証券会社の差別化戦略で意識したいポイント
最終更新日:2021年04月27日
インターネットで株やFXが気軽に取引できるようになった今、証券会社と一般投資家との間にあった格差は劇的になくなっていきました。自主的に情報収集を行い、証券会社を自由に選べるようになったことで、顧客主体のマーケットになったのです。
証券会社が他社との差別化を図り、個人や一般投資家に選ばれるようになるにはどのような戦略を練っていけば良いのでしょうか。証券会社が向き合う課題を考察しながら、意識すべき点を考えていきます。
証券会社の差別化ポイント
オンライン取引の浸透によって、株式売買やFX取引の取引量自体は増加しました。しかし、株式売買代金で見るとここ15年近くで数十兆円の増加と、市場規模が大きく変化しているわけではありません。
これは、日本人が個人資産を管理する手段としてほとんど「貯蓄」に偏っているからとされています。実際に日本の個人金融資産の半分は貯蓄です。
この現実を踏まえ、証券会社は「ただ貯蓄する」よりも豊かに暮らすための方法として資産運用を提案し、「資産運用の魅力」を顧客に伝えながら、いかにサポートできるかが求められるでしょう。
1人ひとりの投資に対する意識を変え、すそ野を広げることが新たな顧客層の拡大につながっていきます。
高齢社会への対応
証券会社の対個人収益の多くは、60代以上のベビーブーマー世代といわれています。高齢社会が進展するなかで、対面チャネルでの顧客層は高齢者の割合がますます高まっていくでしょう。対面販売では、高齢者のニーズに合わせた対応ができるかが鍵となってきます。
また、ベビーブーマー世代から相続によって現在の30~50代に資産が受け継がれたとき、いかに柔軟な対応ができるかも大切です。
今後、資産を受け継いだ人を含め、顧客のほとんどが「デジタルに慣れた世代」へと変化します。証券会社には主体的に情報を収集して判断を行える人々に合わせ、価値を感じられるサービスが求められていくでしょう。
取引手数料を極小化する、オンラインでスムーズに取引まで誘導してくれるなど、多様な取引ニーズに応えるサービスを提供するための基盤を整えていく必要があります。
デジタル世代に向けた顧客支援
証券会社にとってこれからの主な顧客層となるデジタル世代は、サービスや取引会社の切り替えに対してあまり抵抗を持っていません。
ということは、他社が行っていない新しいサービスや洗練されたサービスを受けられる、手厚いサポートを受けられるなど、会社の取り組みに「独自の価値」を感じたとき、すぐにアクションを起こしてくれる=顧客になる可能性も秘めているのです。
「取引で儲ける」以外に価値を求める層に対し、どんなサービスを提供できるか、自社の考える顧客ニーズと「顧客が本当に求めていること」にズレがないか、今一度見直していく必要があります。
そして、見つけたニーズに合わせて柔軟に応えられるサービスや体制をつくっていくことが証券会社にとっての差別化の一歩につながります。
ゲーミフィケーションを活用したシミュレーション
「取引をしたことはないけど、資産運用に興味がある」という潜在的な顧客には、体験に対するニーズがあります。ゲーミフィケーションを活用して資産運用をシミュレーションできるコンテンツで取引のニーズを喚起できるでしょう。
非対面でのコンサルティングサービス
オンラインによる取引が普及し、顧客の資産状況や取引履歴を簡単に確認できるようになりました。そのデータをもとに、専門家とのテレビ会議で質の高いコンサルティングサービスを提供するサービスも人気です。「プロのアドバイスを聞くなら○○証券」「○○証券会社なら非対面ですぐに相談できる」という強みがあると、差別化を図りやすくなります。
証券会社としてのバリュープロポジションとは
バリュープロポジションとは、顧客にはどんなニーズがあるか、どんなニーズを持つユーザーをターゲットにするか、自社だけが提供できていて、他社が提供できていない「強み=価値」は何かを明確にすることです。バリュープロポジションの追求によって競合他社との差別化ポイントが具体化し、効率的な集客戦略を立てやすくなります。
まずはユーザーニーズや競合を徹底的に分析して、「自社ならではの強み=バリュープロポジション」を明確にしましょう。
バリュープロポジションを軸にしたマーケティング戦略を実施することで「〇〇といえば△△証券」という差別化を実現できるようになります。
証券会社が差別化戦略で意識したいポイントまとめ
差別化で重要なのは、ただ「他社がやっていない」ことをするのではなく、ユーザーニーズに応えた上で「他社では提供できない価値」を提供することです。
そして、その強みをユーザーに分かりやすく伝えることで自社のブランディングが確立し、差別化につながります。「なぜ多くの競合ではなく、自社を選ぶべきなのか」その理由をしっかり説明できるようにしましょう。
ポジショニングメディアによる差別化戦略も検討を
自社の差別化ポイントを明確化する「バリュープロポジション」の考え方に沿った施策として「ポジショニングメディア」があります。市場での「勝てる立ち位置」からユーザーにアプローチできるため、強みや特徴に魅力を感じている、購買意欲の高いユーザーを集められるマーケティング戦略です。
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