一部でしかありません。しかし「〇〇のジャンルについて検索すると必ずでてくる専門Webサイト」となれば見ている側の自社に対する信頼性を高めることが可能です。
長期的な広告費を削減できる
コンテンツマーケティングによるブランディングは、長期的に考えると広告費にも影響します。
ブランディングは一度やって終わるものではなく、常に取り組みなければいけない活動です。自社や自社商材のイメージが浸透するまで、そして定着したあとも継続的に顧客とコミュニケーションを取ることが必要です。そのコミュニケーションの手段がテレビ広告や新聞広告であれば、費用がかかってしまいます。
一方、コンテンツマーケティングはWebサイトさえあれば簡単に始められます。また、一度作ったコンテンツは一定の期間が経過しても消えることはなく、半永久的に自社の「資産」として残ります。
自社メディアが成功すれば、コンテンツマーケティング以外に大掛かりな広告を継続的にする必要はありません。このように、コンテンツマーケティングを活かしたブランディング戦略はマーケティング活動の費用対効果の改善にも繋がります。
拡散しやすい
WebサイトはURLを貼るだけで、公開非公開問わず他の人におすすめしやすいのが特徴です。TwitterのリツイートやLINEでのチャットなど、興味をもつ人から同様の属性をもつ人へ伝わりやすくなります。
特にTwitterは下記の流れがあります。
- クラスタで話題
- いいね、リツイートの増加
- トレンドで一般的なユーザーにも知られる
なおコンテンツマーケティングはオウンドメディアだけではなく、拡散や検索を狙ってSNSを活用する事例もあります。
潜在顧客をつくりやすい
将来的に顧客になり得る潜在顧客をつくれます。潜在顧客とは下記をもつターゲットです。
- まだ解決したいとまで考えてないが悩みがある
- 一般的な相談をしたい
潜在顧客から見込み顧客にするには何らかのアクションを起こさせる必要があります。
オウンドメディアならサイト上に設置するCTAなどで見込み顧客へ育てる仕組みもつくれるのです。
コンテンツマーケティングの弱点
コンテンツマーケティングはブランドイメージを長期的を作り上げるのにぴったりな手法です。ただし、瞬発力に欠けているのは弱点となっています。コンテンツマーケティングの主なデメリットは下記の2つです。
- 成果がでるまでの期間が長い
- 長期的に継続しなければいけない
成果がでるまでの期間が長い
多くのコンテンツを公開してからGoogle検索で表示されるようになり、ターゲットに見てもらえるまでには期間がかかります。
瞬発的な宣伝効果を期待する場合は、他の方法を選ばなければいけません。
長期的に継続しなければいけない
すぐに検索結果に浸透するわけではないため、下記の場合は向いていない方法です。
- イベントなど特定期日までのブランディング
- 一時的な広告費しか捻出が難しい
ブランディングをコンテンツマーケティングで実現するには
ブランディングする際には下記の点を押さえておきましょう。
コンテンツマーケティング専門のチームを設置する
コンテンツマーケティングは始めやすいマーケティング施策ではありますが、「とりあえず始めてみる」という認識で行っているとブランディング効果は見込めません。
コンテンツマーケティングのメリットを得られるには、しっかりした計画やメディア設計と継続的な運用が必須です。通常業務にプラスアルファとして進めてもらうのでは設計に力を入れられずにサイトの軸がぶれてしまいます。ブランディングするには設計に注力できる環境を用意するために、専門的なチームを設置するのがおすすめです。
ノウハウやサイト制作のスキルをもったスタッフがいなければ、外注して任せることも視野に入れましょう。キャククルの運用元であるZenkenは、120以上の業種での実績をもとにコンテンツマーティング支援サービスを提供しています。興味のある方はこちらの資料をダウンロードし、サービスの詳細や成功事例などをご覧ください。
ペルソナの設定
マーケティングの基本であるペルソナ設定ですが、ブランディングする際には自社商品で解決できるニーズをもつターゲットを設定することが大切です。一般的なペルソナ設定では他社製品と競合してしまう可能性があります。
自社の価値や強みの明確化
自社や商品がもつ強みを明確にしておくことが大切で、ペルソナ設定にも役立つ点です。
ブランディングの軸とする自社の強みには、下記3つ条件があります。
- 自社で提供できるものでなければいけない
- 顧客が求めているものでなければいけない
- 競合が提供できていないものでなければいけない
上記3つの条件を満たす要素を満たす強みが見つかれば、コンテンツマーケティングが効果的に実行できます。
自社にはこれといった強みがないと思われるかもしれませんが、深掘りをすれば必ず自社が1番となっているニッチがあります。自社のみ提供できる価値をブランディングの軸として、コンテンツマーケティングを行いましょう。
テーマを定めた有益なコンテンツを発信
ブランディング効果をもたらすには、イメージに沿ったコンテンツを配信する必要があります。順序立てたシナリオ設計はコンテンツマーケティングによるブランディングが成功するポイントのひとつです。自社の強みとペルソナ設定を意識しつつ、ストーリー性のあるコンテンツを構築しましょう。
