化粧品の広告ガイドラインと広告表現の薬機法(薬事法)規制をチェック!

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化粧品の広告規制で判断が難しい薬機法(薬事法)と適正広告ガイドライン

化粧品の広告規制で判断が難しい薬機法(薬事法)と適正広告ガイドライン
化粧品の広告には守らねばならない法令やガイドラインがいくつもあります。代表的なものは、

  1. 薬機法(薬事法)
  2. 景表法(景品表示法)
  3. 化粧品等の適正広告ガイドライン

です。それぞれ菅勝や対象が異なりますのでのちほど表にまとめて整理しますが、まずはおさらいの意味で、ざっと概要を整理しておきましょう。

薬機法(旧・薬事法)

正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、2014年11月にそれまでの「薬事法」が改正され名称変更とともに施行されました。

薬機法は、医薬品、医療機器等の品質と有効性および安全性を確保するために、製造・表示・販売・流通・広告などについて細かく定めた法律です。

対象となるのは、化粧品、医薬品、医薬部外品、医療機器、再生医療機器等で、トクホや健康食品(いわゆる健康食品)も含みます。化粧品の場合、医薬品や医薬部外品との境界線を明確にし、消費者に健康被害などが生じないように表示内容を規制しています。

景表法(景品表示法)

景品表示法とは、消費者に著しく誤解を与えるような広告表現や表示、過大な景品付き販売によって、消費者が不利益をこうむらないための法律。化粧品のみならず、事業者が提供するあらゆる表示に適用されます。

実際のものよりも著しく優良であると思い込ませる優良誤認(例:有効成分の種類数を偽るなど)と、競争業者のものよりも得である、有利であるかのように誘導する示す有利誤認(例:他社で既にもちいられている技術を「世界で初めての技術」とうたうなど)を阻止するための法律です。

さらに、体験談や効果効能をねつ造することなどが規制に抵触する可能性があります。

薬機法と景表法の違いを比較

わかっているつもりでも誤解が多いのが、この2つの法令の管轄や対象です。以下のような違いがありますので、確認しておきましょう。

薬機法と景表法の違い 薬機法 景表法
管轄 厚生労働省
都道府県
消費者庁
公正取引委員会
都道府県
対象 化粧品、医薬品、医薬部外品、医療機器、再生医療機器等 製造・販売・広告など事業者が提供するすべての表示
概要 医薬品等(化粧品・健康食品を含む)の誇大広告や承認範囲外の効果効能表示の禁止 商品やサービスの品質、価値、価格等の不当表示を禁止
目的 医薬品等の品質、有効性、安全性の確保と医薬品様表示の排除 消費者の不利益につながる誘導性をけん制、自主的な商品・サービス選択機会の確保
規制対象 関わる人すべて 当該商品・サービスを供給する事業者すべて
罰則 行政指導、課徴金支払い命令、刑事処罰 改善措置命令、課徴金支払い命令

薬機法の規制対象には、ブロガーやインフルエンサー、メディア、広告代理店なども含まれますので、販売元やメーカーが法令に違反していない場合でも、処罰の対象となり得るので、注意が必要です。

化粧品等の適正広告ガイドライン

化粧品等の適正広告ガイドライン
厚労省から通知されている「医薬品適正広告基準」をベースに、日本化粧品工業連合会(JCIA)が策定している自主規制がこの「化粧品等の適正広告ガイドライン」です。

2020年に改訂版を発刊され、あいまいだった規制の具体化や文言の変更、新規で追加された規制などが盛り込まれています。

どこがどう変わったのかは適正広告ガイドラインの「2020 年版・改正新旧対照表」をご確認いただきたいのですが、おさえておきたい内容をいくつかピックアップしておきました。

適正広告ガイドライン2020年版の変更点

適正広告ガイドラインの変更事例と新規に追加された規約を引用しておきますので、参考になさってください。

(1)本ガイドラインでは、以下の3要件を満たすものを対象とする。ただし、形式ではなく、消費者がこれらの3要件を満たすと認識できれば広告に該当する。
・顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
・特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
・一般人が認知できる状態であること
[参照:第4章 p77 平成10年9月29日 医薬監第148号 厚生省医薬安全局監視指導課長通知]
引用元:化粧品等の適正広告ガイドライン 2020 年版・改正新旧対照表行政指導、課徴金支払い命令、刑事処罰(https://www.jcia.org/user/common/download/business/advertising/JCIA20200615_ADguide_comparison_table.pdf

