IT導入補助金でホームページを制作する方法やポイント
最終更新日:2024年04月19日
企業にとってホームぺージは単なる情報媒体ではなく、社会的信用にも関わる大切な存在です。しかし、質の高いホームページを制作したいなら、それなりの費用がかかります。特に資金繰りに悩んでいる中小企業の場合、IT導入補助金など使えるかどうか知りたいのではないでしょうか。
そこで今回は、IT導入補助金を使ってホームページを制作する流れやメリット、その他の補助金・助成金について解説していきます。
IT導入補助金でホームページ制作はできるか
まず結論から述べると、IT導入補助金を使ってホームページを制作することは可能です。ただし、利用するためには一定の申請要件をクリアしなければならないので、使える場合と使えない場合があります。
また、IT導入補助金は数ある制度のひとつに過ぎません。ホームページ制作に使える補助金・助成金は他にもたくさん存在するため、IT導入補助金が使えないからといって諦める必要はないのです。
IT導入補助金が使える場合と使えない場合についても言及するので、先にチェックしておきましょう。
IT導入補助金を使って制作できるホームページとは
IT導入補助金が使えるかどうかは、制作するホームページの内容によって決まります。単にホームページを制作するだけでは、IT導入補助金の申請要件を満たすことができません。
IT導入補助金を利用したいなら、ホームページに「ITツール」を導入する必要があります。このITツールも何でもOKというわけではなく、補助金対象に含まれるものでなくてはなりません。
一体どのようなITツールを導入すればいいのか、具体的な例も挙げて紹介していきます。
顧客管理機能
その名の通り、顧客情報を管理するためのITツールです。氏名・社名・所在地・メールアドレスなど、ホームページを通じて獲得した顧客情報をより効率的にまとめて、工数の負担を減らします。
カスタマーサポート機能
顧客とホームページ上で直接やり取りできるチャット機能や、問い合わせ獲得につながるフォーム機能などに該当するITツールです。
カート機能
ホームページをECサイトとして運営する場合、このITツールが必要不可欠です。Amazonの「カート」や楽天の「買い物かご」をイメージするとわかりやすいでしょう。
決済管理機能
Web上での取引が発生した際、決済管理を行うITツールです。上記のカート機能と同じく、ECサイト運営に欠かせません。
受注管理機能
こちらもECサイト運営に関するITツールです。ユーザーが商品やサービスを注文した際、受注データをまとめて取り込んだり、メール送信などの処理を一括で行ったりすることができます。
予約管理機能
ホームページ上で来店予約を受け付けたり、空席状況を管理したりできるITツールです。顧客は24時間いつでも予約できるようになるので、集客の促進につながります。
マーケティングオートメーション(MA)
顧客へのマーケティング活動を自動化して、集客効率やコンバージョン率を高められるITツールです。購買意欲が高まった顧客に対し、ホームページから自動的にアプローチするといったことができます。
申請要件は「動的」であること
ITツールの例をいくつか紹介しましたが、これらを含むホームページは「動的」です。動的なホームページとは、わかりやすく説明すれば「アクセス状況によって内容が変わるページ」を指します。
例えば、ECサイト型のホームページに訪れたユーザーは、商品やサービスを検索しようとしますが、検索結果はユーザーによって変動します。つまり、ユーザーに合わせて情報を表示したり、情報をリアルタイムで更新したりできるため、集客や販促の観点から見ても有用です。
一方、誰がいつアクセスしても同じ内容が表示されるページは「静的」です。静的なホームページは、上記で解説したようなメリットがないだけではなく、IT導入補助金の申請要件にも含まれません。どうしても静的なホームページを作りたい場合、他の補助金・助成金を検討しましょう。
IT導入補助金について
補助金・助成金について調べていると「IT導入補助金」というキーワード自体はよく見聞きしますが、その目的や分類まで詳しく知らないという方もいらっしゃるかと思います。
簡潔に説明すると「中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際、その経費の一部を国(経済産業省)が代わりに負担して、生産性向上やIT化推進を図る」という目的から作られた制度です。