- ターゲットが悩みを抱えている状況
- 悩みを解決するためのアドバイス
- 自社商品への誘導
見込み顧客のニーズを自社製品に繋げる出発点は、検索キーワードです。ターゲットとしたいユーザーが検索しそうなキーワードを考え、関連するすべてのニーズを解消するコンテンツを用意しましょう。ニーズに近いキーワードや関連するキーワードを見つけ出すには、Googleのキーワードプランナーなどのツールの活用をおすすめします。
コンテンツマーケティングの成功事例
具体的にうまくいっている例を挙げるので、参考にしてください。
元々もつブランディングを別媒体でも成功させた「Oggi」
画像引用元:Oggi.jp公式サイト(https://oggi.jp/)
運営会社:株式会社 小学館
サービス名:Oggi.jp
Oggi.jpのターゲット
雑誌を読まない30代女性
Oggi.jpのポイント
- さまざまな条件でコーデを検索できる
- 検索でたどり着いた際に関連ページを開きやすい
- SNSを活用
元々30代女性向け雑誌としてブランディングできていたOggiですが、雑誌を見ていない層を取り込むためにOggi.jpのメディアを運用。Twitterなども活用し、「コーデを調べられるサービス」としてのブランディングに成功しています。2020年5月期には月間PV数2380万を記録したと発表されました。
リピートしてもらえるブランディングを意識した「土屋鞄」
画像引用元:土屋Library公式サイト(https://tsuchiya-kaban.jp/blogs/library)
運営会社:株式会社 土屋鞄製造所
サービス名:土屋Library
土屋Libraryのターゲット
土屋鞄のよさを理解してくれるリピーター
土屋Libraryのポイント
- 美術品を並べているような画像を展開
- 画像以外にもメルマガやキャッチコピーにもこだわる
- コンセプトを統一している
ブランディングする際に失敗しがちなのが、コンテンツマーケティングは統一されているものの他の宣伝方法が別の印象に仕上がってしまっているケースです。
土屋鞄は自社商品をリピートしてもらえるようにサイト内に読み物を制作し、かつメルマガや商品のデザイン、カタログなども統一性を持たせました。結果としてテイストが好きな方に響き、こだわりをもって作る土屋鞄を好きになってくれています。
コンテンツマーケティングがない時代の農業専門誌「The Furrow」
画像引用元:The Furrow公式サイト(https://www.deere.com/en/)
運営会社:Deere & Company
サービス名:The Furrow
The Furrowのターゲット
農家、農業関係者
The Furrowのポイント
- 農業の専門誌を発行
- 専門情報コンテンツを制作しブランディング
海外の事例でかつオウンドメディアサイトによるものではありませんが、コンテンツマーケティングの考え方の事例としてご紹介します。
Deere & Companyが提供する農業機器ブランドであるJohn Deereはブランディングのため、専門の農業雑誌を発行。専門的な雑誌を発行することで多くの農家や関連事業者から信頼を集め、世界でも有数の農業機器メーカーとなりました。
ジャンルにおけるブランディングのために専門家向けのサイトを提供するのは現代のコンテンツマーケティングでもよく使われる事例です。
ターゲットの悩みを解決するコンテンツマーケティング「watashi+」
画像引用元:watashi+公式サイト(https://www.shiseido.co.jp/wp/index.html)
運営会社:資生堂ジャパン株式会社
サービス名:watashi+
watashi+のターゲット
肌に悩みをもつ女性
watashi+のポイント
- サイト内にて選択式で自分の悩み対策を調べられる
- スキンケアの基本情報を掲載
- メイクやお店の情報も豊富
化粧品メーカーとしても大手の資生堂ですが、悩みをもつユーザーを自社のECサイトへ流入させるためのコンテンツを展開。過去に多くの化粧品を開発してきたメーカーだからこそ知っているノウハウを提供し、肌の悩みをもつ方の解決につなげています。
検索からの流入が多くあり、「肌のトラブルを検索した際に解決してくれるサイト」としての認識に成功している事例です。資生堂全体のサイトとしてのPVは月間約500万にのぼっています。
コンテンツマーケティング支援ならZenkenへ
ブランディングは実際にやってみると簡単ではなく、設計段階で綿密に考えていないとなかなかユーザーを集められません。
失敗する事例としては下記があります。
- ペルソナ設定が不充分
- 自社の強みが特定できていない
- サイト設計の軸がぶれている
サイトを設計するためのチーム設置やスタッフのスキル不足なども失敗の要因になります。自社でコンテンツマーケティングを展開しようと思っているけれどなかなか進まない、うまくいかないという方はZenkenにご相談ください。120以上の業種の企業を支援してきた経験をもとに、貴社のコンテンツマーケティングによるブランディング戦略を支援いたします。