ポッキーの広告・マーケティング戦略から学べること
最終更新日:2023年01月23日
この記事では、日本の菓子メーカー・江崎グリコが1966年(昭和41年)から発売しているチョコレート菓子「ポッキー」の広告戦略について解説しています。貴社の今後の広告戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。
また、事業計画の見直しや新商品・サービスの販売に向けてマーケティング戦略を検討される方へ、自社がどんな立ち位置でマーケティング戦略を立てるべきかが分かる「市場分析シート」も無料でご提供しています。ご興味のある方はこちらからダウンロードしてください。
1966年に江崎グリコ株式会社が生みだした「ポッキー」。発売から55年以上愛され続け、今や中国やインドネシアなど、アジア市場でも売り上げを伸ばし続けている大ヒット商品です。ポッキーが江崎グリコのチョコレート菓子の中で最も売れているのは、あるマーケティング戦略が成功したからとされています。
実は、ポッキーの売り上げは90年代後半から横ばい状態が続いていました。そこで、日常的に食べてもらえるようなプロモーション施策を実施。すると、5年間で50億円の売り上げアップに成功したのです。
国内のお菓子・チョコレートの市場規模が微増といわれる状況のなか、ポッキーが王者に返り咲いた秘密はどこにあるのでしょうか。
ポッキーの広告・マーケティング戦略のポイント
ポッキーのマーケティング戦略のポイントは「幅広い年代層のファンをつくる」です。
すでに世の中に浸透している商品ゆえに、広告では商品の認知度を高めるプロモーションには重きをおかず、商品の「記念日」をつくり、認識してもらう活動を続けました。あわせて、ポッキーを通して「日常生活で体験できる楽しさ」を提案。
商品に新しい付加価値を加えることによって、ファン層を増やすことに成功したのです。
記念日マーケティング
ポッキーの形状をイメージさせる数字の1を組み合わせた「11月11日」をポッキー&プリッツの日として制定し、世の中に広めてきた江崎グリコ。平成11年11月11日から20年以上、さまざまなプロモーション活動を続けてきました。
テレビCMをきっかけに、ショッピングセンターでの期間限定イベントなどを全国で実施。ポッキーのスローガンを「Share Happiness!」とし、『みんなでポッキーを食べると楽しい』というイメージを浸透させていきます。
はじめは単に「商品の記念日」だった11月11日は、「みんなでポッキーを楽しむ日」として消費者に捉えられるようになっていきました。
エンゲージメントマーケティング
記念日マーケティングは、実は成功する事例が少ないとされています。記念日を設定しただけではマーケティング成果は生まれません。消費者を巻き込んだイベントやコミュニケーションが起こる仕組みをつくることが大切です。
ここ数年、ポッキー(江崎グリコ)は、SNSメディアによる広告中心に顧客との接点を増やすイベントに注力しています。TwitterやTikTokで投稿を募集したり動画ダンスコンテストを開催したりと、ファンが参加しながら楽しめる企画を提案して記念日を盛り上げてきました。
これほどまでに「ポッキー&プリッツの日」が社会に浸透したのは、記念日の前後に「顧客=ファン」同士のコミュニケーションが起こる仕組みをつくり、進化させてきたからと言えるでしょう。
「みんなで盛り上がる」感覚が受け入れられたことによってエンゲージメントが高まり、幅広い世代が日常的に商品を手に取るようになりました。
コラボレーションマーケティングによる効果
ポッキーの売り上げ増のもうひとつの要因が、コラボレーションマーケティングによる相乗効果です。他の企業や他商品とのコラボレーションで、新しい価値を創出しています。
たとえばキリンビバレッジ「午後の紅茶」とのコラボレーションでは、合わせて食べると味わいの変化が楽しめるシリーズを開発。2つの商品をつなげるとパッケージが1枚の絵になる可愛い見た目もあわせ、女性を中心に人気となり大ヒットしました。
ほかにも熊本県のご当地キャラクター「くまもん」とコラボした数量限定パッケージでは、売り上げを計画当初の2倍にまで伸ばしました。他ブランドの持つ魅力を相互に活用しながら、さらに「期間限定」「数量限定」などのプレミアム感を演出することでブランド価値を高めています。
ポッキーの広告・マーケティング戦略まとめ
ポッキーの売り上げ増には、記念日前後に顧客とのコミュニケーション機会を増やすプロモーション戦略と、コラボレーションマーケティングによる効果が大きくかかわっていました。なかでも、ここ数年行われている「ポッキー&プリッツの日」イベントは、大きな成果を生みだしています。
さまざまなチャネルを通じた顧客とのコミュニケーションによって関係が深まると、顧客エンゲージメントが向上します。すると、会社や商品がより身近な存在になり、絆や共感でつながれるように。「ファン=顧客」自身が広告塔としてもアクションを起こしてくれるようになります。
下記の記事では、商品やサービスを認知させるだけでなく「成果」に繋がる広告戦略の具体的な方法や、その他の企業の事例を紹介しています。今後の広告戦略策定におけるアイディアが詰まっていますので、こちらも合わせてご覧ください。