スタートアップのマーケティング戦略とは?ユニコーン企業12社の成功事例から学ぶ
最終更新日:2024年03月12日
設立10年以内・評価額10億ドル以上の未上場ベンチャー企業を指す「ユニコーン企業」。スタートアップ企業や起業準備中の方が目標にすることもありますが、「どうすれば起業後、数年で大きく成長できるのか」、正解のない問題に頭を悩ませる経営者が少なくありません。
ユニコーン企業は海外に多い印象ですが、日本にも大きく価値を上げているスタートアップ企業は多くあります。この記事では、日本にあるユニコーン企業とマーケティング戦略について解説します。
新しいビジネスモデルを検討している方、スタートアップ企業として戦略を考えている方は参考にしてください。
2022年国内スタートアップの投資動向
日本国内の2022年上半期におけるスタートアップの動向として、前年よりは減少したものの10億円以上の資金調達に成功した企業が複数あります。
スタートアップ企業に欠かせない出口戦略の面で見てみると、IPO達成企業は前年より減少しましたが、M&Aは増加しています。
スタートアップ企業が失敗する要因
スタートアップ企業においては、9割は5年以内に閉業しているのが現実です。頓挫してしまう主な理由には下記が挙げられます。
- 市場ニーズにビジネスモデルが沿っていない
- 資金不足
- 社員、スタッフ、技術の不足
細かい理由は他にもありますが、上記要因はスタートアップ企業という特性上、特に注意すべき点です。
スタートアップへの正しい理解が不可欠
そもそもスタートアップ企業とは何か、存在意義を認識しつつ成功事例を踏まえてマーケティング戦略を検討しなければいけません。まずスタートアップ企業とは何かを知っておき、投資家やユーザーに求められている点を考えて、ずれないようにしましょう。
スタートアップの定義
スタートアップに厳密な定義はありません。本来はアメリカにて「設立されたばかりの企業」を表す言葉でしたが、現代においては下記が条件とされるのが一般的です。
- イノベーション(変革)を起こすビジネスモデル
- 短期間で急成長する
- 出口戦略が決まっている
出口とはIPO上場で初期投資を回収するなど、大きく収益化できるゴールです。従来にはないビジネスモデルで銀行などから融資を受けにくいため、起業時に調達した資金は誰かから出資を受けているのがほとんどです。
投資者に利益を提供し自社収益を安定させるまでの道のりを考えなければいけません。
設立して間もない企業のみならず、歴史がある企業でも上記を満たすとスタートアップと呼びます。しかし考え方によって異なり、設立数年までの若い企業のみを表す場合もあります。
国も明確に年数などは定義していません。経済産業省のスタートアップ支援においても、7年以内を対象とした支援や新規開業後税務申告2期までなど条件はさまざまです。
スタートアップとベンチャーの違い
スタートアップ企業と混同しやすいのがベンチャー企業です。同様に捉えて考える方もいますが、一般的に使われている意味合いで考えると異なる部分があります。
スタートアップは改革を起こす企業なので、下記のどちらかに当てはまります。
- 新たな技術を活用する
- 今までにないビジネスモデルを展開する
一方ベンチャー企業は既存のビジネスモデルながらも歴史が浅い、比較的小規模の企業です。スタートアップ企業は新しいビジネスモデルという点もあり、近年ではIT関連などが多くみられます。
ユニコーン企業を目指すスタートアップ企業も珍しくない
ユニコーン企業の条件は以下の4つです。
- 設立10年以内
- 評価額が10億ドル以上(1ドル110円換算で1,100億円)
- 非上場
- テクノロジー関連の企業
これらはベンチャー企業に当てはまる条件なので、ベンチャーと異なるビジネスモデルであるスタートアップ企業は、本来ユニコーン企業には該当しません。
ただし、勢いのある比較的若い企業が評価額1000億円に達した際に、ビジネスモデルにかかわらずユニコーン企業と呼ぶ場合もあります。実際に、経済産業省でもユニコーン企業を創出するため、スタートアップ企業に必要な支援を調査しています。
歴史の浅いベンチャーが評価額10億ドルに達する状況というのは、急速に成長するスタートアップ企業と同じような状況です。ユニコーン企業とスタートアップ企業、どちらも急成長するのは同じなので、目標にしやすいひとつのゴールといえます。
国内スタートアップ評価額ランキング(ユニコーン同等企業12社)
スタートアップ企業を支援するフォースタートアップス株式会社がスタートアップ企業で評価額が高い企業のランキングを公開しています。対象がスタートアップ企業のため、上記で紹介する定義だけで考えるとユニコーン企業には該当しないかもしれません。
