自動車のポジショニングマップ事例。軸の決め方の参考に!
最終更新日:2021年12月17日
ここでは、自動車のポジショニングマップ事例を紹介しています。貴社のマーケティング戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。
なお、自社が市場において取るべきをポジションを見つけるには、自社の強みと顧客のニーズに加え、競合との違いの洗い出しが必須です。この記事では自社と競合の分析を通じてマーケティングを成果に繋げるためのワークシートも提供しています。ポジショニングマップに加えてぜひ活用してみてください。
ポジショニングマップの軸の決め方には、いろいろな考え方がある。
ポジショニングマップとは、市場での自社ブランドの立ち位置を確認できるツールです。他社に代替不可能な自社のポジション探しだし、そこを掘り下げて&増強していくことで持続的な競争優位を確立していくために使用します。
ポジショニングマップを作成する際、患者さんのKBF(購買決定要因)を抽出し、KBFを競合のサービスと比較。そして、最後に軸を決めます。
実は、最後のポジショニングマップの軸の選定法には以下のとおり、さまざまな考え方があります。
- 顧客のKBFをポジショニング軸に使う
- 自社が提供するサービスの価値をポジショニング軸に使う
- 顧客がメリットだと思えるポジショニング軸を使う
- 自社の強みを活かせるポジショニング軸を使う
では、それぞれについて詳しく解説しています。
ポジショニングマップの作成方法と軸の決め方について解説
顧客のKBFをポジショニング軸に使う
顧客のKBFとは異なる軸を使用し、ポジショニングマップを制作してしまうことがあります。しかし、これは間違いです。ポジショニング軸は、KBFでなければなりません。
例えば、パソコンを購入する際、消費電力低下を重視する人が増加傾向にあります。以前はCPU速度を気にする顧客も多く存在していましたが、現在ではCPU高速化が進み、KBFではなくなっています。
それにも関わらず、CPU速度をポジショニング軸に使用すれば、上手くいきません。誤った軸を使用しないためにも、しっかりとKBFについて考えていく必要があります。
自社が提供するサービスの価値をポジショニング軸に使う
自社で提供している製品やサービスに付随する価値をポジショニング軸に使用し、ポジショニングマップを制作すると良いでしょう。顧客に提供することができる価値には、さまざまなものがあります。その中から、競合他社にはない自社の強みとなる価値を軸として設定します。
例えば、トヨタが提供している価値は、「お手頃価格な自動車の提供」です。また、BMWが提供する価値の一つは「上質な乗り心地」です。
自社で提供している製品やサービスの価値を軸に取る場合、まずは提供している価値をリストアップし、魅力的な価値を絞り込みます。そして最後に、競合より魅力的だと思ってもらえる価値を軸に設定してください。
顧客がメリットだと思えるポジショニング軸を使う
顧客へのメリットに基づいたポジショニング軸を使う、という考え方があります。例えば、
- 価格が安い
- デザインが良さ
- 安全性能の良さ
- 乗り心地
といった観点からポジショニング軸を決定していきます。上記はすべて、顧客が感じることのできるメリットです。上記以外にもたくさんありますので、ターゲットとなる顧客がどのような観点でサービスを選んでいるのかをしっかりと分析しましょう。
自社の強みを活かせるポジショニング軸を使う
自社の強みをポジショニング軸に使用する必要があります。なぜなら、非常に有効なポジショニング軸を探せたとしても、自社がそこでナンバーワンになれないのなら、ポジションを獲得することはできないからです。
また、例え時間がかかってしまっても、ナンバーワンを獲得できそうなポジショニング軸も有効です。逆に近い将来、すぐにナンバーワンを勝ち取れるポジショニング軸は、競合他社もすぐナンバーワンの立ち位置にたどり着けてしまう恐れがあるため、あまりおすすめではありません。
自動車業界のポジショニングマップ作成事例
(下記ポジションマップについての内容は、あくまでポジショニングマップを作る際の例を示しているだけのもので、取り上げている企業・団体・商品・サービスなどについて、事実や厳密な調査に即して作られているわけではなく、またその価値、意味について何らかの当社の主張や意図があるわけでもございません。閲覧の際にはその点にご留意いただければ幸いです。)