① 配合成分の特記表示は「配合目的」を必ず明記すること。
② 特記表示に明記する配合目的は、化粧品の効能効果及び製剤技術に基づく表現とし、事実に反しない限り認められる。
③ 「抗酸化成分/肌あれ改善成分/美肌成分/美容成分/エイジングケア成分」等の表現は、当該成分が有効成分であるかのような誤解を与えたり、効能効果の逸脱等となるため、配合目的として認められない。
【関連法令等】 「化粧品における特定成分の特記表示について」(昭和60年9月26日薬監第53号厚生省薬務局監視課長通知)
〔関連資料〕 「化粧品における特記表示に関するルールの再確認のお願い」(平成22年11月29日 日本化粧品工業連合会 広告宣伝委員会委員長)
引用元:化粧品等の適正広告ガイドライン 2020 年版・改正新旧対照表(https://www.jcia.org/user/common/download/business/advertising/JCIA20200615_ADguide_comparison_table.pdf

なお、美容ライター、美容家(専門家、研究家等を謳う著名人を包含する)が、広告(推薦)する行為について直ちに違反とする趣旨ではないが、化粧品等の効能効果に関し、世人の認識に相当の影響を与えると考えられる場合には本項に抵触するおそれがあるので注意すること。
引用元:化粧品等の適正広告ガイドライン 2020 年版・改正新旧対照表(https://www.jcia.org/user/common/download/business/advertising/JCIA20200615_ADguide_comparison_table.pdf

化粧品等における「実感」表現については、キャッチコピー等の強調表示は行わないものとする。化粧品等における効能効果の保証的な「実感」表現、及び安全性に関する「実感」表現は認められない。
引用元:化粧品等の適正広告ガイドライン 2020 年版・改正新旧対照表(https://www.jcia.org/user/common/download/business/advertising/JCIA20200615_ADguide_comparison_table.pdf

などが挙げられます。改定前の条文と比較すると、より万人が正しく理解できるよう具体的な表現になっているように感じました。

詳細を確認したい場合は、下記よりご確認ください(外部リンクに飛びます)。
◆化粧品等の適正広告ガイドライン 2020 年版・改正新旧対照表

化粧品の広告表現になぜ薬機法や景表法の規制が必要なのか

化粧品の広告表現になぜ薬機法や景表法の規制が必要なのか
広告を規制する法令やガイドラインにこれはダメ、あれはNGと細かく指定され思わずうんざり、という広告担当者が多いことと思います。
「これじゃ、書けることがないじゃないか!」と、怒りたくなる気持ちもわかります。

ただ、法令は消費者を守る「消費者保護法」であり、効果のないものを医薬品様の表現で誘導したり、誇大広告で高額な商品やサービスを購入してしまう消費者被害をなくすために設けられているものです。

医薬品や医薬部外品など特定の効果効能が認められているモノ以外、「身体に何らかの変化が生じる」と消費者に想起させる広告や表示は原則できません。

このように厳しい制限がある中での広告の制作やパッケージの表示に関しては、社内にエキスパートがいない限り大変難しいものです。したがって、薬機法に特化したコンサル会社や広告代理店、マーケティングの専門家などに外部委託するケースがほとんどです。

弊社にも化粧品関連の実績が多数ございますので、法規対応含め広告制作のご相談をお寄せいただければと思います。下記ボタンより問い合わせフォームに飛ぶことができます。

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化粧品の広告表現に不安を感じるなら専門業者を活用

薬機法は、化粧品や健康食品、医療機器などの販売や広告に大きな影響を及ぼす重要な法令です。さきほども薬機法と景表法の違いの項目で説明したように、行政指導や課徴金支払い命令だけでなく、刑事処罰を受ける可能性もあります。

2020年10月には、がん予防に効くというサプリの販売で医師とその共犯者たちを逮捕。また同11月には、コロナ対策をうたったう洗口液を販売したとして、医師と共犯者が逮捕されています

さらに2020年7月には、薬機法違反で記事広告を制作した広告代理店の担当者までもが逮捕されました。事業にかかわるすべての人が処罰の対象になるとされてはいましたが、広告代理店担当者の逮捕は広告業界に携わる人間として、襟を正すべき事件でした。

こうしたリスクをなくすために、薬事法ドットコムや薬事法広告研究所のような専門会社に指導や添削、コンサルなどを依頼する、という手段もあります。

薬機法や景表法に抵触しない広告表現を実現するためには一定のコストがかかることを認識して、消費者目線のプロモーションを展開していくよう心がけてください。

健康食品と薬機法の記事もさんこうになるかと思いますので、興味があるかたはお読みいただければと思います。


化粧品の広告表現で違反となる事例

化粧品の広告表現で違反となる事例
最後に、薬機法に抵触する化粧品の広告表現をいくつか紹介しておきます。大変大雑把な言い方になりますが「身体(顔や首、デコルテ、見た目年齢)に変化が起こる」ことを暗示する表現は、すべてNGと考えてください。