しかし、スタートアップ企業または起業予定の方がユニコーン企業のように短期間で評価額を成長させたいと考えている際にはとても参考になる事例です。
上位から12社を順番に紹介しますので、今後の戦略で迷っている方はぜひ方向性やビジネスモデルを参考にしてください。
順位 | 社名 | 事業内容 | 評価額(億円) |
---|---|---|---|
1位 | 株式会社Preferred Networks | 深層学習やロボティクスなどの先端技術を応用したソフトウェア・ハードウェア・ネットワーク技術の研究・開発・販売 | 3539 |
2位 | GVE株式会社 | 法定通貨のデジタル化プラットフォームを開発・運営 | 2245 |
3位 | スマートニュース株式会社 | スマートフォンアプリケーションの開発・運営、インターネットサービスの開発・運営 | 2004 |
4位 | 株式会社SmartHR | 労務管理ソフトの企画・開発・運営・販売 | 1732 |
5位 | 株式会社TRIPLE-1 | 暗号通貨マイニング向け半導体の設計や開発 | 1641 |
6位 | 株式会社スリーダムアライアンス | 次世代交通インフラの電動化に関連したサービスの展開 | 1522 |
7位 | 株式会社クリーンプラネット | 量子水素エネルギーの実用化開発 | 1457 |
8位 | Spiber株式会社 | 新世代バイオ素材開発 | 1457 |
9位 | 株式会社TBM | 環境配慮型の素材開発及び製品の製造、販売、資源循環を促進する事業等 | 1336 |
10位 | 株式会社Mobility Technologies | タクシー配車システムなど | 1244 |
11位 | 株式会社アストロスケールホールディングス | 衛星運用サポート | 1161 |
12位 | 株式会社HIROTSUバイオサイエンス | 生物診断研究 | 1042 |
参照元:STARTUP DB「国内スタートアップ評価額ランキング最新版(2022年10月時点)」(https://startup-db.com/magazine/category/research/valuation-ranking-202210)
1位 株式会社Preferred Networks
株式会社Preferred Networksの特徴
株式会社Preferred Networksが提供するのは、従来にない情報技術の深層学習。GAFA出身のエンジニアも在籍しており、技術革新を起こし日本を代表するAI企業として注目されています。
分野を限定せず、さまざまな産業分野に応用できる需要が多い技術です。実際にトヨタ自動車やNTTなど日本を代表する大手企業とも提携しています。
新しい技術の活用は評価額が高くなりやすい傾向にあるビジネスモデルです。しかしただ新しい技術を提供するだけではなく、既存企業に役立てられる具体的な活用戦略を立てなければいけません。
トヨタ自動車では衝突回避システム、NTTにはリアルタイム分析など実際の製品やサービスで利用する技術を共同開発。創業時の事業内容は検索エンジンなどの技術開発でした。
前提としてもっていた機械学習を別事業で利用する方針に変更し、ビジネスモデルとして成功しています。
株式会社 | 株式会社Preferred Networks |
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会社所在地 | 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル |
会社設立年 | 2014年3月26日 |
従業員数 | 約300名 |
事業内容 | 深層学習やロボティクスなどの先端技術を応用した ソフトウェア・ハードウェア・ネットワーク技術の研究・開発・販売 |
公式HP | https://tech.preferred.jp/ja/ |
2位 GVE株式会社
GVE株式会社の特徴
法定通貨のデジタル化プラットフォームを開発、運営するというビジネスモデル。デジタル通貨、仮想通貨については現在でも多くの企業が参入していますが、中央銀行を対象としているのが評価額を高めたポイントです。
中央銀行が発行する通貨なら、一般企業の通貨とは異なり将来的にも安定します。しかし公的期間をターゲットセキュリティ面でも最高水準が求められる点がスタートアップには難しい部分です。
GVE株式会社では「アメリカの大手企業に対抗できるプラットフォームになる」という目標を掲げ、かつ必要な技術を確保したのが成功しているポイントといえます。