ポジショニングマップを作ることで、競合他社と自社のサービスとを比較し、同時に自社のサービスを客観的に見ることが可能です。
ポジショニングマップを作成する際は、縦と横の軸を選定し、各軸に高価・安価、女性利用者が多い・男性利用者が多いといった要素を加えます。そうして完成したマップに、企業や商品を当てはめていきます。ポイントは、さまざまなポジショニング軸を組み合わせて、納得がいくまでポジショニングマップを作っていくことです。
自動車業界のブランドポジショニングマップ作成事例①
参考サイト:オルタナティブ・ブログ「クルマ市場を眺めてみた。-消費者データから見るブランドポジション(7)」(https://blogs.itmedia.co.jp/keijix/2012/12/-7-_1.html)
こちらは、自動車業界のブランドポジショニングマップです。ポジショニング軸1を「平均年齢」、軸2を「性別」に設定。この2つの軸を用いてポジショニングマップを作成すると、左上が軽自動車、左下がミニバン、中央付近がコンパクトカー、右下がセダン(ハイブリッド)の領域になることが分かります。
平均年齢が低く、女性の利用者が多いエリアに軽自動車が、また、平均年齢が高く、男性利用者が多いエリアにセダンのプリウスを確認することができます。
また、女性利用者が多く、平均年齢が高いエリアが空白です。この空白のエリアこそがビジネスチャンスのあるエリア。ポジショニングマップを制作することで、競合と重複しない、空いているポジションを見つけ出すことができます。
自動車業界のブランドポジショニングマップ作成事例②
こちらは先ほどのポジショニングマップの軸を変えて制作したものです。
参考サイト:オルタナティブ・ブログ「クルマ市場を眺めてみた。-消費者データから見るブランドポジション(7)」(https://blogs.itmedia.co.jp/keijix/2012/12/-7-_1.html)
ポジショニング軸1は上記と同じく「平均年齢」、軸2を「世帯年収」に変更しました。このポジショニングマップの左上はミニバン、左下は軽自動車、右上はセダン、右下はコンパクトカーにフルーピングすることができます。
自社は左下の軽自動車にグルーピングされることから、自社が意識すべき競合他社は、ムーブやワゴンRです。一方で、軸を挟んで対極にあるプリウスとは、明確に差別化できていることが分かります。
また、このポジショニングマップから若い世代の年収が低く、本来ミニバンを購入したい人たちが、ミニバンの代わりに軽自動車購入している可能性がある、といったことを推測することも可能です。
レクサスのポジショニングマップ作成事例
高級車ブランドとして知られるレクサスは、トヨタ自動車が一般車ブランドと差別化を図るために誕生しました。以下は、そんなレクサスの市場投入過程を考察することができるポジショニングマップです。
参考サイト:BRANDING LAB「【STP理論】で考えるレクサスのマーケティング戦略」(https://www.is-assoc.co.jp/brandinglab/lexus)
ポジショニング軸1を「伝統的」・「先進的」、軸2を「品質」に設定して作成しています。このポジショニングマップから、レクサスは競合がいない、高品質で、先進的という未分野にポジショニングを築き上げていることが分かります。
ポジショニングマップは、このような高級ブランドの考察をする際にも役立ちますし、どのような商品・サービスのマーケティングにも有効です。また、レクサスのように、空いているポジションを狙うことが重要。意識的に競合が取りづらいポジションを選択することで、自社の競争優位性を構築することができます。
センスが良い自動車ブランドに関するポジショニングマップ作成事例
gooリサーチによる、自動車に関する顧客満足度調査の結果に基づき作成したポジショニングマップをご紹介します。
(参考サイト:NTTコム リサーチ「第1回 自動車に関する1万人顧客満足度調査」(https://research.nttcoms.com/database/data/000668/)
センスが良いと思う自動車ブランドについて示されているポジショニングマップです。ポジショニング軸1を「性別」、軸2を「年齢」に設定して作成しています。
