【3分で理解】ファイブフォース分析でユニクロの戦略に触れる
最終更新日:2022年11月11日
そもそもファイブフォース(5F)分析とは?
ファイブフォース分析は、経営環境を取り巻く5つ(five)の要因(force)を分析して、戦略を練るために用いられるメソッドです。5つの要因とはどのようなものなのか、詳しくみてみましょう。
ファイブフォース(5F)とは?
ファイブフォース分析は、業界の収益性や魅力度を、5つの要因から分析するというものです。「業界内の競合」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」が5つの要因とされています。ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授が提唱した理論です。
ファイブフォース分析の目的とは?
ファイブフォース分析の目的は、ビジネスにおける外部環境からの脅威や影響を分析することで、より多くの利益につなげるかを考察することです。
5つの要因に分けた分析は、明快で課題を浮き出しやすいのが特徴で、多くの企業の経営戦略にも取り入れられています。
ユニクロをファイブフォース分析してみると…
5つの要因から経営環境をとらえるファイブフォース分析を使った、ユニクロの分析事例をみてみましょう。
ユニクロにおける「業界内の競合」とは?
ユニクロにおける「業界内の競合」として挙げられるのは、しまむらや無印良品などとされています。低価格で高品質、世代を問わないシンプルなデザインが好まれる傾向にある近年、価格ではしまむら、品質とシンプルデザインでは無印良品が追随しているようです。
また、以前ほどの勢いはありませんが、海外版ユニクロともいえる、GAPやZARAなどの海外ファストファッションブランドも、ユニクロの競合といえるでしょう。
ユニクロを取り巻く「新規参入の脅威」とは?
ユニクロにおける「新規参入の脅威」は、EC業界の著しい成長に伴って普及したインターネット通販会社(ZOZO、amazonなど)で、アパレル業界に限ったものではありません。
また、googleをはじめとした、ビッグデータを所有するネット企業も、アパレル業界の「新規参入の脅威」に該当するのではないかといわれています。今後、こうしたネット企業のデータ活用による、衣類レンタルや月額制のアパレルサービスなど、販売形態の多様化がさらに進むと予想されているようです。
しかしながら、すでに大きく勢力を広げているユニクロと肩を並べるブランドが誕生するまでには、かなりの時間とコストが必要であることから、当面の間は、「新規参入の脅威」は、さほど感じられないといわれています。
ユニクロを取り巻く「代替品の脅威」とは?
ユニクロの「代替品の脅威」とされているのが、「新規参入の脅威」ともされている、インターネット通販会社、衣類レンタル、月額制のアパレルサービスなどです。
また、近年は女性を中心に、ミニマルを意識した暮らし方が注目されています。「少し高くても質の良いものを選んで長く愛用する」という考えにシフトする消費者も一定数いるようです。そのため、品質重視のアパレルメーカーが「代替品の脅威」として挙がってくるかもしれません。
ユニクロにおける「売り手の交渉力」
ユニクロにおける「売り手」とは、生地を卸す企業です。また、コラボレーション商品の場合は、デザイナーやクリエイターも売り手に該当します。
卸業者からすると、ユニクロは実店舗数が多いので、大きな収入源になります。また、デザイナーやクリエイターの場合は、ブランド力による宣伝効果が期待できるので、自分の仕事を世に発信する広告塔となります。このような構造から、ユニクロの「売り手の交渉力」は低めであるといえそうです。
ユニクロにおける「買い手の交渉力」
ユニクロにおける「買い手」とは、消費者です。ユニクロは「国民服」ともいわれることもあるほど、インナーからアウターまで、日常的にユニクロを利用している消費者も少なくありません。
しかし、ユニクロは国内のアパレルブランドの中で、価格・品質ともに、一番というポジションではありません。デザインも基本的にシンプルです。
そのため、消費者はユニクロにこだわらなくても、より低価格、より高品質、よりおしゃれなデザインのブランドを自由に選ぶことができるというわけです。つまり、ユニクロの「買い手の交渉力」は強いといえます。それでも、根強い人気があり、伸び悩むアパレル業界においても、売上を伸ばしているのは、ユニクロの優れた経営戦略があるからといえそうです。