立ち上げにはSONYが開発した非接触のICカード、Felica開発者がかかわっています。そして法定通貨で必要となるセキュリティ技術で国際特許を取得しました。
目標に沿う専門性の高い技術者と技術を組み合わせ確保していくことが、ユニコーン企業と同等レベルの評価額を取得に欠かせません。
会社名 | GVE株式会社 |
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会社所在地 | 東京都中央区日本橋兜町13-1 兜町偕成ビル別館4F |
会社設立年 | 2017年11月10日 |
資本金 | 43,710万円 |
従業員数 | 4名 |
事業内容 | 法定通貨のデジタル化プラットフォームの開発・運営 |
電話番号 | 050-5806-3453 |
公式HP | https://gve.co.jp/ |
3位 スマートニュース株式会社
スマートニュース株式会社の特徴
パソコンで見るWebサイトではなくスマートデバイス向けに開発されているスマートニュース株式会社が提供するニュースアプリは、多くの人に利用されています。
ユニコーン企業と同等の評価額に成長した要因は、顧客を起点とした経営戦略です。日本とアメリカで同時に成長していますが、国によってプラットフォームや機能、アルゴリズムを変えています。
3000メディアから情報を提供していますが、なかには当然フェイクニュースや偏った情報もあります。ニュースの偏りをなくすアルゴリズムを導入し、選挙時には比較しやすいようにあえてどちらかに寄せられる機能を搭載しました。
根本にはニュースに偏りがあると感じているユーザーの存在があります。ただアクセス数や売上の数字だけを見ていては、本当に求められているサービスは見つかりません。
顧客が何を求めているのか、きちんと調査して反映させるのがスタートアップ企業を成長させる上で欠かせないポイントです。
スマートニュースは情報アプリとしての信頼を得て、2019年にはアメリカでヤフーを超えるほどに成長しました。
会社名 | スマートニュース株式会社 |
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会社所在地 | 東京都渋谷区神宮前6-25-16 いちご神宮前ビル2F |
会社設立年 | 2012年06月15日 |
事業内容 | スマートフォンアプリケーションの開発・運営 インターネットサービスの開発・運営 |
公式HP | https://www.smartnews.com/ja |
4位 株式会社SmartHR
株式会社SmartHRの特徴
労務管理ソフトを提供する株式会社SmartHR。急成長したのはまだ市場ライバルが十分ではない分野ながらも、企業が必要とするジャンルにいち早く参入したのが大きなポイントです。
企業の事務作業において勤怠や採用の管理ソフトは多くありましたが、労務管理分野ソフトは競合が少ない分野でした。
特にIT分野においては日本よりも強い海外企業が参入しにくい分野を選ぶことも、自社製品を利用してもらえるポイントです。労務は国ごとに法律の違いがあるため、海外企業が自国で展開しているサービスを翻訳するだけなど簡単には参入できません。
そして利用企業の状況をきちんと分析し、解約率を低い水準で抑えられているのも大きなポイントです。SmartHRはただ作業を簡略化したツールを提供するだけではありません。人事情報など企業にとって重要な情報管理も提供しているため、簡単にサービス乗り換えを検討しないビジネスモデルになっています。
作業簡略化のソフト提供だけでは他企業へサービスへの変更も簡単になるため、長く使ってもらえずに企業価値を高めるのが難しくなってしまうのです。
会社名 | 株式会社SmartHR |
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会社所在地 | 東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー |
会社設立年 | 2013年1月23日 |
資本金 | 9990万円 |
事業内容 | 労務管理ソフトの企画・開発・運営・販売 |
公式HP | https://smarthr.co.jp/ |
5位 株式会社TRIPLE-1
株式会社TRIPLE-1の特徴
半導体の設計や開発を事業とするTRIPLE-1。半導体といってもさまざまなデバイスに利用するオールマイティなビジネスモデルではありません。
