大和ハウスの経営戦略のポイントや強みを解説
最終更新日:2024年05月28日
1955年、創業者の出身地である奈良県大和市にちなんでつけられた大和ハウス工業株式会社(以下ダイワハウス)は、日本ではじめてプレハブ住宅を売り出した総合住宅メーカー。
現在は大和ハウスグループとして、住宅・賃貸住宅事業や法人向けビル建築・マンション事業や流通店舗事業などを幅広く行なっています。
創業者の石橋信夫氏が亡くなる2003年には1兆5000億円だった売上高は、2020年3月期には過去最高の4兆3802億900万円を突破。これからも成長し続けようとしている企業です。
国内人口は減少を続け、業績が急激に悪化する例があるにもかかわらず、大和ハウスはなぜこれほどまでに成果を出し続けているのでしょうか。
ここでは、大和ハウスの経営戦略のポイントについて考察していきます。
大和ハウスの経営戦略のポイント
大和ハウスは、2055年の創業100周年には「売上高10兆円を達成する」という目標を掲げています。その実現に向け、戸建・賃貸住宅などの既存事業にとどまらず、新規事業の拡大に力を入れています。
物流施設開発に注力
ネットでの買い物が当たり前になり、日本全国でECに対応できる物流拠点が必要となりました。そんな時代の変化に合わせて事業展開を行なったのが大和ハウスです。
事業の源流だったプレハブや倉庫事業のノウハウを活かしながら、流通店舗事業部や建築事業部と連携して土地開発から着手。求められる場所に目的に合った施設を建築するというニーズに応え、施工例を増やしていきます。
大手ゼネコンなどの競合がひしめく建築業界で、「顧客に選ばれるためにはどうすればいいか」を考えて積極的に営業を行なったことが結果につながりました。
今や物流施設事業は総売上高の4分の1を占める主力事業となり、国内物流施設デベロッパーの最大手にまで成長を遂げています。
M&Aを積極化
人口が減少する国内の既存事業だけで成長を続けることは難しいとして、大和ハウスが着目したのが海外での住宅建設事業です。アメリカの総合不動産開発や戸建分譲事業などを手がける不動産会社を子会社化し、北米での事業拡大を目指しています。
また、戦前から海外進出をしていたゼネコン「株式会社フジタ」を買収。フジタの持つノウハウを活かしながら海外事業を強化しようとしています。大和ハウスは現在、17か国で事業を展開中。今後も拠点を増やしながら、建築だけでなく環境・エネルギー、医療介護など海外においてもさまざまな分野で経営資源を手に入れていくと見られています。
超高齢化社会に向けた取り組み
高齢化ニュータウンの再生
高度成長期にこぞって開発が進められた集合住宅地。かつて「ニュータウン」と呼ばれ、活気に満ちていた街も各地で高齢化が進んでいます。時代の流れに合わせ、大和ハウスは高齢化ニュータウンの再生にも取り組みはじめました。ニュータウン地区内にサービス付き高齢者住宅の建設を行うなど、街ぐるみで再開発を実施。住宅地の再開発による利益のほか、高齢者向け施設を建設し、その後の運営に関わることで収益をあげると見られています。
ロボット産業に出資
国内でのさらなる高齢化を視野に、大和ハウスが力を入れているのが医療・介護施設事業です。なかでもロボット産業に着目し、積極的に開発を支援しています。医療・介護向け補助装置や洗濯折りたたみロボットなど、将来的に
介護での人手不足を解消するとされるロボット産業の可能性を見込んでいます。
将来を予測した事業展開
大和ハウスは「ア・ス・フ・カ・ケ・ツ・ノ(明日、不可欠の)」というキーワードに沿って、これからの社会で必要とされる産業分野へ総合的に進出しています。
- ア「安心・安全」…耐震・耐久性を追求した住宅開発
- ス「スピード・ストック」…リフォーム事業・物流施設事業
- フ「福祉」…サービス付高齢者住宅・介護福祉用ロボット
- カ「環境」…メガソーラー事業、スマートシティ開発
- ケ「健康」…スポーツクラブ運営
- ツ「通信」…IOTや省エネに対応したスマートハウス
- ノ「農業」…植物工場システムの開発
時代の先を読みながら、暮らしに関わる幅広い事業にグループ全体で挑戦し続けています。これは、建築で培ってきた技術を通して「世の中に必要なものを届けたい」という創業以来の思いからきているとのこと。これからも大和ハウスはさまざまな分野で新たな価値を提供していくでしょう。
大和ハウスの経営戦略まとめ
建設・建築の枠を超えて幅広い分野で事業を展開しているように大和ハウスの経営の根幹には「世の中の人に喜んでもらいたい」「人々の役に立ちたい」という考えがあります。医療・介護分野に進出したのも、来る超高齢化社会において企業ができること、提供できる価値は何かを追求し続けているからと言えるでしょう。
新型コロナの影響を受けながら、入居者・オーナーの双方に対して賃料支払い猶予措置をとるなど、賃貸住宅事業でも「世の中のためになること」「人が喜ぶこと」に即していち早く対応。大和ハウスは経営環境が厳しい中でも、それを成長する機会ととらえて企業価値の向上を図っています。
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