大まかに分けると従来から設けられている通常枠、およびコロナウイルス問題にともない設けられた特別枠の2種類があります。さらに通常枠は「A類型」と「B類型」に、特別枠は「C類型-1」と「C類型-2」とそれぞれ細かく分類されるため、申請するにあたり注意が必要です。
補助率や上限金額について以下にまとめたので、こちらも合わせてご覧ください。
- A類型:補助率1/2、上限金額30万~150万円
- B類型:補助率1/2、上限金額150万~450万円
- C類型-1:補助率:2/3、上限金額30万~150万円または150万~450万円
- C類型-2:補助率:3/4、上限金額30万~300万円または300万~450万円
このように特別枠は通常枠に比べて、補助率や上限金額が拡充されています。詳しい概要は後の項目でも説明するため、まずは必要最低限の情報を押さえておきましょう。
ホームページ制作に使えるその他の補助金・助成金
IT導入補助金以外にも、ホームページ制作に使える補助金・助成金はあります。その一部を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
小規模事業者持続化補助金
- 提供元:経済産業省
- 補助率:2/3、コロナ特別対応型(B・C)は3/4
- 上限金額:50万円、コロナ特別対応型は100万円
非対面販売に向けたホームページ制作や広告掲載などの経費を補助して、小規模事業者の持続的発展を図ることを目的としています。
中小企業ホームページ作成費補助金
- 提供元:東京都中央区
- 補助率:一般枠は1/2、創業枠は2/3
- 上限金額:一般枠は5万円、創業枠は6万円
新たにホームページを新規開設する中小企業に対して、ホームページ作成ソフト購入費やドメイン取得費を補助します。すでにホームページがある場合、申請することはできません。
中小企業インターネット活用促進事業
- 提供元:長崎県
- 補助率:2/5
- 上限金額:10万円
県産品のインターネット通販を始める中小企業に対して、ECサイト機能がついたホームページの作成費用を補助します。維持管理費は含まれません。
IT導入補助金の概要
IT導入補助金について、さらに詳しい概要を解説していきます。対象者・対象事業・対象経費・申請方法など、事前にしっかり確認しておきましょう。
対象者
IT導入補助金は、全国の中小企業・小規模事業者などに対して交付されます。対象となる代表的な業種をまとめたので、こちらもご覧ください。
- 飲食業
- 宿泊業
- 卸売業
- 小売業
- 運輸業
- サービス業
- 製造業
- 建設業
- 医療法人
- 社会福祉法人
このように目ぼしい業種はほとんど含まれているので、大抵の企業は申請することができます。なお、IT事業者は対象者に含まれないため、あらかじめ注意が必要です。
対象事業
IT導入補助金の対象事業については、一般枠と特別枠でそれぞれ要件が異なります。
一般枠の場合、日本国内で行われる事業に対して交付されます。さらに、上記でも述べているように、業務効率化や集客へとつながる「ITツール」の導入も必須です。ITツールは「IT導入支援事業者」が登録したものでなければ認められませんが、基本的に登録済みのITツールを公式サイトで検索して選ぶことになるので、あまり心配する必要はないでしょう。
一方、コロナウイルス問題に関連する特別枠の場合、サプライチェーンの維持やテレワーク環境の導入、非対面型ビジネスモデルの推進にともなう事業に対して交付されます。
対象経費
IT導入補助金はソフトウェア(ITツール)の購入費用、およびソフトウェアの導入にともなうオプション・役務の費用に対して交付されます。特別枠ではハードウェア(パソコン・タブレットなど)のレンタル費用も対象経費に含まれるため、あらかじめ該当するかどうかチェックしておきたいところです。
なお、一般枠の場合、交付決定前に契約や支払いを行っても、その経費に対してIT導入補助金は交付されません。つまり、交付決定後にITツールを導入する必要があるので、順番を間違えないように注意しましょう。
一方、特別枠なら公募前・交付決定前に経費が発生していても、一定の要件を満たせば「遡及申請」することができます。
必要書類
IT導入補助金の申請には、以下の書類が必要となります。
【法人の場合】