暗号通貨マイニング向けのチップという、日本だけでなく世界でも見ないとてもニッチな分野の事業を行なっています。ニッチな分野はもちろん開拓しやすいのですが、価格の流動性が高い点も注目すべき部分です。
当然ながら暗号通貨自体は通貨価値が変動します。そして暗号通貨マイニングに必要なチップやハードウェアの価格も変動するのがポイントです。ニッチな分野かつ価格の変動があれば、利益率を大きく高められます。
株式会社TRIPLE-1は企業や自治体単位で構築できるローカル5G分野にも参入するなど、さらに多方面の分野へ進出しています。
会社名 | 株式会社TRIPLE-1 |
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会社所在地 | 福岡県福岡市博多区博多駅東1-14-20 ITビルII7F |
会社設立年 | 2016年11月1日 |
資本金 | 39億6289万5400円 |
事業内容 | 半導体設計 開発事業 電気通信事業 最先端技術を活用したデジタルインフラ構築事業 |
電話番号 | 0570-031-119 |
公式HP | https://triple-1.com/ |
6位 株式会社スリーダムアライアンス
株式会社スリーダムアライアンスの特徴
環境に配慮した次世代型リチウムイオンを開発する株式会社スリーダムアライアンス。従来製品と比較して2倍近い寿命をもつ製品です。
企業価値を高めるためには世界情勢に合わせた商品開発が欠かせません。スリーダムアライアンスのような環境配慮系のビジネスモデルは、SDGsが求められている現代においてとても需要が高い分野です。
会社名 | 株式会社スリーダムアライアンス |
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会社所在地 | 東京都港区赤坂1-7-1 赤坂榎坂ビル8F |
会社設立年 | 2014年2月24日 |
資本金 | 961,000万円 |
事業内容 | 次世代交通インフラの電動化に関連したサービスの展開 |
公式HP | https://www.3dom.co.jp/ |
7位 株式会社クリーンプラネット
株式会社クリーンプラネットの特徴
クリーンプラネットが提供するのは次世代のクリーンエネルギーで、東北大学と連携して技術開発を進めています。
クリーンプラネットも環境配慮へつながるビジネスモデル。日本から世界へ向けて技術を提供しており、目標としている部分は世界のエネルギー革命です。
新たな技術を提供するにあたっては、開発した企業が管理できるように特許の取得が企業価値向上につながります。クリーンプラネットは2021年時点で国内31件、海外も含めると計46件と多くの特許を取得済みです。
しかし技術があれば必ず特許を取得できて開発技術を守れるとは限りません。しっかりと知的財産の知識をもった専門会に相談しつつ進めていくことが大切です。
会社名 | 株式会社クリーンプラネット |
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会社所在地 | 東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビル10F |
会社設立年 | 2012年9月 |
資本金 | 3億2,888万円 |
事業内容 | 革新的な新クリーンエネルギー「量子水素エネルギー」の実用化開発 |
公式HP | https://www.cleanplanet.co.jp/ |
8位 Spiber株式会社
Spiber株式会社の特徴
今回のご紹介企業では珍しく、東京を所在地とする企業ではありません。地方企業でもユニコーン企業並の企業価値になれるという事例です。
事業内容はたんぱく質のアミノ酸の組み合わせにより、用途に沿った最適な材料をつくれる素材の提供。構造たんぱく質と呼ばれる素材で、SDGsの実現にもつながる製品開発を提供。
またスタートアップ企業にとって資金調達は大きな関門。Spiber株式会社では多くのスタートアップ企業が利用しているベンチャーキャピタルを活用しています。
会社名 | Spiber株式会社 |
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会社所在地 | 山形県鶴岡市覚岸寺字水上234-1 |
会社設立年 | 2007年9月26日 |
資本金 | 603億円 |
従業員数 | 268名 |
事業内容 | 新世代バイオ素材開発 |
公式HP | https://spiber.inc/ |
9位 株式会社TBM
株式会社TBMの特徴
