ミスタードーナツのマーケティング戦略・経営戦略を分析
公開日:2023年02月14日
この記事では、世代問わず愛されているドーナツチェーン店「ミスタードーナツ」のマーケティング戦略について解説しています。
一時期は赤字経営まで落ち込み、その後収益改善に成功したミスタードーナツ。その背景には、社会の変化に柔軟に適応した経営体制がありました。
自社のマーケティング戦略を検討する際に、ぜひ参考にしてください。
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ミスタードーナツのマーケティング戦略とは?
ミスタードーナツは、掃除用品や掃除サービスのレンタルを行う「ダスキン」が運営するドーナツチェーン店です。アメリカで誕生したミスタードーナツですが、現在、日本ではダスキンが事業本部となっています。
そんなミスタードーナツは、1971年に大阪で一号店がオープンして以来、日本各地に店舗を展開してきました。しかし、世代を問わず愛されるミスタードーナツにも、収益が低下し、赤字経営に苦しんだ時期があったのです。
一時期は大量閉店する事態となったミスタードーナツは、どのように復活したのでしょうか。
退店による1店舗あたりの収益改善
先述の通り、ダスキンのフードグループは、一時期、赤字経営が続いていました。2015年3月期には2億円、2016年3月期は15億円、2017年3月期は7億円もの赤字となっています。
そこで、ダスキンは経営改善として「採算が取れない店舗の退店」を進めていきました。具体的には、2015年3月期に1316店あったミスタードーナツの店舗は、2022年3月期時点で979店舗まで減少しています。
結果として、2017年3月期には1店舗あたりの売上高が6,850万円でしたが、2022年3月期は9,490万円と、1.4倍まで売上を伸ばすことに成功しました。店舗数を縮小したことで1店舗あたりの売上を増加させ、収益を改善させることができたのです。
共同開発商品の販売
ミスタードーナツが収益改善の施策として、「共同開発商品の販売」も挙げられます。売上が改善され始めた2018年頃から、ミスタードーナツでは共同開発商品を取り入れるようになりました。
共同開発では、「有名シェフ監修」のように、商品の材料は店舗にあるものを使用して、対応できる範囲でシェフに監修してもらう形式が一般的です。しかし、ミスタードーナツでは、共同開発する会社が用意する材料やレシピを使用して、商品開発を行っています。
共同開発した商品は、「misd meets」という商品名で、これまでにピエール・エルメや祇園辻利など有名ブランドと共同開発を行い、様々なヒット商品を生み出しています。
ミスタードーナツの経営に学べること
ミスタードーナツのマーケティング戦略からは下記のようなことが学び取れます。
従来のやり方を見直す
ミスタードーナツは、これまで同じ様式の店舗を大量に展開し、商品も大量生産・大量販売でコストを下げる戦略をとってきました。しかし、急速な少子高齢化の進行やファミリー層の減少など、ここ10年で社会のあり方は大きく変わっています。
ミスタードーナツは、低迷した原因として「何年も前の販売スタイルをずっと変えてこなかった」ことを挙げています。そのため、現在では、小ロットでの生産や店舗の改装・閉店など、社会の変化に柔軟に適応するスタイルを取っています。
以前は問題がなかった経営体制でも、社会情勢や競合他社の動向といった外部要因の変化によって、体制の見直しが必要な場合があります。近年では、コロナ禍の影響など、変化に合わせて自社のスタイルを見直すことが重要です。
時代に適応した商品の提供
ミスタードーナツは、数十年前から変わらず販売されている「定番商品」が多数あります。この定番商品には根強いファンも多く、リピーターの獲得という点では、定番商品の存在は非常に重要です。
しかし、新たなーゲットとして若年層を取り入れようとする際には、ターゲットが「ミスタードーナツを利用したい」と思えるような、工夫が必要となります。
そこで、ミスタードーナツは「共同開発商品」という切り口からの集客に成功しています。時代に合った商品提供によって、ミスタードーナツは「選ばれて」いるのです。
会社概要
- 会社名:株式会社ダスキン
- 設立:1963年2月4日
- 所在地:大阪府吹田市豊津町1番33号
ミスタードーナツのマーケティング戦略まとめ
今回は、ミスタードーナツのマーケティング戦略について解説しました。ミスタードーナツは、「退店による1店舗あたりの収益改善」と「共同開発の提供」によって、低迷期から売上改善に成功しています。
そんなミスタードーナツのマーケティング戦略からは、従来のやり方に固執しない経営体制の大切さが学べます。
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