このポジショニングマップから、20代女性はダイハツやスバルが、20代男性はマツダやプジョー、40代男性はBMWやアウディ、50代男性はポルシェ、60代男性はメルスデスベンツがセンスの良い自動車ブランドであると評価していることが分かります。
消費者の声をポジショニングマップにし、製品をカテゴライズ、グルーピングして確認することで、今まで気づけなかった製品のイメージや良さなどの発見にもつながります。
財務データに基づくのポジショニングマップ作成事例
以下は平成29年度の自動車大手ブランドの財務テーダに基づいて作成したポジショニングマップです。
参考サイト:ことずば「自動車大手10社の3年間の財務データを元にポジショニング分析した結果見えてきたものは?」(https://infobrain.net/nikkei225-car-3-years-positioning/)
ポジショニング軸1を「収益力」、軸2を「効率性の高さ」と「自由に使えるキャッシュの多さ」に設定して作成したポジショニングマップです。
このポジショニングマップから、効率性が高く、収益力が高いのがスバルやスズキ、最も自由に使えるキャッシュが多い自動車ブランドはトヨタであることが分かります。
このポジショニングマップは、平成29年度のデータのみを使って制作していますが、他の年度のデータも使ってマップを作成することで、数年間に渡る各自動車ブランドの業績推移を確認することが可能です。その際は、ブランド毎にポジショニングマップを作る方が、分かりやすいでしょう。
ポジショニング戦略をベースとしたキャククル(Zenken)のWeb戦略
ここまで、自動車業界に関するポジショニングマップついて紹介しました。当社では、ポジショニング戦略をベースとしたWeb戦略をクライアント様にご提案しています。
上記では説明しきれませんでしたが、実際に中小企業様の戦略では、地域性が非常に重要な要素となります。
ですので実際には、地域によるセグメンテーションを行ったうえで、ポジショニングについて検討するという順番になります。
日本の企業構成は、中小企業が99%を占めています。その状況からすると、(中小企業は)多種多様な特徴があり、各社に合ったプロモーション戦略をしなければいけないと思います。
ポジショニングメディアとは
一方で、現在多くのWeb会社が行っている広告モデルは、ポータルサイトを作って「広告掲載しませんか?」というものが目立ちます。ポータルサイトの掲載も有効な手段だと思いますが、それだけでは、各々の中小企業が持つ独自の強みや魅力を、ユーザーに伝えきるのは難しいのが実情です。
また、そもそも自社の強みが何で、競合との差異はどこにあるのか、こういった自社分析や競合分析を充分にしないまま、プロモーション活動している企業も多いと思います。
そこで我々は、クライアントが市場でどのような立ち位置にいるのか明確にするために、ポジショニングメディア(仮名)の作成を推奨しております。ポジショニングメディアとは、
- 各企業の特徴を詳細にまとめ、
- 業界全体を見渡せる
まとめサイトのようなものです。
このメディアは、ランキングサイトのように、優劣をつけるものではないため、サイト自体の集客力はあまりありませんが、市場を俯瞰的に捉えるためのツールとして重宝いただいています。
まずは、自動車業界全体を俯瞰的に捉えられる状況を作り、その上で、自社がどうやって戦っていくか具体的な戦略を練る。この手順が重要です。
バリュープロポジションを生かした集客戦略
企業独自の特徴を示す、「USP(Unique Selling Proposition)」というマーケティング用語がありますが、それだけだといわゆる自己満足に終わるので、その先にある、企業独自の特徴と顧客のニーズを合致させる「バリュ―プロポジション」という考え方を基軸に、ターゲット顧客の選定を行っております。
バリュープロポジションとは、
- 顧客からニーズがあり
- 競合他社は提供していない
- 自社が提供することができる
価値のことです。
この情報過多の時代、闇雲に広告を打ってもユーザーの耳には届きません。市場での立ち位置を明確にし、戦うべきポジションを確立した上で、自社ブランディングを行う。この当たり前だが、とても重要なマーケティング戦略を実現しているのが、弊社の戦略的コンテンツマーケティングです。そしてそれを具体的なWeb施策として落とし込んだものが上で紹介しているポジショニングメディアです。
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