環境に配慮した自社開発素材、LIMEXを提供する企業。レジ袋から容器、文房具など応用できる製品は多岐に渡ります。
時代の流れに合わせて世界情勢を踏まえて求められている分野の技術開発により、企業価値が大きく高まった事例です。
LIMEXの主原料は石灰石となっており、日本国内だけで原材料を時給できるほどたくさんとれる鉱物で、かつリサイクルもできる素材。プラスチックから紙への変更が求められる現代において、どちらでもない新しく丈夫な素材は需要が高い製品です。
しかしただ素材を提供するだけではなく、問題の本質を捉えて利用後の流れも考えている点が株式会社TBMの成長ポイントになります。
LIMEXのリサイクルにあたり、素材が異なるプラスチックのリサイクルに混ぜてしまうことを防がなければいけません。もしも混ざってしまえばプラスチックリサイクルに影響を与えてしまう可能性があるためです。きちんと対応しなければ、反対に環境配慮の妨げになってしまうことが懸念されていました。
そこで株式会社TBMは利用場所を限定する、自社でプラスチックも受け入れるリサイクル工場を設置してプラスチックごと受け入れるなどの体制を整えています。
ただ「環境に配慮する」という製品の提供だけでなく、既存商品に与える影響まで考えて対応する企業だからこそ企業価値が高まりました。
会社名 | 株式会社TBM |
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会社所在地 | 東京都千代田区有楽町1-2-2 東宝日比谷ビル15F |
会社設立年 | 2011年8月30日 |
資本金 | 234億2,993万円 |
従業員数 | 282名 |
事業内容 | 環境配慮型の素材開発及び製品の製造、販売、 資源循環を促進する事業等 |
電話番号 | 03-6268-8915 |
公式HP | https://tb-m.com/ |
10位 Mobility Technologies
株式会社Mobility Technologiesの特徴
タクシー配車アプリを提供する企業のなかでも、大きく企業価値を上げたのが株式会社Mobility Technologies。提供するアプリの「GO」は1,000万ダウンロードを超え、タクシー事業社の50%以上に利用されています。
株式会社Mobility Technologiesは合併を経て成長している部分が大きな特徴です。前身は「JapanTaxi」と「MOV」でどちらもタクシー配車アプリを提供する、ライバル同士でした。
合併時、通常ならサービス利用者が多いシステムをベースに考えるのが一般的です。しかしGOでは利用者が少ない側のMOVをベースにしています。理由はサービスの効率を重視したためです。JapanTaxiは一度タクシー会社からタクシーの車に連絡がいくのですが、MOVは直接タクシー各車へ通知してくれます。
合併時にベースを検討する際、体裁や企業の力関係ではなく利用企業やエンドユーザーにとって最適な方法を選ぶことが、市場価値増加につながるのだと分かる事例です。
またユニコーン企業における問題点として、急激な社員増加も挙げられます。Mobility Technologiesの場合、目標が合った合併時にあまり問題はありませんでしたが、リリース後に問題が起きやすくなっていました。
しかしマンネリ化や規模拡大で発生する問題に対し、大規模開発向けのプラットフォームの利用、新機能開発チームと改善チームの設置など、きちんと対応し課題を解決しています。
サービスやビジネスモデルはとてもよいのに、体制が追いつかずにユニコーン企業になれなかったという事態は避けたいものです。
会社名 | 株式会社Mobility Technologies |
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会社所在地 | 東京都港区六本木三丁目2-1 |
会社設立年 | 1977年8月 |
資本金 | 1億円 |
事業内容 | モビリティ関連事業 タクシー事業者等に向けた配車システム提供など |
公式HP | https://mo-t.com/ |
11位 株式会社アストロスケールホールディングス
株式会社アストロスケールホールディングスの特徴
宇宙関連の事業を手掛ける株式会社アストロスケールホールディングスですが、事業内容は宇宙全般ではなく人工衛星の運用サポートに特化しています。
宇宙関連事業も現在各国で求められている分野も将来的に需要が増えると予測されますが、既に将来を見据えて業務を細分化し、専門分野に特化した事例です。