- 履歴事項全部証明書(発行3ヶ月以内)
- 法人税の納税証明書(その1またはその2)
【個人事業主の場合】
- 本人確認書類(運転免許証や住民票など)
- 所得税の納税証明書(その1またはその2)
- 所得税確定申告書B(控え)
書類によって入手方法が異なるので、事前に確認したうえで準備を進めましょう。
IT導入補助金の申請までの流れ
IT導入補助金をもらうためにはどうすればいいのか、申請の流れを簡単にまとめました。
【手順1】IT導入補助金について理解する
公式サイトや公募要領などをしっかり確認して、まずはIT導入補助金への理解を深めましょう。
【手順2】IT導入事業者とITツールの選択
自社の事業規模や経営課題などを踏まえて、IT導入事業者とITツールを選びます。IT導入支援事業者から提案・説明を受けながら申請する形になるので、自社にとってそのITツールが本当に必要なのかしっかり見極めましょう。
また、申請にともない「gBizIDプライムアカウント」が必要となってきます。アカウントを持っていない場合、そちらも忘れずに取得しましょう。
【手順3】交付申請
導入するITツールが決まったら、IT導入支援事業者とともに交付申請の手続きを行います。自社だけで勝手に進めることはできないため、しっかりコミュニケーションを取ることが大切です。
【手順4】ITツール導入
IT導入補助金の交付が決定したら、発注・契約を済ませた後、実際にITツールを導入します。問題がなければ、支払いを行います。
【手順5】事業実績報告
ITツールの導入が完了したら、発注書や納品書といった証憑を添付したうえで、事業実績報告を行います。
【手順6】補助金交付
報告が終わるとIT導入補助金の交付金額が決まるので、それを確認したら申請を行います。
【手順7】事業実施効果報告
上記の手続きがすべて終わったら、事業実施効果報告を行います。こちらもIT導入支援事業者と協力して進める必要があるので、最後までしっかり対応しましょう。
※Zenkenではホームページ制作のご依頼に併せて、IT導入補助金の申請代行やサポートを行っています。補助金が使えるツールやマーケティング戦略の提案もできるので、手続きに不安のある方や申請する時間がないという方はぜひご相談ください。
IT導入補助金でホームページ制作するメリット
IT導入補助金でホームページを制作すると、以下のようなメリットを得ることができます。
コストを抑えられる
IT導入補助金は返済義務がないため、実質お金をもらえるようなものです。一からホームページを制作する場合、人件費や外部委託費などかかってきますが、補助金があればその分だけコストを抑えることができます。
ホームページの内容によっては数十万~数百万円ほどコストがかかるケースもあるため、制作したくてもできないという企業はぜひ活用したいところです。
有用なITツールを導入できる
IT導入補助金でホームページを制作する場合、ITツールの導入が必須です。しかし、登録されているITツールはどれも有用なので、集客や販促に役立てることができます。
「どんなITツールを導入したらいいのかわからない」という企業にとっても、専門家に相談できるきっかけとなるでしょう。
社会的信用が高まる
インターネットが普及している現代社会において、ホームページは企業にとっての「顔」と言えるものです。きちんと作り込まれたホームページがあれば、それだけで自社の社会的信用は高まります。
逆にホームページがない場合、いかに強力な商品やサービスを持っていても、ユーザーから「この企業は本当に大丈夫なのだろうか?」と思われるでしょう。
IT導入補助金についてのまとめ
ホームページ制作に使える補助金・助成金の中でも、IT導入補助金は上限金額が高いため、ページをしっかり作り込みたいという企業にはピッタリの制度です。ただ、使えない場合も考えられるので、他の選択肢も視野に入れながら検討したほうが、ホームページ制作はスムーズに進むでしょう。
Zenkenでは、ホームページ制作のご依頼と併せて、補助金・助成金の申請サポートや活用方法に関する相談も随時受け付けています。ホームページを制作したいけど予算がない、補助金の申請方法がよくわからないといったお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
※補助金を活用したホームページのリニューアル、その他の広告・マーケティング戦略への補助金活用も可能です。