下記一覧の多くは基礎化粧品で、医薬品のような変化や効果効能をイメージさせる表現が薬機法違反にあたります。

違反する表現 違反の理由
ドクター〇〇〇(製品名) 化粧水の販売名、愛称で「ドクター」は使用できない
こじわの気になる部分に 化粧品において「こじわ」を言及できるのは、メークアップ効果により「目立たなくする」旨が明らかな場合のみ
保湿力を高め、細胞を活性化します 化粧品の効能効果を逸脱しているためNG
真皮をなすコラーゲンやエラスチンを理想の28 日周期で再生 化粧品として表現できる効能効果の範囲をこえている
皮脂の酸化を防いで肌を明るく保つ、内側から明るく、さびない 化粧品においては皮膚の酸化を防ぐ作用は効能効果の逸脱にあたる
疲れのサインをやわらげる。バリア機能と代謝のリズムを整える 化化粧品として表現できる効能効果の範囲をこえている
植物エキスが髪を生き生きロングにしてくれる シャンプーで髪の毛を伸ばす旨の表現は効能効果の逸脱にあたる
肌のリフト力に弾みをつける、肌のバネに弾みをつけ、上へと引き上げるリフト力 バストアップを暗示しており化粧品の効能効果を逸脱する
実際には含有されてない「トリフェロール」の表示を行った 薬事法で定められた表示がない
肌本来の機能を高めるために・ 美白や加齢のトータルケア 化粧品として表現できる効能効果の範囲をこえている

参照元:薬事法ドットコム(https://www.yakujihou.com/content/4-C.html)

メーカーや販社だけでなく、法令に違反していることを知りながら掲載したメディア側も責任を問われますので、注意が必要です。

とくにインタネット上の広告表現はパトロールや通報のリスクもあります。ギリギリの表現だなと感じているのであれば、この機会に見直してみることをおすすめします。

広告代理店制作のアフィリエイト広告で問題発覚も

化粧品の広告は広告代理店や化粧品プロモーション会社に外部委託するケースがほとんどですが、アフィリエイト広告でなにか問題が発覚したときは、メーカーも監督責任が問われますので、注意が必要です。

2021年5月に発覚した化粧品の不適切広告では、メーカーが外部委託していた広告代理店が、実際には存在しない可能性のあるコスメユーザーの体験談を掲載。アフィリエイト広告として運用していました。

また同じくアフィリエイト広告に使用していたランキングの根拠となるアンケートにも、不確実性があったといいます。事実ではない虚偽の広告だったのかは判明していませんが、制作会社や広告代理店が実行者であったとしても、監督責任は「発注した側」にあります。

アフィリエイターは成功報酬制であるため、景表法における誇大広告につながりやすいリスクが強いとされています。

2021年3月3日に行なわれた伊藤消費者庁長官の記者会見では、下記のようにアフィリエイト広告の問題点を指摘しています(上記の案件とは別の事案)。

アフィリエイト広告については、その特性として、広告の対象である商品等の販売者本人ではなく、アフィリエイターが広告を作成・掲載していることから、販売者による広告内容の審査が行き届かない可能性、また、商品の購入等があった場合にのみ報酬が発生するという仕組みであることから、アフィリエイターが報酬目当てに虚偽・誇大な広告を作成するインセンティブが働きやすい可能性があり、消費者に誤認を与えるような広告表示を抑止する観点から、消費者庁としても関心を持っているところです。引用元:消費者庁伊藤消費者庁長官記者会見要旨(https://www.caa.go.jp/notice/statement/ito/023351.html

なお現時点では、法令自体がアフィリエイターそのものを処分するという立て付けにはなっていないため、あくまで制作や運用を担った会社やメーカーが行政指導などの罰則を受けることになります。

複数の外部委託会社と契約している場合は、誇大広告や虚偽の広告がアフィリエイト広告などに使われていないか、関係各所に確認しておくことをおすすめします。

化粧品の薬機法(薬事法)広告表現の規制とガイドラインまとめ

化粧品の薬機法(薬事法)広告表現の規制とガイドラインまとめ
自治体の保健局薬務課に広告表現について質問しても、堂々巡りになることも少なくありません。またGoogleやYahoo!の広告ガイドラインも、審査が非常に厳しくなってきています。

本当に効果がある画期的な商品なのになにも書けない、消費者に知ってもらえないことが残念で仕方がない、という声を何度も聞いてきました。それでも、悪徳事業者から消費者を守るための法令は、やはり守るしか手はないのです。

ホームページやリスティングのLPも広告ですので、再度チェックしておきましょう。弊社でもホームページのリニューアルやLP制作も承っております。下記ボタンよりフォームに飛べますので、ご要望を明記の上お送りください。

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