人工衛星の保守として、宇宙のゴミを減らすサービスをメインに提供。人工衛星が増えていけば宇宙のゴミも増えてしまうので、宇宙のゴミを減らす業務の需要が高まるのは間違いありません。
いち早く必要とされるビジネスモデルに取り組み、企業価値を大きく高めています。
会社名 | 株式会社アストロスケールホールディングス |
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会社所在地 | 東京都墨田区錦糸1-17-2 |
事業内容 | 衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去 既存デブリの除去 寿命延長 故障機や物体の観測・点検 |
電話番号 | 03-6658-8175 |
公式HP | https://astroscale.com/ja/ |
12位 HROTSUバイオサイエンス
株式会社HIROTSUバイオサイエンスの特徴
株式会社HIROTSUバイオサイエンスはSDGs関連やIT技術以外で、ユニコーン企業と同等に企業価値を高めている事例です。
事業内容は嗅覚が強い線虫を使って、15種類にも及ぶがんのリスク検査を尿1滴で実施するという技術の提供。あくまでがん検査そのものではなくスクリーニング検査です。需要が非常に高い検査の支援に関連した開発という点が、規模拡大につながっています。
またスタートアップ企業にしては珍しく、ベンチャーキャピタルを利用していない点も参考になります。
最初はベンチャーキャピタルの利用も検討していたのですが、出資者からアドバイスされる内容がやりたい内容と考えていることとは異なっていました。しかし無理に出資者の要望に合わせるのではなくて、スタート時点の出資を受けず研究により株価を上昇させる方法を選んでいます。
資金調達ではなくまずはお金をかけずに実績を積むことを選んだというわけです。本来なら難しいかもしれませんが、株式会社HIROTSUバイオサイエンスは病院と研究を進めるにあたり、論文の権利を渡すことで臨床試験が無料で進められました。
本来ならば研究開発に莫大な費用がかかるため、無料で研究に協力してもらうのは通常ではありえません。しかし知識がない状態で試行錯誤しお願いすることで、協力を得られています。常識にとらわれずにまずはお願いする、という対応が成功につながる秘訣です。
なお無料で研究に協力してもらえるとはいえ、資金調達も必要になります。株式会社HIROTSUバイオサイエンスでは小口資金提供企業を個別に複数まわっていました。
ベンチャーキャピタルで1出資者からの融資を受けたのではなく複数出資者と交渉したことで、融資を受けるための交渉力が身についた点も見習うべきポイントです。
会社名 | 株式会社HIROTSUバイオサイエンス |
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会社所在地 | 東京都千代田区紀尾井町4-1ニューオータニガーデンコート22F |
会社設立年 | 2016年8月 |
資本金 | 566,425万円 |
事業内容 | 生物診断研究(線虫および線虫嗅覚センサーを利用したがん検査の研究・開発・販売) |
公式HP | https://hbio.jp/ |
スタートアップのマーケティング戦略
急成長にマーケティング戦略は欠かせません。特に出口戦略を必要とするスタートアップ企業では戦略が立てられていないと、資金調達できず事業が継続できない可能性もでてきます。マーケティング戦略を検討する際のポイントを解説します。
投資ラウンドごとに課題が異なる
投資状況でラウンドを分けて考え、各状況に応じたマーケティング戦略を展開していく必要があります。
常に状況が目まぐるしく変化するのがスタートアップ企業です。一度課題をクリアできたとしても、次にまた別の課題がやってきますし、同時に異なる課題を抱えているケースも珍しくありません。
投資ラウンドは下記に分けられます。
- アイディア出し
- ビジネスモデルの決定
- 起業直後
- 提供サービスの認知度向上期
- 経営の安定時期
- 黒字後以降
一番マーケティング調査に力を入れなければいけないのは、アイディア出しの時点です。アイディアを思いついたとしても、下記の要因があると急成長につながりません。
- 既に市場で強力な企業がいる
- サービスの需要が少ない
- 革新的な技術がなく差別化できない
- アイディアに技術が追いついていない
上記をなくすためには市場規模や企業の特性などの分析が不可欠です。検討するアイディアは、本当に差別化できるポジションなのかを判断しなければいけません。市場の規模や需要度合い、現状の存在価値を踏まえないとポジションは見えてこないのです。
また最初のマーケティングがよい戦略で成功したとしても、常に投資のラウンドに合わせてマーケティング戦略を変えていかなければいけません。
投資家を集めるための施策と営業の連動も必須
スタートアップ企業が市場価値を高めるためには、資金を集めるノウハウも必要です。スタートアップ企業の多くはベンチャーキャピタルへの投資者に助けられるケースが多くなります。
しかしベンチャーやスタートアップ企業だからというだけで簡単に借りられるわけではありません。
ベンチャーキャピタルは未上場の企業へ出資とコンサルティングを実施し、未上場時に取得した株を企業価値が高まり上々した際に売却する投資です。
当然ながら投資家が将来性を感じてもらえないと融資してくれません。またコンサルティング内容をすべて受け入れて成功するとも限らない点も注意が必要です。
企業した目的に沿ったコンサルティングを提供し、かつ期待どおり投資してもらえるようにアプローチしていく必要があります。
スタートアップにとってインサイドセールスは重要
できるだけ出費を抑えたいスタートアップ企業にとって、Webサイトなどオンラインツールを活用する非対面のインサイドセールスは重要な営業方法です。
知名度が高くない状態でサービスに興味をもってもらう必要のあるスタートアップ企業では、営業担当者の人件費や商談に伴う出張費が積み重なると資金が尽きてしまいます。
商談前のアポ取りはもちろん、商談や契約までオンラインで完了すれば移動に時間もかからない分、時間内に対応できる件数も増加し効率的です。
スタートアップのマーケティング成功事例
スタートアップでマーケティング戦略の成功事例をご紹介します。
利用しやすさで認知度を高める
契約サービスが書類不要で電子締結できるクラウドサインは、一般的な書類締結でありがちな「双方の利用登録」ではなく「依頼側の利用登録」のみで利用できます。
2社での契約が不要だと企業も導入しやすく、相手側もサービスを認知してくれるので利用が広まります。2015年10月にリリースされたクラウドサインはわずか4ヶ月後の2016年2月には利用企業が1000社を突破し、2017年8月には10,000件を超えました。
インフルエンサーの知名度を利用
日本国内で急成長を遂げたニュースサイト、NewsPicksの初期段階は有名インフルエンサーを活用することをマーケティング戦略としていました。
革新的なサービスで有名になっている人物や、著名人に利用してもらうために電話やメールなどさまざまな手段でアプローチしています。影響力の高い有名人がニュース記事にコメントすることで、読者を増やす戦略でした。
2013年のサービス開始2年後の2015年には、登録ユーザー数が100万人まで急上昇しています。
2種類の事例をご紹介しましたが、最適なマーケティング戦略は異なります。しかし多くの企業で効果があり、共通して展開できる戦略もあるのです。代表的なのがWebマーケティングで、特にスタートアップ企業には効果的な方法です。すぐに始められる手法をご紹介します。
スタートアップが優先すべきはWebマーケティング
Webマーケティングがなぜスタートアップ企業に効果的なのか、大きな理由として下記が挙げられます。
- 効果測定から改善がスピーディ
- 認知度を高められる
- 初期費用の出費を抑えられる
- ターゲットへピンポイントにアプローチでき費用対効果が高い
スタートアップ企業はどうしても知名度が高くないので、まずは多くの人に認知してもらわなければいけません。しかし資金が限られているために、大手企業のような大掛かりな宣伝も難しいのが実用です。
Webマーケティングなら初期費用がマスメディア広告よりも抑えられ、かつ特定のターゲットに向けて宣伝し費用対効果が高いためにスタートアップとの相性が抜群です。
Webマーケティングの種類
Webマーケティングの種類として下記が挙げられます。
マーケティングの種類 | 施策事例 |
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広告 | バナー広告、記事広告、動画広告、リスティング広告 |
インフルエンサー活用 | SNS展開、ブログ展開、利用者としてアピール |
SNS | 公式アカウントにて情報発信 |
検索対策 | SEO、MEO、口コミ |
コンテンツ型 | コンテンツマーケティング、ポジショニングメディア |
特に重要なのは下記3種類です。
- SNSの情報発信
- オウンドメディア
- ポジショニングメディア
SNSは今や欠かせないツールで企業の顔にもなっています。またオウンドメディアやポジショニングメディアは、他社と差別化しつつ問い合わせの窓口にもなる、多機能な広告です。
インサイドセールスのツールにもなるので、早めの段階で整備しておくと将来的に急激な依頼増加があっても対応しやすくなります。
オウンドメディアの事例
キャククルの運営企業、Zenkenでは他社と差別化したポジションでターゲットに直接アプローチできるポジショニングメディアを得意としています。
いくつか実際の事例をご紹介しますので、スタートアップ企業のマーケティング戦略に迷っている方は参考にご覧ください。
尚、下記の他にも豊富なジャンルのサイトを作成していますので、下記から御覧ください。
学術大会代行
学会にとって一大イベントである学術大会を成功に導く代行会社の比較サイト。委託するメリットや規模ごとに最適な委託会社が異なる点をアピールしています。一番得意とする規模の受注増加につなげ、差別化に成功している事例です。
産業廃棄物設置支援
産業廃棄物施設の設置を検討している企業に対し、FAQや企業ごとの特徴などをまとめて知識を提供するサイト。特にSDGsへの取り組みを重視している企業にとって必要な情報を提供し、集客につなげています。
人工芝の設置依頼
一軒家を対象にした人工芝の設置依頼に役立つ情報を網羅したメディア。人工芝の目的ごとに向いている企業を解説する形で、自然にサービスに沿った顧客を集めている設計です。
購入後の手入れに関連した豆知識も掲載しており、迷っている見込み顧客の集客導線もコンテンツとして展開しています。
業界内でブランドポジションを確立できる集客メディア
展示会以外の集客方法を探している、競合他社と差別化したい、アプローチできていない層に自社の名前をアピールしたいといった集客の課題を持っている企業はぜひ資料をご覧ください!
スタートアップに効果的なポジショニングメディア
ポジショニングメディアは市場規模にかかわらず豊富な情報で集客できる媒体。かつサービスのターゲットに最適な層を集めているので、問い合わせユーザーの質も高い点が大きなポイントです。
同業他社との差別化にもつながるため、競合と差をつけて企業価値を高めたい企業はぜひご検討ください。
(例)ユーザーがサービスを探すとき
情報が多すぎて、結局どの会社に依頼したらよいかわからず、自社サービスが埋もれてしまいます。
キャククルの集客メディアなら・・・
業界でのポジションを築き上げ、「〇〇なら貴社」というブランディングができます。
なぜこの会社で蓄電池を買うべきかを納得した営業がしやすいユーザーを集められるため、売上に繋がりやすいのも大きな特徴です。
実際にポジショニングメディアを導入した企業からは
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- 自社商材と費用感の合う検討者が増え、受注単価が2.5倍に増えた
といった成果を実感している声もいただいています。
ポジショニングメディアについては以下ページにもまとめています。
売上につながる反響を獲得したい、効率的な集客がしたいという場合はぜひご覧ください。
ポジショニングメディア戦略の
特徴・事例を見る
キャククル掲載も有効施策のひとつ
サービスと相性のよいターゲットを集める媒体として、キャククルへの掲載もおすすめです。キーワードで細分化された訪問者に対しサービス内容をアプローチします。
問い合わせするのは記事内容で既に商品知識をもったターゲットのため、営業対応も効率的な点が大きな魅力です。営業に時間をかけたけれど、下記の理由で契約につながらないケースが減ります。
- そもそもあまり興味をもっていなかった
- 他社と比較しており他社を選んでしまった
スタートアップ企業が大きくなるにはマーケティングが欠かせない
スタートアップ企業は大企業とは異なり、変化に対応できなければいけません。特にユニコーン企業と呼ぶ条件のひとつ、企業価値10億ドル以上を目指すなら変化は急激です。
ただ需要のある新しいビジネスモデルや技術を提供すれば、大きなスタートアップ企業になれるわけではありません。出資者を探しつつ資金繰りも考える必要があります。
スタートアップ企業が大きくなるためには、まずWebマーケティングに力をいれるべきです。集客や営業が効率化され、かつ費用対効果が高く出費を抑えられます。
Webマーケティングにもいくつかの方法がありますが、業種を問わず万能に対応しやすいポジショニングメディアの展開をご検討ください。
Zenkenでは規模を問わずさまざまなジャンルに対応できる体制を整えていますので、お気軽にご相談ください。